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[旅行と食べ物の話] カテゴリの記事

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• 台湾の塾潜行記

  台湾の台北市には、「士林夜市（スーリンヤーシー）」という、巨大な夜の市場がある。台北にはおそらく２０ぐらいの夜市があるが、ここが一番巨大だ。衣料品・ＣＤ・食べ物、何でもありの楽しい市場だ。台湾の夜市は、市場というよりも巨大な夜店といった方が正しい。日本の夜店の規模を何百倍にも拡大したような、１日やそこらでは歩き回ることができないほど広大な市場は、迷宮のように入り組んでいて、地図やガイドブックを持たずに足の赴くままに歩いていると同じ場所に戻っていたという失敗は頻繁に起こる。士林夜市では、道の両側には店舗があり、道の真ん中には屋台がずらりと並んで、思い思いのものを売っている。屋台には、日本の海水浴場に置いてあるよりも巨大なパラソルが差してあるので、雨が降っても客はパラソルに守られ、イスに座りながら食事をすることができる。アクセサリ・偽ブランド品・ＣＤ・Ｔシャツ・帽子・靴・携帯電話など、原色の商品が眩いライトに照らされて、夜の闇を忘れさせてくれる。食べ物は担仔麺・焼き鳥・巨大な鳥のから揚げ・カステラ・中国風腸詰から蛇のスープまで、市場にはあふれている。マンゴー・キウイ・サトウキビ・オレンジ・ヤシなどの果物を搾ったジュースもふんだんに売られている。ジューススタンドはカラフルで、甘い飲み物が大好きな私はついつい買ってしまう。市場は夕方の５時ぐらいから店は三々五々開き始め、夜中の２時ぐらいまで電飾が煌々と輝いている。私は４時間も５時間も、最高の夢を見ているように、市場を歩き続ける。夜中の１時や２時になっても、市場の人通りは途切れることなく、「ああ、もう深夜の２時なのに、こんなに賑やかなんだ」と、なぜか嬉しくなってくる。台湾の市場と聞くと、麻薬の取引が行われていたり、売春の巣屈だったり、チャイニーズ＝マフィアの抗争が日常茶飯事じゃないかというイメージを想像しがちだが、士林夜市は極めて明るく健康的だ。新宿歌舞伎町の方が１００万倍怪しく不健康なオーラを漂わせている。漢字まみれの仮名文字が全くない看板と、街を飛び交う攻撃的で早口な中国語の洪水を除けば、異国の排他的な雰囲気は全くなく、むしろ日本人には馴染みのある雰囲気なのだ。強いて台湾の市場の怖いところをあげると、市場の表側は電力量の飽和状態まで灯りがともり、まるで灯りの熱が市場の気温を上昇させているのではないかと錯覚するぐらい、煌々と明るいのだが、市場の裏路地に入ると明かりは全くなく、光線に目が慣れた後で裏路地に入ると闇の深さ黒さに恐怖を味う。そんな真っ暗な路地の片隅では、ランニングシャツ姿のオッサン達が、屋台で買った麺をすすりながら麻雀に興じている。しかしそんな闇よりも怖いのが、中国圏の市場を歩いていると突然遭遇する、強烈な鼻どころか目までも刺激する異臭である。台湾だけでなく香港でも、中国圏の市場では、時に暴力的な匂いが襲ってくる。マンホールの底の下水道に、下痢便の如き茶褐色の濁流が轟々と音をたてて流れ、匂いが地面の穴から吹き出してくるかのようなひどい異臭なのだ。ビル火災の時の消防車のようにバキュームカーが１０台並んで、汚物を一斉にこちらに向けてホースで放出するような強烈な悪臭。市場を歩いていると１０分に一回はこの悪臭にぶつかってしまう。私はその「くさ～い」匂いの正体が最初わからなかった。この悪臭の正体は何か？　実は「臭豆腐」という食べ物が、悪臭の原因なのだ。臭豆腐は台湾や香港の屋台ではお馴染みの食べ物で、豆腐を塩水の中で何週間も発酵させて（「腐らせて」という言葉のほうが近い）、それを麻婆豆腐のタレのような真っ赤な液体で煮る。臭豆腐をぐつぐつ煮こんだ湯気が、匂いを伴って市場に広がる。まあ、そのくさいこと！　納豆の匂いを１０００分の１に濃縮させたら、恐らくこんな感じの匂いになる。大豆関係の食べ物は、うまいけど腐らすとたちが悪い。納豆嫌いの関西人は、臭豆腐に対してどう反応するのだろうか？　現地の人は、この臭豆腐を、発泡スチロールのお椀（「どん兵衛」のカップのようなもの）に入れて、プラスティックのれんげで豆腐を崩しながら、美味そうに食べている。私はディープな臭豆腐を食べる勇気はない。台北の夜市が健康的な雰囲気を醸し出しているのは、夜の１１時や１２時になっても若者の姿が絶えないからだろう。中学生・高校生ぐらいの子が、友達同士夜の１１時頃まで市場の店をうろうろしている。台湾のティーンエージャーは、非常に真面目に見える。それは恐らく髪型と服装のせいだと思う。茶髪や奇抜な服装の子供は極めて稀で、しかもメガネをかけている子が多いので（コンタクトレンズの普及率は、ティーンエージャーに関しては低いようだ）、どの子もとても真面目そうに見える。台湾は、勤勉さでは日本に決して負けていない。なにしろ「科挙」の本場だから、日本より受験戦争は激しい。台湾にも塾があり、「補習班」と呼ばれている。おそらく、夜遅くに夜市を歩いている子供の多くは、塾帰りの子供たちだろう。彼らは、ただ夜市に遊びに来ているだけにしては、重そうなリュックやかばんを背負っている。台北駅前の一等地、ヒルトンホテルと新光三越デパートの裏には、補習班街がある。台湾は眼鏡屋なら眼鏡屋、反物屋なら反物屋と、同じ業種が集中して固まっている場合が多い。塾も同じで百以上もの塾が同じ地区に固まっている。台北駅前はさながら「塾の秋葉原」のようになっている。そこには日本の予備校・塾にあたる「補習斑」の他に、「美語班」・・・英語の塾。日本の「駅前留学ＮＯＶＡ」のような雰囲気「日語班」・・・日本語の塾。英語の塾ほど数は多くないが多い「電脳班」・・・コンピューター関係の学校などの民間教育機関がある。どれも１階は受付。受付は蛍光灯の光があふれ、ドアは開けっ放しで開放感があり、日本の予備校の受付よりももっとオープンで、カウンターは日本の旅行会社のような雰囲気だ。補習班は５階建ぐらいのビルが多く、２階より上は教室になっているようだ。美語班など外国語学校の人気は、日本より高いようで、物凄い数の若者が（眼鏡をかけた子が多い！）受付にたむろしている。日本では、海外留学はまだまだ「特別な人が行くもの」というイメージを持たれているが、台湾では海外留学は若者にとって当然の選択肢で、数多くの優秀な人材がアメリカに留学し、専門知識を身につけて向こうで働いたり、台湾に帰国して活躍している。この留学熱が、現在台湾が全世界のノートパソコンの半分を生産し、パソコン王国と呼ばれている大きな礎になっている。日本はある程度大学教育が充実し、国内で事足りてしまうので、海外で勉強しないといけないという危機感がＮＩＥＳに比べて少ないように思う。それはともかく、これほど数多くの民間教育機関が、１００軒以上も同じ場所に軒を連ねている姿は壮観だ。補習班街には、マクドナルド・ケンタッキーなどの世界共通のファーストフードの店だけでなく、麺や排骨麺（パーコーメン・豚肉のから揚げを汁ソバの上にのせたもの）などの、中華のファーストフード店も充実している。若者の知識欲だけでなく、食欲も満たす補習班街は、実にパワフルだ。同じ場所に固まっているわけだから、補習班間の競争も熾烈なようだ。それは各補習班の表に張ってあるポスターやチラシでわかる。補習班のポスターには大々的に、巨大なゴシックで、大学の合格者の名前と、台湾での大学入試の統一試験の点数が書かれている。例えば「李登輝　712.4　台大醫科」といった具合に。そして浪人生（台湾ではどう呼ぶのかわかりませんが）に関しては、現役時と、補習班に入って1年たった時の点数が、「陳水扁　645.3→699.5　科技大」などと、比較して載せられている。また、他塾との比較広告は露骨だ。ある補習班は、ライバルの補習班の、受験者数における合格者数の割合をポスターにして張り出していた。○○高中（高等中学校、日本では高校に相当）の合格実績は、合格者８０名、不合格者８９名などと記されている。漢字の意味はよくわからないが、合格者数も多いが不合格者の数も負けずに多いなどと、ライバル塾の悪口が書いてある比較広告であることは容易に想像できる。さて、私は台湾の補習班の授業を見たくなって、果敢にも（？）潜入を試みた。台湾の塾ではどういう授業をやっているのか？　教師の様子はどんなものなのか？　好奇心でいてもたってもいられなくなったのだ。黒ずんだむき出しの灰色のコンクリートが痛々しい４階建ての雑居ビルの裏口から、こっそりと２階に上がった。２階は教室だった。ワンフロアに６つ教室があって、１つの教室に３０人ぐらいの高校生とおぼしき生徒が学んでいた。廊下は少々薄暗く、夜の病院や学校のような独特の冷たさが漂う。私がこっそり覗いた教室では、数学の授業をやっていた。ドアの上部は、Ａ４ぐらいの大きさの透明ガラスがはめ込んであり、そこから少々教室が見渡せるのだ。どうやら単元は数列らしく、シグマの記号が黒板に書かれていた。当たり前だけど、数学の記号は万国共通だ。戦前の日本で使っていたような判読不可能な繁字体中国語の洪水の中に、おなじみの数式を見ると安心感が漂う。授業形態はオーソドックスなものだった。講師がただ淡々と黒板で問題を解いて、真面目そうな学生が丹念にノートに写す。数式を解いている、三谷幸喜から諧謔味を抜いたような講師の姿を見ると思わず、「よっ、俺は日本から来た、あんたの同業者なんだよ。がんばれ！」と声をかけたくなった。（もちろん私は中国語はまるきりできないんだけど）英語の授業も、社会の授業も見てみたい。もっと補習班の奥まで潜入したい。台湾の補習班のあらゆるところを知り尽くしたい！そして日本の塾講師の1人として、台湾の補習班の講師たちと連帯感を持ちたい。ぐるぐるあちこちを巡りたかったのだが、私の靴音がコンクリート剥きだしの廊下にやたらと反響し、誰かに見つかりはしないかと恐怖心がだんだん高まる。恐らくビルを徘徊している私の存在は、補習班の先生や学生にとっては、どう好意的に解釈しても怪しい盗っ人日本人にしか見えないだろう。「あなたは何故ここにいるのか？」と聞かれても、潜入の動機を説明するのは非常に難しい。「俺、日本の同業者なんだよ。」と英語で説明しても、わかってもらえるかどうか。見つかったら格好悪いという現実的判断が勝ち、後ろ髪を引かれる思いで、そそくさと補習班のビルから立ち去った。逆の場合を考えてみよう。もしも私が塾で授業をしている最中に、ドアの影から怪しい中国人がぬぼ～と現れたら・・・突然現れた中国人に授業を覗かれたら・・・私も生徒もわけがわからず、パニックになると思う。というわけで誰にも見つかることなく、補習班を後にした。

