淡々堂

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  原泰久『キングダム』

  10月2日に、友人から原泰久『キングダム』１～39巻と公式ガイドブックを借りました。１巻を読んだら２巻に手が伸びました。それから先は続きが読みたくて読みたくて、毎晩睡魔と翌日のことを考えての社会人的理性との格闘です。翌日の予定が何もなかったならきっと、夜を徹してふらふらになるまで読みまくるでしょう。今年5月28日放送の「アメトーーク！」の「キングダム芸人」を見て、面白いことは知っていましたが、解説されるのと本物を読むのとでは感動が全く違います。今は、39巻と公式ガイドブックを読み終えて、２回目を読んでいます。『キングダム』の登場人物はどの人もキャラクターが濃くて魅力的なのですが、その中でも飛び抜けて魅力を感じるのが、王騎という秦の大将軍です。この漫画を通しで読むのは２回目ですが、王騎が登場するページだけは繰り返して読んでいます。王騎のページだけスキャンして印刷して綴じて、マイ王騎ブックを作りたいくらいです。王騎独特の笑い声「ココココ」が大好きです。雑誌『ダ・ヴィンチ』11月号に「『キングダム』王騎再見！」という特集があることを知るやいなや、書店に行って買ってしまいました。街を車で走っていると目にする「中華料理」の看板を見ても、王騎が秦王の嬴政（えいせい）に言ったセリフ「共に中華を目指しましょう」を思い出してしまいます。　最近、hideの「In Motion」にはまって、車を運転する時はいつも聞いているのですが、王騎が「全軍前進」と言った時のことを連想しています。この曲のリズムが馬に乗っている時を想像させるので、私も王騎軍の一騎兵になった気分になっているのです。私の脳内アニメのオープニングテーマは「In Motion」です。また、黒板に書いた字を消しながら、王騎の副官、騰（とう）が刀を使う時に立てる音「ファルファル」を心中で唱えてたりもしています。ちなみに、『キングダム』貸してくれた人は子供から、怒った時の様子を「桓騎みたい」と言われているそうです。だいぶ読み進めないとこの人は登場しないのですが、桓騎とは、秦の武将で元は野盗団の首領、「首斬り桓騎」の異名を持っているような人です。家庭内で友人がどれほど武を振るっているのかがわかるエピソードでした。キングダム - 週刊ヤングジャンプ公式サイトhttp://youngjump.jp/manga/kingdom/festy「【永久保存版】キングダムファンに最も愛される大将軍"王騎"の名シーン・名台詞TOP10【まとめ】」http://festy.jp/web/posts/3061festy「みんな大好き王騎の副官"騰"の名シーン・名台詞10選 」http://festy.jp/web/posts/3085

  2015年10月26日

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• 日本初のポッチャリ系メンズ誌が創刊　その名も「Mr.Babe」　デブじゃないよ、ベイブだよ

  日本初のポッチャリ系メンズ誌が創刊　その名も「Mr.Babe」　デブじゃないよ、ベイブだよねとらぼ 10月1日(木)21時23分配信 　日本初となる、ポッチャリ体型の男性をターゲットにしたファッション・ライフスタイル誌「Mr.Babe」（ミスターベイブ）が10月26日に大洋図書から創刊されます。誌名の意味は「頬ずりしたくなるほど愛おしい紳士」。オレたちの時代が来るというのか。　読者は30代～50代の「ポッチャリ系男性」（厚生労働省調査によるBMI25以上の肥満体形の男性）を想定。厚生労働省によると日本では男性の30％以上が“肥満”で、30代・40代を中心に肥満率が増加しているそう。一方、同誌の独自調査で「結婚するならポッチャリメンズがいい！」という大人女子が50％を超えているのがわかったため、創刊に至ったといいます。 特集するファッション企画は「ワガママなボディーにジャストフィットするファッションアイテムショップBEST10」や、米俳優のジャック・ブラックなどポッチャリ系セレブリティーのコーディネートまとめなどです。ポチャメン向けのモテ企画として、「ガッツリ食べてきっちり健康！不健康なポチャメンでは『婚活』『恋活』ははじまらない」や、「『ポッチャリメンズが大好きな！大人女子プロジェクト』～大人女子がポッチャリメンズとつき合う＆結婚したい理由とは～」なんてものも。 　コラム・インタビューでも国内の著名なポチャメンを起用。元プロレスラーの佐々木健介さんや、お笑いのTKO・木下さん、島田洋七さん、豊満乃風さん、さらには映画監督の大根仁さんや爆笑ツイートでおなじみ「意識の高いデブ」さんといった面々が登場します。 　価格は680円（税込）。2013年に日本初のポッチャリ女子向けのファッション誌「la farfa（ラ・ファーファ）」がぶんか社から創刊、現在まで毎月発行されていますが、「Mr.Babe」も同じように支持されるのか気になるところです。「Mr.Babe」編集部では創刊を記念し、読者参加型企画「デブのための写真展」を開催するためのプロジェクトを、クラウドファンディングサイト「GREEN FUNDING by T-SITE」で立ち上げています。http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151001-00000106-it_nlab-life2013年12月10日などに、ぽっちゃり女子向けファッション誌「la farfa（ラ・ファーファ）」 については書いていました。ぽっちゃり男子向けファッション誌もきちんとチェックしようと思います。知り合いのいる書店で予約するのは少々気恥ずかしいので、ネットで注文しましょうかね。

