ＭＹ　ＨＩＤＥＯＵＴ ～私の隠れ家～

全1422件 (1422件中 1051-1100件目)

< 1 ... 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 ... 29 >

• 

  「サラマンダー」　(2002　米・英)

  "REIGN OF FIRE" 監督・・・ロブ・ボウマン　出演・・・クリスチャン・ベイル、マシュー・マコノヒー、イザベラ・スコルプコ、ジェラード・バトラー、スコット・ジェームズ・モウッター、他。・物語序盤・ロンドン。12歳の少年クインは、母が働く地下鉄工事現場に立ち寄る。当てにしていた奨学金が受けられなくなった事を報告する為に。その時突然事故が発生。クインは独り地下深くへと様子を調べに行く。そこで彼が見たのは、なんと火を吹く巨大な竜だった。必死に逃げ出すものの、母親は死亡。クインはその現場での唯一の生存者となった。それから二十年。サラマンダーは驚異的な繁殖力で数を増やし、人類は抵抗も空しく絶滅の危機に瀕していた。軍隊は核兵器を使用したが、それは結局都市を壊滅させ、地球を荒廃させただけだった。僅かな生存者は各地に要塞を築き、身を潜めながら細々と生き延びるしかなかった…。 これまた公開当時、酷評されていたので、身構えて鑑賞しました。悪い面の情報は前以て仕入れていたので、然程気になりませんでした。意外と面白かったです。確かに、最初のドラゴンが発見されてから、世界が滅んでしまうまでの過程を、ナレーションで済ましてしまうという安易さは感じました。でもこの映画は、そもそも現代的兵器とドラゴンの死闘を描きたいのではなくて、荒廃した近未来パラレルワールドでの、原始的な武器しか持たない人類とドラゴンとの戦いを描きたかったのでしょう。だからその点を批判するのは筋違いかと。まあ、都市がドラゴンによって、如何に破壊されていったか、その過程が映像として観たくなかったと言えば嘘になりますが、予算の都合もありますしね(笑)。ドラゴンのＣＧは美しく、評価できる出来栄えです。荒廃した街並も映像として美しかった。雰囲気としては、古い例えですが「マッドマックス２」みたい。荒くれ共が小汚い格好で敵と戦っています。要塞のリーダー・クイン役のクリスチャン・ベールと言えば、「アメリカン・サイコ」や「リベリオン」でクールで気障な二枚目タイプの印象でしたが、髭面で薄汚れていて、まるで別人。そしてマシュー・マコノヒーも。こちらも甘ったるい顔のラブコメ俳優のイメージなのに、百八十度転換の、むさ苦しく荒々しい海兵隊の指揮官役。改めて、俳優って凄いと感心しました。あれだけ強大で各国の軍隊すらも敵わなかったドラゴンが、あんなヘボい武器で倒されるのか、というツッコミは、この際引っ込めましょう。網を引っ掛けて、落下させて殺すとか。限りなくアナログな攻撃でしたね。ところで、火を吹くドラゴンを見て、「シヴァ」を召喚したくなったのは私だけでしょうか(笑)あと、ブリザガとか使って、撃退したくなりました。きっとあのサラマンダーは、シヴァには弱い筈よね。

  Apr 15, 2004

• 次の試写予定は「コールドマウンテン」です

  「コールドマウンテン」4/24全国ロードショー。監督は、アンソニー・ミンゲラ。出演は、ニコール・ギッドマン、ジュード・ロウ、レニー・ゼルウィガー他。チャールズ・フレイジャーのベストセラー小説を映画化。南北戦争で引き裂かれた恋人同士の物語。ロマンス大作みたいですね。恋愛物は苦手ですが、評判は芳しいので楽しみにしています。鑑賞したら感想をアップしますので、また読んで下さいね。公式サイトはここです。オフィシャル公開中の「テキサスチェーンソー」も滑り込みで観れそうです。ホラー好きの知り合いが、かなりエグかったと言っていたので、急に観ておけば良かったと後悔しはじめて。鑑賞券を譲ってもらえそうなので、わくわくしてます。こちらもアップしますね。

  Apr 14, 2004

• 

  「ケミカル５１」　(2002　米・英・加)

  "THE 51st STATE""FORMULA 51" 監督・・・ロニー・ユー 出演・・・サミュエル・Ｌ・ジャクソン、ロバート・カーライル、エミリー・モーティマー、リス・エヴァンス、リッキー・トムリンソン、ショーン・パートウィー、ミート・ローフ、他。・物語序盤・大学で薬学を学んだエルモは、卒業式の日に麻薬所持で逮捕され、薬局を開く夢を断たれた。それから三十年の月日が流れた。今では裏社会でドラッグの精製を生業にしているエルモ。彼は究極のドラッグ“POS51”の開発に成功した。これを元に大儲けをしようと考えたエルモは、ロスで組んでいた麻薬組織を裏切って壊滅させ、イギリスはリバプールの組織と取引するよう計画した。空港で彼を出迎えたのは、サッカー狂でアメリカ人嫌いのフィリックス。一方、一命を取り留めた麻薬組織のボスは、凄腕の女殺し屋ダコタに、彼等の殺害を命令する…。 コメディータッチのドラッグアクション。笑いの中心は、イギリスとアメリカの対比ネタです。この方面に詳しければ詳しい程、笑えると思います。管理人の知識は、かなりお粗末…。食べ物が不味いとか、服装が小汚いとか。訛りなども、殆ど区別できないようなレベルです。それ以前に吹き替えで観ちゃったよ…。ダメダメじゃん、私(笑)そんな私でも、これは充分楽しめました。裏社会モノのブラック・コメディーとして、確り作られているからでしょうね。ところで一箇所、とてもお下品な場面があります。全般的にギャグはブラックなので、お世辞にも上品な作品ではありませんが。間違っても、お食事中に鑑賞しないように。イギリスのチンピラ君達、出てきた時から薄汚かったけど、目も当てられない状況になってしまいましたね。でも個人的に、ウ●コネタは勘弁してほしい…。夢に出てくるから。スコティッシュなキルトスカートのエルモ(ジャクソン)は、なんとも言えないです…笑。個人的にバグパイプを吹いている時の民族衣装が好きなので、男性のスカート姿に抵抗は無いのですが、サミュエルが脚を出している姿は不恰好で可笑しい…。ゴメン。あと、フッシュ＆チップが不味そうなのは分かるけど、車の窓から捨てないで下さい(笑)人間は爆破しても射殺しても構いませんが、食べ物は粗末に扱ってはいけません。そこ、教育的指導～！でもサミュエルは、こういう役が楽しそうで、イキイキしていました。殺し屋役のお姉さんは、デミ・ムーアに雰囲気が似ているなぁ。チャーミングでイイ感じでした。少し脱線。車線ネタで右側通行しろという場面があったと思うのですが、私が遊んでいる某洋物ゲームでも車をぶっ飛ばすシーンがあります。確り左側通行している自分に気付いて笑えました。思い切り反対車線なのに、居心地が悪くて、ついつい左を走ってしまいます。お陰で何度も正面衝突してクラッシュ。慣れって怖いな。

  Apr 13, 2004

• 

  「エニグマ」　(2001　独・英)

  "ENIGMA" 監督・・・マイケル・アプテッド製作・・・ミック・ジャガー、ローン・マイケルズ原作・・・ロバート・ハリス『暗号機エニグマへの挑戦』（新潮文庫刊） 出演・・・ダグレー・スコット、ケイト・ウィンスレット、サフロン・バロウズ、ジェレミー・ノーサム、ニコライ・コスター＝ワルドウ、トム・ホランダー、他・物語序盤・1943年、イギリス軍の暗号解読センター。天才的な数学者で暗号解読のエキスパート・ジェリコは、以前シャークという暗号を解読した功労者だったが、ある事が切っ掛けでノイローゼになり、半強制的に職務から外されていた。友人で解読チームのメンバーでもある人物の要請で、センターに戻ったジェリコだが、所長の態度は冷たい。現在センターではドイツ軍の暗号化装置エニグマの解読に当っていたが、暗号コードが突如変更された為に、連合国軍は窮地に立たされていた。解読のヒントを掴んだジェリコは、正式にメンバーの一人として復帰し、暗号解読に当るが…。 公開当時、あまり評判も良くなかったので、期待せずに観ましたが、思わぬ拾い物でした。本格的な暗号解読に、謎の女性の失踪事件と、二つの要素が上手く同時進行して、最後まで展開が読めません。特に冒頭では、過去と現在のシーンの切り替えが無く、区別が付かないという作りの為に、置いていかれそうになる事が幾度もありました。人物の相関関係や国家的背景も、なかなか分かりにくく、理解が後から付いてくるような感じでした。エニグマ。その名前くらいは知っていても、実際どういう物なのか、詳しく知っている人は少ないと思います。この作品では、エニグマ機が登場して、暗号解読に使われます。黒いレジスターのような物なのですね。しかし暗号解読のシーンでは、解読してくれても、難しくて良く分からない…。ループが繋がったとか、言ってるんですけど、「何がどう解けたの？」と一人アホを露呈してしまいました。ケイト・ウィンスレットが準主役級の重要な位置で出ていますが、何故あんなに太っているのでしょう(笑)？「タイタニック」の時から小太りでしたが、今回はデブ…と言ってしまう程ぽっちゃりして見えました。ストーリーと関係ない話ですが…。キャラクター的には好感の持てる役柄でした。主人公とは別行動で事件の真相に迫ってゆくという、独立精神溢れる性格が、有り触れた主人公のサブ的なガールフレンドとは違った位置づけで面白かったです。最後まで確り観ていないと、真相が分からない映画です。脚本も良く練られており、堅実に纏めた骨太の軍事サスペンスに仕上がっていました。ところで、ミック・ジャガーもエキストラで出演しています。台詞もありませんが、是非探してみてね。

  Apr 12, 2004

• 「クイール」観ました

  監督・・・崔洋一 原作・・・秋元良平（写真）石黒謙吾（文）／『盲導犬クイールの一生』（文藝春秋刊） 出演・・・小林薫、椎名桔平、香川照之、戸田恵子、寺島しのぶ、他。 ・物語序盤・ 東京のとある家庭でラブラドール・レトリーバーの子犬が５匹誕生した。その中の一匹のお腹には、鳥が羽根を広げたようなブチ模様があった。仔犬は盲導犬として育てられるべく、ボランティアで子犬を育てるパピーウォーカーに預けられる。そして“鳥の羽根”という意味を持つ“クイール”という名を付けられた。その後一年間、パピーウォーカーにたっぷり愛情を注がれて育ったクイールは、盲導犬訓練センターへ向かうが…。「盲導犬」という涙と感動を誘う要素を使いながら、ここまで無味乾燥な映画に仕上げてしまったのは何故でしょう？盛り上がりも全く無く、まるで盲導犬紹介ビデオのように、淡々と終わってしまった。確かに実話を基にした作品ですので、事実をありのままにというのは分かります。でも映画は観客に観せる為の「見世物」でしょう。山場を作る為の、多少の脚色は許される筈。いや、それが無ければ、物語としては成立しません。「ある所に一匹の犬がおりました。犬は成長して盲導犬になりました。十二年後、寿命が尽きて死にました。おしまい。」これでどう感動しろと言うのでしょうか？いくらでも盛り上げられる要素があったのに、全て殺してしまった事が残念です。とにかくメリハリなさ過ぎ。丁寧に描くべき所は力を注ぎ、不要な部分はナレーションで進めるとか、そういう工夫が全くされていません。全編を通して、クイールのパートナーの娘さんの語りで済ませるという安易な方法を選んだ監督の意図は？盲導犬なんてと言っていた渡辺氏が、クイールをパートナーとして信頼してゆく過程や、彼が病魔に襲われてから、もう一度一緒に歩きたいという気持ちなど、描くべきシーンは幾らでもあった筈なのに。極論を言えば、クイールが生まれる場面や死ぬ場面なんて無くても良かったんですよ。もし監督に「文部省推薦盲導犬紹介映画」ではなくて、一本の「映画」を撮る意志があれば。また、盲導犬についての教育映画だとしても、通り一遍の知識のおさらいでしかありません。この程度の事は、今時誰で知っています。ここから何を学べば良いのですか？ドキュメンタリーとしてもエンターティメントとしても、退屈としか言い様のない作品でした。小学生のお子様に、盲導犬の知識を与える為に見せてあげるには適当な作品かもしれません。確かに十代の女の子など、泣いている方も大勢居ました。しかし大人が鑑賞するには、かなり厳しいラインです。それと切実なお願い。映画が始まったら、喋るのはやめて下さい。犬が出る度に、「わぁ、可愛いっ」とか…。私の隣の親子連れ、非常識にも程があります。喋りたいなら、家で観てね。速攻で別の席に移動しましたけど。最近全席指定だから、動くのも結構大変なんだよなぁ。付け加えると、予告編は私も泣けました。是非、アカデミー予告編大賞をあげて下さい。

  Apr 11, 2004

• 「イン・ザ・カット」鑑賞しました

  "IN THE CUT" 監督・・・ジェーン・カンピオン製作・・・ニコール・キッドマン、ローリー・パーカー原作・・・スザンナ・ムーア『イン・ザ・カット』（ハヤカワ文庫刊） 出演・・・メグ・ライアン、マーク・ラファロ、ジェニファー・ジェイソン・リー、ケヴィン・ベーコン、他。・物語序盤・フラニーはニューヨークの大学で文学を教える女性講師。友人のポーリーンは性に奔放だが、フラニーは男を漁る気にはなれない。礼儀正しく慎ましい模範的な市民だが、心は誰にも開かず、周囲に一定の距離を保ちながら生きていた。ある日、学校の教え子とカフェで会っている時、フラニーはトイレでセックスをする男女を目撃する。男の顔は見えなかったが、彼の手首にはスペードマークのタトゥがあった。数日後、彼女の自宅近辺で猟奇殺人が起こり、フラニーの元に聞き込み捜査をしている刑事マロイがやって来る。マロイの手首には、先日見掛けたスペードのタトゥが…。タイトルの「IN THE CUT」はスラングで、女性の性器を指します。転じて秘密の隠れ場所などという意味。(ここのサイト名も隠れ家の意味でしたね。秘密めいた言葉って良いな。)別に悪くはないと思うんですよ。ただノリとしては、ミニシアター系ですね。淡々とだらだらとした日常の間に、猟奇殺人という非日常的要素を織り込んでいます。しかし基本は平凡な一女性の日常です。という事で、かったるいです。実際の上映時間よりも長く感じます。性描写は一応Ｒ指定を受けていますが、大した内容はありませんでした。この程度なら、普通の映画で当たり前に行われています。血や死体の一部などの描写の面も合わせてのＲ指定なのでしょうね。とにかく全体的にテンポが悪いので、何度かあるセックスシーンもメリハリが無く疲れます。無理矢理な性行為(強姦という意味ではなくて、展開や運び方が…)に、ぞくっとするより、疲れた溜め息が出てしまいました。なんだか下手なポルノを観せられてるみたい…。普通に電話している時に、唐突に相手が「アソコに指入れてごらん」等と言ってきて、それに応じて感じてしまう女なんて、ちょっと無理ありすぎです。いきなり相手に跨って、すぐに挿入で「あぁ～ん♪」とか(笑)。アンタのＸＸＸは２４時間何処でも準備万端か？！これに限らず、全体的に「間」というか、気分を盛り上げる為の時間や会話が必要だと思いました。メグは頑張っていたと思うんですよ。だからメグ一人を責めるのは気の毒です。あれは絶対、脚本や演出が悪い。ケヴィン・ベーコンの役も結局何だったのか…。彼の役を削って、彼をお相手の刑事役に持ってきたら、エロティシズムに磨きが掛かったのでは？でもガサツで草臥れた感じの刑事には、ラファロの方が良かったのかもしれないけど。とにかく、ベーコンの使い方には不満が残りましたね。

