この『
無事、これ名馬』を読み終えたのは、2月の終わり頃。風邪で寝込んでいた長女におつきあいして、ベッドで読み終えました。読んですぐにご紹介するつもりが、投稿しないままパソコンの中に残っていました。
【内容情報】(「BOOK」データベースより)
吉蔵は町火消し「は組」の頭。火の手が上がれば、組を率いて駆け付け、命懸けで火事を鎮める。そんな吉蔵に、武家の息子・村椿太郎左衛門が弟子入りを志願してきた。生来の臆病ゆえに、剣術の試合にどうしても勝てない太郎左衛門。吉蔵の心意気に感化され、生まれ変わることができるのか…。少年の成長と、彼を見守る大人たちの人生模様を、哀歓鮮やかに描き上げる、傑作時代小説。
裏表紙の内容紹介を読んでなんとなく購入してみたのですが、読了感が爽やかで、まさに春の読書におすすめの一冊だと思います(今はもう初夏ですが)。あと、表紙の絵が、宮部みゆきさんの『
ぼんくら』の表紙の絵と同じ作者だったことも購入を後押ししてくれたような気がします。たろちゃんこと村椿太郎左衛門の父親村椿五郎太の若かりし頃を描いた『
春風ぞ吹く 代書屋五郎太参る』という作品もでています。
たろちゃんこと村椿太郎左衛門の成長の物語というわけではなく、主人公はあくまでも町火消し「は組」の頭(かしら)吉蔵です。時代小説という設定が、物語にある種のファンタジー性を与えてくれているような気がします。安心して読めて、読後感のよい一冊をお求めの方にぴったりです。