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カテゴリ:旅の記憶
Nov,6,2005
湿度の高い南国の飛行場に降り立った時に感ずる花の香り。 パクチーの匂い。 多種多様な香辛料の匂い。 これらは日常から遠く私を離れさせるものだ。 以前出勤途中の渋谷の繁華街で、一瞬のうちに旅の途上にいる感覚に襲われたことがある。 それはすえた匂いで、おそらく飲食店の店先に出された大きなゴミ袋からのもの。けして芳しいものではないのだが、懐かしく心地よかった。 バンコクの歩道橋から見下ろした市場の色鮮やかな果物が脳裏に浮かぶ。 スーツを着て急ぎ足で歩く自分に違和感を覚えた。 先日炭をおこした。 その香りが、また昔行った土地を思い出させてくれた。 ネパール東部の小さな村へ、カトマンズで出会った韓国人女性と一緒に出かけた。 宿泊した宿は古く、台所は土間でかまどで調理していた。 食事時になると、その一角に座り出来たての素朴な料理をいただく。 かまどの上には肉が干してある。 それを取り、手で裂いて酒の肴にした。 酒は稗か粟かの穀物を発酵させたもので、それを詰めたジョッキ大の木の入れ物に湯を注ぎいれて、ストロー状の植物で吸う。 アルコール度数は低いが、飲み口が柔らかいので、ついつい量を飲んでしまい、よい加減で酔っぱらうのだ。 いつも猫が二匹火のそばで丸くなっていた。 たまに一匹が私の膝に乗った。 かまどにくべられていたのは薪であったのだが、炭の匂いがあの台所を思い出させたのはなぜだろう。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
Nov 11, 2008 03:52:44 PM
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