  Apr 10, 2004

• 「ピーター・パン」試写しました

  "PETER PAN" 監督・・・Ｐ・Ｊ・ホーガン原作・・・Ｊ・Ｍ・バリー出演・・・ジェレミー・サンプター、ジェイソン・アイザックス、レイチェル・ハード＝ウッド、リュディヴィーヌ・サニエ、オリヴィア・ウィリアムズ、リチャード・ブライアーズ、リン・レッドグレーヴ、他。 ・物語序盤、解説・本国イギリスでの舞台初演以来100周年を記念して作られた作品です。ピーター・パン役には、少女というのが通例だったが、史上初めて少年を起用している。ピーターとウェンディーの初恋を主軸に描かれている。小説家を夢見るウェンディーは、物語を作っては、弟・ジョンとマイケルの前で面白可笑しく語って聞かせている。まだまだ無邪気な１３歳だが、伯母や両親達はそろそろレディになる為の教育をする時期だと考え始めていた。そんなウェンディーの姿を、窓の外からこっそり覗いている不思議な少年が居た。そして彼の傍らには、小さな妖精が。彼はウェンディー達の部屋に忍び込んだ際、自分の影を落してしまう。数日後、両親のダーリング夫妻が父親の勤務先である銀行のパーティーに出席した晩、少年は影を取り返しにやってくる。それを見付けたウェンディーは、彼の足に影を縫い付けてやった。彼の名はピーター・パン、永遠に大人にならない少年だった。すぐに意気投合した二人は、ウェンディーの二人の弟を連れて、ピーターの暮らす"ネバーランド"へと旅立つ…。試写会場でパンを配っていました。その名も「ぴーたー・パン」…。映画公開中に、実際に販売されるそうです。見るからに不味そうなんですけど。実際食べても美味しいとは思わなかったです。ごめん。私はピーターパンについて詳しくないので、大体の流れとキャラクターは知っているものの、正しい物語を知りません。今回の脚本は、ピーターとウェンディーの恋に重点を置いたつくりになっていますので、「大人という完全体」になれない「不完全な存在」としてのピーターパンがクローズアップされていました。永遠の子供って何なんでしょう？永遠に子供の心を持ち続ける事は可能なのか？ピーター・パンの本当の心の内は？そんな事を考えながら作ったのでしょうね。不変とは孤独。とこしえに変わらぬ故に、変わり続ける世界から、常に取り残される存在…。ただストーリー的には、本当にまんま「ピーターパン」ですので、残念ながら何の驚きも感動もないです。一本の作品としては悪くはないと思いますが、何しろあまりに有名な物語なので、今更感は否めません。ＣＧも綺麗ですし、風景もファンタジーらしくて良い。少しだけ気になったのは、ピーターパンが静止した状態で浮遊するシーン。如何にもワイヤーで吊っていますという感じがして、吊られているピーター役のジェレミー君しんどそうと思いました(笑)ワイヤー・アクションて、慣れないと難しいし、痛いんですよね？管理人的見所はフック船長。実はウェンディーのパパと同じ俳優さんが演じています。(全然気付かなかった…。)他の出演者が子供ばかりなので、大人の私としては、フック船長を鑑賞して楽しむ他無かったのですがね。とてもセクシーで魅力的なフック船長なのです。普段は金髪碧眼の美青年がお好みの私ですが、ブルネットのオジサマも大人の色気がムンムンで素敵♪などと思っておりました。ウェンディーも時々妙に大人びて、ふっくらした唇は、女の私でもキスしたくなるような可憐さでした。この映画、どんな方にお勧めか悩みますが、先ずは「ピーターパン」フリークの方。これは要チェックでしょう。あとはファミリーでしょうかね。でもコメディー的要素は少ないので、あまり小さなお子様は退屈されてしまうかも。大人だけで観に行くのは、かなり厳しいものがあります。ファンタジー激ラヴと仰る方はお止めしませんが…。

  Apr 9, 2004

• 「スクール・オブ・ロック」試写しました

  ４／２９全国ロードショーです。"THE SCHOOL OF ROCK" 監督・・・リチャード・リンクレイター出演・・・ジャック・ブラック、マイク・ホワイト、ジョーン・キューザック、サラ・シルヴァーマン、他。・物語序盤・デューイは見た目は冴えないデブだが、身も心もロックに捧げるロックバカのギタリスト。しかし余りにも破天荒なプレイに客ウケは悪く、自ら結成したバンドからも追放の憂き目に。昔のバンド仲間で親友のネッドのアパートに居候していたが、金欠で家賃も全く払っていない。ネッドのガールフレンドは、デューイに激怒し、彼を追い出すようネッドに迫る。そんなある日、デューイが部屋で独りゴロゴロしている所に電話が掛かってくる。ネッドに代用教員の仕事を依頼する内容だったが、報酬に目が眩んだデューイは、ネッドの名を騙って、まんまと名門私立校の臨時教師に収まってしまう。しかしデューイに教師として働く気はゼロで、授業など全くせず、生徒には休憩ばかりさせている。そして授業時間が終わるとそそくさと帰宅し、新たなバンド仲間探しに懸命。だが誰からも相手にされず、困り果てたデューイは…。　オープニングからエンディングまで、力を抜いていませんね。オープニングの、セットそのものに書かれたキャスト名をカメラで映してゆく手法はアナログでありながら斬新でした。エンディングも、あれでは最後まで誰も立たないですよ。最後までちゃんと笑わせようという努力が凄い。ジャック・ブラックって、実際にバンド活動をしているのですね。あの体型で(笑)。およそ、ロッカーとは思えぬ、白くてぷにょぷにょの体…。歌もギターも上手い上に、天性のコメディーの才能を持っていますね。今迄殆どノーマークでしたが、興味深い俳優さんだと思いました。笑いの面では、本当に素直に笑えましたね。映画でこんなに笑ったのは久し振りです。大人でも楽しいし、子供連れでも全く問題なし。幅広い客層にお勧めできる、良質のコメディー作品でした。デューイの教え子である子供達も、とても芸達者でチャーミングでした。一人一人が個性を持っていて。厳格な女性校長のキャラクターも可愛かったですね。実はとても優しくてユーモアを愛する人なんです。個人的にとても悔やまれたのが、私がロックに関して殆ど無知な事。出てくるバンド名くらいは知っていても、曲については一度聴いたか聴いてないかというレベルなんです…。レッドツェペリンやＡＣ／ＤＣ、ジミ・ヘン、Ｔ－レックスetc.彼等の曲に精通していたら、顔がにやけてしまったでしょうねぇ。本当の意味で、この映画を堪能できなかった事が残念です。デューイのロックの歴史の授業を私も受けたいな(笑)帰路、ずっとノリノリで、ロックが聴きたくて仕方ありませんでした。たっぷり笑って、気持ちよく映画館を後にできる、そんな映画です。ちょっと落ち込んでいる貴方、心地良い笑いは如何ですか？

  Apr 8, 2004

• 「リベリオン　反逆者」　(2002)

  "EQUILIBRIUM""LIBRIUM" 監督・・・カート・ウィマー製作・・・ヤン・デ・ボン、ルーカス・フォスター出演・・・クリスチャン・ベイル、エミリー・ワトソン、テイ・ディグス、アンガス・マクファーデン、ショーン・ビーン、他。・物語序盤・第３次世界大戦が起こり、世界は壊滅的な打撃を被った。生き残った指導者達は、再び戦争が勃発せぬよう、争いの元となる人間の感情を失わせる薬品プロジウムを開発し、全人類に投与を義務付けた。結果、世界は平和になったかに見えた。しかし人間らしい感情を奪われる事に反発する者達も多く、彼等は反乱者となり抵抗を続けていた。これに対し、最高指導者である"ファーザー"は、クラリック（聖職者）の称号を持つトップクラスの警官を中心に、徹底的な取り締まりと処罰を敢行する。クラリックの一人、プレストンは冷徹に任務を遂行する非情の殺人マシン。たとえ相棒であっても、裏切り者であれば容赦なく射殺する。しかし彼の言葉が気に掛かったプレストンは、ある日誤ってプロジウムの瓶を割ってしまい、それを切っ掛けに薬の投与をやめてしまう。次第に人間の感情を取り戻してゆくプレストンだが…。銃で格闘という発想が面白いですね。一本取られたって感じでした。まあ、銃の横撃ちとか、非現実的射撃方法は許しましょう。しかしガンプレイに武術を取り入れた「ガン・カタ」って一体…。日本人が観ると、とっても恥ずかしいネーミングです。全体的に映像はとてもスタイリッシュで良い。アクションも、あの戦法自体効率が良いのか悪いのか判断しかねますが、ともかく見た目にはカッコ良かったです。ところで、クリスチャン・ベールって、郷ひろみに似てません？逞しい眉と目元が(笑)。ジャケ写を観た時に似てる！と思ったのですが。ストーリー的には、ブラッドベリの「華氏４５１度」などを思い起こさせました。この作品では人間の感情に繋がる物は、全て廃棄されるという徹底ぶりなのですが。本も音楽も絵画も、あらゆるアーティスティックな物が否定されています。(それ以前に、感情を持つ事すら否定されていますが…。)しかし、冒頭で「モナリザ」が焼却されていましたが、流石にベタ過ぎでしょう。もう少しマイナーな絵を選んでツウぶりを披露してほしかったな。ゲームソフトも廃棄されていましたね。そんなぁ、私、生きていけません(笑)。更に犬(ペット)も飼ってはいけないなんて…。もうこうなったら、私は潔くプロジウムを投与して、感情の無い人間になりますわ。モチーフとしては目新しいものはありません。人間にとっての理想郷とは何か？そもそも人間は何故生きているのか？という根本的な問い掛けです。しかし、こういう疑問が繰り返し様々な作品で取り上げられるのは、現代社会が閉塞状態にあり、破綻しかかっているという証拠でしょうね。円熟期を通り過ぎて、腐敗の進む社会。取り敢えず生きる事だけは保障されているけれど、肝心の生きる理由が見付けられない社会…。旧世紀脆くも崩れ去った社会主義国家同様、資本主義社会も終末の時を迎えつつあるのかもしれませんね。

  Apr 7, 2004

• 「ディボース・ショウ」試写しました。

  公開は4/10です。"INTOLERABLE CRUELTY" 監督・・・ジョエル・コーエン、イーサン・コーエン　出演・・・ジョージ・クルーニー、キャサリン・ゼタ＝ジョーンズ、ジェフリー・ラッシュ、セドリック・ジ・エンターテイナー、エドワード・ハーマン、他。・物語序盤・ドノヴァンはテレビ番組のプロデューサー。ある日自宅に帰ってみると、妻は若い男と浮気中だった。逆上したドノヴァンは、男に銃を向けるが、背後から妻に殴り倒された上、脚を刺されてしまう。ドノヴァンは銃を乱射し、逃亡する二人の写真を撮り、自分の傷口も証拠写真に収める。不利な状況の妻は、ロサンゼルスで活躍する離婚訴訟専門の辣腕弁護士マイルズ・マッシーの元へ相談に行く。彼は見事、訴訟に勝利した。そんな彼のもとに、妻マリリンから離婚訴訟を起こされている不動産王レックスが訪ねてくる。浮気現場をビデオに撮られているにも関わらず、１セントも払わずに済ませたいと要求するレックス。マイルズはマリリンを夕食に誘う一方で、探偵を彼女の屋敷に忍び込ませ、秘密の住所録を手に入れさせた。法廷でマイルズは、マリリンが財産目当てで結婚したと証言する男を召喚する事に成功し、まんまと勝訴してしまう。お洒落な大人のコメディーかな。上手く纏まっていて、小振りながらも良質な作品に仕上がっていました。わざわざこれの為に出向く迄もないけど、もしお友達同士やカップルで、何を観ようか決めずにお出掛けしたのなら、入ってみたら良いかも。そんな感じの映画です。クルーニー演ずる弁護士は、数年前に流行った「芸能人は歯が命」というＣＭのキャラを髣髴とさせる人物。キラキラ光る白い歯がトレードマークで、物凄く気を遣っています。とにかく彼を初めとして、全てのキャラクターがとてもお茶目で可愛い。キャサリンもいつもはお色気が暑苦しいイメージがあるのですが、この作品ではむしろキュートでした。出る度に着替えている衣装も、とても洗練されていて素敵。メインは邦題が示すように「離婚ショー」です。欧米では、特にリッチな階級の人々は、結婚前に財産についての契約をします。日本では、離婚に際して女性の貢献度が低く評価されがちですが、欧米では地域によっては、離婚すれば問答無用で全ての財産を折半にしなければなりません。たとえ一文無しでも、資産家と結婚して離婚すれば、一夜にして大金持ちになる事も夢ではないのです。これを俗に「離婚太り」というのですが、手っ取り早く金持ちになれるので、狙っている人も多い筈。これに対する資産家の対抗策として登場したのが、婚前契約(プリナップ)です。つまり離婚しても財産分与はしませんよ、という契約。スターなどは、実際にこの契約をしているカップルが多いですよね。結婚という幸福の絶頂期に、破局を迎える時の事まで確り見据えておくのは、いかにも合理的で、私は好きですけど、日本人にはまだまだ馴染まない思考でしょうね。映画は次々に事態が変化して、その度に慌てふためく弁護士マッシーが可笑しい。相棒の涙もろい弁護士は、よく分からないけどずっと泣いてるし(笑)。昼メロのプロデューサー役で出てきたジェフリー・ラッシュは、ホントに端役なのでビックリしました。でも押さえる所は、確り押さえているのですが。とにかくユーモアたっぷりの楽しい映画でした。

  Apr 6, 2004

• 「the EYE 【アイ】」　(2002・タイ、英、シンガポール)

  "THE EYE" "見鬼" 監督・・・オキサイド・パン、ダニー・パン出演・・・アンジェリカ・リー、ローレンス・チョウ、キャンディ・ロー、チャッチャー・ルチナーノン、エドムンド・チェン、ワン・スーユエン、他。 ・物語序盤・二十歳のマンは、二歳の時に失明して以来全盲だった。漸く角膜手術を受け、視力を取り戻せる事に。脳腫瘍を患って入院している同室の少女は、世界は美しいとマンに話す。期待に胸を膨らませるマンだったが、ぼやけた視界の中には、不思議な人影が映っていた。深夜、病室で目覚めたマンは、隣で寝ていた老婆が、黒い人影に連れられて部屋を出てゆくのを見る。翌日、その老婆は亡くなっていた。やがて退院したマンは、心理療法士ワ・ローの元でリハビリを受けつつ、健常者としての生活を開始する。しかし不可解な現象や人物を目にする事は一向に減らなかった。恐怖のあまり、情緒不安定に陥ってゆくマン…。角膜移植手術を受けた16歳の少女が、その１週間後に自殺を遂げた、という実際の事件をモチーフに制作された作品です。序盤、結構怖いんですよ。ひょっとして面白いかもと期待させてくれるのですが、途中から何故かだれだれになってしまいます…。その後終盤に掛けて、少し持ち直すかな、といった展開でした。でも初めホラーだったのに、最後の方はヒューマンドラマになっていて、それはそれで良いのですが。身の毛もよだつ作品を期待していると、肩透かしを食らいます。角膜を移植した事によって、普通の人には見えないモノが見えるようになってしまった女性。自分の身に置き換えて想像すると、とても怖いです。異界のモノが見えても視力が欲しいか、いっその事盲目の方が良いか…、これは究極の選択ですね。映画なら「シックス・センス」っぽい雰囲気がありました。漫画でいうなら「百鬼夜行抄」の世界です(笑)。結論から言えば、怖がらなければ良いのですが、普通の神経なら怖くて当たり前。主人公の女性も、怖くて怖くてたまりません。当然ながら、助けを求めても、頭の変な人扱い…。一体こんな厄介な目を提供したドナーは何者なんだ？という訳で、マンとローは真相究明に向かう。笑ってしまうのはロー。殆ど交流の場面も無かったのに、突然マンの執刀医であった伯父に向かって「彼女は最早、僕にとってただの患者じゃない」と言い放ちます。ええ？その決意は何処から(笑)その後、何故か眼鏡まで外してしまいます。その眼鏡は伊達だったのか？意図が分からん…。イケメン化を狙ったのかもしれないけど、どの道あまりイケてないし…。謎の心理療法士です。最後に一言。主人公のマンを演ずるアンジェリカ・リー、とっても清楚で可愛らしいです。奥菜恵に少し似ているかな。