  2005/07/27

• 京都大市でスッポン

  今日17日は、京都で祇園祭をやってるのかな。夏の京都は暑すぎる。私が小学生の夏、祖母の納骨のため西本願寺へ行った時、陽炎が立つよな暑さに圧倒され、倒れそうになったことがある。京都は鴨川と桂川、２つの大きな川が流れ、地下水も豊富だ。夏は地面に日が当たり、地下水が蒸発して京都の湿度は急上昇する。しかも盆地だから熱気と湿気は逃げない。高尾山や比叡山など京都盆地を囲む山が、湿気と熱気を閉じ込める。だから京都の夏は、生魚を瞬時に腐敗させるほど蒸し暑い。そんな過剰な暑さが街を覆う時期に祇園祭が行われ、凄まじい数の観光客が集まる。京都の体感温度は４５度くらいに上がるかもしれない。川床だろうが簾だろうが風鈴だろうが打ち水だろうが、どんな納涼の意匠を駆使しても、京都は常に暑さを意識しなければ生活できない街なのだ。ところで私も７月６～８日、期末試験が終わって京都へ行った。暑さを覚悟していたのだが、旅行中曇天で（七夕の日には嵐山渡月橋で雷と猛烈な集中豪雨に襲われたが）比較的過ごしやすかった。１日目は修学旅行生に占拠された清水寺と、人っ子ひとりいない高台寺へ。イノダコーヒーでモーニングを食べ、人力車引きの勧誘を断りながら、ねねの道を散策した。その後、錦市場で買物をし、ブライトンホテルに荷物を置きて、叡山電車で出町柳から鞍馬へ。霊気に包まれた山を登り、汗をくらま温泉の露天風呂で流す。夜は先斗町と祇園を散策。深夜は同志社大学周辺でブラブラ。TSUTAYAで立ち読みをし、天下一品でラーメンを食う。２日目は修学院離宮と桂離宮。拝観するには宮内庁で少々面倒くさい手続きが必要。庭のシンプルな魅力についてはまた書く機会があるだろう。夜はスッポン鍋専門店「大市」で食事。創業は元禄時代、３３０年間１７代続く店だ。旨い物に目がない私は、死ぬまでに一度スッポンを食べてみたかった。スッポンは生まれて初めて食べる。私は色気より食い気の人なので、スッポンポンよりスッポンの方がいい。メニューは、先付の生姜味のしみたスッポンの肉のしぐれ煮、それからメインの「まる鍋」。スッポン鍋のことをまる鍋と呼ぶ。鍋には熱々のスッポンのスープに、一口大に切った骨付きのスッポンの肉が入っている。まる鍋は熱々で食せるよう、２度に分けて出てくる。最後は餅と鶏卵でとじたスッポンの雑炊。漬物。デザートはメロン。基本は鍋と雑炊、実にシンプルなメニューだ。ところで「美味しんぼ」の第３巻に「大市」のスッポン鍋が紹介されている。ストーリーはこうだ。ある成金資産家がいて、主人公の山岡士郎たちに、金の鍋でフグをご馳走する。資産家は金の鍋こそが最高の鍋だと、山岡らに自慢する。しかし山岡は「こんな鍋を自慢しているような人間は俗物。俺はもっと凄い鍋を知っている」と喧嘩を売る。資産家は「それなら金の鍋より凄い鍋を見せてみろ」と激怒する。そこで山岡が持ち出したのは、「大市」の土鍋である（漫画では東京上野の老舗になっているが、京都「大市」がモデルである）。土鍋は使い込んでいて、煤けて薄汚い。資産家は「こんな汚い鍋と俺の金の鍋を一緒にするのか」と怒り狂う。でも山岡は冷静に「まあ、見ててください」と顔色を変えない。山岡は土鍋に水だけを入れ蓋をして、しばらくコトコト煮立たせる。資産家はイライラする。山岡は無視して競馬新聞を見ている。資産家のイライラが頂点に達した頃、山岡は鍋に飯を入れ、また少々煮て、醤油と卵をたらし、雑炊を作る。資産家は「水と米だけの雑炊を食わすなんて、何を食わせようと思っとるんや！」とわめいたが、雑炊を一口食べて「なんやて、これはまる雑炊（スッポンの雑炊）の味や、しかも飛び切り上等のまる雑炊の味や！」と驚く。薄汚い土鍋は、ダシも入れずにスッポン雑炊を作る魔法の鍋だったのだ。大市の鍋は、３０００度のコークスで一気に炊き上げる。高熱でスッポンの旨みが鍋に溶け、長年土鍋を使っていくうち、鍋にスッポンの旨みが沁み込むのだ。だから鍋に水を入れて煮ると鍋からスッポンの旨みが溶け出し、具もダシも入れずに上等のスッポン雑炊ができてしまう理屈なのだ。最後に資産家は大市の主人に「この金の鍋と、土鍋を変えてください～」と頼むのが話のオチである。このスッポン鍋の話は、「美味しんぼ」の中でも名作の１つであり、私もいつかは大市のスッポン鍋を食ってみたいと思っていたのだ。さて５時に予約し、念願叶い大市に行く。京都らしい古い町家である。時代がかった趣のあるたたずまいだ。ご主人が外で待っていらっしゃる。店に入ると私は今日最初の客なのか、男性は白い上っ張り、女性は和服姿の、１０人ぐらいの店員さんが迎えてくださる。靴を脱ぎ奥に行く。「うなぎの寝床」と呼ばれる、京都独特の奥に長細いつくりの家だ。奥に中庭もある。狭い個室の座敷に通される。古い部屋で、寺の庫裏というか、田舎のおばあちゃんの家と言おうか、懐かしい感じだ。障子が２箇所破れていただが、破れた部分が何とスッポンの形の紙で繕われていた。障子が本当に破れているのか、それともデザインなのか判別できなかった。部屋はクーラーが異常に効いていた。夏でも寒気を感じるくらいだ。これから熱々の鍋が出る気遣いなのだろう。どんなに熱い鍋が出てくるのか、クーラーの寒気を感じながら楽しみが増す。繰り返すが私はスッポンは初めてだ。これほどまでに「いったいどんな味なのだろう」と、期待と不安の両方が高まる食事も珍しい。スッポンが運ばれてきた。鍋の下は溶岩のように赤い。鍋は沸騰石を一万個ぶち込んだ如く、ぐつぐつ煮えたぎっている。鍋の中にはスッポンの肉だけ。野菜は一切入っていない。スッポンのバラバラ死体の肉片が、こげ茶色のスープに沈んでいる。スッポンの脂がしみ赤銅色の、重要文化財の如き貫禄ある鍋の肉片は、すべて形が違う。この部分は首あの部分はエラと想像しながら食うのはさすがに気持ち悪いので、あまり詮索しないことにする。肉は、仲居さんが皿に入れてくれる。「鉄人自ら取り分けます」という台詞が浮かんだ。さてスッポンの味は・・・うん、うまい。スッポンと醤油と生姜だけでダシを取っている。スープの濃厚で複雑な、しかも完成された自然な味ときたら、スッポンだけでダシを取っているとは到底思えない。仲居さんに確認する。「ダシはスッポンだけですか？」「そうです」ダシというものは、たくさんの材料を使わないと良いものが取れない。たとえば中国のフカヒレスープに使う上湯は、老鶏丸ごと１羽（日本のラーメンみたいに鶏がらではない）、金華ハム、貝柱の干物など、数十種類の高価な材料を使ってダシを取る。また西洋のコンソメは牛肉の塊や、香味野菜、香辛料などをふんだんに使い、何日も神経質なくらい慎重に煮立てて極上の味を作る。日本の吸い物も、生の鰹から鰹節を作り上げ、ただの海草である昆布を旨みが出るよう加工するには、熟練の技と途方もない手間がかかる。そんな複雑さの極みである吸い物・コンソメ・フカヒレスープに対抗するような極上のスープを、スッポンは単独で出してしまう。吸い物・コンソメ・フカヒレスープが数多くの材料をふんだんに使う、団体チームワーク競技なら、スッポンは孤独な個人技である。まさにスッポンはスープ界のイチローと呼んでもいい。（筆がすべって、東海林さだおみたいになってしまった(笑））では、スッポンの味は具体的にどう表現すればいいのか？　スッポンを食べた経験のない人に対して、味をどう言葉で伝えたらいいのか？私も数々のスッポンの味を表現する書物を読んで、スッポンの味を想像してみたが、イマイチぴんとこない。活字でも映像でもスッポンの味はよくわからない。言葉で味を伝えることは困難だ。たとえば鰹節の味を知らない人に対して、鰹節の味を伝えることが出来るだろうか？鰹節の味の特色を、色々と書き並べてみると生の鰹の味とは全然違う味魚臭い香ばしい旨みが強いと形容することができる。ただ、鰹の味を知らない人に対しては、言葉だけで絶対に鰹節の味を想像させることはできない。どんな想像力たくましい人でも、「魚臭い」「香ばしい」という２つの矛盾した表現から、1つの絶対的な鰹節の味を正確に推理することは不可能だ。鰹節の味を知っている人なら、鰹節が魚臭く、かつ香ばしい食材だということが理解できるのだが。スッポンの味も、比喩で上手に表現できればいいのだが。しかし鰹節と同じように、スッポンの味を食べたことにない人に味を正確に伝えることはできない。確かにスッポンのエラはフグの皮に似ている。スッポンの肉もフグっぽいところがあるかもしれない。ただフグほどの濃厚なタンパク質の味はしない。そしてフグとスッポンの決定的な違いは、鍋に全く脂が浮かないフグと比べて、スッポンは結構脂っぽい事だ。とにかくスッポンの味はスッポンの味としか言いようがない。鰻が鰻の味、豆腐が豆腐の味としか説明できないように。部屋に漂う食欲をそそる匂いは「スッポンの匂い」、ゼラチン質の肉の味は「スッポンの味」、卵ふわふわで上品かつ強い味の雑炊は「スッポンの雑炊の味」としか表現できない。さて、私はスッポンみたいな旨い食材が、一般に広がらないことに疑問を抱いた。もっと家庭の食卓でも、スッポン食ってもいいんじゃないかと思う。しかしスッポンが一般家庭の食卓に上るには数々の難関がある。スッポンが普及しない第１の理由は、やはりスッポンがグロテスクな形をしているのが大きいのだろう。いくら高級食材とはいえスッポンは爬虫類だ。亀やトカゲや恐竜やヘビのお仲間なのだ。また、スッポンは腐りやすい。もしスッポンが保存しやすい食材だったら、甲羅を取ってバラバラにしてスーパーで売ることもできる。それが不可能なのは、スッポンは殺してから３０分も経つと急速に味が落ちる食材だからである。さらに、スッポンの調理法は難しい。スッポンは鋭い歯を持っているから危ないし、殺して瞬時に血抜きをしないと生臭くなる。素人にはなかなか調理できない。もし、スッポンを贈答品にするなら、生きたスッポンと一緒に調理人も送らねばならぬ。おまけに下手な調理法はスッポンには泥臭さを残す。大市の調理法は、土鍋を３０００度で炊き上げる、極めて特殊な調理法である。逆に言えばこんな独創的な調理法を施さないと、スッポンの旨みは味わえないというわけなのだ。とにかくスッポンは専門店で味あわなければならない食材だ。大市のスッポンは浜名湖の養殖もので、白身魚を餌に、普通では１年で落とすところを、４年かけてじっくり育てたものだという。鍋にはスッポンの卵も入っていた。色と大きさは銀杏によく似ていた。鶏卵を濃くしたような味だった。それから雑炊のおこげが最高に旨かった。雑炊も強い火力で炊くから鍋底におこげができる。おこげは鍋にへばり付いて、仲居さんにガリガリ取ってもらった。私がガリガリやると、鍋が割れそうだったからだ。「美味しんぼ」で成金が金の鍋と変えてくれと言った鍋だから、おこげを取って鍋を壊すような粗相は出来ない。ああ、スッポンは旨かった。ただ、スッポンは絶対的な美味ではない。この世で一番旨い物は、山陰や北陸の漁港の民宿で食べる松葉蟹じゃないだろうかと私なら思うが、カニのように喉から生殖器が飛び出して来そうな、我を忘れてしまう強烈な旨みはない。どちらかというと、スッポンは食欲より知的好奇心が満たされる味だった。志賀直哉や川端康成や開高健が大市を小説に登場させた理由もわかる。コークスで炊き上げる唯一無二の調理法、またフグやオコゼと同じように、外見のグロさと味の繊細さのアンバランスが、知識人を狂喜させたのだろう。ところでスッポンの旬は冬だという。冬はスッポンの皮下脂肪が厚くなり、脂濃く美味だという。冬に再訪したい。