  2015年10月04日

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  「＜私の恩人＞「中川家」剛、病気のこともイジる…さんまの“愛のムチ”！」

  ま、それでも、もちろん緊張はしますわね。礼二までも、服着たままシャワーでも浴びたんかというくらい、汗をかいてました。すると、さんまさんが僕らに「緊張してんのか」と。「…ハイ、緊張してます」と答えると「緊張してたらしてたでエエやないか。それはそれでおもしろいんやから」とおっしゃったんです。その言葉で「あ、このままいこう」と。スッと、一瞬で気持ちが変わりました。さらに、さんまさんが言葉を続けました。「緊張しててもいい。怖くて仕方なくてもいい。手が震えててもいい。どんな状況でも、前に出てくるヤツには、俺が必ず責任を持つ。どうにかする。だから、何でもエエから出てこい」。(p.2)よく、さんまさんの収録が長いと言いますよね。1時間番組やのに、3時間しゃべりっぱなしだったとか。あれには、理由があるんです。例えば、若手が10人出てきたとしたら、10人全部活かすまでやめないんです。(p.3)＜私の恩人＞「中川家」剛、病気のこともイジる…さんまの“愛のムチ”！THE PAGE 2014年6月1日(日)9時0分配信http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140601-00000002-wordleaf-ent&p=1私の好きなさんまちゃんのいい話です。

  2015年09月08日

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  ヤマザキマリ『とらわれない生き方 母として』

  　では、イタリアが一番信頼できない国はどこかと言うと……自分たちの国、イタリアなんですよ(笑)私はそこで「これが成熟だ」と思った。自分たちのダメなところもちゃんとわかっていて、「俺たちは仕方ねぇな」とオープンに言ってしまえる。自分たちの弱点を客観的にみることができ、面と向き合える。その成熟度の高さがイタリアのすごさなんです。（p.193)ドイツ、イギリス、イタリア、フランス、ギリシャ各国で最近、「あなたたちにとってどの国がいちばん信頼できますか。また、どの国が信頼できませんか」というアンケートの結果だそうです。イタリアのいいかげんさをイタリア人が認めているというのはおもしろいと思いました。日本は反省が得意ですが、イタリアは開き直りが得意なようです。著者は、日本人が自国にプライドを持つのはいいが、いきすぎると自分の首を絞めることになると言っています。真面目を突き詰めると本質を見失うということでしょう。 ヤマザキマリ公式HPhttp://yamazakimari.com/『とらわれない生き方母として　「いいお母さん」プレッシャーのかわし方』ヤマザキマリ、KADOKAWA、2015年、1,100円(税抜)

  2015年08月24日

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  新久千映『ワカコ酒』1巻

  「なんかもうぷしゅー！」(14夜刺身盛り合わせp.70)主人公のワカコにいいことがあった日、いつもより豪華に刺身盛り合わせを頼んだ回です。刺身が何より好きな私は、この部分がこの本の中で最も共感できました。共感しすぎて、文字化したならば「ふごー！」とかいう声を上げながら転げ回ってしまいました。「かにが生きていく上で重要な部位は旨いのう」(15夜かにみそp.74)ワカコが熱燗でかにみそを食べる回です。悪そうな顔でちびちび食べていました。かにみそが殊の外好きな私はここにも強い共感を覚えました。この漫画は28歳の会社員ワカコが仕事帰りに一人で飲み屋へ行き、お酒と料理一品を食べる短編集です。おいしいと感じると「ぷしゅー」と言うのが特徴です。それ以外は発言はほとんどなく、頭の中で考えたことばかりです。こんなに共感できた料理漫画は初めてです。繰り返し繰り返し読んでいます。飽きたら他の本を読み、数日たったらまたおもしろく感じるので、また読んでいます。「WEBコミックぜにょん」ではWEB上で「ワカコ酒」を読むことができます。私はコミックが発売されてからまとめて読みたいので我慢したいと思うのですが、我慢しきれずつい読んでしまいます。http://www.zenyon.jp/ちえぞう王国http://chiezoukingdom.web.fc2.com/ちえぞう王国ブログhttp://chiezoukingdom.blog57.fc2.com/ 『ワカコ酒』1巻、新久千映、ノース・スターズ・ピクチャーズ、徳間書店、2013年、562円（税抜）

  2015年08月09日

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  『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り』

