カテゴリ:真空管ラジオのレストア日記
構想開始から半年、ついに「還暦4号・珍国際ラジオ」が完成したのこと!
ラジオ配線係長から完成の報を聞いた珍国際本部長は 「でかした!これを暴れん坊将軍に献上すれば、来年の人事で予が取締役に昇格するのは疑いなしじゃ、イッヒッヒ」と大喜び。 ラジオ配線係長は得々として説明を始めたアル。 「今回は「還暦ラジオ・シリーズ」では御座りまするが、『超・美人喫茶・カフェ・ローズ』のママ、ア、ア、ア、アイヤー、女流社長に珍国際本部長を刺繍して貰った布を貼ったので、外側は真っ赤にしないで、ローズ・ウッドのニスで7回も仕上げましたで御座る。ツマミはチョコレート色で仕上げて、豪華さを演出してみました」 「左様か、大儀であった」 「元々はシャープの「5R-700型」というラジオで御座った。多分、1951年製で、作られてから57年以上経っているポンコツ・ラジオで御座った。ヤフーのオークションで手に入れたましたが、この手のラジオは、いきなりエレキテルを入れるのは発火、爆発、感電の恐れが御座りまする。いくら出品者が『動作品』と書いてあっても信用するのは危険で御座る。従って、一度もエレキテルを入れた事が御座らぬよって、このラジオが鳴っていたかどうかは不明で御座りまする。内部の様子を見た限りでは、とても鳴っていたとは思えないし、鳴っていたとしても、いつショートして発火するか分からない状態で御座った」 「なるほど」 「斜め左からスックと立たれた珍国際本部長を強調してみました。ローズ・ウッドがエレガントで御座りまする」 「フムフム、良い仕上げじゃワイ」 「右斜めから見てみました。ツマミの辺りに太陽が反射しているのが写っています。塗りの良さを表しています。拙者の腕が良い事の証明で御座る」 「それを自惚(うぬぼ)れと申すのじゃ!余計な事を申すでない!」 「斜め上から見ると、プロにも誉められた塗りの良さが分かりまする」 「余計な事を申すなと言っておろうが!」 ラジオ配線係長は得々と説明していたアルが、珍国際本部長は、この写真を見た途端に 「予の左足がダイヤルに踏まれておるではないか!予を馬鹿にしておるのかぁ!」と激怒。 ラジオ配線係長は 「実はラジオの真ん中に貼り付けるつもりで刺繍を発注したので御座るが、最終的に、予定とは別のラジオの左寄りに貼り付けた為、布が足りなくなり、どうしてもこの位置になってしまい申した」 と説明、珍国際本部長も 「やむを得ぬワイ。されど、次回に同じミスをしたら蟄居閉門を申しつけてくれるワイ」 と了解したのこと。 「内部も軽く塗装して御座ります。見えない所でも手を抜かないのが当店のポリシーに御座りまする」 「良くやった、誉めてつかわす」 「夜、行燈(あんどん)を消して見ると、実に雰囲気が御座りまする。これでジャズとか申す毛唐の三味線楽団の音楽などを聴くと最高で御座りまする」 「ジャズとは如何なるものか?」 「ブンチャカブンチャカ、いささか五月蠅(うるそ)う御座るが、酒を呑みながら聴くと大人になった気分を味わえまする」 「予は既に大人じゃ」 「さらに大人になった気分になりまする」 「そんなもんかのう」 「これまた行燈を消して見ると、フィラメントが赤く光って、実に良い雰囲気で御座る。お女中に酒を飲ませた上で、これを見せながらジャズを聴かせれば、お女中は殿の思いのままに御座る」 ア~レ~~~、何をなさりまするぅ~~~ 「ウッヒッヒ、お主はウイ奴じゃ。来年は課長にしてやるワイ」 「裏板もしっかり塗装致しましたで御座る」 「そうか、これなら暴れん坊将軍も、さぞやお喜びになるのう」 二人は揃って、暴れん坊将軍に、このラジオを届けに行ったアル。 暴れん坊将軍は大喜びして 「目出度い!酒だ酒だ~~~、オンナだオンナだ~~~」 と、その夜はドンチャン騒ぎをしたアル。そして翌日、ラジオ配線係長を呼び出し 「大儀であった。褒美(ほうび)を取らす!」 と、山のようにポンコツ・ラジオを与えたのであった。 ↑ 余りにもポンコツ・ラジオの数が多すぎて部屋に入りきれず、家の軒下にまで並ぶ始末だったのこと。 ↓ 褒美のついでに一生掛かっても使い切れない程の真空管ソケットや真空管、バリコン、コイル、トランスなども渡されたのこと。 ほ、ほ、ほ、褒美(ほうび)と言いながら、これは「またラジオを修理せよ」と言うことではないか! 詐欺だ!暴れん坊将軍め騙したな! ホッホッホ、仕事が有る内が華ですよ タダで年貢の元を貰ったと思えば良いでは御座らぬか、フッフッフ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年04月27日 11時00分14秒
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