  2005/07/17

• 韓国本場激辛キムチ

  キムチは複雑玄妙な食べ物。漬ける時間の長短や、保存する場所や、気候で味が全然違う。塩加減も千差万別。塩辛さが表に出るキムチもあれば、塩気をほとんど意識させないキムチもある。また、カキやアミの塩辛をふんだんに入れた、豪勢な白菜キムチもある。そんなキムチは魚介類の力で、味わいの深みとコクは格段に増すのだが、その分キムチは魚臭くなり、好みは分かれるところだ。さて、私が韓国を旅しながら訪ねた店で、このキムチは絶品だと感激したのは、ソウルの繁華街明洞にある「明洞餃子（ミョンドンギョジャ）」という名の店のキムチだ。「明洞餃子」の売り物はカルグクスという、韓国では有名な麺類である。この店のカルグクスは有名で、観光ガイドには必ず載っている。麺は平麺で、ラーメンのように"かんすい"は含まれていなくて色は白。日本の稲庭うどんに似ている。それを鶏のスープで麺ごと煮る。薄口の鶏のスープがなかなかの美味い。麺ごと煮ているから、スープには少々とろみがついている。そこに醤油で煮込んだ豚のミンチが少量と、ワンタンが５切れほど入っている。それになぜだかキュウリも一緒に煮込んである。麺のほかにサービスとしてつくのが、ごく少量の粟と一緒に炊かれたご飯。粟といったら江戸時代の貧しい農民の食べもの、または鳥の餌を想像しますが、この店の粟入りご飯はなかなかいい。粟を入れることによって、ご飯にトウモロコシのような甘みが加わる。韓国の人は、カルグクスの麺を食べた後の残ったスープに、この粟ご飯を入れて食べている。私も最初スープとご飯を混ぜる食べ方は気持ち悪く、少々抵抗を覚えたのだが、やってみるとおいしく効率的な食べ方であることに気がついた。日本人は口の中で飯とおかずを噛んで混ぜるが、韓国人はあらかじめ器の中で混ぜ合わせておく。韓国人はうな丼までビビンバみたいにスプーンで丁寧に混ぜる。日本人と韓国人の食べ方は根本的に違う。そして、この店の大看板はキムチだ。ここのキムチは浅漬けで、白菜にはシャッキリ感が存分に残っている。浅漬けだから白菜はまだ透明感があまりなく、大根のような純白さをとどめている。その純白さが、唐辛子の極彩色の中で引き立ち、紅白のコントラストがはっきりした、たいへん見た目にも美しいキムチだ。ここのキムチは辛い。とっても辛い！食べるたびに、舌の付け根に火傷に似た刺激を感じる。火傷のような刺激を抑えるために、水ばかり飲んでいたら腹がタプンタプンになるので、水は極力我慢する。我慢して食べていると、大袈裟でなく舌を手でつかんで辛さを中和したくなる。「からい、うまい、からい、うまい、うまい、うまいっ、ひいいいいっ！」この辛さは、唐辛子の辛さではない。韓国の唐辛子は、日本の唐辛子に比べて大きく、辛さはマイルドだ。韓国の人は日本の鷹の爪を食べて、「この唐辛子は辛すぎる」と文句を言うほどである。しかも韓国の唐辛子は、日本の唐辛子に比べて、噛めば素晴らしい芳香が立つ。韓国産の唐辛子は、唾液の分泌を促進する、複雑な良い味がする。このキムチ、唐辛子の種も大量に入っているのだが、唐辛子だけではここまで凄まじく辛くはならないはずだ。そしてなぜだか「明洞餃子」のキムチには、真っ赤な色をしたリンゴや梨をすりおろしたようなものが、ふんだんに白菜に絡みついている。この赤いすりおろしリンゴみたいな物体こそ、キムチの辛さの原因だ。味は全く違うけれど、色や形状が日本のもみじおろしに酷似している物体が、ここのキムチをダイナマイトの如き攻撃的な辛さのキムチに仕立て上げているのだ。この赤い物体とは、実はニンニクなのだ。ここのキムチの辛さは唐辛子のＨＯＴな辛さではなく、ニンニクの刺激的な辛さである。レシピは恐らく、ニンニクをミキサーにかけ、水分を適度に搾ってペースト状にしたものと、種を取らない唐辛子の粗挽きを混ぜ合わせ、浅漬けの白菜にまぶすというものであろうかと想像できる。要するに私は、生ニンニクのすりおろしをバクバク食べているのじゃ。しかも唐辛子で真っ赤になった代物を！そりゃあ食べるごとにヒーヒー言うのも当然でしょうに。「明洞餃子」のキムチは、ニンニクまみれ、狂気の食べ物なれど、味には狂喜す。しかもこんなに辛いのに、白菜の甘みがずすんと感じられるのは、もはや神業だ。キムチはそのまま食べても美味いし、ご飯と一緒に食べても最高。ご飯の甘みがキムチで尚一層引き立つ。そしてカルグクスにキムチを入れて食べたら、上品であっさりした味のカルグクスが、突然暴力的な味になりこれまた素晴らしい。たしかに、カルグクスの鶏のスープは繊細な薄味だから、キムチを入れたら上品な味わいが辛さで破壊されるとの危惧もあるだろう。しかし唐辛子の苛烈な辛さで、カルグクスは鮮烈で多層的な味に変化する。口に含んだ時の暴力的な辛さが一段落すると、そのあとには繊細なスープの旨みがくっきりと舌の上で舞う。そのまま食べると異常な辛さを発揮するキムチは、スープに入れると辛さが中和され、スープの旨みとコクをくっきりと引き立てる。そしてニンニクはスープの熱によって、刺激的な悪魔のような味から、まろやかさや甘みへ味が変わる。また、辛いものって、食べれば食べるほど空腹感を覚えないだろうか？キムチを食べると唐辛子とニンニクの魅惑的な辛さによって、喉の奥から唾液が大量に湧き上がり、死んでいた胃は「激うま」キムチの来襲によって激しい蠕動運動を始め、「もっと食べて、もっと食べて」とフル操業状態になり、キムチを食べれば食べるほど腹が減るという悪循環に陥る。汗が怒涛の如く吹き出し、血液は健康的に身体中を駆け巡る。キムチは何て素晴らしい食べ物なのだろう。