  「もうひとつプロになるために必要だとしたら、それは『あきらめ』よ。『作品を描き直すこと』や『自分が思ってもなかったものを描くこと』に傷つくようなプライドを持たないこと。良い意味での『あきらめの良さ』よ。いつまでも辿りつけない完成形を追わずどこかで見切りをつけること。(略)私が初投稿作を描いた時は『一か月以内で描けるものを出す』と決めていたわ。』p.92～93漫画家のニコ・ニコルソンが漫画家に漫画の書き方をインタビューし、そのことを漫画にしたのがこの作品です。上記は、きづきあきら＋サトウナンキのインタビューから抜粋しました。きづきあきら(妻)とサトウナンキ(夫)は夫婦合作で漫画を書いています。完結させること、納期を守ることはプロの条件なのですね。ニコ・ニコルソンのブログhttp://nico.nicholson.jp/『ニコ・ニコルソンのマンガ道場破り　白帯マンガ家が第一線のプロ作家に突撃取材！』ニコ・ニコルソン、白泉社、2013年、838円（税抜）【楽天ブックスならいつでも送料無料】僕 1 [ きづきあきら+サトウナンキ ]価格：596円（税込、送料込）

  2015年08月06日

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  『アルスラーン戦記』14巻を読んでいる

  『アルスラーン戦記』を読み進めて、14巻目まで来ました。一番新しい本が14巻目です。やっと追いつきました。この小説には、3人の妻を持つトゥースという登場人物がいます。私の頭の中にはお笑いコンビ「オードリー」の春日が登場して、人差し指を立てて「トゥース！」と言います。私のイメージのトゥースは完全に、胸を張りピンクのベストを着て３人の妻をはべらす七三分けの屈強な男です。また、アルスラーン王が治める国、パルスにはデヴァマント山があります。私の中には明石家さんまが登場して、「誰が出歯やねん！」と言っています。(※正しくはデマヴァント山ですが、脳内変換されます)トゥースもデマヴァント山もよく出てくる単語ですが、それらを読む度に、頭の中に出てくる春日やさんまちゃんを払拭して、がんばってペルシアによく似ているというこの物語の風景を作り直しています。けっこう苦労して読んでいるのです。　　

  2015年07月18日

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  「ピース又吉　芥川賞受賞の快挙『何も考えずに…』無欲の栄冠」

  ピース又吉　芥川賞受賞の快挙「何も考えずに…」無欲の栄冠 スポニチ 第１５３回芥川賞、直木賞（日本文学振興会主催）の選考会が１６日、東京・築地の料亭「新喜楽」で開かれた。芥川賞はお笑いコンビ「ピース」の又吉直樹（３５）の中編小説「火花」（「文学界」２月号）に決まった。１９３５年の創設から８０年の歴史を誇り、過去にはロックミュージシャンの辻仁成（５５）が９６年「海峡の光」、パンクロッカーの町田康（５３）が２０００年「きれぎれ」で受賞したが、お笑い芸人として初の快挙を成し遂げた。羽田圭介氏（２９）の「スクラップ・アンド・ビルド」と同時受賞となった。　又吉が中学時代、読書にハマるきっかけになったのが、教科書に載っていた芥川龍之介「トロッコ」。読書好きになった原点といえる作家の名を冠した賞を獲得した。スポニチ本紙のインタビューに「そこ（芥川賞）は何も考えずに書きました…」という又吉だったが“無欲の勝利”で栄冠を手にした。　「火花」は、売れない芸人と先輩の交流を通し「才能とは」「人間とは」などの葛藤を描いた意欲作。又吉は太宰治が好きで「人間失格」は自分のことと思えたほど。これまでエッセーや短編を手掛けてきたが、原点となった純文学に本気で向き合ったのは初。昨年９月から３カ月かけて原稿用紙２３０枚分を仕上げた。　文芸誌「文学界」２月号で掲載されると、創刊８２年の同誌が史上初の増刷となって話題に。３月に発売された単行本は今年上半期のベストセラーランキングで２位（日本出版販売調べ）となった。　内容や文体への評価も高く、純文学作家の登竜門とされる「第２８回三島由紀夫賞」の候補になり、５月の選考会では受賞作「私の恋人」（上田岳弘氏）との決選投票の末、１票差で受賞を逃した。　この日は選考会を前に、都内で行われた遊園地のＰＲ会見に出席。「リアルに考えれば無理やろうけれど、せっかくやから期待したい」「地元の小・中学校が垂れ幕を用意していると聞いて、アカンかった時は申し訳ないなと思う。（受賞したら）まあ、自然と喜べるんじゃないでしょうか」などと心境を語っていた。　贈呈式は８月下旬、東京都内で開かれる。賞金は１００万円。　なお、直木賞は東山彰良氏（４６）の「流（りゅう）」に決まった。http://www.sponichi.co.jp/entertainment/news/2015/07/16/kiji/K20150716010748100.html又吉が本当に芥川賞をとりました。昨晩、スマホを見てニュース速報で受賞を知った時、思わず声を上げてしまいました。又吉の読書好きは夙に知られていましたので、ただただすごいなあと思います。又吉はお笑い芸人なのに文学が好きで、陰気な見た目で、でもおしゃれ番長で、サッカーが得意という、いろんなギャップを持っていて興味があります。

