感涙のシャコ三昧
俺はゲテモン食いなのだろうか。 こいつかゾワゾワガサガサ動いているのを見るだけで、脳裏にキンキンに冷えたビールでこいつを口に放り込む自分を想像し、思わずうっとり、アア、もうダメ、好きにしてぇ!という気分になってしまうのである。 シャコである。エビに似ているようで、少し分類学的な仲間は違うが広い意味では甲殻類なので、遠い親戚といったところか。 昨日、大阪府南部の方に射撃練習に行ったことは日記に書いたが、奈良から延々愛車エロバス君で、高速を使わず下道で2時間かけて行ったのである。 そうそう、我が愛車エロバス君は先日オーバーヒートで入院したのだが、一晩の入院で無事退院できたのである。病名はラジエターのサーモスタット異常で、治療はサーモスタット交換、1万円也。 異常に気付いて早くにエンジンを止めたので、エンジンが焼け付かず、軽傷で良かった。 心配してくださったみなさま、どうもありがとうございました。エロバス君は全快しました。 が、1万円の出費は実に痛い。 話を戻して・・・ せっかく足をのばしたのだから、行きたいところがあった。 泉佐野市の青空広場。泉佐野漁協がやってる水産市場みたいなやつで、地魚が豊富に売ってある。ただ、俺は自分でも一応釣りをかじってるので、安いかどうかは、俺にはよく分からない。こんなん自分で釣った方がエエじゃん!ってな魚も結構な値が付いているので、そいつにそれだけの金をかける価値はお客さんが決めれば良いだろう。 で、そんな俺が他の魚には一切目もくれず、狙っていたのがシャコなのである。 やっと話題がシャコに戻ることが出来て俺も嬉しい。 市場の中をざっと歩くと、ちょっと小振りのやつも混じるが、活きのいいシャコが50匹程度入って、これで1,200円の値札が付いている。 高いか安いか・・・ それはそれを食いたい人が決めると書いたのだが、射撃で1万円を使った後の俺にはかなり高価な買い物である。 でも、シャコを見てしまった俺の頭の中は、黄金色に光るビールが渦巻いていて、もう後には引けない、このまま手ぶらで帰ることが出来ない精神錯乱状態になってしまっている。 「おばちゃん、このシャコ、ほんとに1,200円?」 「ん? 1,000円でええよ。」 「もらうわ!」 シャコの袋をぶら下げた俺の目はうつろ、ココロそわそわ、うちまでどこを通って帰ったのか記憶が定かでない。 さて、シャコは活きているうちに茹でないと、身が殻から剥がれにくくなる。 ビールビールと朦朧としながらも、帰宅して、すかさず湯を沸かし、塩を少し入れて、シャコをぶち込む。 いきなり熱湯にぶち込まれたシャコは一瞬悶絶苦悩するが、すぐ紫色に変わっていく。 10分後、ざるにあげ、自然に冷ます。 それにしても、シャコ愛好家が俺の周りには非常に少ない。 一緒に食べて、シャコを食うヨロコビを是非共有したいのだが、ほんとにいない。 聞けば、やっぱり見た目がネックのようだ。動いてる姿も気持ち悪い、茹でたら紫色になってそれもグロい、殻を剥いても紫色のままなので、それもダメらしい。 火が通れば赤くなるエビに比べて、いささか立場無しなのである。 シャコは茹でたてより、冷ましてからの方が殻を剥きやすいようだ。 見た目を気にする以前に、シャコの味に魅せるられてしまった俺は、一度もシャコをグロいとか思ったことがない。もう頬ずりしてしまいたいくらいなのである。 豊潤な瀬戸内海の栄養がたっぷりつまった茹でシャコは、キンキンに冷えたビールとともに、清く正しくきっちりと俺の胃袋とココロを幸せにしてくれるのである。 そして、初めてシャコを見た息子のK助も、最初はゾワゾワガサガサにびびっていたが、今や、俺と同様シャコをこよなく愛する一人となったのである。