  Apr 5, 2004

• 「アタック・ナンバーハーフ」　(2000・タイ)

  "SATREE-LEX""THE IRON LADIES" 監督・・・ヨンユット・トンコントーン　 出演・・・チャイチャーン・ニムプーンサワット、サハーパープ・ウィーラカーミン、ゴッゴーン・ベンジャーティグーン、エカーチャイ・ブーラナパーニット、ジェッダーポーン・ポンディー、他。 ・物語序盤・タイのランバーン県代表のバレーボール・チームに、新任監督ビー女史がやってきた。なんと彼女は"オナベ"。高校バレーの監督で、女性である彼女に、選手達は国体の監督の器ではないと猛反発。ビー監督は意に介さず、選手の選抜をやり直し、オカマだが実力のあるジュンとモンも抜擢する。これに激怒した選手達は、チャイを除いて皆出ていってしまった。監督はジュン達に、バレーのできる友人は居ないかと尋ねる。ジュン達は昔のバレー仲間に誘いを掛ける事に。結果、チャイ以外は全員オカマという異色チームが誕生してしまった。しかし大方の予想に反し、チームはめきめきと頭角を現し始めるのだった…。実話を元にして作られた映画です。公開当時も話題になって、わりとヒットしたような。ほのぼのコメディーですね。普通に面白かったですが、テレビで観て丁度いい位でした。吹き替えだったので、すんなり理解できたのですが、本場のタイ語も聞いてみたかったかな。コメディーに細かくケチを付けても仕方の無いのですが、「オカマ」と「ゲイ」の言葉の使い分けが好い加減で。これは翻訳者の問題とも思えるのですが。彼らは「オカマ」だと思うんですよ。でも台詞の中で、何度も「私がゲイだから云々」というものがあって。ゲイの中にオカマも含まれると言えば、理屈としては間違っていないのでしょうが、どうも引っ掛かりました。私の中のイメージなのですが、「ゲイ」は外見は男性って感じがするのです。精神的にも肉体的にも男性のままで、男性をパートナーに選ぶ人。対する「オカマ」は、見掛けからお姉ちゃんで、女言葉を使って、身も心も女の人みたいな。でも単にお姉ちゃんルックだけで、好きなのは女ってタイプのオカマさんも居ますよね。それに、これもコメディーだから目くじら立てる必要は無いのですが、オカマさん達が男性を見る度に、「男よ、男。」とはしゃぎ過ぎ。例えば女の人は、男性を見る度に胸をときめかせますか？好みのタイプの人でなければ反応しませんよ。などと気になったのは、以前テレビ番組で、軍隊に所属しているゲイの方が、他のノーマルな隊員から差別を受けていて、その時に「僕達は男の裸を見たからと言って、誰彼構わず興奮したりはしない。」と訴えていた姿が思い出されたから。ノーマルな人達は、シャワールームなどで、ゲイの人達が自分達を性的な目で見ていると抗議していたのですが、有り得ないですよね。好きでもない相手の裸に一々反応するか。この映画では、男を見る度にオカマちゃん達が「きゃー、男よ」と騒いでいたので、お笑いネタだけど、偏見が助長されそうな気がして、ちょっとだけ不愉快でした。コメディーに真剣に怒っても洒落にならないけどね。オナベの監督が、協会のお偉いさんにビシッと言ってやったシーンは、胸がスカッとしました。「貴方は考え方も最低ですが、態度も最低ですね。」って台詞。「女は台所に立っているか、さもなければベッドに居るか」という台詞の後に来る言葉ですが。

  Apr 4, 2004

• 試写予定は「ディボース・ショー」「スクール・オブ・ロック」「ピーターパン」

  「ディボース・ショー」４／１０全国ロードショー。監督はジョエル・コーエン。出演はキャサリン・ゼタ・ジョーンズ、ジョージ・クルーニー等。多額の賠償金が絡んだ離婚裁判の行方は？公式サイトhttp://www.divorce-show.jp/「スクール・オブ・ロック」４／２９全国ロードショー。監督はリチャード・リンクレーター。主演はジャック・ブラック。世間から弾き出されたロック・ミュージシャンと、エリート小学生達の織り成す笑いと涙のエンターティンメント。公式サイトhttp://schoolofrock.moviefan.jp/「ピーターパン」４／１７全国ロードショー。監督はＰ．Ｊ．ホーガン。出演はジェレミー・サンプター、ジェイソン・アイザックス他。誰もが知っている名作「ピーターパン」です。公式サイトhttp://www.sonypictures.jp/movies/peterpan/独り言。久し振りに、アクセス数で50位以内に入ったなぁ。以前は映画カテゴリーなら、100前後で入れたのに、すっかり激戦区になりましたねぇ。でも上位の人のサイトって、映画に無関係なんだけど…。それに、こんな事を言ったら叱られそうだけど、覗いてみても、大して目を引くようなコンテンツは無くて、みんな、何を見に毎日通っているんだろうと、素朴な疑問が…。謎です。

  Apr 3, 2004

• 「ＡＰＰＬＥＳＥＥＤ　アップルシード」試写しました

  ４／１７全国ロードショーです。監督・・・荒牧伸志プロデュース・・・曽利文彦原作・・・士郎正宗「アップルシード」音楽・・・Boom Boom Satellites 声の出演・・・小林愛、小杉十郎太、松岡由貴、小山茉美、子安武人、他。・物語序盤・若き女性兵士デュナン・ナッツは戦場に居た。次々に殺害される仲間達。デュナンは必死の抵抗を試みるものの、ついに攻撃を食らい、気絶してしまう。その時、戦闘用サイボーグの背後から、戦場には似つかわしくない一人の若い娘が現れた。彼女ヒトミは、デュナンの身柄を捕獲する為に遣わされたバイオロイドだった…。時は西暦2131年。世界中を巻き込んだ非核大戦は、人類に大きな爪痕を残して終結した。荒廃した世界の中で人々に唯一の希望を与えたのは、最後の理想郷“オリュンポス”。しかし、その人口の50％は、ヒト社会の安定を目的に造られたクローン人間“バイオロイド”だった。“オリュンポス”で目を覚ましたデュナンを待っていたのは、かつての恋人ブリアレオス。しかし、戦争で重傷を負った彼は、体の大半を機械化され、人間としての面影を失っていた。動揺を隠せないデュナン。ヒトミはデュナンの続けていた戦争が既に過去のものであり、人々はオリュンポスで平和に暮らしている事を説明する。フルＣＧアニメ大作です。市街の書き込みや戦闘兵器、海や水の描写は圧巻ですね。序盤から迫力ある戦闘シーンが繰り広げられます。ただキャラクターには、「トゥーンシェーダー」という技法を用いて、ＣＧをセル画風に見せるという試みをしています。これがかなり問題アリです。セルアニメ風と言っても、動きは明らかにコンピューター制御のお人形。一コマ一コマは美しいのですが、動かした途端、大きな障害が発生しました。動きが鈍くて、ぎこちなく不自然なんです。何故普通のアニメにしなかったのか、若しくは普通のＣＧにしなかったのか？このせいで折角の物語に、全く感情移入できなかったので、返す返すも惜しいです。そしてこの為に、美しい筈の背景までも作り物臭さが漂ってしまう結果に。音楽はとてもクールで良かったと思います。サウンドエフェクトも良い。ただとても気になったのが、人間の声です。バックの音とミキシングされていて、非常に聞き取りにくい。大切な事を喋っているのに、何を言っているのか聞こえません…。ＳＦなので専門用語連発なのに、聞き取れないなんて致命的。更に主人公の声の小林愛は、棒読みでしたねぇ。何故にこの人を起用したかな？ストーリー的には面白かったです。1988年に制作されたＯＶＡ版の「アップルシード」も観た事がありますが、その作品では"アップルシード"とは何ぞやという事は解説されていませんでした。今回"アップルシード"の正体が判明して、個人的にスッキリ。管理人的一番のツッコミ所は、ブリアレオスの咳き込みシーン。全身サイボーグ化されている筈なのに、死に掛けた時に、ゲホゲホと苦しそうに咳をします。実は肺だけは生身だったとか(笑)？サイボーグなんだから、もっと機械的な苦しみ方しようよ…。全体的な印象は、ＣＧ表現を極限まで追求したが為に、逆に求めた筈のリアルさを失い、作り物っぽさを感じさせてしまったという所でしょうか。「イノセンス」はキャラクターをセルで作ったので、ＣＧの背景が素晴らしく思えたのに、こちらは中途半端なセル画風キャラが背景を殺してしまいました。それと思った程、娯楽色の強い作品ではなかったですね。結構重たい雰囲気でした。場面と場面の繋ぎが上手くゆかず、ブツ切れのような印象もありました。それぞれの担当者が全力を尽くしているのに、監督の求心力が働いていないような。問題点も山積ですが、アニメーションの新たな可能性を感じる作品でした。

  Apr 2, 2004

• 「黄泉がえり」 (2002)

  監督・・・塩田明彦 原作・・・梶尾真治『黄泉がえり』新潮社刊 出演・・・草なぎ剛、竹内結子、石田ゆり子、哀川翔、山本圭壱、伊東美咲、ＲＵＩ(紫崎コウ)、田中邦衛、他。 ・物語序盤・熊本県阿蘇地方で、亡くなった人間が家族のもとに戻ってくるという現象が相次いで起きていた。死んだ時の姿そのままで戻ってきた彼らに、家族は驚きつつも喜んで迎え入れていた。東京から調査に来た、地元出身の官僚・川田平太は、この現象を「黄泉がえり」と名付ける。そんな平太は、亡くなった親友俊介の恋人だった葵と久しぶりに再会し、俊介の「黄泉がえり」を願う彼女の姿に動揺する。平太もまた、葵を密かに想っていたのだ。そして「黄泉がえり」現象の調査が進むにつれ、平太はこの現象にある法則を見出すのだったが…。公開当時、じわじわっと口コミで人気が広がって、ロングラン上映になりました。草薙くんの出演作って、ドラマもそうだけど、前評判より中身で勝負って感じですよね。キムタクがキムタク人気で視聴率を稼ぐのとは違って、中身が評価されるのは本人にとっても嬉しい事でしょう。映画の話に戻ります。泣いちゃいましたよ～笑。年寄りなので、涙腺ゆるゆるなんです。じわーっと温かくなって、良いお話でした。特にこういう設定に弱いんです。好きだけどお互い言えないとか、愛する人の幸せの為に自分の思いを抑えるとか。日本人の根底に流れている「麗しき自己犠牲」「わびさび」の心情ですよねぇ。あのヒロインが消えてしまう場面、「ファイナルファンタジーＸ」を思い出したのは私だけか…？ＲＵＩの歌、良かったのですが長すぎませんかね？そんな何曲も歌わなくても…。一曲分くらいに凝縮すれば、もっと盛り上がったと思うのですが。

  Apr 1, 2004

• 「盗聴」　(1996)

  "LISTEN" 劇場未公開作品監督・・・ギャヴィン・ワイルディング出演・・・ブルック・ラングトン、アンディ・ロマノ、サラ・バクストン、ゴードン・カリー、ジョエル・ワイナー、 エヴァン・タイラー、他。・物語序盤・サラには優しい恋人ジェイクが居たが、友人で以前恋人関係にあった女性クリスタの事も好きだった。ある日サラは自宅の電話が混線の為に、見知らぬ人々の会話を聞く事が出来ると知る。会話しているのは若い男女で、二人はテレフォンセックスに興じていた。いけないと思いつつも、しばしば二人の会話を聞いてしまうサラ。ある時、男が女を外で会おうと誘い出している会話を聞き、サラはクリスタを連れて、二人の正体を確かめに行こうと持ち掛ける。結局男の顔は見えなかったが、女の姿は確認できた。翌日、クリスタは殺人事件の新聞記事をサラに見せる。なんと被害者は例の女。そして近辺では、最近娼婦を狙った連続殺人事件が起こっていた。その後電話の発信源が、自分の住むアパートだと突き止めたサラは、怪しげな住人ランディが殺人鬼に違いないと警察に通報するが…。普通に纏まっていて、そこそこ面白いサスペンスでした。ただ有名俳優が皆無なんですよね。それで劇場未公開作品という訳ですが、この辺のレベルのサスペンスなら、劇場公開作品でもゴロゴロしてます。及第点ではないでしょうか。展開は二転三転して、連続殺人犯は誰だというのが、ストーリーの中心なのですが、私はその展開よりも人間関係が好きだったかな。主人公は男の恋人が居るのに、昔の「彼女」とも当然のように親しくしている。恋人も愛しているけど、彼女も愛している。こういう設定、個人的に好きなんですよね。私は男を好きになるのも、女を好きになるのも、どちらも自然だと思っているもので。女性とだって、セックスできるぞ、私は(笑)。だから、それを自然なスチュエーションとして描いた事が、とても良かった。クリスタの言葉で印象に残ったのは、ジェイクが所詮小説なんてフィクションだと言ったのに対して、私は自分でストーリーを作り、現実をその通りにするのと言った言葉。これがこの映画の要となる思考なんですけどね。ところで犯人は誰だったの？録画していたビデオが途中からだったので、ちょっと良く分からない部分が…。ダメダメじゃん、私。

  Mar 31, 2004

• 

  最近発売のコミックスのお話など。

  近年稀に見るひどい風邪に見舞われ、映画館へ行くどころか、自宅鑑賞もままならず、映画鑑賞日記も滞りがちになっております。漸くたまに咳込む他は回復しましたので、今日はレンタルショップに行って、ビデオを借りてきました。また映画三昧の日々を送りたいと思います。今日は久し振りにコミックネタで。最近発売されたばかりの、私のお気に入りの作品をラインナップ。 篠原烏童先生の「ファサード」の11巻。新書館・ウィングスコミックス 高橋ユキ先生の「ヴァンパイア」学習研究社・ピチコミックス三原ミツカズ先生の「死化粧師」２巻 祥伝社・フィールコミックス「ファサード」外面という意味の名を持つ青年と、彼の中に住まう五体の生命体の時空を超えた不思議な旅。今回はイギリスの有名な妖精事件をモチーフにした作品、暴君ネロを別の視点から描いた作品など、短編を集めています。しかし、この表紙は無いだろ…。子供向けメルヘン漫画みたい。ファン以外、買わないぞ…。折込ポスターのファサードは、とてもセクシーなのに。装丁って売り上げを大きく左右するんですよ。「ヴァンパイア」かつて白泉社から出ていたシリーズの続編です。孤独なヴァンパイア・アレイストの物語。繊細で蠱惑的な絵が良いです。今回はアレイストの生い立ちを描いた作品と、血の伯爵夫人を題材にした作品、他一篇を収録。アレイストって、本当に正統な血筋のヴァンパイアだったのですね(笑)「死化粧師」死者を美しく見せる技術エンバーミングを扱った作品。突き刺さるような、それでいて慈愛に満ちた精神描写が魅力。 お絵描き道具。子供の頃から、お絵描き大好き少女で、漫画家になるんだぁ、などと実力も無いのにほざいていた時期もありました。で、以前からパソコンで絵が描きたいと思っているのですが、どんな道具にしようか悩んでいます。いや、湯水のように潤沢な資金があれば、今日にでもヨドバシに出向いて、適当に買って帰ってくるんですけどね(笑)タブレットを買おうと、色々探しているのですが。一応今の候補は、WACOM社のintuos2なんです。"i-420USB"か"i-620USB"。定価23500円/36500円。激しく痛～っ。妥協して同社のfavoでも良いかなと思うのですが。"F-430"か"F-630"。定価12500円/20500円。やはり痛…。何かリコメンドがあったら教えて下さい。