  2015年07月17日

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  田中芳樹『旌旗流転　アルスラーン戦記９』

  「血統にこだわるというのは、結局、生きる姿勢がうしろむきということなのだ。血統がしめすものは過去の栄光であって未来の可能性ではないからな」(p.89)田中芳樹『旌旗流転　アルスラーン戦記　９』角川文庫、1992年、456円（税抜）荒川弘が漫画化した『アルスラーン戦記』を買って読んでいます。わりとおもしろいしので、先が知りたくて原作を読み進めています。原作はまだ完結しておらず、現在14巻まで出版されています。私が読んだのは10巻目の途中までです。引用文は９巻目。第二部に入ってから２巻目です。王族のことをこのように表現するのは珍しいので印象に残っています。漫画は漫画なりの魅力があり、小説には小説の魅力があり、どちらも好きです。両方に共通するのは、戦いの場面をきちんと描くところ。戦記物でこれは重要な部分です。漫画では小説の描写を忠実に絵にしてくれるので、武器をどう使ってどう人体が損なわれたかがよくわかります。とはいっても微に入り細を穿つ冗長な書きぶりではなく、簡潔で展開は早いです。小説では特に、ダリューンの武勇の描写が豊富なのが私の気に入るところで、その部分だけを抜き書きしてノートを作りたいくらいです。中学生や高校生の時にこの小説を読んでいたならば、私はきっとノートを作ったでしょう。アニメも見ています。アニメ「アルスラーン戦記」公式サイトhttp://www.arslan.jp/　

  2015年05月28日

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  阿川佐和子『叱られる力 聞く力２』

  　以前、私が文章を書き始めた頃に、父に注意されたことがありました。「いいか。常に志賀先生がお読みになるかもしれないと思って書きなさい」　志賀先生とは、父の師である志賀直哉のことです。その言葉を言われたとき、すでに志賀先生はお亡くなりになったあとでした。それでも父は、「志賀先生の目に留まると思って書け」と言ったのです。それはつまり、ちょっと書けるようになると、読者を下に見るときがくる。その態度は文章に現れる。しかし、書くときに「もしかしてこの文章を自分の尊敬する方がお読みになったら、どう思われるだろう」と意識すると、おのずと書き方が変わってくる。それは卑屈になるということでも、ひたすら謙（へりくだ）れということでもない。表現の仕方が違うのだ。だから常に上を見て書きなさい。そう言われて気づきました。父にとって「怖い存在」は志賀先生なんだと。（p.164～165)この本は全体的にあまり面白くはなかったのですが、この部分はなるほどなと思いました。学生時代はいつも先生がいて、何か書くと直してもらえましたが、今となっては直してくれる人はなかなかいません。一晩寝かせておいて冷静な目で読む、声に出して読み上げるという方法で自分の文章を添削していましたが、この方法も取り入れたいと思います。ここのブログに書く文章は添削しないで指先から紡ぎ出されたそのままをのせていますし、これからもそのつもりですが。阿川佐和子『叱られる力 聞く力２』文春新書、2014年6月、864円（税込）

  2015年05月17日

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  ヤマザキマリ『国境のない生き方　私をつくった本と旅』

  「どんなに退屈な曲だろうと逃げ出すわけにはいかない。そこにちゃんと座ってないといけなかったから、二時間なら二時間をしのぐためには、頼れるものはもはや自分の想像力しかなかった。集中しているようで、その実態は上の空だったのですから、あれはもう、クラシック座禅ですよ。「音楽を聴く」というより「生オーケストラをBGMにひたすら瞑想していた」のだから、何の修行だ？って話です。」(p.47)ヤマザキマリの母は札幌交響楽団所属のヴィオラ奏者でした。幼少時、ヤマザキと妹を預かってくれる人がいなかった時はコンサート会場に連れて行かれ、最前列で座らされていたそうです。今も漫画を描く時にクラシック音楽をかけると、想像力が「うわあっと膨らむ」のだそうです。クラシックを座禅にたとえたのがおもしろいと思いました。「「私はそうは思わない」と言うことは、別に相手を否定することじゃない。納得したい、相手のこともきちんと理解したい。対話というものはそこから始まるものでしょう。　結論を出す必要もない。自分ひとりでは思いもよらなかった考えに触れたり、触発されることで、そこから新しい展望が開けていく。　自分よりもうんと年上の人たちの熱い言葉の応酬のただ中に身を置きながら、私も、そういう、対話することの醍醐味を、つたないながらも実践で学んでいったのです。」(p.83)私も周りが自分よりだいぶ年上の人ばかりという環境に身を置くことがありました。「私はそうは思わない」が相手の否定ではない対話もしたことがあります。少ない知識を脳みその奥からひっぱりだして、拙い表現力で必死に応答しました。相手は私が何もかも足りていないことがわかっていたし、私もそのことを自覚していましたが、それでも相手は私との対話を楽しんでいたと思いますし、私も苦しいながらも楽しかったのです。引用部の最後の文に付された読点の不自然な多さは、私と同じことをヤマザキマリが思い、正確に伝えたかったからだろうと勝手に感じ取っています。「　あの頃の私にとって『昆虫の図鑑』は宝物でした。何か捕まえては、すぐに調べていた。　当時の図鑑って、ほとんどの図版が写真ではなく、緻密に描かれた絵が使われていて、そこがまたいいんです。　ただの写実じゃない、描いた人の気持ちが籠っている感じがする。」(p.240)その通りです。私が幼少時持っていた図鑑も写真ではなく、緻密に描かれた絵でした。なぜ写真じゃないのだろうと、当時は少し不満でしたが、このような良さもあるのですね。「「お前は本当にネコの『袋』で生まれてきて良かったね」　図鑑を見ると、世の中には実にさまざまな色、さまざまな形をした生きものがいることがわかります。そういう中に交ぜてみると、人間なんて別にそれほどいい形でも何でもないなと。そこへいくと、うちのネコなんかを見ていると「いいなあ」と思うわけです。　いいなあ、こんないい形で生まれてきて。ネコこそが愛される形、愛でられることを仕事として生まれてきた生き物の形だなと思うわけです。」(p.242)猫はかわいいです。ヤマザキマリ『国境のない生き方　私をつくった本と旅』小学館新書、 2015年4月、799円（税込）

