カテゴリ:映画
今回は観られないかもしれないなと思っていた「フラガール」。
いや~~~、本当にラッキーなことで、復路の飛行機の中で無事に観られた・・・ 帰りの飛行機の中の映画や音楽のプログラムはちょうど12月で変わっていたのがラッキーだった。 往路は11月のプログラムだったし、目玉かと思われた「有頂天ホテル」もあまりのくだらなさに寝てしまうというていたらくで、復路はちょっとくらいマシかと期待していたら「フラガール」が観られるという。 人間、精進が大事だなぁと思ってしまった。(爆) いろいろなところで好評を博していたのは知っていたが、桑輝さんとlalameansさん両名の絶賛を見て、これは観るべし、という気になっていた。 「おススメの映画」というのは、おススメするのもされるのも微妙に難しい。 人それぞれの笑いのツボ、泣きのツボ、怒りのツボ・・・もちろん普段の趣味や嗜好性が自分と比較的近い人から勧められたものは失敗は少ない。 が、巷間で売れまくっているものが自分もいいと思えるとは限らない。 反対に自分で完璧にはまりきってしまって、世間の皆さんにぜひお知らせしたいと思ってそうしたら、皆さんにはことごとく首をかしげまくられる場合もある。 この「フラガール」については、どこででも調べられるので、今さら詳しく筋立てを書くことは差し控えたいと思うが、そりゃもうストレートに感動させられました。 今、これを書いているだけでも、また涙腺の奥のほうから、それこそ温泉みたいに温かいやつがじんわり沸きあがってくるのを感じる。 私がロンドンに着いた時に空港まで迎えに来てくれたクマイチに、車の中でこの映画を観たと説明している途中でがごがご泣け始めてきて、そのしゃくり上げ具合のすごさにクマイチが思わず「かわいそうになぁ」と言いながら私の背中をさすってくれた。 「そういう意味じゃないっ」というひとことが言えないほどしゃくり上げて号泣PTSDに突入してしまう・・・冷静に説明したくてしかたなかったのに、涙に押さえ込み・寄り切られてしまう映画だったのは確かだなぁ、少なくとも私にとっては。 蒼井優という女優は初めて見たのだけれども、かわいいねぇ・・・ なんというか、周りに文句を言わせない美人の一人みたいな松雪泰子とはまた違って、いつ、どこであってもほっとするような空気を持っている人だなぁと思い、二重マルをあげたい。 目玉であるフラダンスのシーンも、私はそりゃもう素直に感動するしかなかった。 いっぱい練習したんだろうねぇと思いながら。 この映画は役者がみな一様に役柄とうまく合っていた、稀な映画のように思えた。 久しぶりに見た(まあ私の場合は日本を離れてしばらく経つから、という理由だが)富司純子のおかあちゃん、最高。 富司純子というよりも、どうしても「緋牡丹博徒」シリーズの藤純子としてのイメージしかなかったのだが、このおかあちゃん役には脱帽でした。 それと豊川悦司ね。 もともとこの人はキライだったので・・・はい。(笑) まあ、あんまり出ている作品もよく知らないけれども、なんとなくカッコつけて実はたいしたことない人、みたいに思っていたが、この映画の中での、炭鉱一筋に生きる蒼井優のあんちゃん役は非常に好感が持てる上に、単純回路で単細胞な役に入魂している部分が素晴らしい。 実は最初、このあんちゃんが素晴らし過ぎて、逆にこれって豊川悦司(?)と気づくまでにほぼ30分くらいかかった。(恥) 松雪泰子ねぇ・・・うーん、私にはちょっと評価が難しい。 舞台になっている煤と灰の色がたっぷりついた炭鉱町に、異色のイケイケ女が来た、という設定では、あの松雪泰子の醸し出す違和感たっぷりなバービーっぽさはハマリ役と言えなくはない、確かに。 但し、あの役は彼女でないと絶対に成り立たなかったかと聞かれると、もしかすると他の人でもできたのでは、と、ちらりと思ったりもするし。 でも、個人的にはマルです、○。 それと、山崎静代って、名前にしか聞いたことはないのだが、お笑いコンビの南海キャンディーズのしずちゃんっていう人ですかね、あの人。 いまいち頂けなかった・・・ですね。 というか意味がないの。 意味が人が意味のない出方をしているというか、映画の一つの呼び物的な役割以外のなんでもなかったのね。 彼女にまつわる一つの悲劇が映画の中で描かれてはいたけど、結局「でか過ぎて、とてもそういうタイプではない」人を無理やり突っ込んだだけで、彼女の役柄の存在感がかえって希薄になってしまっていて。 ああいう、フラダンスとなんの関係もなさそうな人もがんばったんですよ、というのを、もっと象徴的に見せるためにこういう人を使いたかったのかもしれないが、あれは逆効果ね。 意味ないもん。エラそうだけど私はそう思った。 そして個人的にいちばん期待はずれだったのが岸部一徳。 この人、いろいろ出てるわりにはあまりうまくないのかなぁと思った。 特に映画の前半の部分、この人がしゃべる間の取り方がすごく悪くて、こっちは観ているだけなのに躓き感を何度となく感じたから。 後半になる頃にはそこまで気にならなくなったが、順調に走っている電車ががたんと線路の継ぎ目を感じさせる感覚。 この「フラガール」という映画では、その唯一の電車の継ぎ目が岸部一徳だったんじゃないかなぁ。 こっちもそれなりの役者なんだろうと思ってみているから余計厳しくなるのかもしれないけど、この演技で助演男優賞はちょっと難しいよな、と結論づけてしまった次第。 邦画よりも洋画のほうで頻繁に、前半に一つのなんでもないシーンを入れておいて、それを大事なところでパンチラインに使ったりして「だからあのシーンがあったのか」と納得させられる手法が取られているが、この「フラガール」のソレは秀逸。 手荷物の中に武○士のポケットティッシュ(わりと中身ははいっているほう)を2つ入れていたのだが、映画の2/3を観終わったところで全部使い切り、後はしかたないから涙と洟を手で拭いていた。(汚) もう一回でももう二回でも観たい映画なのだが、現在のところはこの一回きりの鑑賞ですでにパブロフの犬状態になっているため、半年ほどは期間をおいてみないことには、今、この映画の冒頭が目の前で始まったら、その段階で号泣に突入しそうなのである。 <追記> そうそう、この日記を書き終わってから思い出したことなのだが、この映画についてよくよく考えてみると、イギリスの映画で、やっぱり斜陽の一途を辿る炭鉱の街が舞台になっているものがいくつか。 この下の3つは「フラガール」のような華やかさはないし、もっと炭鉱の閉鎖について社会的に突っ込んでいたり(しかし皮肉っぽい)映画としてもかなり出来がいいので、ついでにおススメ。 「ブラス」・・・翳りゆく炭鉱の街で気を吐くブラスバンドにかける人たちの物語。指揮者のピーター・ポスルスウェイトがいい。ユアン・マクレガーもがんばっている。 「ビリー・エリオット(邦題の『リトル・ダンサー』)」・・・炭鉱の街で暮らす少年がひょんなことからバレエダンサーへの道を辿る。これもおとうちゃんが泣かせる。 「フル・モンティ」・・・これは炭鉱の閉鎖ではなくて製鉄所の閉鎖。だけど働き盛りの男たちが職安に職を求めるもNo Luck。そして男たちが一攫千金(ほど多額じゃないけど)を狙って目論んだイベントとは? お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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