  Mar 30, 2004

• 聖子・・・。いつまでも応援してるよ。

  新曲が約１年ぶりに発売されます。アルバムに至っては何年ぶりだ…？前の会社との金銭的な問題が解決しなくて、なかなかアルバム制作が進まなかったみたいなのですが。詳しい事は分かりません。取り敢えず、新曲やアルバムが出る事は喜ばしいので。でも原田さんなんだろうねぇ。彼の曲、嫌いじゃないけど、違う人の曲も歌ってほしい。彼がコーラスを歌うのも厭。原田の声って、我が強すぎて、バックコーラスには向かないんだよね。プロデューサーとして陰の人に徹してくれれば、こんな複雑な思いも消えるのに…。更に、石橋貴明とデュエットする「Smile on me」も原田だと…。せめて、企画モノはアッと驚くような人に、曲作りを依頼してくれないものですかねぇ。原田の曲じゃ、絶対に売れないもん。発売前から萎えますわ。ニュー・リリース情報。5/26 シングル「逢いたい」1500円 SRCL-57386/9 アルバム「Sunshine」初回盤 3300円 SRCL-57566/9 アルバム「Sunshine」通常盤 3100円 SRCL-5758 「逢いたい」って、また在り来たりのバラードかなぁ。こっちもタイトルだけで萎え萎え…。ファンですら萎えるんじゃ、そうでない人には見向きもされないよね。なんか無性に悲しいぞ～(ーー;)誰か救世主は居ないのか？

  Mar 29, 2004

• 「ＩＮＴＯ　ＴＨＥ　ＷＯＯＤＳ」

  ＳＡＹＡＫＡちゃん、初ミュージカル出演決定しましたね。歌や映画、ドラマでも、今ひとつブレイクできないのが残念なのですが。やはり聖子ママの名前は重過ぎます。ママは松田聖子、パパは神田正輝と、サラブレッド的な生まれで、育ちの良さが滲み出ている、礼儀正しく慎ましやかな、まさに良い子の鑑なんだけどなぁ。でもそれは芸能界で大成する要因ではないから…。今時の子って感じがしないですよね。私は穏やかで品の良い人が好みなので、とても好感を持っているけれど。人を押しのけて、私が一番可愛いのよ、と言い切れる図々しさが無いと、芸能界では厳しいのかなぁ。ブリブリのアイドル顔でもないし。取り敢えず、ミュージカルの役を勝ち取ったという事で、頑張りに期待してます。「ＩＮＴＯ　ＴＨＥ　ＷＯＯＤＳ」は６月９日～２６日、新国立劇場で公演予定との事。東京じゃとても観に行けませんわ…。凄く観たい公演て、いつも東京ばかりで。やはり演劇は東京なんですねぇ。地方公演もしてほしいです。宮本亜門演出の、ソンドハイムのブロードウェーミュージカル第２弾。ＳＡＹＡＫＡは「赤ずきんちゃん」役との事です。今は専属のボイストレーナーに付いて特訓中らしいです。約５分間、ソロで歌うシーンもあるみたい。他の主な出演者は小堺一機、藤田弓子など。頑張れ、ＳＡＹＡＫＡ。応援してるよ～！

  Mar 27, 2004

• 映画に行けなかった・・・

  無料券があるので、今日までの「レジェンド・オブ・メキシコ」を観に行こうと決意していたのですが、やはり病状が芳しくない。途中で咳き込んだら、他の方に迷惑ですものね。自分も途中退席などしては、折角の映画が台無し…。という事で、泣く泣く映画鑑賞は中止。基本的に映画は一人で行くので、ドタキャンで迷惑を掛けなかった事は幸いでしたが。誰かと約束していたら、無理してでも行ったでしょうねぇ。映画館復帰は「アップルシード」試写会になりそうです。これは人を誘っているので、絶対に行きます。まだ先なので、ちょっと寂しい。

  Mar 26, 2004

• 「ボーイズ・ドント・クライ」　(1999)

  "BOYS DON'T CRY" 監督・・・キンバリー・ピアース　　 出演・・・ヒラリー・スワンク、クロエ・セヴィニー、ピーター・サースガード、ブレンダン・セクストン三世、ジャネッタ・アーネット、他。 ・物語序盤・1993年、ネブラスカ州リンカーン。20歳になるブランドンは、男装して外出する準備をしていた。従兄のロニーはたちの悪い連中も居て危険だと警告するが、ブランドンは全く聞き入れない。ブランドンはフォールズ・シティへと向い、地元のバーでラナと出会い恋に落ちる。しかし、ある事件を切っ掛けに、ブランドンの秘密が知れ渡った時、悲劇が始まってしまう…。ヒラリー・スワンクがアカデミー主演女優賞を受賞した作品。実話を元にした作品で、性同一性障害を扱った作品。ヘタレな私は、精神的打撃を受けるのが怖くて、ビデオに録画したまま放置しておりました。先に結末まで荒筋を読んで予習。どんな悲惨な出来事が起こっても動じないように、心の準備をして鑑賞。アイタタァ。何故人間は、自分達と異なるものを許容できないのだろう？嫌いなのは仕方が無い。何を好きになるか嫌いになるかは、個人の自由だ。でも嫌いだからといって、相手を暴力で捻じ伏せ、抹殺してしまおうという思考は、何処から生まれてくるのだろうか？これは人間の生物としての本能に基づいているのだろう。群れを作って生活する動物にとって、群れのルールに従わない者は、群れの秩序を乱し、群れを危険に晒す。だから排除しなければならない。現代社会になり、人間は文明を発達させた。人々は自己を確立し、己の望む生き方を選ぶ自由と権利を勝ち得た。そう言われている。だがそれは真実なのか？自分が自分らしく生きる、こんな簡単な事すら、未だに困難ではないのか？自由が保証されているエリアは、実はひどく狭い。そこから一歩でも踏み出せば、たちどころに周囲から迫害され、生きる事すら危うくなる。それが現実の社会。主人公は女として生まれたが、心は男だった。だから男として生きたかった。「男」が女を好きになるのは、ごく当たり前の事。ブランドンは、最も自然な生き方を望んだだけ。でも周囲からは、変態としてしか見られない。そして異端者を許せない者達は、「彼」に寄ってたかって、残酷な迫害を加える…。とても哀しい現実を再確認させてくれる映画だった。ヒラリー・スワンクは本当に男の子に見えますね。元々美女タイプではありませんが。映画の構成は、何度も時間が行ったり来たりして、ちょっと前後関係が分かりづらい面もありました。もう少しストレートに描いた方が良かったかも。

  Mar 25, 2004

• 「アップルシード」行けるのか・・・

  次の試写予定は「アップルシード」。士郎正宗氏原作コミックの映画化です。現在同氏の原作作品である「イノセンス」も公開中で、何気に儲かってるのか、士郎さん？「イノセンス」の興行は、予想通り苦戦しているらしいですが、前作も海外の方が評価が高かったので、海外での巻き返しを期待したいところです。でないと、次の押井作品が観られない…。ご本人もかなり消耗しきったご様子で、次回作の事など考えられる状況じゃないかもしれませんが。「アップルシード」も早々と海外での配給が決定されていますね。予告編を観ましたが、映像は素晴らしかったです。でもキャラクターの顔立ちが、士郎氏の原作と掛け離れているのが気になる…。随分前ですが、一度ＯＶＡ化されましたよね。あれが結構好きだったので、今回の雰囲気がとても気になります。その前に、風邪を治せって感じですが。映画のオフィシャルサイトアップルシード４／１７全国ロードショー

  Mar 24, 2004

• 「処刑人」　(1999)

  風邪で相変わらず、逝っちゃってます…苦。快方に向かっている気がしますが。しかし借りたビデオは、確り観て返さないと、という事で。"THE BOONDOCK SAINTS" 監督・・・トロイ・ダフィー出演・・・ショーン・パトリック・フラナリー、ノーマン・リーダス、ウィレム・デフォー、デヴィッド・デラ・ロッコ、ビリー・コノリー、デヴィッド・フェリー、他。　・物語序盤・サウスボストンに住むコナーとマーフィーのマクマナス兄弟。二人は行きつけのバーで、仲間と共にロシアン・マフィアとトラブルを起こす。翌日、自宅を襲撃された二人は、相手を殺してしてしまう。二人は警察に出頭したが、事件は正当防衛が認められ、無事釈放される。しかし留置場の中で彼らは、神から“悪人を処刑せよ”との啓示を受けていた。出所した兄弟は早速大量の武器を調達し、ロシアン・マフィアのボスが集まるホテルへ向かうが…。もう少し痛快ですっきりした気分になれる映画かと思っていました。確かに二人の思考にはいっちゃってる感があるのですが、爽快さを感じさせるには何かが足りない…。この手の映画なら、小手先の技など考えずに、直球１本勝負で良かったのではないでしょうか？つまり、ひたすら極悪人どもを処刑してまわる。この作品の場合、時間を何度も戻して、前のシーンを解説する手法を用いているのですが、これが逆に痛快さを削いでしまう形に…。「狼よ、さらば」に影響を受けているらしい二人組なのですが、どうもすっきりしません。仲間に間抜けな男を加えた事もマイナスだったかも。自分の嫌悪感だけで、殺す相手を決めているので、今ひとつ共感できません。誰が見ても「こいつは粛清されるべき」と思える極悪人を作ってくれれば、すっとした気分になれたのに。殺し屋を殺したりして、何をしたいんだか…。結局最後まで、何だったんだろうという気持ちが残ってしまいました。この映画で触れるべきは、刑事役のウィレム・デフォーでしょうかね。怪優と呼ばれて久しい彼ですが、この作品でも主役二人を完全に食って、自分の映画のように振舞っています。初登場シーンから、クラシックを聴きながら、殺人現場での捜査を開始して、危ない奴を思わせます。陶酔して、踊りだしたり(笑)。カマ野郎と何度も言うくせに、実は自分がホモだったり。まさに独壇場でしたね。逆に言えば、彼のせいで、映画の痛快さが邪魔された感もありますが。ここで問題です。この映画中、"Fuck"という単語は、何回発せられたでしょう？答えは各自でカウントして下さい。こんなに"Fuck"を連発する映画も珍しいです。

  Mar 23, 2004

• 「アナザヘヴン」　(2000)

  監督・・・飯田譲治 出演・・・江口洋介、市川実和子、原田芳雄、柏原崇、松雪泰子、柄本明、他。 ・物語序盤・ とあるアパートの一室で殺人事件が発生した。捜査に当っていた警官が発見したのは、シチューの中で煮られていた被害者の脳。猟奇殺人はこれに留まらず、同様の手口で次々に殺人事件が続発。そんなある晩、一人の若い女がバーで男を物色していた。彼女が目を付けたのは三人組の男。暫く後、一人の男の家に上がりこんでいた女は、料理の仕度をしていた。男達は女とのセックスに期待を膨らませていたが、女は突如男の首を怪力でへし折った。そしてもう一人の男にも襲い掛かる。その後、女は家出中の女子大生である事が判明する。生き残った一人の被害者の供述で、その女が連続猟奇殺人事件の犯人と断定されるが、不思議な事に、彼女もまた自分の脳を失っていた。事件を捜査していた刑事の早瀬は、この事件の裏側には、人知を超えた存在が関わっているのではないかと疑い始める。同じ世界観を使って、ドラマ・映画を同時進行させる“メディア・コンプレックス”という企画で作られた作品です。久し振りに「やっちゃいましたね～」感たっぷりの地雷映画を観てしまいました。以前から不評だったので、テレビで放送したらチェックしておこうと思っていたのですが。何処をどうしたら、もう少し観られる映画になるでしょうか？日本でサイコ(＋ＳＦホラー)を作ると、大抵大コケしますが、これも見事にこけてくれてます。ハリウッド映画を意識しすぎなんじゃないですかね。俺達もアメリカに負けない映画を作れるんだぜ、という妙に背負った感覚が…。結果として、猿真似に終わって、悪い部分だけが目に付くという悪循環を感じました。原田芳雄の演じる、主人公の相棒の刑事のキャラクターが寒すぎです。軽妙な口調で懐の大きなベテラン刑事を演出したい気持ちは解るのですが、こういうキャラを成功させるのって、実はとても難しいんですよね。一歩間違えば、ただの恥ずかしい勘違い野郎になる訳で…。ここは無難に、シリアス一辺倒の真面目刑事にしておくべきだった。ラストの彼も噴飯モノでしたよね。早瀬は朝子だけ助けて、てっきり彼は焼死したのかと思いきや、平然とした顔で出てきました。背中大やけどだろ、普通に喋るな～(爆)！人間以外の何かが犯人という事も、皆簡単に受け入れすぎでした。今時の刑事が、そんな非科学的な事を鵜呑みにする時点で違和感が爆発。せめて早瀬一人が「なにか」の存在に気付いて、周囲から相手にされぬまま、孤軍奮闘するという設定にしてくれれば、まだ信憑性もあったのに。「模倣犯」を観た時も、凄い映画だなぁと思いましたが、あれに匹敵する凄さですね。こんな映画に出なければ食い繋げない日本の俳優さん達の不幸を憐れみます。加藤晴彦とか、何しに出てきたの？汚点を残しにきたとしか思えない…。

  Mar 22, 2004

• 風邪で死んでます

  管理人、風邪の為、瀕死状態…。日記は少しの間、お休みします。昔から喉が弱くて、風邪を引くと、咳が尋常ではないほど出るんですよね。医者に行くと、決まって喘息じゃないですか？と訊かれる位。喘息じゃないんです。風邪なんです。今日は一日中、引っ切り無しに出て、流石に肺が痛くなってきました。疲労しているので意識が遠のくのですが、すぐに咳が出て起こされるという繰り返し。吐いてしまうので、便器と向かい合って座ってます。今回はあまりにヒドイので、肺炎にでもなったのかとマジで心配になりましたが、高熱は出ないので、気管支炎くらいなのかなぁと。明日、病院に行くかも。映画に行きたいよぅ…。

  Mar 21, 2004

• ＰＳ２「キャッスルヴァニア」ホラー？

  プラットフォーム・・・プレイステーション2 発売元・・・ＫＯＮＡＭＩジャンル・・・３Ｄムチムチアクション(笑) 定価・・・６９８０円 発売日・・・2003年11月27日 悪魔城ドラキュラ・シリーズとして有名なアクションゲームのＰＳ２版ソフトです。悪魔城ドラキュラシリーズの連綿たる歴史については、ここをご参照下さい。悪魔城シリーズの概略シリーズ・オフィシャル・サイト主人公が武器である鞭でもって、並み居るモンスター達をしばき倒して進んで行くゲームです。敵がヴァンパイアとその眷属達という事で、一応「ホラー」というジャンルに入れても良いのかなと。怖いかと言うと、怖くないですけど。メインの武器が「鞭」というのは珍しいですよね。私はこのシリーズ、これが初プレイだったので、余計に新鮮な感じがしました。雰囲気としては「デビル・メイ・クライ」に似ています。時代は１１世紀ヨーロッパ、主人公は騎士団を率いる男爵レオンという事で、ゴシックな世界を想像して頂ければ良いでしょう。最愛の婚約者サラを、ヴァンパイア・ヴァルターに誘拐されてしまったレオン。しかしヴァンパイア退治よりも異教徒の征伐に力を注いでいた教会は、レオンの単独行動を許さなかった。彼は全てを捨て、サラの救出に向かう…。って剣まで捨てて来るなよ～！(爆)丸腰でどうする気なんですか？マジな顔して笑かしてくれます、レオン君。鞭で敵を倒すのは楽しいのですが、鞭は武器としてのみ使用するのではありません。移動手段としても利用しなければならないのです。これがコツを掴むまで、結構難関です。ジャンプボタンを二度押しで、二段ジャンプ。その後、鞭ボタンで手摺りや鉄棒に鞭を引っ掛けて飛び上がる。ゲーム序盤にチュートリアルがありますが、実戦で迅速に使えるようになるには、ちょっと慣れが必要ですね。サブ・ウェポンとして五種類の武器が用意されていますが、携帯できるのは一種類のみというのが不親切。新しいサブ・ウェポンを取ると、持っていた武器は捨てなければなりません。何処でも切り替えが出来れば、攻撃の幅が広がるのに残念です。難易度を上げる意図でしょうが、多彩な攻撃を繰り出せる快適性の方を重視してほしかったですね。助かる点はセーブポイントに行けば、体力が全快する事。甘いと言えば甘いのですが、個人的には嬉しいシステムです。

  Mar 19, 2004

• 「ダークネス」　(2002　西・米)