  2005/07/10

• モスバーガー

  睡眠時間が短いと、白い壁がうっすら黄色く見えるときがある。目の前の光景がぼわ～と黄色い。目の病気ではない、疲労がたまっている時だけに起こる現象である。疲れると妙な夢を見る。ある夜僕はモスバーガーの店員になった夢をみた。僕は必死で慣れないレジをしている。足が鉛のように重い。店は混んでいて、僕の前には２０人ぐらい客が並んでいる。お客さんたちは僕に、次から次へわがままな注文をつける。「レタスたっぷりはさんで下さい」「ピクルス入れないでね」「ケチャップとマヨネーズどぼどぼ」「ハンバーグの肉、レアでお願いします」よく考えれば変な注文もあった。「ツユだく！」「替え玉はりがね！」そんな注文も、夢の中だから疑問をもつことなく平然とこなす。厨房につながるマイクに向かって「ツユだく！」と叫ぶ。忙しい忙しい。そんな時、デーブ＝スペクターが僕のモスバーガーにやってきた。僕の顔をぎょろりと見るなりデーブ＝スペクターは言った。「ライスバーガー、ライス大盛りでね」せっかくの睡眠も、デーブ＝スペクターのペースにかき乱される。ああ、疲れた。

  2005/07/05

• 地方都市駅前の佇まい

  青春１８キップは手頃で便利な切符で、学生時代に青春１８キップで旅程を立てない旅をよくした。今は時間が取れなくて、気ままな旅はできないのだが、お盆あたりによく青春１８キップで放浪する。青春１８キップは、以前は５枚バラ売りだったのが、今では１枚にまとめられてしまったため、金券屋で気軽に１枚分だけ買うことができなくなり、少し不便になった。行き当たりばったりで、知らない地方都市にふっと降り立つのは楽しいものだ。有名観光地というわけでは全くないけれど、つい途中下車したくなる、「そそる」地名がある。舞鶴・敦賀・新庄・一関・八代・新居浜・米子・焼津・大和郡山・都城・諫早・丸亀・大館・鶴岡・鈴鹿・彦根・・・・こんな人口５～１０万人程度の都市の、駅前周辺の佇まいが好きだ。日本が車社会が浸透したために、中心街は幹線道路沿いに移り、駅前は昼間なのに閑散としていて、横断歩道の「とうりゃんせ」のメロディーだけが悲しく鳴り響く。横断歩道を渡ると、戦後すぐに建てられたような古めかしい地方のバスステーション。待合室は夏でも灯油の匂いがして、お婆さんがベンチで饅頭を食べている。バスの行き先表示板を見ると、見知らぬ温泉の名前が書かれていたりする。駅前大通りで目に映るのは、サラ金の大きな看板と、居酒屋チェーンの赤い看板。「モーニング」をやっている古めかしい「純喫茶」。あと駅前留学。また駅前には大手塾の分教室がある。小奇麗で３階建てぐらいのビル。有名な大手塾の名前を見ると、そこはかとない地方色を感じる。 しばらく歩くと、鉄骨が錆び、人通りが少ないアーケード街があり、放置された自転車の数だけ多く、錆びたものから新品のものまで盛大に並んでいる。アーケード街を徘徊していると、頑固に営業している、埃っぽい古本屋に出くわす。古本屋では「××市史」「××郡史」といった茶色くて格調高いカバーの地域史が、目が飛び出るような高値で売られている横で、ゲームソフトも一緒に販売され、中高生の溜まり場になっていたりする。そんな古本屋は値段設定がいい加減で、都会ではバカ高い本が捨て値で売られていたり、逆にブックオフでは１００円均一の本が、昔の岩波文庫のような、バリバリした薄いハトロン紙に丁寧にくるまれて、高値で売られていたりする。古本屋で安い本を２～３冊購入して店を出ると、１箇所だけ活気があり賑やかな店がある。そこは八百屋で、野菜や果物が安値で売られている。子供の背丈ぐらいはありそうな蕗、青いプラステッィクの籠に入った安政柑、葉っぱがビシッと直立している青首大根など。店からは野菜や果物の青物臭い匂いが漂ってくる。パチンコ屋もある。１０００円～２０００円限定で遊ぶ。受付にチョコやビスケットがたくさん並んでいて、店中にトイレの芳香剤がにおう。パチンコ屋は人が少ないから、パチンコ玉の音がくっきり鮮明に聞こえる。パチンコ台の音と、店のスピーカーから流れる音楽と、玉のジャラジャラする音が渾然一体となって襲ってくる流行っているパチンコ屋とは対照的な、閑散とした雰囲気。パチンコで勝つと換金所を探す。パチンコ屋の裏口を出ると、そこは木造の築５０年は経ったような住宅が並ぶ世界。換金所がわからない。気配もない。勝ったお客が出てくるのを待つ。ついて行く。彼は２０メーターぐらいスタスタ歩く。そしておもむろに民家の扉をガラガラ開ける。戻ってくる彼の手には札が。私もこわごわ家に入る。すると換金の小さな穴がある。こわごわと穴に換金用の景品を渡す。お札が戻ってくる。やれやれ、なんでこんな辺鄙な場所に換金所が・・・アーケード街に戻り、さらに奥に行くと、寂れ方はますますひどくなる。そんな場所には必ず古びた映画館があり、なぜだか「釣りバカ日誌」をやっている。西田敏行が大きな口を開けて自分が釣った魚の大きさにたじろいでいる陽気なポスター。灰色の石造りのクラシカルな映画館は閑散とし、盛況とは程遠い。どうみても税金対策としか思えない。ガラスケースの中に貼ってある次回上映のポスターを見ると「スターウォーズ・エピソード３」と「ドラえもん」と「変態嫁さん、乳クリマンボ」さらにさらに奥に行くと、今度は狭い入り口の前に、自転車が何台か置いてある。するとそれは塾。塾長１人か、もしくは２～３人でやっているような、うちの塾のような小さな個人塾。１階は呉服屋か金物屋か書店で、２階か３階に教室がある。狭く薄暗い入り口には塾長手作りの広告が貼ってあり、そこには教育理念やら、進学実績やら、クラス構成や費用が書かれていて、そんなものをコソコソ覗き見たりする。アーケードを抜けると大通り。深海から抜け出したような開放感を味わう。晩飯はくるくる寿司。地方によってネタが違うのが楽しい。富山県の高岡では蛍烏賊、佐賀県の唐津ではナマコの握りを見つけた。イカ１つにしても種類には地方色がある。水イカ、紋甲イカ、アオリイカ、剣先イカ、スルメイカ・・・さて、泊まるところを探そう。そんな地方都市には、必ずホテルα―１か、ワシントンホテルかサンルート、或いは最近伸び盛りの東横インがある。満室のことはまずない。ただ私は泊まるときは、夜の歓楽街がにぎやかな、大きな街に移動して泊まる。