  2015年05月03日

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  正木香子『本を読む人のための書体入門』

  　70年代のマンガ誌に使用されている平均的な印刷用書体の数(広告ページを除く)は、たった５種類程度しかないのです。（略）　それが80年代の半ばになると一気に15書体前後に増え、さらに史上最高の発行部数653万部を記録した「週刊少年ジャンプ」の1995年3-4号では、なんと約40種類もの書体が用いられています。（興味深いことに書体数の増加と発行部数とのピークとはほぼ一致しています）。（p.34～35）私はこの本を書店で手に取り、いわゆる「ホラー書体」、淡古印に述懐しているのに興味を引かれて買ってみました。淡古印の歴史についてはp.26～33に書いてありました。この本のはじめの方です。この本は全頁にわたって作者の書体についての興味関心が詰まっています。漫画を読むのが大好きな私は書体への興味もありましたが、書体についての本を読んだのはこれが初めてでした。正木香子HP「文字の食卓」http://www.mojisyoku.jp/index.htmlfontnavihttp://fontnavi.jp/list.aspx?smod=3&tfid=61『本を読む人のための書体入門』正木香子、星海社新書、2013年、820円（税抜）

  2015年04月23日

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  「やしろ優「今が最大」体重でファッション誌モデルに “キレイなお姉さん”に目覚める」

  やしろ優「今が最大」体重でファッション誌モデルに “キレイなお姉さん”に目覚める2015-03-20 10:52:03 配信倖田來未や芦田愛菜のものまねで知られるお笑いタレントのやしろ優が、20日発売のファッション誌「la farfa（ラ・ファーファ）」5月号に登場。“過去最高体重”にして華やかなモデルに変身した。同号で創刊1周年を迎えた「la farfa」は業界初の“ぽっちゃり女子のためのおしゃれ応援マガジン”。前号までお笑いタレントの渡辺直美がカバーガールをつとめており、“マシュマロ女子”という造語をはじめ新たなトレンドを発信している。同誌初登場のやしろは「やしろ優 キレイなお姉さんに目覚める」をテーマに、清潔感あふれる春のトレンドファッションを着こなし。インタビューでは、幼い頃からぽっちゃり体型でおしゃれへの意欲も薄かったと明かし「痩せることがないままデビューに至り、そして今が最大の体重に！」と告白。現在、身長156cm・体重80kgだが「モデルのお仕事をさせて頂き、いろんなお洋服を着てみたら、おしゃれってこんなに楽しいんだ！って気付いたんです」と見事“開眼”し「まだまだ不慣れで、憧れの渡辺直美さんのように堂々と服を着こなせてませんが、いつもと少しアイテムを変えるだけで、ぽっちゃりでもいろんなジャンルのコーディネートができるんだ！ってすごく勇気づけられました」と感想を語っている。 今号は創刊1周年を記念し、同誌を代表するラ・ファーファモデル（通称：ラファモ）が5人揃って表紙に初登場。「春トレンドJOURNAL2015」「マシュマロ女子たちの鉄板アイテム7変化」「ぽちゃ子のファッションの悩み100問100答」などの特集が展開されている。（modelpress編集部）モデルプレス　http://mdpr.jp/review/detail/1474944  2015年1月19日に書きましたように、渡辺直美が本誌のモデルを卒業してしまったのがたいへん残念でした。しかし今回、またスターが登場するのですね。やしろ優は今のままで十分かわいいと思いますが、モデル風に写っているところをちょっと見てみたいです。買ってみてもいいです。きっと素晴らスウィートな着こなしを見せてくれているでしょう。ラ・ファーファhttp://lafarfa.jp/ やしろ優オフィシャルブログ「やしろ優のえくぼ」http://ameblo.jp/egao79/

  2015年03月20日

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  都合よく映画「DEATH　NOTE　the　Last　name」