  "DARKNESS" 監督・・・ジャウマ・バラゲロ出演・・・アンナ・パキン、レナ・オリン、イアン・グレン、ジャンカルロ・ジャンニーニ、フェレ・マルティネス、他。・物語序盤・スペイン郊外。七人の子供達が失踪する事件が発生した。暫く後、一人の子供・マークだけが生還するものの、彼は恐怖のあまり事件の記憶を失っていた。それから四十年…。事件後両親の離婚により、アメリカに移住していたマークは、妻と二人の子を連れて故郷の町に戻ってきた。医師である祖父アルベルトも暮らしている町である。マークの娘レジーナは、近隣に家も無い田舎の一軒家での生活に不安を覚え、アメリカに帰国したいと願っていた。というのも、マークは特殊な神経症を患っていたのである。母メアリーは何も心配要らないと取り合わないが、マークは激しい発作を起こし、その後徐々に情緒不安定になってゆく。家では毎晩、原因不明の停電が続き、幼い弟ポールも怯え始めた。全ての元凶は家にあるのではないかと察知したレジーナは、恋人のカルロスと共に調査を開始するが…。普通のホラーでしたね(笑)。でもまあ、それなりに楽しかったです。作品自体は怖くないんですけど、一つだけ不気味だったのは、レナ・オリン扮する母親のキャラクター。心が読めません。家族を愛してはいるのでしょうが、ひどく冷淡だったりと、一筋縄ではゆかない性格。家族を心配して独り奮戦するレジーナに向かって、自分達の幸せを妬んでいるだけと言ってみたり、出て行けば良いと目の前で玄関の扉を閉ざしたりと、所々で冷酷な一面を垣間見せます。おろおろして泣き喚くだけの、在り来たりな設定にしなかったのは正解ですね。存在そのものが不気味です。これも家のせいなのかもしれませんが。物語そのものは良くある「家モノ」です。呪われた忌まわしき家に踏み入ったが為に、次々と怪奇現象に襲われる一家。ある者は精神に異常を来たし、ある者は傷付けられ、そしてある者は敢然と立ち向かおうとする…。ストーリー的にも、結局宗教絡みで新鮮味に欠けます。事件の真相も、何となくそうかなぁと思った通りで…。結末はある意味、ホラーとしてあるべき幕引きで、私は好きでしたけど。アンナ・パキンは「ピアノ・レッスン」の子役だったのですね。子供の成長は早い…笑。何処かで見た顔だと思ったら、「Ｘ－ＭＥＮ」シリーズにも出演していましたね。　

  Mar 18, 2004

• 「ラン・ローラ・ラン」 (1998・独)

  "Lola Rennt" 監督・・・トム・ティクヴァ 出演・・・フランカ・ポテンテ、モーリッツ・ブライブトロイ、ハーバート・ナップ、ニナ・ペトリ、アーミン・ローデ、他。　・物語序盤・ベルリン。午前11時40分。自宅に居るローラの元に電話が掛かる。相手はローラの恋人のマニ。彼は裏金をボスの元に届ける途中、電車の中に１０万マルク入りの袋を置き忘れてきたと言うのだ。昼までに金を用意しなければ、ボスに殺されるので、スーパーに強盗に入るというマニを説得して、あと二十分で金を都合すると約束するローラ。ローラは必死に考え、銀行の頭取である父親に頼みに行く事に。ベルリンの街を全速力で走り抜けるローラだが…。公開当時、話題になりましたね。ミニシアター系は余程の事がないと映画館まで出向かないので、これも今迄鑑賞していませんでした。ただ予想よりもずっと普通の映画でしたね。もっと前衛的な作品だと思っていました。ある意味肩透かしでしたが、一般客にも観易い映画と言えるでしょうか。内容について語ってしまうと、面白みが欠けてしまうので、あまり触れないようにしますが、あと二十分しかないという状況で、どうやって引っ張るのかなと思っていたら、始まって半時間ほどで「え？」という展開に。あまり目新しい物は感じませんでしたが、中々面白い映画でした。ともかく全力疾走するローラ役のポテンテの頑張りに拍手。走る姿が綺麗ですね。赤い髪も蓮っ葉な感じで良いですし。あちこちで出会う通行人のその後を、スナップ写真形式で見せる手法も面白い。アニメなども一部使われていて、ミュージック・クリップのような感覚です。ノリの良い音楽が、物語のテンポを上手く演出していたと思います。

  Mar 17, 2004

• 「戦火の勇気」　(1996)

  "COURAGE UNDER FIRE" 監督・・・エドワード・ズウィック　出演・・・デンゼル・ワシントン、メグ・ライアン、ルー・ダイアモンド・フィリップス、マイケル・モリアーティ、スコット・グレン、マット・デイモン、他。・物語序盤・サーリング大佐は、湾岸戦争の際、戦車部隊を指揮していたが、味方の戦車を誤射して部下を死亡させたという苦い過去を背負っていた。だが彼の上官はこの事実を隠蔽し、サーリングは皮肉にも勲章を授与された。自分を許せないサーリングの心は荒み、酒に溺れ、妻との仲もギクシャクしてゆく。そんな折、彼は名誉勲章候補者の調査命令を受けた。候補者は湾岸戦争で戦死した、ヘリのパイロット、ウォーデン大尉。女性であり母親であったウォーデンが勲章を授与されれば、初の女性受勲者となり、良い政治宣伝になると、大統領も乗り気であった。しかしサーリングが調査を進めるに従って、当時の関係者達の証言が食い違いが浮かび上がってくる。彼女は本当に英雄だったのか…？この映画、とても好きなんです。ラブコメ専門女優のようなメグ・ライアンが、新境地を見せてくれて、こういう役柄もこなせる役者なのかと見直した作品。既に死亡している軍人という特殊な役柄を見事に演じきっていました。何故か噛み合わず、不透明な感覚を残す関係者達の証言。撃墜されたヘリに同乗していたカレンの部下達は、一体何を隠そうとしているのか。ナパーム弾が投下され、辺りが火の海になる寸前に響いた銃声が意味するものは？衛生兵役で出ていたマット・デイモンが、何だかほっそりして見えました。今より痩せていたのでしょうか？ルー・ダイヤモンド・フィリップスは「ペンタグラム」の印象が強いのですが、ここでは鍛え上げられた肉体美を披露しています。脇役ですが、難しい役どころを上手く演じていました。人は一瞬の判断で、道を踏み外し、取り返しの付かない悲劇を招いてしまう。その結果、それまで堅実に歩んできた人生も、積み上げてきた実績も全てが崩壊する。もしも自分の選択によって、それが回避できる可能性が残されているとしたら、人は何処まで自分自身の正義と公正を貫けるだろうか？何か不祥事が起こる度に、隠蔽工作などが取り沙汰されますが、誰しも自分のミスは隠したいもの。それが命取りになるようなミスならば尚更…。一体どれだけの人が、自分の全てを差し出して、潔く相手に償う事ができるのでしょう。私にはその勇気があるでしょうか？色々と考えさせられる作品でした。

  Mar 16, 2004

• 「キリング・ミー・ソフトリー」　(2001)

  "KILLING ME SOFTLY" 監督・・・チェン・カイコー原作： ニッキ・フレンチ（角川書店刊『優しく殺して』） 出演・・・ヘザー・グレアム、ジョセフ・ファインズ、ナターシャ・マケルホーン、イアン・ハート、他。・物語序盤・ロンドン在住のアメリカ人アリスは、優秀なウェブデザイナー。優しい恋人と同棲して、安定した幸福な日々を送っていた。ある朝、交差点で信号待ちをしていたアリスは、見知らぬ男と視線を交わす。自分でも不思議だが、彼から目が離せない。彼の事が頭から離れないアリスは、職場を抜け出して、男の行方を追う。書店で彼を見付けたアリスは、男と共にタクシーで彼の自宅へ。そして相手の素性も知らぬまま、情交を交わしてしまう。一度きりの火遊びと自分に言い聞かせるアリスだが、それ以降著名な登山家である彼アダムに溺れてゆく。そして彼女は激情の赴くままに、恋人を捨てて、アダムと共に暮らすようになるが…。どうも全てにおいて中途半端な映画だなぁという気持ちが、観ている間からしていました。観終わった後の感想も同じく。序盤から中盤に掛けての展開は、「ナインハーフ」を思わせました。でもヒロインが見知らぬ男に惹かれてゆく過程が、無理矢理過ぎて納得がゆきません。抗いがたい魅力に理性を失ってしまうという事はあります。ただこの作品においては、その表現が稚拙で共感が出来ません。偶然会った見知らぬ男を探して、仕事を放り出して外へ出ますか？そんなに飢えてるのか、この女は？という冷めた目でしか見られない。観客もドキッとさせる、魔性の男の魅力を見せてほしかったですね。そしてエロティシズムについても中途半端。過激なセックスというのは、結局台詞の中にしか無くて、ごく普通の濡れ場しかありません。この辺でも今時の作品のくせに、「ナインハーフ」に遠く及びません。全く狂気を感じられないんですよね。過激な性を謳いながら、逆に性的描写における中国人の保守性を感じさせてしまったのは皮肉です。中盤からサスペンス色が強くなってくるのですが、展開もありきたりで、心に突き刺さるような鋭利で斬新な切り口は全くありませんでした。原作の流れという制約はあるとしても、監督の力量不足を感じずにはいられません。チェン監督は、ハリウッド進出第一作目という事ですので、これからハリウッド的手法を勉強といった所でしょうかね。結局、予定外の、ヒロインの軽佻浮薄さだけが印象に残ってしまうという結末。この辺もはっきり言って下手ですね。

  Mar 15, 2004

• 「裸足の１５００マイル」　(2002・濠)

  "RABBIT-PROOF FENCE" 監督・・・フィリップ・ノイス原作・・・ドリス・ピルキングトン 出演・・・エヴァーリン・サンピ、ローラ・モナガン、ティアナ・サンズベリー、ケネス・ブラナー、デヴィッド・ガルピリル　・物語序盤・オーストラリアには多くの白人達が移住してきていた。当然のように増加する原住民と白人の混血児。1931年、西オーストラリアのジガロング。14歳のアボリジニと白人の混血児であるモリーは、８歳になる妹のデイジー、従姉妹で10歳のグレーシー達と、質素ながらも平穏で幸福な毎日を送っていた。しかしある日、アボリジニ保護局の職員が彼等の前に現れる。当時の政府は、アボリジニと白人の混血児達を強制的に施設へと収容し、白人社会に適合させる政策を取っていた。モリー達は母親の必死の抵抗も空しく、職員の男に拉致され、遠く離れた隔離施設に収容される。施設では多くの子供達が白人の教育を受けていた。話して良いのは英語のみ。全てが白人至上主義で回っている環境だった…。これは実話です。主人公の娘の執筆を基に作られています。でも邦題はちょっぴり変。「裸足」じゃなくて、ちゃんと靴履いてます(笑)白人の専横・独善極まれり、という一例でしょうか。いやはや狩猟民族は怖いですねぇ。他人の領域を占領して、自分達の価値観を押し付け、奴隷のように使役する。もっと野菜を食べて、心を穏やかにしようよ白人さんと言いたくなる映画でした。今も変わりありませんが、どうしてアングロサクソンという民族は、自分達が最も優れた人種だと思い上がっているのでしょうね？民主主義最高？キリスト教最高？白人的文明社会最高ですか？自分を絶対的善だと信じ込めるというのは、ある意味幸福なのですが。しかし裏を返せば、周囲の者達はそいつのせいで、多大な迷惑を被っているという事で…。幼い子供達を無理矢理親から引き離して、自分達の文化を強制する事が、憐れで愚かな彼らにとって至福の施しであると信じて疑わない男ネビル。収容所の子供達から、デビルと渾名されている彼は、まさに白人達の絶対的権力の象徴。自覚の無い悪行ほど恐ろしいものはありません。彼は子供達にとって救世主なのです。少なくとも彼の心にある理想郷の中においては…。ネビルが愚かな原始人と蔑むアボリジニの、それもまだ年端も行かない少女達が、追っ手の網を巧妙に掻い潜ってゆく姿が良いですね。本当に蒙昧で頑迷なのはどちらなのか？逃亡先で出会う様々な人々が、白人・現地人問わず、彼等の手助けをしてくれた事は救いでしたが、でもそれは彼らがまだ幼い子供達だったからだという事も大きな理由。もし成熟した若い娘だったら、途中で出てきたアボリジニの娘のように扱われたかもしれないと思うと、少し複雑な思いでした。また彼女らを追跡する現地人の男の複雑な立場も、見ていて哀しい。本来なら白人の命令など聞きたくないだろうが、黙々と逃亡する子供達を施設に連れ戻す男。彼が最後に見せた微笑には、決して口外しない本心が隠されている…。映画の最後に語られる、その後のモリーの半生もまた一筋縄ではゆきません。丁度彼等のように、アボリジニとしてのアイデンティティーを否定されて育った人々を「盗まれた世代」と呼ぶそうですが、少なくともモリーの自尊心だけは誰も盗めなかったのですね。白人達が作った兎避けのフェンスを利用して逃亡する少女達に、権力に胡坐をかく支配者の持ち物すら自分達の道具として使いこなしてしまう、弱者の強かな知恵を感じました。力で心は支配できない、そう信じたいですね。

  Mar 14, 2004

• 今更ですが「ＳＩＲＥＮ」プレイ中です

  昨年の発売時には、その怖すぎるＣＭにクレームの電話が入り、放送が中止になったというＰＳ２のホラーゲームです。漸く入手して、只今攻略中。噂通り、難しい！でも怖くはないですね。そんな事を感じる余裕が無いです。気が付いたら死んでるし…笑。何故自分が死んだのかすら判らぬままゲームオーバーの連続…泣。敵の視界から物を見るという独自のシステム『視界ジャック』が重要な鍵を握るのですが、これがまた難しい。こちらは地理に不案内で、相手が見ている景色が何処なのかが分からないんですから。更に自分の位置がマップ上に出ないのも痛い。ただでさえ地理が判らない所に、屍人に追われて逃げ惑っていたら、完全に迷子状態です。そして気が付くと、抵抗する事も叶わぬまま、ぼこぼこにされてゲームオーバー。また、連れが殺されてゲームオーバーのパターンも、かなり多いです。パートナーの行動もプレイヤーが指示を出さないといけないので、慣れるまではとても煩わしいです。ただ暫くやっていると、徐々に面白くなってきますね。何度も死んでいる内に、敵の位置や行動パターンが理解できてきて、クリアできるようになります。その繰り返しなので、腕よりも忍耐力が要求されるゲームと言えるでしょう。サイレン小屋に入った時、サイレンを調べたら、「サイレンを鳴らす」という選択肢があったので思わず鳴らしたら、屍人がうようよと集まってきて、袋にされました(笑)。非道なトラップです。意味も無く「叫ぶ」のも楽しいですよ。待ち伏せて、のこのこやって来た屍人を射殺。しめしめ。でも暫くすると生き返ってくるんですよね。さっきまでここに倒れていた筈なのに、いつの間にか後ろを取られていたり。そうそう、視界ジャックで見ている屍人の視界に、自分の姿が見えた時は怖いです。「うぉぉっ、向かってきてる。やべぇ、やられる～！」って感じで。動転して、全然違うボタンを押したりして、はい、勿論死にますとも(笑)。単にクリアするだけではなくて、別のシナリオに繋げる為には色々な行動が必要なのですが、死ぬのが厭で、ついつい最短距離でクリアしてしまいます。取り敢えずは、最短でクリアを目指して、二周目で色々やってみようかなと思っておりますが。

  Mar 13, 2004

• 「アンダー・サスピション」　(2000)