  2005/07/01

• 韓国は日本人の性欲のはけ口

  ヨン様ブームも一段落ついた。ヨン様も過労で倒れてしまった。私は韓国へ１０数回足を運んだ経験がある。最初に韓国を訪れたのは大学４年生の１９９１年のことだった。その頃はまだ韓国を旅行する日本人は今よりはるかに少なく、光州や木浦などの地方都市に行くと、日本人という理由でタクシーの乗車拒否にあったり、散歩しているとオッサンに韓国語で因縁をつけられたり、結構ひどい仕打ちにあったが、今ではそんなことはあまりない。最近では日本人は韓国にお金を落としてくれる大得意様なので、ソウルや釜山といった日本人観光客が多い街では大いに歓迎される。特にソウルのロッテホテルの免税店は日本人だらけで、ここが韓国であることを忘れてしまいそうである。日本で買うより２割くらい安いヴィトンやシャネルに日本人は群がっている。またソウル最大の繁華街明洞（ミョンドン）の店飲食店は、表に写真つきの日本語で表記されたメニューがあるのは珍しくない。そんな日本後表記のミス探しは面白い。韓国人には「ソ」と「ン」の見分けがつきにくいらしく、「ミソラーメン」が「ミンラーメン」「ザルソバ」が「ザルンバ」になってたりする。明洞には観光客のための日本語が氾濫している、ある薬屋では「バイアグラあります」という張り紙を見つけた。これには笑った。買う人はいるのだろうか？ところで、韓国では日本のテレビ番組・映画・音楽の輸入が禁止されていた。映画は１９９９年から、音楽やテレビは今年２００４年から解禁されたが、それまで公式には日本のメディアを韓国で流すことは禁止されていた。もちろんインターネットや裏取引では盛んに日本の漫画や音楽は流通していた。私は日本の音楽が解禁される前、Ｘ－ＪＡＰＡＮの「Ｒｕｓｔｙ　Ｎａｉｌ」を大音量で流している車を見たことがある。だから昔は韓国のＣＤ屋に行くと日本のＣＤは全くなかった、日本の音楽ＣＤは台湾から輸入した海賊版しかなく、街の露店でしか売られていなかった。台湾や香港や、また中国本土でも日本のＣＤはあふれているのに、韓国で全く見かけないのは異常なことのような気がした。韓国政府が日本の音楽や映画を禁止していたのは、表向きは青少年に悪影響を与えるためという理由なのだが、本音は、抗日意識から日本の文化が韓国に蔓延するのを嫌ったからだ。日本文化の輸入を解禁したら、日本の映像や音楽がダムの決壊のように韓国にどっと押し寄せ、自国の映画界・芸能界の脅威になると考えたに違いない。私も韓国の高官のように、韓国の日本文化解禁後は、韓国製より遥かに優れた日本の映画・ドラマ・音楽が、韓国を席巻するに違いないと思った。ところが日本の映画やテレビや音楽は韓国で大きなブームにはなりえなかった。小説では村上春樹が韓国で爆発的人気を博し、「ノルウエイの森」は「喪失の時代」という韓国語題名でベストセラーになったのだが、日本映画で話題になったのは中山美穂主演の「Love Letter」だけ。映画の舞台の小樽が韓国人の間でブームになったらしい。その他の映画は軒並み討ち死にだった。またテレビドラマは今年から解禁されて、「踊る大捜査線」や「やまとなでしこ」や「ごくせん」がケーブルテレビで放映されたが、ケーブルテレビという悪条件もあってか、視聴率は１％未満だったようだ。日本のドラマは韓国では全滅である。そして、私の予想とは完全に逆の現象が起こった。韓国のドラマが、異常なブームになるなんて、私は思いもしなかった。日本の映画やドラマが韓国人に受け入れられる光景は想像できたが、韓国のドラマが日本人をこんなに熱狂させるとは思わなかった。しかも韓国に対してあまり関心がなく、無気味な貧しい国だというイメージを持っていたに違いない、日本の４０代・５０代の女性が韓国のドラマにハマるとは露ほども想像しなかった。私は韓国の音楽やドラマは日本と比べて、レベルが低いという強い先入観があった。そのきっかけはこうである。最初に韓国に行った時（１９８９年）、私はソウルタワーに上りソウルの眺望を楽しむため、南山のロープウェーに乗っていた。ソウルの町はサンフランシスコほどではないが結構起伏が激しく、市内中心部に南山という山がある。そして南山山頂にはソウルタワーという白い塔があり、展望台からはソウルの全景と、天気のいい日には江華島や北朝鮮国境が眺められる。南山の標高が２４３ｍ、タワーの高さが２３６ｍで、合わせて４７９ｍ。韓国人は南山とソウルタワーを合わせたら、東京タワーの３３３ｍより高いと自慢しているそうだ。さてそこのロープウェー乗り場で、私は奇妙な歌を聞いた。歌のメロディーは完全に長渕剛の「とんぼ」であり、歌詞は韓国語だった。要するに日本の音楽を輸入禁止をしているのをいいことに、勝手に長渕の曲をパク歌である。ビックリしたのはサビの歌詞である。　♪ああ、幸せの、とんぼよ～　どこへの「とんぼよ～」の部分だけ日本語なのだが、発音が微妙かつ決定的に違う。なんと「とんぼ」の「と」が「ち」に聞こえるのだ。正確な発音は「ち」より「てぃ」に近かったような気がするが、あまりの馬鹿馬鹿しさに笑ってしまった。作り話だと思われるのもしゃくなので、その「○んぼ」の歌のＣＤを韓国で見つけて、「タモリ倶楽部」の空耳アワーにでも投稿してやろうと思うのだが、未だに機会がない。日本の曲を思いっきりパクり、しかもサビの一番盛り上がる部分の歌詞を「○んぼ」と高らかに歌い上げる恥辱的な曲を聴いたら、軽蔑感を抱くのも無理はないだろう。韓国には戦前の日本教育を受けた年配の人もいるだろうに、どうして発売時に歌詞をチェックしなかったのかフシギだ。とにかくこの歌で、韓国のポップスが日本では絶対に流行しないという確信を私は抱いた。※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※ところで韓国の人たちは、日本の冬ソナブーム、正確にはヨン様ブームをどう見ているのだろうか？　日本の中年女性が韓国の一ドラマ、一俳優にこんなに熱狂している。日本人が韓国に対してこんなに興味を持ったのは、日韓の歴史上初めてのことかもしれない。でもヨン様ブームは韓国人にとって果たして気持ちのいいものだろうか？かつて日本人は韓国女性を従軍慰安婦にして恥辱を与えたという。また戦後長い間、韓国旅行をする人間はキーセンが目当ての脂ぎった親父ぐらいしかいなかった。韓国女性は日本のオジサンから性欲のはけ口としてしか見られていなかった歴史がある。オジサンの熱が沈静化したと思うと、今度は日本のオバサンのミーハー欲がヨン様に向かう。昔はオジサン、今はオバサンによって、韓国人は日本人から性欲の対象としてしか見られていないんじゃないかと疑われても仕方ない。韓国人はこんな状況に対して、どんな気がしているのだろうか？

