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祈りと幸福と文学と

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2018.08.17
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カテゴリ:随筆集「百鳥譜」
ヨハネ福音書で、イエスがラザロを蘇らせる有名な記事があります。
洞穴になった墓に入ったイエスは、塞いである石を取り除くよう人々に命じます。
「主よ、4日もたっていますから、もうにおいます」
そう言ったのは、ラザロの姉のマルタでした。

そう、においます。それも、もの凄く。



     *



午後のこと、ある家を訪問しました。呼び鈴を押しても、戸をたたいて大声で呼んでも、家の住人は出てきません。
隣にいた上司に、
「立ち入り調査、実施します!」
宣言して、あらかじめ住人の母親から預かっていた合鍵で開錠し、家に突入した、もず。

果たしてそこで見たものは、うつ伏せの状態で斃れた住人の死体でした。

 住人の友人が3日前に一緒に食事をしたと証言してましたから、
そのあと帰宅して直後に亡くなったのだとしても、
死後3日経過。でも僕が見た亡骸は、足も顔も腕もどす黒く変色していて、
3日どころか、それ以上経過しているようにも思えました。

暑い夜が続いたからかもしれません。
そして物凄いにおい。
便失禁と腐敗臭のいりまじった、強烈なにおいでした。

実はその前日、とつぜん神さまから、断食するように命じられてました。
どうやって命じられたかの説明は、長くなるので省略しますね。

なんか特別なことでもあるのかなーと、ちょっと思っていましたが、

これだったのか・・・。

蝿がまわりで翅音をたてています。
亡骸に蟻の行列ができていました。

ただちに110番、そして119番。
119番では、救急隊が駈けつけるまで、心臓マッサージをするよう指示を受けました。

「いや、だってもう腐乱してますよ」
「それでもやってほしいんです。拒否されますか?」

わかりましたよ、やりますよ。これでも上級救命講習修了者なんだから。

腐乱した死体を仰向けにして、たぶん10分くらいでしょうか、心臓マッサージをぶっ続けで行いました。
押しても押しても、胸は凹みません。硬直してるためです。
石を相手に心肺蘇生やってるようなもんです。

汗だくになって心臓マッサージをしながら、
おそらくこれに似た状態で死んでいたラザロを蘇らせるということが、
どんなにあり得ないことかと考えつづけました。

ラザロは手と足を布で巻かれたまま出てきたと、聖書にはあります。
手も足も、かなり腐乱していたはずです。
血液の届かない内臓はなおさら腐乱して、もとに戻せない状態にあったはずです。

イエスの奇跡がどれほど偉大だったか。

それを目撃したわけではないけれど、常温で死後2日、3日経った、
変色し硬直した死体の、おそろしい臭気の中で、
思い知らされずにはいられませんでした。

救急隊がやってきて、心臓マッサージから解放されたもず。
ようやく死者とその遺族のために祈ることができました。



結局、それ以上遺体を腐乱させずに済み、第一発見者として警察の調査に協力し、
やがて背をまるめ、杖をついて駈けつけた老いた死者の母親を慰め、葬儀の段取りをし、
石の階段をどこまでものぼったところに停めてある霊柩車へ
担架に乗せた遺体を力ずくで運ぶところまで、
うまい具合に事を進めることができました。

すべて神のみ心だったのでしょう。
普段はまるで役に立たない僕を、神が用いてくださったのだと思います。
前もって断食を命じられたのは、
これが偶然ではなく、神のみ心によるものだと意識させるためだったのでしょう。

その間、実は僕も左の肋骨にヒビが入っているのですが、
神のご加護により、一度もそれが痛むことはありませんでした。




      *




すっかり暗くなった帰りの駅のホームで、
列車を待ちながら、
「ヨハネによる福音書」を読み返しました。

ラザロが墓から出てきた時の、人々の驚く様子を、
ようやくリアルに想像することができました。

目をまるくする人、口を開けたままぼんやり見ている人、
尻もちをつく人・・・。

一生忘れることのできない出来事だったろうと思います。


栄光はすべて主に。

キリストに賛美。


※この随筆は、2016年7月6日、ブログ「金の牛」に掲載したものです。今回、当ブログのカテゴリー整理をする中で、随筆のカテゴリーに加えたく思い、転記しました。





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Last updated  2018.08.17 17:25:39
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