  "UNDER SUSPICION" 監督・・・スティーヴン・ホプキンス原作・・・ジョン・ウェインライト出演・・・ジーン・ハックマン、モーガン・フリーマン、トーマス・ジェーン、モニカ・ベルッチ、他。・物語序盤・プエルトリコの港町サンファンは、フェスティバルで賑わっていた。法曹界で成功した税務弁護士のヘンリー・ハーストは、美しい妻シャンタルと優雅な暮らしをしていた。パーティーに出掛ける直前、ハーストは友人で警察署長を務めるヴィクターに警察署に呼び出される。ハーストは数日前、朝のジョギング中に殺害された少女の遺体を発見し、警察に通報していた。彼の供述に不審な点があるとして、ヴィクターはハーストに当日の行動を質問する。ハーストの話は二転三転し、尋問に立ち会ったオーエンス刑事はあからさまに彼を疑うが…。最初から最後まで、舞台の殆どが取調室の中という、精神的な圧迫感のある映画だった。夫婦の仲が壊れるには、色々な理由がある。誰もが納得するような重大な背信行為が原因の場合もある。だが破綻の発端は、ごく些細な出来事である事が多いのではなかろうか？ちょっとした行き違い、つまらない意地の張り合い。それがいつしか、二人の間に修復しようのない亀裂を生じさせる。互いに心の何処かで、相手を思い遣りながらも、自分から積極的に歩み寄ろうとはしない。この作品に出てくる夫婦を隔てるものは、１８メートルの廊下だった。表立って衝突する事もなく、互いを隔絶する長い廊下に、侘しさを感じながらも、一方で暗い安堵を覚えている二人。互いに本音を吐露し合えば、全てが壊れてしまうのは明白であるから。どちらも決して幸福ではない。だが少なくとも、社会的・経済的に満たされている今の環境を壊すよりは、心を押し隠す事の方がベターなのだ。最後まで観ても、あまり救いは無い。一度入ってしまった罅は決して消えない…。どんなに上手く張り合わせたとしても、たとえ他の誰からも見えないとしても、そこに傷跡がある事を自分達自身が一番自覚しているから。それでも二人には、これから先も、完全にそれを破壊してしまう勇気は持てないだろう。殺人事件の嫌疑を掛けられるという危機的状況において、露呈する夫婦の真の姿…。どちらかが悪魔的に悪い訳ではない。どちらも人並みに少しずつ悪いのだ。これはサスペンスというより、夫婦のあり方を描いた作品だと思った。ご夫婦での鑑賞、特にお互い会話も途切れがちな倦怠期のご夫婦での鑑賞はお勧めしません…笑。

  Mar 12, 2004

• 「レッド・バイオリン」　(1998　伊・加)

  "THE RED VIOLIN" 監督・・・フランソワ・ジラール音楽・・・ジョン・コリリアーノ 出演・・・サミュエル・Ｌ・ジャクソン、カルロ・チェッキ、イレーヌ・グラジオリ、クリストフ・コンツェ、ジャン＝リュック・ビドー、他。・物語序盤・モントリオールでのとあるオークション会場。本日の目玉商品である、名器『レッド・ヴァイオリン』が競売に掛けられていた。時を遡り、1681年のイタリア。名人であるバイオリン職人・ニコロ・ブソッティが、もうすぐ生まれてくる我が子の為に、一挺の特別なバイオリンを作っていた。しかし妻は難産の末に命を落とし、嬰児も死亡するという最悪の結果に。深い悲しみの中で、彼はそのヴァイオリンを仕上げた。それから百年余りの時が流れる。レッド・ヴァイオリンはとある修道院の所有となっていた…。人に運命があるのなら、全ての物にもそれぞれの運命がある…。幾度も危機に瀕しながら、長い時の流れを越えて行く一挺のヴァイオリンの物語です。主人公はヴァイオリン、そしてそれに関わる多くの人々。イタリアで生まれ、オーストリア、イギリス、中国と巡り、カナダで競売に掛けられるヴァイオリン。それは、それぞれの土地で様々な人々と出会い、彼等の心の中で一つ一つの物語となり、愛着という名の記憶として受け継がれてゆく。ヴァイオリンに関わる人々のエピソードを、短い時間で巧みに描いていますね。ジラール監督は短編映画出身との事だけあって、短時間にエッセンスを凝縮させる技術に長けています。何度も繰り返し映し出されるオークションの模様。少しずつ時間がずれていたり、観る角度が違っていたりして、その度に前に出てきた台詞や場面の裏側の真実を知る事ができます。この辺りの手法も上手いなと思わせました。その他、ヴァイオインが何故レッド・ヴァイオリンになったのか等、全ての真相を観せる為に、何度も時間軸の移動が行われます。そしてヴァイオリン自身の、数奇な流転の運命を暗示するかのようなタロット占いのカード…。全体を通じて静かなゆったりとした雰囲気で展開する映画ですが、ラスト近くは少しハラハラする場面もあります。ヴァイオリンの鑑定士がキー・マンなのですが、冷静に考えるとあの結末で良いのか…？(笑)でも悪魔のような魅力を持つヴァイオリンの宿命としては、あれが相応しいのでしょうね。ところで物語とは関係無いのですが、オークションの値段の上げ方って分からないんですよ。参加者は手持ちの番号札を上げるか挙手して、競り上げてゆくのですが、価格の単位をどうやって指定しているのでしょうか？例えば、120万ドルから130万ドルに上がった後、130万5千ドルに上がるなど。10万上げるとか、はたまた20万上げるとか、オークション・マスターはどうやって見分けているのですか？貧乏人なので、オークション会場になど恐れ多くて足を踏み入れた事が無いのですが、昔からこれが不思議で。どなたか教えて下さい…。

  Mar 11, 2004

• 「ザ・セル」　(2000)

  "THE CELL" 監督・・・ターセム・シン　 出演・・・ジェニファー・ロペス、ヴィンス・ヴォーン、ヴィンセント・ドノフリオ、マリアンヌ・ジャン＝バプティスト、他。・物語序盤・アメリカはシカゴ郊外にあるキャンベル研究所。そこでは人間の潜在意識に潜入する技術を研究していた。研究所のスタッフで心理学者のキャサリンは、エドワードという長年昏睡状態である少年の意識にコンタクトを取っていた。しかし目立った成果も上げられず、出資者である少年の両親から、研究の中止を通達されてしまう。そんな折、女性達をガラス張りのセルに監禁して、ゆっくりと溺死させるという快楽殺人が発生。ＦＢＩの捜査により、犯人の身元が判明するが、逮捕される直前に男は分裂症の発作で、意識不明となってしまう。犯人の男は、何処か秘密の場所に、一人の女性を拉致監禁したままだった。ＦＢＩ当局は被害者救出の為、キャンベル研究所に協力を依頼。キャサリンは戸惑いつつも、殺人鬼の潜在意識へのダイブを決行するが…。ＣＭやミュージック・クリップを手掛ける方の作品だけあって、一瞬一瞬の映像に掛ける執念は凄いですね。捨てゴマの無い映画といった感じです。これはＣＭ業界出身の監督さん全てに共通する事ですね。シン監督はインド系でしたっけ？映像にインド的なテイストが感じられたのですが。とにかく圧倒的な映像美がメインでしょう。潜在意識という目に見えない世界を、如何に映像として表現するか。そこが焦点ですね。あと、劇場鑑賞時には感じなかったのですが、少し酔ってしまうような不快感がありました。それでも映像的に評価は高いですが。ジェニファー・ロペスについて、当時あまり彼女の事を知らなかった私は、その美貌に圧倒されました。最近はマイナス方向の話題が多い方ですが、この映画ではまさに圧巻。黒髪が美しい…。潜在意識の虜になった時の彼女の美しさは、一度観ると目に焼きついて離れません。ストーリー的には、結局事件解決に彼女のダイブは役立ったのか？という感覚が残りますが、深く考えなければ良いかと…笑。連続殺人犯の心を解放するというのが、この脚本のもう１本の重要な柱ですから。「虐待を受けても、立派に生きている人は沢山いる。だから虐待を受けた事を犯罪の言い訳にするな。」という意見は良く聞かれます。でも虐待やトラウマが、人間の精神に重大な欠陥を残す事もまた事実。ＦＢＩ捜査官に前者の台詞を言わせ、キャサリンの目を通じて後者を表現させています。この難題が、作品の命題の一つなのですね。虐待を弁解に利用するなという意見は、大抵そんな経験を持たない人、もしくはあったとしても何かの形で救済された人が発する言葉です。だからと言って、心神耗弱・精神異常で、重大事件の犯人が刑罰を逃れたのでは、被害者や遺族は救われない。そもそも刑務所の目的は、刑罰なのか更生なのか？犯人の心が救われた事に安堵する反面、無残に殺害された女性達の人権は？と思ってしまう結末でした。でも映画としては好きです。

  Mar 10, 2004

• 「愛してる、愛してない...」　(2002　仏)

  "A LA FOLIE... PAS DU TOUT""HE LOVES ME... HE LOVES ME NOT",English title 監督・・レティシア・コロンバニ出演・・・オドレイ・トトゥ、サミュエル・ル・ビアン、イザベル・カレ、クレマン・シボニー、他。・物語序盤・フランスはボルドー。カフェでアルバイトをしながら美術学校に通うアンジェリクは、優れたアーティストだった。恋人は心臓外科医のロイック。ベビーシッターとして働いていた家庭の家主は、彼女を信頼して、旅行中の留守を頼み、アンジェリクは広い邸宅で優雅な暮らしをする。そして自分の作品が賞を取り、個展を開く事も叶って、まさに順風満帆な人生を送っていた。問題と言えば、ロイックに弁護士で現在妊娠中の妻ラシェルがいる事くらい。だが離婚は時間の問題で、アンジェリックは二人の結婚を夢見ていた。一方親友で医学生のダヴィッドは、アンジェリクに思いを寄せているが、彼女はロイックに夢中だった。街角でロイックを見掛けたアンジェリクは、彼を驚かそうと後を追うが、裁判所の前で彼が妻と話しているのを見て、顔色を変える。ラシェルが二人の愛を邪魔していると怒るアンジェリクは…。タイトルやジャケ写を見る限り、ラブ・コメのようですよね。これはサスペンス・スリラーなんですよ(笑)。「「アメリ」の女優さんだぁ」と何も知らずに借りるとビックリかもね。序盤の内はアンジェリクを、「居るよねぇ、こういうおバカな女。」と冷笑を交えつつ、傍観者の視点で悠々と眺めているのですが、途中から段々身を乗り出して、気が付くと、恐ろしい世界に引きずり込まれているという感覚の映画でしょうか。まあ、少し大袈裟な表現ですが。最初の内アンジェリクは、妻帯者の男と恋愛関係にあり、相手が自分を熱愛していて、将来結婚して薔薇色の生活が送れるものと信じ込んでいる女性なのです。この辺は身近にもよくある話で、第三者の冷静な観点からは、「男にとっちゃ、アンタは都合の良い遊び相手だよ。家庭を壊してまで、アンタと結婚する訳ないじゃん、バ～カ。」と言いたくなるようなタイプ。出会ったのが少し遅かったの。彼は私を愛しているのに、奥さんが引き止めている。云々。然様でございますか、と言った所です。ところが、この恋愛路線が普通に続くのかなと思った辺りで、物語は意外な方向へ…。「馬鹿じゃないの～」から「ひょっとして、この人怖い？」へと変わってゆきます。そして最後には、「誰か助けて～！」に(笑)。単なる恋愛物かと思わせておいて、実はスリラーなんです、というストーリー展開が面白いですね。オドレイは「アメリ」で天然不思議ちゃんを演じていましたが、この作品でもイッちゃってる感は共通しています。言うなれば「暗黒アメリ」かな(怖)。楽しめましたが、こんな女に魅入られてしまった心臓外科医のロイックの災難には同情いたします。

  Mar 9, 2004

• 「たそがれ清兵衛」　(2002)

  "THE TWILIGHT SAMURAI" 監督・・・山田洋次 原作・・・藤沢周平『たそがれ清兵衛』『竹光始末』『祝い人助八』 出演・・・真田広之、宮沢りえ、小林稔侍、大杉漣、伊藤未希、岸恵子、丹波哲郎、他。 ・物語序盤・江戸幕末。井口清兵衛は庄内は海坂藩の平侍である。長患いの妻が他界し、二人の幼い娘と痴呆の進む母との貧しい暮らしをしていた。下城の太鼓が鳴ると、付き合いを断って帰宅する清兵衛を、同僚達はからかい半分に“たそがれ清兵衛”と呼んでいた。ある日清兵衛は、親友の飯沼倫之丞から、彼の妹・朋江が嫁ぎ先から戻った事を知らされる。夫の酒癖が悪く、見かねた倫之丞が離縁させたのである。そんな折、清兵衛の家に朋江が訪ねてきた。幼馴染の二人は昔話に花を咲かせるが…。しみじみとして良い作品でしたね。国内での評価は既に高かったのですが、アカデミー賞にノミネートされた時は驚きました。でも納得の佳作です。ノミネートを機会に、外国の方もこの映画を観て、日本の心に触れてほしいですね。以前「ラストサムライ」を観た時に、驚く程日本的だと表現しましたが、この作品を観て、やはり大和の心を描写する点においては、国産品に遠く及ばないと実感しました。あれはあれで、外国産和物映画の臨界点まで達した作品でしたが。海外ではサムライ魂をヒロイズムのように捉えがちですが、実在した武士の精神はヒロイズムではないですよね。毎日職場に出勤して、一日働いて帰って来る。時には同僚と飲んで騒いで、お姉ちゃんと遊んでみたりと、ごくごく平凡な日常を送っていた筈。そういう一見平穏な日々の生活の水底に、一人一人が秘めている覚悟のような心情。それが武士の精神だったんじゃないかなぁ。決して派手なものではないけれど、ただそこに確かに存在する何か。清兵衛と朋江の、お互いに抑えた関係が良いですね。今時のハリウッド映画なら、再会した日の晩にベッドシーンですから(笑)。「好き」と言いたい、でも決して口にしてはいけない。朋江の兄から縁談を持ち掛けられても、相手を心から愛していても、自制してしまう心理。命懸けの藩名を果たしに行く清兵衛に、不安を押し隠しながら凛として接する朋江。これぞ大和の心よなぁ～。好きな人に好きと言える、泣きたい時に泣けるなどと、今みたいに甘くないんですよね。こういう心情を美しいと感じてしまう自分は、やはり生粋の日本人だなぁと思いました。観ている間ずっと、二人の幸福を願い続けていましたね。相変わらず元気の無い日本映画界ですが、地道に佳作を撮り続けてほしいです。欲を言えば、得意分野である時代劇以外でも、良質の作品が出れば良いのですが。　

  Mar 8, 2004

• 「ファイアーライト」　(1997 仏・英)

  "FIRELIGHT" 監督・・・ウィリアム・ニコルソン出演・・・ソフィー・マルソー、スティーヴン・ディレイン、ケヴィン・アンダーソン、リア・ウィリアムズ、ドミニク・ベルコート、他・物語序盤・1837年ロンドン。英国で暮らすスイス人家庭教師エリザベスは、収監された父親の負債を返済する為に、内密な仕事の面接を受けていた。それはある貴族の子供を生むというもの。面接の結果採用された彼女は、相手の名前も素性も知らぬままに、その男と性交渉をして妊娠する。その後赤ん坊は生み落とされ、エリザベスは無事お役御免に。しかし生まれた娘の事が忘れられない彼女は、名前も知らぬ我が子への思いを密かに綴っていた。そして七年の月日が流れた。エリザベスは娘の居所を探し当て、彼女ルイザの家庭教師として雇われる事に成功するが…。文芸物の恋愛映画でしょうかね。序盤からストーリー展開・結末まで全て想像が付いてしまうので、一番の見所はソフィー・マルソーそのものでしょうか(笑)。可も無く不可も無く、無難に仕上がった作品だと思います。現代社会でも、女性が一定の水準以上で自活してゆくのは困難ですよね。同じ仕事をしても当たり前に男性より賃金が低いし、それ以前に同じ仕事はさせてもらえません。昇進も余程の事が無ければ、課長係長レベルで頭打ちです。況や１９世紀の社会においてをや…。エリザベスの台詞にありますが、結婚してしまえば男の所有物、独身を通せば、自尊心を捨てるような仕事で生きてゆくしかない。女に生まれるとは、かくも惨めな事なのかと思い知らされます。(私は人間の男より、暢気な愛玩犬に生まれたかったけどね…笑。)やがて成長し世間に出れば、厳しい現実が待っているだけなので、子供の頃は甘やかせば良いという父親。躾など全くされず、放任という無責任な父親の愛情の傘下で、周囲に心を閉ざし孤立している少女。大人になり父親の庇護を失った娘が、嫌われ者の惨めな人生を送るのが良いのかと、父親を非難する実の母親エリザベス。この辺は「奇跡の人」を連想させました。切ないのは、植物状態の姉を世話しながら、屋敷を切り盛りしている主の義理の妹。一家の主チャールズを密かに愛しながら、十年もの月日を送っています。報われない愛が哀しいです…。彼女の十年て何だったんだろう？年を取り過ぎて、今更結婚もできないでしょう。残酷です。一途な思いや努力が必ず報われるのなら、人生って幸福なのに…。　