  週刊少年ジャンプに連載し、大ヒットした漫画『DEATH　NOTE』が好きです。最近、また読み返し、改めて面白い漫画だと思っていました。2月14日(土)にテレビ放送された映画第一弾を見て、面白いと思いました。漫画の実写版はろくでもないのが多いですが、この作品は第２弾も見たいと思いました。また土曜日に再放送しないだろうかと、テレビ番組表に目を光らせていましたが、私の期待は毎週毎週裏切られました。そして3月14日（土）、再放送があったのです。バレンタインデーとホワイトデーです。第２弾も面白かったです。終わり方が原作とはかなり違いましたが、これはこれでありだと思いました。こういうことは珍しいんじゃないかと思います。映画化はLが主人公になったのもあるようです。これはテレビ放送はしたのでしょうか。もししたのならば、これも再放送しないでしょうか。ちょっと期待したいです。映画「DEATH NOTE -デスノート-」http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/　　　

  2015年03月18日

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  都合よく映画「DEATH　NOTE」

  週刊少年ジャンプに連載し、大ヒットした漫画『DEATH　NOTE』が好きです。最近、また読み返し、改めて面白い漫画だと思っていました。映画も見たくなったのでレンタルしようかと思い、DVDの発売状況をネットで調べると、本編は前後編に分かれていること、それ以外にLを主人公にしたDVDも1作発売されていることを知りました。そんな時、都合がいいことに、昨日、2月14日(土)の夕方に前編がテレビ放送されました。見たい見たいと思っていたのが天に通じたようです。こんなこともあるのですね。録画したのを今日見ました。漫画と映画とは、主人公の夜神月に漫画には登場しない彼女がいること、FBI捜査官の名前がレイ・ペンバーではないこと、レイ・ペンバーの婚約者がレイの死を目撃したり、レイの死語積極的に動くところ、甘い物大好きなLが夜神月の前に姿を現す時に夜神月が食べていたのと同じポテトチップスを食べながら現れるところなどが違っていました。L役の松山ケンイチは、見た目も演技もLが漫画から抜け出したかのようで素晴らしかったです。後編は来週の土曜日にでも放送するのかと思い、ネットで番組表を確認しましたが、放送はないようでした。是非とも放送してほしいです。映画「DEATH NOTE -デスノート-」http://wwws.warnerbros.co.jp/deathnote/　　　

  2015年02月15日

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  鈴木隆一『日本人の味覚は世界一』

  　まず植物の立場からすると、ほかの生物に食べられないように防御するのが基本である。植物は動くことこそできないが、紛れもなく生物であり、生きている。彼らも生き残るために必死だ。植物体内の各種アミノ酸から生合成（生体内で有機物が合成されること）される物質の中に「アルカロイド」と総称される物質がある。これらが動物の舌には「苦い」と感じられることが多い。植物が動物から自身を防御するために苦みになったのだが、動物の側もアルカロイドを解毒する能力を身につけて対抗している。植物が自身を防御するために、動物に感じさせる味が苦みなのである。(p.77)私は苦い野菜が嫌いです。ピーマン、シシトウ、生タマネギ、ゴーヤ。春菊もあまり好きではありません。しかし植物の側にも苦い理由があるということがよくわかりました。ピーマン等の側から対抗してくるというのならば、食べないでおいてあげましょう。鈴木隆一『日本人の味覚は世界一　「旨味」のわかる驚異の味覚はどこからきたか』廣済堂新書、2013年、800円（税抜）

  2015年01月07日

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  竹田恒泰『日本人が一生使える勉強法』

  「本物の勉強を始めると、誰もが経験する感覚があります。それが「勉強すれば勉強するほど、無知になっていく」という感覚です。　一般的には勉強をすれば頭がよくなっていく感触を掴めますが、それを続けていくと逆に無知になっていくように思えるのです。自分の無知を恥じながら勉強するようになったら、それは本物の勉強をしているということです。　勉強を始めた頃は、頭の中に「知っていること」と「知らないこと」しかないので、「知らないこと」が「知っていること」に変化すると、頭がよくなっていくように思えます。　ところが勉強を突きつめていくと「知らないことすら知らない」ことが山ほどあることに気づくのです。「知らないことすら知らない」というのは、自分が知らないということを、自分自身がまだ気づいていない領域です。勉強すると「知らないことすら知らない」ことが、「知らないこと」に転換されます。すると頭の中で「知っていること」の比率が低下しますから、「勉強するほど無知になる」という現象が起きるのです。」(p.142～143)同感です。竹田恒泰オフィシャルサイト「竹の間」　http://www.takenoma.com/竹田恒泰『日本人が一生使える勉強法』ＰＨＰ新書、2014年、760円（税抜）

  2014年10月30日

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  西原理恵子『毎日かあさん（息子国外逃亡編）』

  「美大生時代 それはビンボーで 美大生なのに絵の具がない。ずっとそんな状態。漫画家になってやっと少し生活にヨユーができてあこがれの画材を買い集めたはいいが エロ本のカット描きが忙しくて ゲージツとかやってる時間がなくて。(略)私は25年前に 自分の娘に絵の具を買っていた。」(p.33)いい話だと思いました。「私達の子供の頃はバレエ漫画が大はやりして 女の子はみんなバレリーナにあこがれてた。が、その当時の現実は 田舎でばあさんのやってるそろばん教室くらいしかない。家が貧乏で通うとか無理。今、バレエに自分の娘を通わせてるお母さんを見るに、幼い頃の自分を供養してるように見える。ホラ子供の私見て見て あんなにあこがれのバレエ あなたの娘が踊ってるのよ。」(p.56)この話のタイトルは「自分供養」です。いい言い方をしてます。私の場合は、昔からずっと家族に長髪を嫌われていましたので、娘がいたならば髪を伸ばさせると思います。西原理恵子『毎日かあさん（息子国外逃亡編）』11巻、毎日新聞社、2014年10月、838円（税抜）