  2005/06/23

• 中華思想　超ムカツク

  中国、ムカツク！　　中華思想、超ムカツク！ムカツク！ムカツク！ムカツク！ムカツク！ムカツク！「中華思想」って、中国のジコチュー思考とワガママ＆中国至上主義のナルシスト的優越意識で、漢民族の文化の優越性を厭味なくらい強調し、言うこと聞かない国をシカトし、犬みたいに尻尾を振ってくる国に対してだけ「ういやつじゃ」と家来にする、そんな思想でしょ？でもね、中国の傲慢さの代名詞になっている「中華思想」という言葉は、日本でできたらしいよ。意外だね。中国人にとって「中華」つまり自国が世界の中心であることは当然のことで、公理なんだ。自分が一番偉いのは当然なのね。だけど「中華」に「思想」という語句がくっつくと、他の「○○思想」「××思想」と相対化されone of themになってしまう。わかりやすく言い換えてみるね。「お前らは中華なんて威張ってるけど、そんなの他のいろんな思想の１つに過ぎない。お前ら勝手に言ってるだけ。だから「中華」じゃなくて「中華思想」が正しい。１番だと思っているのは、お前自身だけさ。わかったかヴォケ」という感じかな。でも中国人にとってみれば「中華」は絶対的で、「中華思想」という相対化な言葉で置き換えられたくない。「中華」を「中華思想」と日本人に勝手に言い換えられ、己の絶対性を踏みにじられオンリーワンであることを否定され、中国人は侮辱された気がするのだろうね。中国は自分が絶対に絶対に絶対に世界の中心じゃないとイヤなの！とにかく漢民族の中国至上主義は想像以上に強固だよ。中国はいつまでたっても自分が親で、日本が子だと思っていやがる。あんなダサイくて傲慢な親父の子なんてイヤだ！まあ確かに、中国人と日本人、顔そっくりだけど。ああ、なおさらムカツク！ (出来損ないの舞城王太郎みたいな文で失礼)さて、私は今年の４月北京に行った。宿泊した北京のヒルトンホテルは部屋を改装したばかりで、インテリアは中国のホテルというより、ＮＹの弁護士事務所みたいな感じだった。ゲストも共産党政府相手や企業に折衝する欧米人ビジネスマンが多かった。ヒルトンは朝食のバイキングが充実していた。中国本土のホテルに限らず台湾や香港も、中華系の国は朝食バイキングが素晴らしい。バイキングに和洋中華３種類の料理が用意されているからだ。欧米のホテルの朝食はもちろん洋食のみで、ご飯も味噌汁もタクアンもない。しかし中国のホテルは日本人観光客のため和食を用意しているホテルが多いし、中華も置いてある。和洋中華全てのメニューが揃っている。というわけでバイキングは和洋中華揃い踏みで、料理の種類は豊富になる。好きな料理を片っ端から取っていくと、上海やきそばクロワッサンコーンフレークミルクがけ納豆海老餃子チーズとマッシュルームのオムレツ豚の角煮入り粽ハッシュドポテト切干大根ソーセージピータン粥味噌汁ヨーグルトライチといった、節操のない料理＆デザートがテーブルに満載になるが、食うのが大好きな私にとっては至福の朝食である。豪華な朝食を楽しんだ後で、タクシーをチャーターして万里の長城に行った。北京からタクシーで約１時間２０分、万里の長城の入り口付近まで高速道路が整備され、快適なドライブだった。土産物屋と食堂が並ぶ長城の入り口から、長城の最高地点付近まで４人乗りの小さなロープウェーが敷設されている。私は「地球の歩き方」をよく見てなくて、てっきり長城の頂上まで歩かねばならぬと覚悟していたので、思いがけずロープウェーの存在は有り難かった。しかしロープウェーは往復約７００円、中国の物価にすればべらぼうに高い。それで中国人観光客は徒歩で長城まで歩く。中国人が乗らないロープウェーは空席が多く、乗客は欧米人や人民解放軍の兵士くらいだった。ロープウェーからは、砂肌を露にした山に沿って、巨大蛇の如き長城が地平線の彼方まで建設されているのが見える。長城を横目で見ながら、大学時代に中国経済論の先生が「長城を作るために周辺の山々の木を燃やし、土で煉瓦を作った。だから長城周辺には木が少ない」との説を述べていらっしゃたのを思い出したが、それは本当だろうか？　本当なら大掛かりな容赦のない自然破壊であり、荒涼とした木のない山の姿は、長城建設の犠牲なのだろう。ロープウェーを降りて、大量の中国人観光客の中、傾斜のキツイ長城を４時間ほど、iPodを聴きながらほっつき歩いてみた。長城は山の起伏に忠実に建設されているため、傾斜のきつい所と緩い所が交互に現れる。だから足の踏み出しが狂って少々歩きにくい。距離にしてロサンゼルスからボストンに及ぶという長城は、大掛かりで長大だった。薄茶色の砂の匂いを嗅ぎながら、うねうねとした長城が左右の地平線に遠景になって薄らぼんやり消えてゆくのを、じっと眺めた。中国悠久４０００年の歴史という古びた言葉が新鮮に聞こえるような光景だった。そんなふうに万里の長城でブラブラしているうちに、長城の長さと単調さに、中国歴代王朝の病的な臆病さを感じた。好戦的な攻撃性を全く感じない。私は唐突に「もしかしたら、中国は内向的な国だったのかもしれないな」と思った。万里の長城という大建造物からは、「俺はこの壁からは一歩も外に出ない。その代わり壁の中には土足で入ってくるな」という、漢民族政府の決然とした内向的なメッセージが聞こえてきた。壁の重厚さは中華政府のモンゴル騎馬民族に対する、農耕民族特有の恐怖の大きさと、干渉に対する異様な嫌悪を示しているように私は思えた。中国は基本的に「引きこもり国家」の性格を持つのだろう。周囲の民族を東夷・西戎・南蛮・北狄と名づけて、ウザい異物みたいに扱うのも、どこか引きこもり的である。万里の長城は、気難しく人嫌いで、しかも他人を愚民と嘲る引きこもり少年の部屋の、ぶ厚いドアのように聳え立っている。また中国は地政学的に見ても、自然の要害の中に「引きこもる」位置にいる。インドとはヒマラヤ山脈、東南アジアとは亜熱帯のジャングル、日本とは東シナ海といった、天然の壁で隔絶された閉鎖的な枠の中に、中国という国は存在する。だが北方だけは、自然の壁がない無防備で危険な状態だった。内向的な国家としては心理的圧迫感は強い。しかも北方には武力に優れるモンゴル騎馬民族がいる。だからヒマラヤ山脈や東シナ海のような「天然の障壁」に負けないほど巨大な、万里の長城という「人口の障壁」を作らなければ、漢民族は安心しなかった。「引きこもり国家」中国の臆病さは、大国でありながら異常である。防御への執念は度を超えている。たとえば、もしアメリカ合衆国が中国の地にあったなら、万里の長城みたいな大袈裟な防御装置を建設するだろうか？　外向的で侵略的なアメリカなら、万里の長城の建設に費やす労力を攻撃力アップに回し、フロンティア拡大のためモンゴルの地へ積極果敢に攻め上げるだろう。アジアやアラビアといった、自国の領土の遥か先まで攻撃を仕掛ける、世界をまたにかけて戦争するのが大好きなアメリカ合衆国とは違って、近代までの中国は決して外向的で侵略的な国家ではなかった。中国人は個人としては、世界各国に家族で移住し、異国の地でチャイナタウンを作り生活する冒険心を持ち、開放性にあふれているが、国家としての中国は農耕民族的な内向的な臆病さを持った「守りの国」だった。アメリカの楽天的な攻撃性も異常だが、中国の内向的な防御性も異常だ。その異常性の痕跡が万里の長城である。そして、内向的な国家である中国が、武よりも威で周辺諸国を支配することを企てたシステムが、かの中華思想である。中華思想は今でこそ日本で悪評高いが、西欧諸国が東アジアに興味を示し軍隊を派遣し始める近世まで、中華思想は東アジアの平和を守るシステムだった。近世のアジアの平和を守ったのは、実は中華思想に他ならない。明清時代には、支那は太陽で、日本・朝鮮・満州・チベット・モンゴルなどの周辺諸国は支那の周りを惑星のように静かに公転し続けた。子は親を、民は王を、王は中国皇帝を敬うことで、個と個、個と国、国と国の間にソフトな、しかし下克上を許さない確固とした上下関係を設けることで、秩序を守った。上下関係を人為的に決定し固定することで、東アジアに安定した平和な状態をもたらした。中国の周辺諸国、たとえば李氏朝鮮や日本は、中華思想の裏にある中国の内向性を鋭く感知していた。中国という国は、親として立ててやる限り、太陽として崇め奉る限り、プライドが満たされ上機嫌になり、自国には絶対攻めてこないことを熟知していたのだ。李氏朝鮮は朱子学にとっぷり浸かり、中華思想と中国中心の支配体系の優等生だった。中華思想のもとで武を棄て、両班制を土台とする文治国家になった。近世の中国朝鮮の関係は、現在のアメリカと日本の関係に酷似している。李氏朝鮮があまりに朱子学にこだわり過ぎ、軍事力を疎かにしたから、１９世紀後半から日本の侵略を受けたというのは事実であるが、しかし朝鮮は中華帝国の惑星を忠実に演じ、明清両帝国からは飼い犬のように安全な国とみなされ、「死に体」を演じたからこそ、中国を人体に例えると耳たぶくらいの面積しか持たない小国が、５００年余りも国を維持することができたのである。中国は強国に対しては好戦的な国ではないが、中華思想の浸透度の弱い、漢民族が野蛮人とみなしているチベットやウイグルなど周辺の弱国に対しては、驚くべき侵略性と残虐性を示す。もし李氏朝鮮が、チベットやウイグルのように中国に対して中途半端に反抗的な態度を取っていたら、朝鮮は中国に併呑され、朝鮮半島は清の領土になり、朝鮮人は中華帝国の一少数民族に堕ちていただろう。武を捨て丸腰になってまで、中国に対して終始一貫保身的な態度を取り続けたことが、小さな朝鮮を国家として生き長らえさせた。朝鮮が武を捨て中華帝国の忠実な家来になることで、中国から併呑される事態は避けられた。ところが意外だったのは、朝鮮が自国より格下と見なしていた日本の植民地になってしまったことだ。朝鮮にとっては丸腰になることが中国に侵略されない唯一の手段だったのだが、その丸腰のせいで日本から侵略された。朝鮮は日本に侵略されるなんて、思いもしなかっただろう。さて、日本が出てきたついでに話を日本に転じると、日本が１６世紀に戦国時代という未曾有の内戦に明け暮れられたのも、１７世紀以降に鎖国政策を取れたのも、中国に対する安心感からである。中国の傲慢で自己中心的な内向性は、他国への無関心と表裏一体の関係にあった。もし中国が侵略的で干渉好きな国なら、戦国時代に明国は九州あたりの戦国大名と結託して日本征服を企んでいただろうし、また江戸幕府が清国を軍事的脅威と見なしたとすれば、のんきに鎖国政策を取ることは不可能だった。好戦的で干渉好きな大国の隣では、内戦を繰り広げたり鎖国をしたりできない。日本の戦国時代から江戸時代の歴史は、中国が眠っていることを前提にして繰り広げられてきた。繰り返すが中国はアメリカと違って内向的な大国なのだ。もしキューバやメキシコで内戦が起こったら、過剰にお節介やきなアメリカがどう対応するか想像してみればいい。平和志向の中華思想を信奉する限り、中国が日本に侵入することはなかった。鎌倉時代、日本に侵入してきたのは漢民族ではなくて、中華思想の洗脳度が薄いモンゴル民族だったし、満州族はモンゴル民族と逆で、中国大陸統一後は、今までの狼藉を忘れて中華思想支配システムの権化になった。日本も朝鮮も、巨象の頭の上でよだれを垂らしながら眠る猫のように、中華思想の秩序の中で平和な時代を謳歌した。とにかく近世の中華思想は、東アジアに平和をもたらした優れたシステムだった。中華思想に逆らい、東アジアの平和を乱そうとしたのは日本の方なのだ。しかし欧米がアジアに進出したあと、中華思想は大きく変質する。