  Mar 7, 2004

• 「Ｘ－ＭＥＮ２」　(2003)

  "X2","X-MEN 2" 監督・・・ブライアン・シンガー 原作・・・スタン・リー　出演・・・パトリック・スチュワート、ヒュー・ジャックマン、イアン・マッケラン、ハリー・ベリー、ファムケ・ヤンセン、ジェームズ・マースデン、レベッカ・ローミン＝ステイモス、他。 ・物語序盤・プロフェッサーＸを筆頭に、人類とミュータントの共存を志すＸ－ＭＥＮ達は、人類の抹殺を企むマグニートー一味を撃破し、彼を牢獄に収監した。危機は去ったかに思われたが、人間のミュータントに対する偏見と恐怖心は変わらなかった。そんな最中、ホワイトハウスで執務中の大統領が、謎のミュータントに襲撃されるという事件が発生。一気に反ミュータントの機運が高まり、大統領もミュータント一掃に腰を上げる。標的はプロフェッサーＸが主催するミュータントの為の教育施設。攻撃の指揮を取るのは、元陸軍司令官で大富豪のストライカーだった…。大人気アメコミの映画化第二弾です。前作からの純粋な続編ですので、これだけ唐突に観ると付いていけないと思います。監督も俳優達も前作からの続投で、ファンには嬉しい限りですね。個人的には、この二作目の方が面白かったです。前作も決して悪い作品ではありませんでしたが。(なにせ超能力・超常現象大好き人間なので…笑)ただ前作は一作目という事で、世界観の説明や各登場人物の紹介に時間を裂かねばなりませんでしたし、"Ｘ－ＭＥＮ"の描写に力を注いだ結果、敵役であるマグニートー一味の強大さが伝わってこなくて。公開時コピーが「敵は強大、味方はわずか」だったと思うのですが、実際"Ｘ－ＭＥＮ"の方が人数が多かったんですよ(笑)。もう一つ気になったのが、"Ｘ－ＭＥＮ"を正義の味方と位置付けたが為に、マグニートー達が単純に悪人集団とされてしまった点。人間に不当に迫害され、行き場を失ったミュータント達が結束したら即悪党なのか？という不快な気持ちが残りました。というのが前作への印象でしたが、今回はマグニートー達も人類を憎悪しているものの、単純な悪人集団と断じられていなかったのが良かったです。人類・ミュータント・そして人類との共存を望むミュータント、どれが悪と決めるのではなく、三つのグループ全てを等価値のレベルに置いたという印象でしたね。強いて言えば、人間が一番悪者っぽい位置付けでした…笑。人類って常に偏狭で無理解で、愚劣な生物よなぁ。今回は新たなミュータント達も登場して、それぞれ視覚的にも華のある能力を披露してくれて楽しかったです。不憫だったのは、ストライカーに薬物で洗脳されていたミュータント達。見捨てないで助けてあげてほしかったな…。あと、ジーンの扱いにも驚きましたね。原作のストーリーに沿っているのかもしれませんが、よもやと思っていたので、最後までどんでん返しがあるのではと思い続けていました…涙。ついでに私がジーンでも、ローガンよりスコットを選びます(笑)。　でもジーンみたいに、「恋愛は危険な相手と、でも結婚するなら真面目な人」とか、そういう不純(？)な理由ではなくて、恋人にも絶対彼の方が良い。ヒーリング＋手からナイフなんてショボい能力より、目からビームの方が圧倒的に良いですよ(笑)。ところで、ハル・ベリーって、あまり好きな女優ではないのですが、ストーム役の彼女は大好き。クール・ビューティーで、白い髪が似合ってます。裸なんか見せないで、こういう路線で頑張ってほしい。

  Mar 6, 2004

• 

  「いっしょにあるこうね　盲導犬コディ」篠原烏童

  篠原烏童先生が、盲導犬のコミックスを描かれました。盲導犬と言えば、もうすぐ映画「クィール」が公開されますね。コディの物語はフィクションですが、実話だと感情に流されてしまう部分が多いので、敢えて盲導犬についての知識や情報を伝える意図で、架空の盲導犬を設定されたそうです。それでも読んでいると、ラストは泣けてしまうのですが。知っているようで知らない盲導犬。普通、ペットとして飼われている犬は、円らな瞳で見詰めてくる姿が愛くるしいのですが、盲導犬は盲目の方のパートナーになる事が前提なので、アイコンタクトをしないように訓練するのですね。言葉とスキンシップだけで、円らなお目々を見詰めてはいけないなんて、ちょっと寂しいなぁ…。それからお仕事中の盲導犬は、触ったり見詰めたりしてはいけないのですね。ついつい健気に頑張っているワンちゃんが愛しくて、撫で撫でしたくなるんですが(ゴメンナサイ、実は一度触ってしまいました。)、犬の気が散るので、してはいけない行為だそうです。更にじろじろ見てしまうのも、同じ理由でＮＧだそうです。すみません、いつも食い入るように見ていました…。だって、大人しくてお利口さんで、可愛くてたまらないんですもの。でもこれからは、一生懸命働いている彼等の邪魔をしないように、目では無視しつつ、心でエールを送るように致します。尚、この本の売り上げの一部は、盲導犬協会に寄付されるそうです。盲導犬協会推薦の一冊。優しいタッチで描かれていますので、お子様のお勉強などに如何ですか？勿論大人の方が読んでも大丈夫ですよ。発行・秋水社／発売・双葉社 ACTION COMICS定価６９５円(税別)

  Mar 5, 2004

• 「この世の外へ　クラブ進駐軍」鑑賞しました

  監督・・・阪本順治出演・・・萩原聖人、オダギリ・ジョー、ＭＩＴＣＨ、シェー・ウィガム、ピーター・ムラン他。・物語序盤・広岡健太郎はフィリピンで終戦を迎えた。上空から舞い落ちてくる終戦を知らせるビラと、飛行機から流れてくるジャズの音色。帰国した健太郎は、軍楽隊に居た経験を活かして、進駐軍相手のジャズバンド・ラッキーストライカーを結成した。メンバーは先輩のベーシスト平山、ピアニストの大野、全くの素人であるドラマー池島、そして他のバンドから引き抜いたトランペッターの淺川の五人。彼等は米軍の慰安施設“ＥＭクラブ”の舞台に立つが、その演奏は稚拙で、ジャズマン上がりの米兵にからかわれる。 面白かったです。ギャグは滑るか滑らないかの瀬戸際のラインなのですが、ギリギリ・セーフといった感じで笑えました。冒頭の、穴に落ちるおじさんを見た時は、かなり厭な予感がしましたが…。哀川翔の怪しげな顔役の日系人。何故かアメリカ人にも日本語を喋っていると思ったら…笑。健太郎の父親役の大杉漣も、出番は少なかったのですが、良い味出してましたね。映画全体としては、重すぎず甘すぎず、適度に纏まっていました。軽いタッチの中にも、戦争の抱える多くの問題が練りこまれていて、大いに笑ったのですが、一方で沈鬱な気持ちも残りました。あまりに多くの問題を入れ過ぎた為、全てが表面的な描写になってしまった事は否めません。ですがこの作品は、飽く迄ジャズを愛する若者達の青春を描いたものであり、反戦思想や戦争の残す傷跡など、重いテーマや強いメッセージを伝えたいものではないと思います。全てを広く浅く拾って描く脚本が、返って説教染みた印象を与えず、作品の軽妙な雰囲気にマッチしていましたね。残念というか、ある程度仕方の無い事なのですが、一番のクライマックスである「この世の外へ」を演奏する場面で、肝心の萩原聖人の歌が下手…笑。何故あの大事な場面で、素人に歌わせるかなぁ？あの歌で感動しろと言われても困りますよ。あそこは他のシーン同様、敢えて音パクで、萩原はサックスを吹いているという設定にした方が感動的だったと思うのですが…。一応主役を目立たせなければ、という事でしょうけどね。私事ですが。序盤の頃の、サックスのスカスカいう音を聴いていたら、耳と胸が痛かったです。まるで私が吹いてる音みたいだと(爆)。一度で良いから、プロのような透き通った音を出してみたいです。指も動きませんけど。エンディングの、戦後日本のジャズを支えてきたお歴々の姿を映した映像は感慨深いものがありましたね。　

  Mar 3, 2004

• 「シャドウ・オブ・ヴァンパイア」　(2000)

  "SHADOW OF THE VAMPIRE" 監督・・・Ｅ・エリアス・マーヒッジ　出演・・・ジョン・マルコヴィッチ、ウィレム・デフォー、ケイリー・エルウィズ、アデン・ジレット、キャサリン・マコーマック、他。・物語序盤・1921年、ドイツの映画監督ムルナウは、新作の吸血鬼映画に取りかかっていた。ドラキュラの版権を買い付けられなかった彼は「ノスフェラトゥ」というタイトルで、吸血鬼映画を撮る事に。リアリズムに拘るムルナウは、映画の主役に本物の吸血鬼を連れて来ていた。他のスタッフ達は、勿論彼をシュレックという俳優だと信じ込んでいる。しかしシュレックには異様な威圧感が漂っていた。ムルナウはシュレックに、スタッフを襲わない事を約させていたが、彼は事もあろうに、初日からカメラマンの血を吸って彼を殺害してしまうのだった…。　1922年につくられた吸血鬼映画の古典的傑作「吸血鬼ノスフェラトゥ」の舞台裏を描いた異色の作品です。吸血鬼役を演じた俳優マックス・シュレックは、公開当時から、本物の吸血鬼ではないかとの噂が立つ程の迫真の演技で、観客を震撼させたという。まさに異色作ですね。ウィレム・デフォーに尽きるというか。ノスフェラトゥそのものです。ドラキュラ伯爵から連想するような、紳士的風貌ではなくて、見るからに不気味な容姿。吸血鬼について語る場面が面白かったですね。悲しかったと。長年人間の生活から離れて、人間がどのように暮らしていたか忘れているドラキュラが、客人の為に食事を用意している姿は憐れだと。フィクションとは言え、人間がもしも永遠の命を持っていたなら、思いも付かない問題が生じてくるだろうなぁと思わせました。以前から私も思っていたのですが、先ず精神的な起伏が殆ど無くなるだろうと。記憶としての善悪はあっても、悪に対して怒る気持ちは無くなるでしょうね。そして愛情も同情も。現在の寿命は、人間が生きてゆくのにおいて、最も適している長さなのかもしれませんね。

  Mar 2, 2004

• 「カンパニー・マン」　(2002)

  「ロード・オブ・ザ・リング」、アカデミー堂々の１１冠達成ですね。大本命との事でしたが、あれ一本で作品賞には、若干弱かった気がします。まあ、三部作に対してという意味でしょうね。おめでとう、指輪。"CYPHER" 監督・・・ヴィンチェンゾ・ナタリ　出演・・・ジェレミー・ノーサム、ルーシー・リュー、ナイジェル・ベネット、ティモシー・ウェッバー、他。　・物語序盤・冴えないサラリーマンのモーガンは、刺激を求めてハイテク企業デジコープ社の産業スパイとなるべく面接を受ける。念願叶って採用されたモーガンに与えられたのは、ジャック・サースビーという名前。上司からの命令で、早速とある企業の会議に出席し、情報の盗聴を開始した。今迄に味わった事の無いスリルに興奮し、頭の上がらなかった妻にも、強気の発言をするようになるモーガン。しかし任務を遂行する度に、激しい頭痛と奇妙な映像のフラッシュバックに悩まされるようになる。そんな彼の前に謎の女が現れ、盗聴を中止するように警告する。リタと名乗る女は、モーガンに頭痛を治す薬を手渡して去っていった…。「ＣＵＢＥ」の監督さんですね。あれほどのインパクトはありませんが、上手く纏めていたと思います。主人公の誰かに助けてもらいたいのに、誰も信じられる人が居ないという逼迫した感覚が、観客の心まで不安にさせます。まるで実験動物のような自分。誰も自分の事など助けてはくれない…。ほんの少し閉塞した日常から離脱してみたかっただけなのに、踏み出した一歩が命取りに。こんな事って誰にでも起こり得ますよね。ちょっとした好奇心の為に、のっぴきならない状況に陥る主人公が、観ている側にシンクロして、恐怖感が加速されます。一つの企業から逃げ出した先に、またそのライバル会社が待ち受ける。助かる道は協力する他無いが、協力したとて、身の安全の保証など何処にも無い。主人公が否応無く追い詰められてゆく過程が、サスペンスフルに巧みに表現されていました。オチは正直な所、想像の範囲を越えるものではないのですが、そこへ行くまでの道程が面白かったので、総合的には評価できる作品と言えるでしょう。しかしルーシー・リューって、美人なのでしょうか？アジア人種として応援はしているのですが、所謂日本人から見た美人ではないですよね。ジェレミー・ノーサムが、序盤の平凡なサラリーマンから、後半になるに従って、セクシーな男性へと変貌してゆく様は、流石にプロの俳優だなと感心しました。　　

  Mar 1, 2004

• 「マスターアンドコマンダー」映画じゃなくて・・・

  試写会に行くチャンスに恵まれず、映画の評判を聞くと今ひとつで、わざわざお金を払って観に行く程でもないかと思っている今日この頃。原作の小説の方を仕入れて参りました。「南太平洋、波瀾の追撃戦」 上下巻著者・・・パトリック・オブライアン翻訳・・・高橋泰邦出版社・・・早川書房(ハヤカワ文庫) 海軍士官ジャック・オーブリーが活躍する帆船モノです。海洋冒険小説がお好きな方なら、古くて長い作品なのでご存知でしょう。 本作は丁度１０作目に当る作品なのですが、邦訳の方は今現在、３作目までしか出版されておりませんでした。 そこへ映画公開を受けて、急遽荒業の「突然１０作目へワープ！」作戦を決行(笑)した次第であります。 映画公開が決まってから、ずっとどうするつもりかなと思っていたら…。文庫本を見て、思わず反射的に「反則やん、それ」とツッコミ入れましたよ。 やっちゃったね、早川さん(笑)既刊を紹介しておきます。何れもハヤカワ文庫で、上下巻にて刊行中。 「特命航海、嵐のインド洋」「勅任艦長への航海」「新鋭艦長、戦乱の海へ」(それ以前にも、別の出版社で発売されましたが、絶版で入手困難です。我が家にはパシフィカ版あります…笑)ところで映画のタイトルは、何故「マスターアンドコマンダー」にしたのでしょうね？１０作目だと、オーブリーは既に「勅任艦長」なのに。因みに"master and comander"とは、「航海長兼海尉艦長」の事で、小型艦の艦長に当ります。

