「優しさとは」(相手の立場に立って感じ、考える)
「優しさ」を育てるためには「想像力」を育てる必要があります。相手の立場に立って色々と考えることが出来る「想像力」です。「相手の立場」に立たずに、「学校に行かないと・・・」「歯を磨かないと・・・」「ちゃんと勉強しないと・・・」などと、自分の不安や希望から生まれた空想は「妄想」であって「想像」ではありません。一方的に、その妄想を押しつけられた子どもは苦しくなります。また、そのような人は、自分の勝手な思い込みだけで相手のことを判断します。自分が傷つきやすい人は、自分のちょっとした言動でも子どもが傷ついてしまうのではないかと恐れ、子どもの顔色をうかがい、子どもを叱ることが出来ません。その逆に、感受性が鈍い人は相手の気持ちなど考えずに色々とやったり言ったりしてしまいます。そして、「こんなことぐらいでは子どもは傷つかない」と思い込んでいます。よくあるパターンが、お母さんが傷つきやすく過度に子どものことを心配しているのに、お父さんの方はその逆に、「このくらいじゃ子どもは傷つかない」と思い込んでいる場合です。そういうお母さんからの相談も多いです。でも、両者の考え方とも自分の価値観や、考え方や、感性を基にした思い込みですから、話し合ってもラチがあきません。いくら話し合いを繰り返しても一向に近づきません。お互いに「なんで分かってくれないんだ」と「自分」の押し付け合いを繰り返すだけです。いずれの人にも共通しているのが「想像力の欠如」です。「優しさの欠如」ではありません。もちろん子育てでは、お母さんやお父さんの感性や、価値観や、考え方も大切です。でも、肝心の子ども自身の「感性や、価値観や、考え方」を無視して、お母さんやお父さんが「子どもの育て方」について議論しても意味がないのです。子どもの感性や、価値観や、考え方を知れば、話し合う上での共通の視点、土台が整います。そこで始めて「話し合い」が成り立つようになるのです。家を建てる時に、家を建てる場所の実際の状況が分からないまま「どんな家を建てたいのか」を考えたり議論したりしても無意味ですよね。それと同じようなことです。「インドに行ったらどうしようか」と色々と想像するためには、実際のインドについてちゃんと知る必要があります。野生の動物たちが幸せに生きることが出来るように考えるためには、野生の動物たちの生態を知る必要があります。何にも調べないであれこれ考えるのは妄想に過ぎません。私が考える「優しさ」とは、相手の価値観や考え方を大切にしてあげることです。子どもを大切にするということは「子どもが大切にしていること」を大切にしてあげることです。そして、相手のことを相手の視点に立って色々と学び、考えることで想像力が育つのです。自分の視点のまま相手のことを学び、何かしてあげても優しさにはつながらないのです。まただから、相手のことについて色々と学ぶ必要があるのです。ちなみに植物や生き物を育てたりすることでもこの想像力が育ちます。想像力を働かせないとすぐに枯れたり死んだりしてしまうからです。植物や生き物を育てたりすることが子どもの「優しさ」育てにもつながっているのです。でも今、そのような想像力が未熟な子ども達が増えて来ています。