  2005/06/17

• ワサビ・唐辛子・ニンニクの辛さ

  私はワサビの辛さには強くない。世の食通には「ワサビ巻き」といって、巻物の寿司にワサビだけをたっぷり巻いて食べる人もいるようだが、私にはそんな恐ろしい真似はできない。カラシも苦手だ。おでんにカラシを、まるで豚カツにソースをつけるみたいに、たっぷりと絡めて食べている人が時々いるが、見ていてハラハラする。私はおでんカラシは「ちびっ」としかつけない。ただ、ワサビとカラシの辛さが苦手な私でも、唐辛子の辛さには無神経で、どんな辛さにも強い。私の味覚はもしかしたら、韓国人やタイ人やメキシコ人や、「うる星やつら」のラムちゃんに近いかもしれない。「プリキーヌー」という、タイの青い唐辛子がある。これは小指の爪ほどの小さなトウガラシだが、その辛さは「山椒の実は小粒でもピリリと辛い」というような、生やさしいものではない。青唐辛子を１つ、舌にちょこんと置くと、焼けた鉄の火箸を乗っけたような衝撃的な激痛が走る。辛さに我慢できずに水を飲んだら、辛さがおさまるどころか舌に熱湯をかけたようになり、収拾がつかなくなる。そんな緑の唐辛子をたくさんすり潰して作ったグリーンカレーは、まるで焼夷弾を食べているみたいで、一匙口に運ぶごとに度胸が必要で、顔面からはサウナに入ったように汗が吹き出すが、まあ旨いのなんの。唐辛子の刺激とナンプラーの甘みが渾然一体になって病みつきになる。それから私の得意料理はトウガラシと鶏肉の炒め物だ。材料はサイコロ状に切った鶏肉と鷹の爪。紹興酒と塩で下味をつけた鶏肉を、油をたっぷり引いた強火の中華鍋で手早く炒め、火が通ったら鶏肉と「同量」の鷹の爪を入れる。そのあとでニンニクのスライスを大量にぶち込み、味付けはオイスターソースとナンプラーと紹興酒。砂糖を隠し味に少々入れる。四川料理なのか、タイ料理なのかわからない料理だ。この料理、見た目が強烈に赤々として食べる人の度胸を試すが、唐辛子好きの私にとっては、こたえられない一品だ。あと私はキムチが大好き。キムチなしには飯が食えない。スーパーで売っている、日本人の口に合うようにアレンジしたキムチは邪道である。昆布が入ってネバネバしていて気持ち悪い。それに辛さが全然足りない。あんなものはキムチではない。私がスーパーでキムチを買う時は、必ずラベルを見て「韓国直輸入」のものを買う。しかし、私には韓国本場のキムチの辛さでも物足ない。もうちょっと辛さが欲しい。私は韓国直輸入のキムチを買ったら、自分好みの味にアレンジする。大きな器にキムチを入れ、そこに韓国産トウガラシを水戸泉が土俵にまく塩と同じぐらいの量、たっぷりとぶち込む。しかし韓国産トウガラシは、日本の物に比べて土壌の違いで、香りは強いが辛さが全然足りない。どんなに入れても色はどぎついくなれど、辛くはならない。そこで私は辛さをプラスするために、おろしニンニクを大量に入れる。ニンニクをミキサーにかけ、こちらも高見盛がまく塩の量と同じぐらいキムチに入れる。ただニンニクの皮をむくのは面倒くさいので、おろしニンニクの瓶詰めを使うと便利だ。さて、唐辛子とニンニクまみれのキムチには、真紅に染まった「すりおろしりんご」みたいな物体が絡みつく。もちろんこの物体はりんごではなくニンニクだ。味はご想像の通り。お試しください。

  2005/06/06

• kakakaka

  kakakakaka

  2005/05/15

• クレソンとウニのバター炒め

  僕は生野菜は基本的に嫌いなのだが、１つだけ毎日のように食べている大好きな野菜がある。それはクレソンだ。ステーキのつけ合わせにすることが多い緑色の野菜である。都会ではスーパーや八百屋さんに日常的に売っているありふれた野菜なのだろうが、僕が住んでいる田舎町では、クレソンはめったにスーパーに現れることがない。時々デパートの店頭に並ぶことがあるが、どういうわけだか高級素材扱いで値段が高く、気軽に買えるものではない。ところが近所の商店街で１週間に１回やっている朝市にはクレソンが置いてある。しかもすごく安い。朝市には３０件ぐらいの農家のおばさんが自分の畑で取れた野菜を売りに来る。クレソンを売るのはそのうちの１件だけで、中国山地に近いきれいな川のほとりに自生しているのだという。このクレソンが実にうまい。山の新鮮な空気を吸っているような感じがする。クレソンにはほんのりと苦味があり、この苦味が身体の血液を浄化してくれているかのようだ。またクレソンには独特の「甘み」がある。クレソンの「甘み」を他の食べものに喩えようにも喩えられずじれったい思いをしているのだが、とにかく「クレソンの味」としか表現しようがないほんのりと素晴らしい味がする。クレソンの旨みは野草の持つワイルドなものではなく、どこか高貴で上品なのだ。おばさんによると、朝市ではクレソンはほとんど売れないらしい。田舎町ではクレソンという野菜の食べ方どころか、存在を知らない人が多いからだ。だから毎週クレソンは僕の家で全部引き取っている。値段はバケツ１杯分ぐらいの量で３００円ぐらい。とにかく安い。クレソンの食べ方は色々あるが、僕はサラダにして食べることが多い。毎日のようにクレソンのサラダを大量に食べている。ドレッシングは簡単。マヨネーズとサラダオイルをボウルに入れる。そこにレモンを絞り、潰したニンニクも忘れずにひとかけ入れる。そこへ大量のクレソンを放り込み、豪快にサッと混ぜる。混ぜるときに挽きたての黒胡椒と、チーズを小さく切ったものを入れる。このサラダには玉ねぎを少々入れてもいいし、胡桃とかカリカリベーコンもよく合う。材料は冷蔵庫と相談しながら気分で変えれば良い。さて最後に忘れてはならないものがある。それは粗塩である。サラダつくりの仕上げに少々粗塩を振ると、味に素晴らしいアクセントができるのだ。入れる塩は精製された食塩では絶対駄目で、伯方の塩とか蒙古の岩塩とか、絶対にミネラルがたっぷり含まれた塩でなければならない。僕は４月にパリを旅して有名なレストラン２～３軒食べ歩き、その時料理のつけあわせに生野菜が必ず出たのだが、ドレッシングに関しては日本のレストランもパリと遜色なく美味いと思った。日本のフレンチのシェフはよく研究しているなと感心した。しかしフランスと日本のレストランのサラダの味の最大の違いは、塩の効かせ方である。パリの野菜サラダは仕上げに粗塩をササッと振ってあり、あともう少し振ったら塩辛いと思わせるようなギリギリのラインを見計らった絶妙な塩加減が、野菜の味を引き立てている。「塩梅が良い」とはまさにこういうことだと感じいった。だから僕は家でも、食べる直前５秒前に粗塩を振る。塩振りたてのクレソンのサラダはうまい。あともう１つクレソンの美味い食べ方をご紹介しよう。その名も「ウニとクレソンのバター焼き」。作り方は極めて簡単。まずフライパンを中火にしてバターを入れる。バターは多いほうがうまい。バターが溶ける寸前にクレソンをいれ、強火でしゃっきり炒める。火が通ったら粗塩と胡椒、そしてウニを入れる。ウニを入れたら少し混ぜるだけで、１０秒もたたないうちに皿に盛り付ける。ウニは火を通しすぎてはいけない。熱くなったクレソンの余熱で温まるぐらいの火加減が、ウニの甘みを活性化させる。これは広島の鉄板焼き屋が発明した食べ方だそうだ。昔「料理バンザイ」でピーターが作っていたのを、冷静な滝田栄が「これがうまい、これはうまい」と興奮したジャンバルジャンみたいに熱く絶賛していた。ウニは高いので、チリ産のやつが半額になったときに買う。ほうれん草ではエグ味があってウニがもったいないような気がするが、クレソンなら高貴な味で、ウニの磯の味をがっしりと受け止めてくれる。ウニの甘みとバターの脂が出会い、その２つの強い味をクレソンが中和している。パスタを少々混ぜてもうまいだろう。ぜひお試しください。

  2005/05/12

• babababa

  babababa

  2005/04/29

• 中国の暴動こわいっす

  ２週間前まで中国に行ってました。で、帰ってきたら大暴動です。旅行期間が１週間前で良かった。中国人は、勿論感じのいい人もいっぱいいたけど、尊大で無愛想な鉄面皮の人もそりゃあたくさんいたわけで、なんだか眼と頬の間の筋肉が固い。ホテルのフロントのねえちゃんやら、タクシーの運転手やら、食堂の店員やら、まあ日本だったら１週間でクビにされそな客商売の人間が多かったですね。それで、まだ中国人は社会主義引きずってるのかと呆れたわけですが、今考えると彼らの無愛想な鉄面皮は、社会主義的な商売っ気の欠如じゃなくて、日本人の私に対する敵意だったんじゃないかと思います。あの鉄面皮は暴動の予兆だったわけですね。で、私も無愛想な人間を見たら腹か立つので、感じの悪い店員には「ＭＯＲＥ　ＳＭＩＬＥ！」とあちこちで捨て台詞を残して立ち去ってやりました。彼らも憎ったらしい日本人だと思ったでしょうね。中国人暴動の責任の０．０００１％ぐらいは、「ＭＯＲＥ　ＳＭＩＬＥ！」と威張り散らした傲慢な日本人の私にあるんじゃないかと責任を感じています。彼らの怒りの矛先には、私の顔がある(笑）話は変わりますが、６０年代７０年代の日本みたいに、中国の若者は若さのフラストレーションをほぼ１００％、デモとか政治活動にぶつけてますね。しかも当時の日本と違って、労働者や農民も一緒になっているからタチが悪い。たとえば欧米諸国や日本は、若者の不満が直接体制側にぶつけられないように、フラストレーションを巧みに政治からそらす避雷針が用意されました。たとえばロックとかスポーツとかアートとか、他に若者の苛立ちをぶつけられるオモチャが続々登場した。欧米諸国や日本には、政治以外にフラストレーションの代弁者がたくさんいます。アメリカの労働者階級の男たちはブルース＝スプリングスティーンに代りに不満を吼えさせ、イギリスの貧乏な労働者階級の青年はパンクロックを聴き、サッカーのフーリガンになる。ジョンレノンや吉田拓郎が頑張れば頑張るほど、若者の怒りはロックやフォークやスポーツに向かい、体制側にいる人は胸をなでおろす。皮肉なものです。でも若いエネルギーが音楽やスポーツに放出されるのは健全かもしれません。元革命家の人たちには面白くないでしょうけど。中国には若者のフラストレーションを逸らすものがない。ロックやスポーツはそんなに盛んではない。中国人はロックをあまり聴かない。まだ日本の高級中華料理店で流れるような胡弓の「ピャオ～ン、ピャ～ララ」といった優雅な調べを中国人は好んでいます。こんな軟弱な音楽じゃあ、若者の怒りの代弁者にはならない。またスポーツも盛んなようで盛んではない。サッカーだって野球だってまだまだ弱い。中国が強いのはまだまだ卓球です。ピンポン玉じゃあ、若者の怒りなんてぶつけられません。とにかく５０年間マスターベーションをしたことのない強姦魔のように、中国は１３億人のフラストレーションが１００％政治やデモに向かう。しかも標的は日本です！怖いですね。日本はそんなに強いワケではないのに・・・