  Feb 28, 2004

• 「ペイチェック　消された記憶」試写の感想

  3/13全国ロードショーです。監督・・・ジョン・ウー原作・・・フィリップ・Ｋ・ディック出演・・・ベン・アフレック、ユマ・サーマン、アーロン・エッカート、他。・物語序盤・ジェニングスは天才的なエンジニア。請け負った仕事を完成させた後、その記憶の一切を消し去る事で、機密を守秘し、多額の報酬を受け取っていた。そんな彼の元に、オールコム社の創始者レスリックから、大仕事の依頼が入る。仕事に費やす時間は三年という長期間。今迄長くても数週間の記憶しか消去した事のないジェニングスは躊躇するものの、9200万ドルという巨額の報酬に、契約を交わしてしまう。しかし無事に仕事を終え、巨万の富を手に入れたと喜んだのも束の間、ジェニングスは自分が受け取った報酬を放棄していた事を知らされる。そして彼の元に残ったのは、自分から送られた封筒の中の19個のガラクタのみだった…。フィリップ・Ｋ・ディックの小説は、「ブレードランナー」「トータル・リコール」「マイノリティー・リポート」と色々と映画化されておりますが、今作もその一つです。制作費の桁が違うのでしょうが、「マイノリティー・リポート」の作り込みは素晴らしいものでした。空想世界である近未来の都市を、見事に具現化しており、その結果、ＳＦ的荒唐無稽な物語を観客が違和感無く受け入れられるという構造が成立していました。しかし残念ながら、この作品においては、限定された特別な機能を持つ機械以外は、全てが現代と同レベルなのです。という事で、例えば、人間の記憶の一部をコンピューターや注射薬を使用して消去する等という行為が、どうしても突飛なシーンとして浮き上がってしまいました。(簡単に言えば、ショボいって事ですね…。)ジョン・ウー監督らしい映画と言えば、その通りなのですが。ＣＧなど無縁の物と言わんばかりに、実写に拘っています。カーチェイスを撮りたいから、無理矢理入れただろうというような、バイクと車の追跡劇あり。そして撃ち合いあり、殴り合いあり…。お互いに銃を突き付け合うシーンも健在でした。矢継ぎ早に繰り出される生のアクションに、お腹いっぱいです。手元に残された十九個のアイテムの使い方は、テレビゲームを連想させましたね。何等かのアクションを起こすべき場所で、手持ちのアイテムを全て照合させて、使えるアイテムを見つけ出すような作業です。ゲーム的見地から言えば、かなり無茶な使用法もありました(笑)。「リドル・レベル高すぎ。そんなの誰も思い付かねーよ。」って感じですわ。試写会場で配布されたチラシの中に、アイテムの使用法などを漏洩しないようにとのお達し(笑)が挟まれていたので、具体的な使用例は挙げませんが、かなり笑えます。ユマの演じるドクターが、何故生物学の博士だったのかは謎でした。ハイテク企業の中に生い茂る植物達と、ジェニングスの研究との因果関係は？原作には説明があるのかもしれませんが、映画を観る限りでは、違和感しか残りませんでした。総括的な感想としては、かなりバカバカしい映画です。ですがノリが軽く、テンポが速いので、何だかんだと言いつつ、最後まで楽しめました。真面目にＳＦを語りたい方にはお勧めできませんが、何も考えずに楽しもうという方ならＯＫかな。

  Feb 27, 2004

• 

  「イノセンス」について思った事

  「イノセンス」の特番が、明日2/28(土)10:30～11:25、日本テレビ系列で放送されます。裏話など色々興味深いお話も聞けると思いますので、どうぞお見逃し無く。関西地区は深夜枠でした。土曜日深夜2:25～放送です。今回「イノセンス」のプロデューサーとして、スタジオ・ジブリの鈴木敏夫氏が参加しています。何故プロダクションＩＧの作品に、鈴木氏が関わってくるのだろうと思ったら、押井監督と鈴木氏とは二十年来の知己なのだそうですね。鈴木氏が徳間書店の雑誌「アニメージュ」の副編集長を務めていた頃に知り合ったそうで。ついでに宮崎監督ともその当時からの知り合い。私、勝手に押井監督って、もっと若いと思い込んでいましたが、彼らと同年代だったのですね。当初「GHOST IN THE SHELL2」となる筈のタイトルを「イノセンス」と変更させたのも鈴木氏。前作は海外では絶賛されたものの、国内では十二万人しか動員できなかったとの事で、ヒットしなかった作品のパート２などで客が呼べるかと。なるほど、ご尤もです。映画と言うと、俳優や監督ばかりに脚光が当りますが、プロデューサーって重要な位置にあるんでよね。スポンサーを集めるのも、全部鈴木氏の仕事。当初鈴木氏は自分の仕事はスポンサー集めまでと思っていたようだったのですが、彼が引くと聞いたら、スポンサーも手を引くと言い出したそうで。「ジブリの鈴木」って、凄い影響力があるんだなぁとつくづく思いました。いつもぼーっと出来上がった映画だけ観て、何年かしたら新作が発表されるのが当たり前だと思っていましたが、コンスタントに作品を作り続ける事の大変さが少しだけ分かりました。どんなにクオリティーの高い作品を発表し、評価を得ようとも、興行的に採算が取れなければ次は無い。この「イノセンス」製作には、莫大な資金が投入されている訳ですから、成功しない訳にはいかないのですね。映画作りって厳しい…。ジブリ作品なら、ブランド名だけで結構集客力はあります。でもプロダクションＩＧという名は、海外のクリエーター達やアニメファンには有名でも、一般の知名度は低い。最近では「キル・ビル」でのアニメ・シーンを担当していたので、そちらで知った方もいらっしゃるでしょう。でもＩＧのブランドで、一般客を呼べる程、状況は甘くはないですよね。鈴木氏、本当に奮闘していらっしゃるご様子で。勿論押井監督も、方々回ってＰＲしてらっしゃいますが。世界でもトップレベルの技術を誇るジャパニメーションの発展の為にも、何とかヒットしてほしいものです。ドリームワークスが配給元になって、アメリカでの公開も決定しましたね。秋頃だそうで。あちらでは「GHOST IN THE SHELL2」のタイトルで公開されるとの事。アメリカでは「GHOST IN THE SHELL」がヒットしたので、これの「２」とした方が良いのですよね。なんかタイトル一つとっても、色々裏事情があって興味深いです。ところで映画版は原作とかなり違ってますけど、四月公開予定の同じく士郎正宗氏原作の「APPLE SEED」も、全然絵柄が違いますね。楽しみなんですけど、士郎氏の絵も好きなので、もう少し忠実に作ってほしいなぁと、個人的には思ったりしています。

  Feb 26, 2004

• どっちにすべき？

  映画の無料券が一枚残っているのですが、選択肢が「この世の外へ」か「ホテル・ヴィーナス」かなんですよね。「この世の外へ」は既に夜一回のみの上映になっているので、「ホテル・ヴィーナス」で良いかと思いかけたのですが、レビューが悲惨な状態…。私、韓国映画に草薙君が出演していると思い込んでいたのですが、これって完全に邦画なのですね。日本で韓国語の、しかも出演者の大半が日本人の映画を作って、何がしたいのでしょうねぇ。やはり無理をしてでも「この世の…」に行くべきだろうか。

  Feb 25, 2004

• 「ザ・ワン」　(2001)

  "THE ONE" 監督・・・ジェームズ・ウォン出演・・・ジェット・リー、カーラ・グギーノ、デルロイ・リンドー、ジェイソン・ステイサム、他。・物語序盤・宇宙には125個のパラレルワールドが存在し、全ての人間もそれぞれの世界で別の人生を送っている。平行宇宙を違法で移動する者も居り、監督取締りをするのが、多次元宇宙捜査局＝ＭＶＡである。捜査官のユーロウは、特権を利用して、他世界の自分を次々と殺していた。平行世界の自分を殺す度に、そのエネルギーを吸収し、自分のパワーが増すのである。123人目の自分を殺害したユーロウは、逮捕され刑務所に転送されかかるも、脱出に成功する。残る一人は、ロサンゼルス郡保安官ゲイブのみ。ユーロウは全能のパワーを持つ"THE ONE"となるべく、ゲイブの元へと向かう…。ジェット・リーがＳＦというのも不思議な感覚です。今後も色々なジャンルに挑戦してほしいですね。見所は序盤、パラレル・ワールドに居たユーロウの分身(？)達の写真(笑)。「ハリウッド・スターとして、こんな写真を全世界に公開して良いのか、ジェット・リー？」と心配してしまうような、恥ずかしい姿が何枚も…。ほんの数秒間のシーンですが、爆笑モノですので、是非観て下さい。この写真を観て初めて判ったのですが、ジェット・リーって、ナイナイの岡村に似ていますね。(周知の事実？)岡村が鬘を被っているのかと思いましたよ。普通のシーンでも、ふとした表情がそっくりで。映画はクライマックスがやはりカンフーで、ジェット・リーだから当然なのですが…、もう少し格闘を短めにしてくれたらなぁ。ジェット・リー同士の対決という変わった格闘シーンなのですが。一応見分けが付くように、片方が戦いの前に上着を脱いだのは、小技ながら笑えます。ユーロウ(ゲイヴ)は、超人並に滅茶苦茶強い時もあれば、普通の捜査官相手に互角に戦っている時もあったりと、パワーの差が目に付きました。でもこの手の作品は、ストーリーの整合性やディテールに拘らず、「マトリックス」のような遊び感覚の映像を楽しめば良いですね。ところでジェット・リーは「マトリックス」の出演オファーを蹴って、これに出たそうですが、「マトリックス」で格闘する彼も観てみたかったです。ユーロウの送られた先の刑務所が、物騒でなかなか良い感じでした。頑張れ、りんちぇ！

  Feb 24, 2004

• 「イノセンス」試写しました

  楽天、いきなり変わるな～。これがメンテの内容だったのか…。日記でよく選ぶテーマがすぐに選択できる仕組みは良いけど。カウンターまで何故変えるかな？それは置いといて。試写会のお話。「イノセンス」監督・・・押井守原作・・・士郎正宗「攻穀機動隊」出演(声)・・・大塚明夫、山寺宏一、大木民夫、竹中直人、田中敦子、他。・物語序盤・2032年、日本。テロや凶悪犯罪が頻発し、社会は出口の見えない混沌の中にあった。ネットワークが発達すると共に、各個人の電脳化も進み、人々は端末を使用せずとも、デジタル・コミニュケーションを図る事が可能になっていた。テロ犯罪を専門に取り締まる政府直属の機関・公安九課の刑事バトーは、過酷な任務に耐えうるよう、全身をサイボーグ化していた。ある日、愛玩用の少女型ロボットが、オーナーを殺害後に自壊するという事件が起こる。そして同様の事件が、相次いで起こっている事も判明。バトーは地方刑事上がりの相棒トグサと共に、この事件の捜査を開始する。ロボットのプログラムは自壊と同時に初期化され、全て失われていたが、「助けて」という音声だけは残されていた…。とても面白かったです～。想像以上に。前作の「GHOST IN THE SHELL」(1995)からの純粋な続編ですね。音楽も同じだったので、長いブランクの後でも、違和感無く連続性を感じられました。映像技術としては、格段にレベルアップしています。昨今の、特にＳＦ映画を観ていて強く感じるのは、ＣＧという媒介を通じて、実写映画とアニメ映画の境界線が年々曖昧になってきているという事です。違いと言えば、人物が生身の人間か絵に描かれたキャラクターかという点くらい。今作にもＣＧが多用されているので、何度も実写映画と混同しそうになりました。とにかく、映像の美しさ・デザインの華麗さには、見蕩れるばかりでした。冒頭の九龍城を思わせるような退廃的な裏町の雰囲気から、後半に出てくる市街のパレードシーンまで、アジアンテイストが散りばめられています。(この祭りのパレードシーンは絶美です。)もう一つ個人的に気に入ったのは、鳥の翼を持つ飛行艇のデザイン。物理的・現実的に飛ぶとは思えませんが、フォルムとして目を奪われました。ストーリー展開も、前作の「GHOST IN THE SHELL」が一作目という事もあって、その世界観の解説に終始しなければならなかったのに比して、今作ではロボットの暴走事件という主軸が一本通っていたので、非常に判り易くなっていました。精神世界や哲学的な会話は前作同様ですが、中核を修飾する枝葉のような位置にあったので、全てを理解できなくても判るという点が良かったですね。漢文や聖書や詩などの引用が多いので、かなり文学的素養が無いと、本当の意味で理解する事は困難だと思いますが。(ミルトンも出てきたし。他の引用の元ネタが判る方、解説して下さい。お手上げです…笑。)ただ前述のように、中心となるべき物語が存在しているので、小難しい理屈を抜いても、一本の娯楽作品として成立しています。難解な映画を覚悟していただけに、この娯楽的な仕上がりには驚きました。娯楽の要素も含みつつ、見応えのある作品に仕上がっていますが、アニメ映画という事で安易に子供連れで行くのは、絶対にＮＧです。高校生以上くらい(勿論賢い中学生・小学生も居ますし、大人でもオバカさんは居ますから、年齢で区分けするのは不適切かもしれませんが)、少なくともサイバーパンクＳＦの世界が普通に理解できる年になっていないと厳しい作品です。(上映が終了した時、開口一番「判んな～い」と素っ頓狂な声で叫んだＯＬ風の姉ちゃんが居た事は留意すべき点です…笑。私の連れは、「前のより判り易い！」と、一言目の感想が私と同意見でした。)ＳＦ好きの方にはオススメですが、前作は必ず観てから出掛けて下さいね。

  Feb 23, 2004

• 「マーサの幸せレシピ」　(2001・独)

  "BELLA MARTHA"監督・・・サンドラ・ネットルベック　出演・・・マルティナ・ゲデック、セルジオ・カステリット、ウルリッヒ・トムセン、マクシメ・フェルステ、他。 ・物語序盤・マーサは、ハンブルクのフランス料理店で働く有能なシェフ。しかしオーナーは彼女を“街で２番目のシェフ”と評し、彼女が精神科のカウンセリングに通う事を義務付けていた。マーサは嫌々カウンセリングを受けていたが、オーナーの評価には納得が行かない。優秀なシェフだが、客の批判には攻撃的に反論し、人付き合いも嫌うマーサ。そんなある日、マーサの姉が、娘と共に彼女の自宅を訪問する途中で交通事故に遭い、他界してしまう。父親とは音信普通で、マーサは姪のリナを引き取る事になった。マーサは人付き合いは苦手ながらも、精一杯リナの世話をしようとするが、リナは頑なに心を閉ざしていた。そしてレストランでは、オーナーがイタリア人シェフ・マリオを、マーサに相談も無く雇い入れていた。激怒するマーサだが…。ドイツ映画と知らず、突然俳優がドイツ語を喋り始めた時は驚きました。普段、あまりドイツ映画を観る機会が無く、生のドイツ語が聞けて嬉しかったです。ドイツ人気質って、日本人と結構共通していますよね。真面目で勤勉なイメージです。その昔は同盟を組んで、共に戦った仲ですし、他人とは思えません。それを言うならイタリアもお仲間か(笑)。でもイタリアは開放的でルーズな印象ですよね。その辺が、一番先に脱落した所以でしょうか(笑)この作品でもドイツとイタリアの気質の違いが、要所要所で取り上げられています。仕事熱心で職人肌、常に完璧を志し、自分にも他人にも厳格なマーサと、腕は良いが、万事大らかで時間にもルーズ、仕事も鼻歌混じりと、常にマイペースなマリオ。几帳面なマーサが、こんな男と馬が合う筈も無く、自分の支配する神聖な職場を乱されてお冠。更に職場の同僚達も、マリオに好意的で、気に食わない事この上なし。典型的昔気質な日本人である私は、マーサに同情してしまいました(笑)。「仕事は遊びじゃないんだよ。皆で仲良く和気藹々なんて、寝言言うな。」って感じですね。横道に逸れました。他人と関わるのが嫌いで、恋人も作らず独身を通しているマーサが、突如姪とは言え、子供を引き取る羽目に陥る困惑を想像すると、またまた他人事とは思えませんでした。まさにマーサな私は、もし自分が姪を引き取る状況に陥ったら、私も頭を抱えてしまうだろうなぁと、身につまされる思いでした。加えて、まるで自分の子供時代を見ているかのような、内向的且つ意固地な子供リナ。気の毒な状況の姪に、少しでも良い環境をと、不器用な空回りの努力を続けるマーサ。人付き合いが苦手でも、決して冷酷ではない女性像に、恰も鏡を見ているようで苦笑いでした。個人的に、私はマリオよりも、階下の住人の男性の方が好きだったんですけどね。邦題はちょっとイメージが合っていない気がします。何だかほのぼのした雰囲気を想像させて。

  Feb 22, 2004

全1422件 (1422件中 1051-1100件目)

< 1 ... 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 ... 29 >