  2014年10月10日

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  岡崎武志『蔵書の苦しみ』

  「　　本を買ふそばで古本売りに来る　雉子郎「雉子郎」とは、吉川英治が川柳を作るときの号。古本屋の風景だろう。本を買っていると、すぐ脇で、古本を持ち込んで売る人がいる。こうして、本が世の中を対流して、古本の世界が作られていく。」(p.34)何と言うことはない川柳と思う人もいるでしょうが、本が好きだったり、古本屋を愛好した経験のある人には自らの経験がよみがえる愛着のある川柳だと思います。私はそうです。「「本」は、中身だけで成り立っているものではない。紙質から造本、装丁、持ったときの手になじむ触感、あるいは函入りであったり、変形本だったり、それぞれの姿かたち、これらを総合して初めて「本」と呼びたい。」(p.184)これは電子書籍に対する「本」の魅力を書いた箇所です。電子書籍は情報を取り出して持ち運びしやすくしたところに魅力がありますが、その代わりに「本」独特の紙質などの特徴がなくなりました。電子書籍も「本」もどちらにも長所がありますが、著者と私が好きなのは「本」の方です。岡崎武志『蔵書の苦しみ』光文社新書、2013年、780円（税抜）

  2014年10月02日

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  内田樹 名越康文 橋口いくよ『本当の仕事の作法』

  「内田　僕の友達にラクロス部のコーチをやっている人がいるんだけど、彼がある日、コーチできない時に学生に自主練しておくようにって伝えたら、主将が来て「何やっとけばいいですか？」って言ったんだって。それ聞いて、なんだかカチンときたんだって。「何をやればいいんですか」ならわかるけど、「何やっとけばいいんですか」っていのは、ないだろうって。名越　ミニマム！内田　そう。彼らはミニマムを訊いてくるわけですよ。これだけやっておけば、コーチが怒らない最低線はどこですかって。」(p.31～32)教育現場は生徒にそう思わせている仕組みになっており、且つそのように問うことが許される仕組みになっているということなのでしょう。「内田　器用な子っていうのは、多少間違っても、器用だから帳尻合わせられるの。正しい技と似たようなことができる。本当は違うんだけどね。運動能力の低い子は、それができない。正しいことをしないと全部失敗する。だから、正しい術理に基づいて、基礎から積み上げてゆくしかない。すると、ある段階に他すると惚れ惚れするような動きができるようになる。器用な子がささっと真似しようとしてもできないようなしっかりした型ができる。」(p.72～73)スポーツ漫画で、凡才の主人公が努力の末に優勝するのはこういうことでしたか。「内田　あのさ、『これがロックンロールだぜ』っていう型があるんだよ。ロックンロールって、一九五六年に始まって、五九年には完成を見て、ジャンルとしてはその時に終わったわけだから、二十一世紀にロックをやっている人って、ある意味で伝統芸能、無形文化財の保持者なんだよ。歌舞伎役者と同じで、ロッカーならこういう立ち居振る舞いをせねばならないという決まりがあるの。橋口　自己表現のはずだったロックが今は型になったと。内田　よく山奥とか離島に古い神楽とか能楽とか伝わっているじゃない。伝統を守り続けてきました、みたいな。ロックは本質的にはあれと同じだと思うよ。橋口　守り続けるためには、体を細身に保ち、ぴちぴちの革パンも穿かなければなりません。名越　『これはね、もう、わし以外に穿く者がいなくなりそうでね……』って。内田　そう！『このスタイルで歌い続け、守り抜かなければ、この伝統は絶えてしまうのです……』というような悲壮な使命感を感じるなあ。」(p.180～181)なんておもしろいことを言うんだろうと思いました。内田樹 名越康文 橋口いくよ『本当の仕事の作法　価値観再生道場』KADOKAWA、2014年

  2014年09月22日

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  石原加受子『母と娘の「しんどい関係」を見直す本』

  「このまま話をしていたら、自分がもっと傷ついてしまう。自分を守ることのほうが大事だ。自分を傷つけないために、この話題はここで終わりにしよう。　そのために、「この話を、どうやって終わりにしようか」と彼女は考えました。　そのとき思い浮かんだのが、「あ、そうだね。少し考えてみるね」　という答え方でした。彼女のほうで、いったん争いから降りてみたのです。」（p.215）先のばし、妥協、嘘つき。これらは時と場合によっては有効な戦術になります。『母と娘の「しんどい関係」を見直す本－「しがみつく母」から解放される３７のコツ－』石原加受子、学研パブリッシング、2014年、1,400円（税抜）