  2005/04/25

• ストレス解消に寿司屋

  塾講師はストレスの溜まる仕事だが、私は塾業界以外の業種を体験したことがないから、他業種と比較する資格がない。塾講師のストレスの要因を挙げてみると、受験（最大最強のストレス！）、生徒の成績、塾の利益、問題児への対処、塾のスタッフの管理、「変な」親との付き合い、税金対策・・・長いことやっていると、ストレスの対処法も身について、以前ほどには悩まなくなった。自分が一生懸命やっているのに、理解してもらえないと悔しい。しかし塾講師のストレスなんぞ、もっと激しい仕事をしている人にとっては屁じゃないだろう。さて、私が考える、地獄のような職業を挙げてみた。墜落事故がおきて、遺族に謝罪に出向く航空会社の社員我儘な人のエゴに、常に低姿勢で向き合わなければならない、企業や役所の苦情処理係人身事故が起こるたびに、車両の下にもぐって、ミンチになった死体を処理しなければならないJRの職員老体に鞭打って、段々畑のミカンを１つ１つ籠に入れて歩かなければならない、農家のおばあさん兵隊年下の上司からスリッパで殴られる営業マンジコチュー客のお守りが義務の、ツアーコンダクター日教組に突き上げられる公立中学校の管理職売れなくなった歌手や俳優不景気のせいで客が現れず、暇をもてあまして一人煙草をふかすバーのママそんな仕事に比べたら確かに塾講師は楽だろう。ただ、塾業界の人間の場合は、１年間のストレスの７割ぐらいは、１２月から３月にかけての、入試や募集の時期に集中するので、その時期は心が荒れる。さて、ストレス解消法だが、中程度のストレスだったら私は食べることで解決する。私が住んでいる町は海に面していて、美味い海産物が豊富に取れるのだが、そんな海の幸を繊細に調理する、飛び切り美味い寿司屋があり、贔屓にしている。夜９時４５分に仕事が終わったあと、お店に出向いて、酒の助けも借りながら少々贅沢をし、日常のウサを発散する。行きつけの寿司屋では、まず昆布締めのキスを握らずにお造りで注文する。昆布締めのキスは、どこまでが魚本体の持つ甘みで、どこまでが昆布の旨みかわからない、微妙で繊細な味。白身魚の儚くか弱い甘さを、昆布がしっとりかつ大胆にデフォルメします。それを肴に、地元広島の地酒「西条鶴」の癇を楽しむ。良い酒に熱を少し加えると、冷酒では楽しめない恐るべき芳香を放つ。酒を身体に流し込むと、五臓六腑が活性化し食欲が高まる。キスをつまむ、酒を飲む。キスをつまむ、酒を飲む。キスの甘みが酒を呼び込み、酒で活性化した内臓がキスを呼び込む。食えば喰うほど、飲めば呑むほど腹が減る。酒の力で胃が活発になったところで、地元産のエビを握ってもらう。握る寸前に、寿司屋のご主人はエビを茹で上げる。丁寧な仕事だ。茹でたてホヤホヤで、殻をむいたばかりの瀬戸内海のエビは、真紅のストライプが鮮やかで、熱々のエビが私の目の前に握られて出てくる頃には、人肌よりほんの少しだけ熱い程よい温度になっている。エビの甘みが一番味わえる絶妙な温度だ。豪快にエビをほおばると、エビとシャリの間に、エビの頭から取った濃厚なミソが隠し込まれており、こってりしたミソと身の甘さとが絡む、絶妙な味わいになる。あまりの美味さにエビは瞬時に呑み込まれてしまい、ブラックホールと化した胃に収まる。最後は必ずダシ巻き卵で締める。ここの寿司屋のダシ巻きは絶品で、京都の錦小路のダシ巻き屋「三木鶏卵」に匹敵する味だ。砂糖の程よい甘さが風雅で、ダシは鰹節の鋭い香ばしさを保ち、素晴らしい。これだけ贅を尽くしたら、東京だったらいくら取られるかわからないが、田舎町では驚くほどの安価だ。中度のストレスなら日本酒と寿司で軽減されるが、食欲も減退するような強度のストレスの場合は、ツマミ無しのオールドパーで現実逃避するしかない。

  2005/04/23

• 毎日おでんを子供は嫌がる

  今日は小６の授業。家でお母さんが作る料理のうち、一番好きなメニューは何かという話になった。人気がある献立は、カレー・ラーメン・ハンバーグ・八宝菜・まぐろ丼・牛丼・オムライスなどが並んだ。「ビビンバ」という家庭料理としては少々変わったメニューもあった。嫌いなものの筆頭は、レバー・ゴーヤチャンプルー・野菜サラダ・酢の物などの名前があがった。また子供が口を揃えて嫌いだと言ったのは「ぬた」である。たしかに小学生の好物が「ぬた」「おから」「ひじき」とか老人くさい食べ物だったら少々おかしい。嫌いなもので意外だったのは「みそ汁」である。何人かの子が「みそ汁はまずい」と言っていた。みそ汁は米と同じで、うまいまずい以前の問題だと思っていたのだが、どうやら今の小学生の味覚は違うらしい。さて、むかし別のクラスで同じような話題で盛り上がったことがあったが、そのクラスではおでんの評判が異常に悪かった。別に味的には問題がないようなのだが、どうやらおでんは毎日続いてしまう傾向にあるのが嫌らしい。おでんは基本的に手抜き料理である。水に昆布を引いて鰹でダシを取るならともかく、最近では粉末状の「おでんの素」なんてものがあるので、だしは簡単に作れる。そこへスーパーで買ってきたかまぼこ、ちくわ、つみれ、バクダン、さつま揚げ、ごぼう天などの練り物や、大根、こんにゃく、巾着、昆布巻きなんかをド～ンとぶち込めばできあがり。入れる順番なんて関係ない。とにかく「ド～ン」と入れてしまえばいいのだ。まさかイワシのつみれを魚をさばくところから丁寧に作る人はあんまりいないだろうし、ましてや自家製のさつま揚げを作っている家庭は、鹿児島県ならともかく一般家庭では考えられない。おでんにかかる手間といったら玉子を茹でて皮をむくことぐらいである。まあ冬の寒い日なんかにおでんが食卓に上がると、身も心も暖まるものだが、問題はそのあとだ。おでんの鍋の中にある具を全部１日で食べきってしまう家庭はあまりない。大抵は残るはず。その証拠におでんの残り汁にうどんを入れましょうとか雑炊を作りましょうといった話は聞いたことがない。また冷蔵庫の中にはまだちくわやさつま揚げなどが残っている。汁は残っているわ、タネは残っているわで、全部胃の中に入れなければもったいない。というわけで次の日もおでん、また次の日もおでんというわけになってしまうのだ。カレーなら２～３日経つと味が馴染んで旨くなるが、おでんは味が濃くなり汁が汚くなるばかりで、残り物感はどうしてもぬぐえない。味がしみて旨くなるのは玉子ぐらいのものだ。しかもおでんの具は日が経つにつれだんだん貧相になってゆく。ちくわが無くなるし、大根はとろけるし、ごぼう天は煮過ぎてバラバラになりダシが薄汚くなるのに貢献するし、そんなこんなで末期には鍋の中にこんにゃくばかりがブカブカと浮かんでいるのだ。そんな具の少なくなったおでんに新たに大根や玉子を加えるとこれまた悲惨なことになる。薄汚く灰色になったおでんのダシに、味の全くしみていない透明な大根や、真っ白でつるんとしたゆで玉子が加わって、おでん鍋の中はアンバランスの極地になる。大根や玉子がダシに馴染むまではさらに長時間かかり、そんなことをしていたらおでんは２～３日どころか、永久に食卓に上ってしまう。子供は毎日おでんでいい加減飽きる。塾から腹をすかせて帰ったら食卓にはまたおでん。いつでもおでん。おでんのデジャヴュ。育ち盛りの子にこんにゃくの含有量が異常に多いおでんはこたえる。そんな子供に気を使うお母さんの昼ごはんは、いつも残り物のおでんである。またおでんは基本的に大人の食べ物であって、呑ん兵衛のお父さんなら日本酒のつまみに最高だろうが、基本的におでんはご飯のおかずではない。そんなところも子供からおでんに対してブーイングが出る原因だろう。

  2005/04/12

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