カテゴリ:真空管ラジオのレストア日記
ラジオ配線係長は還暦9号ラジオのレストアが終わらない内に、珍国際本部長から、「今度は初の舶来品じゃ。切支丹伴天連(キリシタン・バテレン)のラジオは手強いぞ、心して掛かれ」とモトローラの携帯用真空管ラジオの修理を命じられたアル。 今回は金属性のケースで、プラスチック部分のひび割れ以外は問題無いアルから、塗装班長の出番は無さそうのこと。喜んだ塗装班長は、「小遣い稼ぎに行って来ま~す」と、小銭を握りしめてパチンコ屋に向かったアル。 ラジオ配線係長は、「一人で修理するのはサミシイ」と泣き言を言いながらレストアを開始したアル。 ラジオ配線係長は、「簡単そうに見えるが、結構難しいだろうなあ」と恐る恐る裏蓋を開けてみたアル。 取り敢えず、中を見たら異常なくらいにスッキリしているアル。ラジオ配線係長としては初めての切支丹伴天連の製品アルし、その上に初のプリント基板だけのラジオのこと。 しかし、ラジオ配線係長の目に飛び込んできたのは、大きく書かれた赤い文字アル。 ラジオ配線係長は直感的に「これは何か危険を知らせる文章らしい」と思ったものの、英語が分からない悲しさ、「こげなもん、オイには分からんたい!」と放り出したアル。 そうは言っても、珍国際本部長に修理を命じられているアルから、治さざるを得ないのこと。仕方なくラジオ配線係長は、長崎まで早馬を飛ばして、蘭学者を連れ帰ったアル。 蘭学者は、この文章を見るなり、「この文字は私には分からぬ。身共はオランダ語の専門家で御座る。これはメリケン語で御座る。メリケン語の通訳をお呼びなされ」と言ったアル。 がっかりしたラジオ配線係長、仕方なく、今度は横浜に早馬を飛ばして、メリケン語の通訳を呼んできたのこと。 メリケン語の通訳は、「確かにメリケン語で御座る。しかし、ここには我々の時代(江戸時代)には無かったハイテク単語が使われておりまする。現代メリケン語の通訳でないと翻訳するのは無理に御座候」と断ってしまったアル。 ラジオ配線係長は、またもガッカリ。「いったい誰なら翻訳できるんじゃ」と途方に暮れてしまたのこと。 中学校でちゃんと英語の勉強をしたのですか?オホッホッホ ハイテク・メリケン語なら珍さんに頼めば分かりますよ! これを聞いたラジオ配線係長は大急ぎで秋葉原をウロウロしていた珍国際先生を連れてきたアル。 珍国際先生は、これを見るなりスラスラと翻訳したアル。 このエレキテル装置には、危険な衝撃を防ぐ為の仕掛けがして御座る。 決して、電源ヒモを抜かずに真空管を触ってはならぬ 「なるほど」と理解したラジオ配線係長は、怖々(こわごわ)と電源コードを取り外したアル。 次はこの文章アル。珍国際先生は以下のように翻訳したのこと。 形式 シャーシー 通し番号 55L4 HS-470 1416 117ボルトの交流、直流電源(15ワット)または内蔵バッテリーで動く バッテリーは7.5ボルトのA電池1個(エバレディの717番、バーゲスのC5、またはそれらの同等品)と、90ボルトのB電池(エバレディの479番、バーゲスのP60またはそれらの同等品)が必要。 メリケンの特許を持つモトローラのプリント基板を使用してオル! これだけ多くの特許を得た由緒正しい製品で御座る やっとの事で、メリケン語の説明を理解したラジオ配線係長は、さっそくレストアに取り掛かったアル。ハテサテ、如何なる事に相成(あいな)りますや? お主にバテレンのラジオが分かるかのお? 第一、バテレン語が分かるのか? ラジオ配線係長如きには、荷が重すぎたよのう。 ラジオ配線係長はメチャクチャにしてしまうんでは?これで珍国際本部長も責任を取って切腹ですね。殿の出世のチャンスでゲスよ。そうしたら、身共の店を幕府御用達にして下され 相模屋、お主もワルよのう。 越後屋です! どいつもこいつも、黙って聞いておれば勝手な事を言いおって! 許せぬ、そこへ直れ! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2009年11月13日 10時08分52秒
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