  2014年09月18日

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• ブログ「内田樹の研究室」内、「旦那芸について」

  「経験的に言って、一人の「まっとうな学者」を育てるためには、五十人の「できれば学者になりたかった中途半端な知識人」が必要である。非人情な言い方に聞こえるだろうが、ほんとうだから仕方がない。一人の「まともな玄人」を育てるためには、その数十倍の「半玄人」が必要である。別に、競争的環境に放り込んで「弱肉強食」で勝ち残らせたら質のよい個体が生き残るというような冷酷な話をしているわけではない。「自分はついにその専門家になることはできなかったが、その知識や技芸がどれほど習得に困難なものであり、どれほどの価値があるものかを身を以て知っている人々」が集団的に存在していることが一人の専門家を生かし、その専門知を深め、広め、次世代に繋げるためにはどうしても不可欠なのだということを申し上げているのである。」「私が「旦那」と呼ぶのは「裾野」として芸能に関与する人のことである。余暇があれば能楽堂に足を運び、微醺を帯びれば低い声で謡い、折々着物を仕立て、機会があるごとに知り合いにチケットを配り、「能もなかなかよいものでしょう。どうです、謡と仕舞を習ってみちゃあ？」と誘いをかけ、自分の素人会の舞台が近づくと、「『お幕』と言った瞬間に最初の詞章を忘れた夢」を見ては冷や汗をかくような人間のことである。 私はそういう人間になりたいと思う。そういう人間が一定数存在しなければならないと思う。技芸の伝承は集団の営為だからである。全員が玄人である必要はないし、全員が名人である必要もない。玄人の芸を見て「たいしたものだ」と感服し、おのれの素人芸の不出来に恥じ入り、それゆえ熟達し洗練された技芸への欲望に灼かれる人々もまた能楽の繁昌と伝統の継承のためになくてはならぬ存在なのである。」「内田樹の研究室」内、「旦那芸について」 2014年9月3日 11:11http://blog.tatsuru.com/2014/09/03_1111.php2006年10月8日に紹介した林望『「芸術力」の磨き方』にも、能楽のファンになるとチケットを買って能楽堂に見に行く、そうすることで能を陰ながら支えるのは楽しいことではないかというようなことが書いてありました。その本を読んでから、お金を払うことがお金を払わせた側へどのような影響を与えるのかについて、読む前よりも自覚的になったと思います。

  2014年09月08日

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  黒川祥子『誕生日を知らない女の子　虐待―その後の子どもたち』

  「これまで誰一人として、拓海くんにどう体を洗うのかを教えてくれたことはなかったようだ。家庭なら、親がお風呂に入りながら一から教えていくものが、すぱっと抜け落ちていた。　朋子さん（引用者注―グループホーム『希望の家』の「ママ」）は「たくみは肛門の位置がわからない。だからウンチの後にお尻を拭けない」ことに、ほどなく気づいた。」（p.141）「ここ数日、里子の目が左右に離れたり……白目をむいて追いかけてきたり……というゾンビ現象が続いていて……」　生後五日で乳児院に預けられた男の子を里子にしたという、五十代の男性に話を聞いた時、「ゾンビ」という言葉に心当たりがあると語った。自分の里子もよく、目の焦点が合わないことがあった、と男性は言う。「ベビーベッドで寝かせっきりだと、視界に動くものがない。そうすると人間は見ることをやめてしまうと専門家から聞きました。人間の瞳は見ることをやめた時に、外に開いてしまうそうです。乳児院の寝たきり養育は、大きな問題だと思います」（p.181～182）「おかあしゃまは、めがみしゃま。なんでもかなえてくれる、めがみしゃま」　六年生だというのに、赤ちゃん言葉で実母にすがった。　それは唯真ちゃんが「どんなことをしてでも、もう一度お母さんと暮らすのだ」と必死で願ったように。」（p.212)2013年11月23日に、虐待のことを書いた『誰か助けて』という本について書きました。『誕生日を知らない女の子』は虐待を受けた子のその後について書いています。子供は何もかもを教わらないと何もかもがわかっていないのだということがわかりました。自分の肛門の位置さえも教わらないといけないことなのですね。『誕生日を知らない女の子　虐待―その後の子どもたち』黒川祥子、集英社、2013年、1,600円（税抜）

  2014年09月07日

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  『犬も食わない　上沼さんちの夫婦げんか事件簿』

  「タイのアユタヤへ旅行したときのことです。日本人町跡というところへ行きました。昔、日本の貿易商人を中心にたくさんの日本人が住んでいたところなのでしょう。山田長政の像も立っていました。とても暑い日だったので、私はどこかへ冷い物を飲みに行きたかったのですが、あなたはその場を動きません。睨むようにして川の方を見つめています。「恵美子、あの船が見えないか。日本から物資を満載した貿易船が着いたんだよ。ほら、日本人が大勢集まってきた。あの喜びの声が聞こえないか」　船なんて来てません。人々もいません。この人暑さで頭が変になったのかと心配です。「鎖国によって外国に取り残された人々は、いつの日にか日本の船が迎えに来ると信じて必死に生きていたんだなぁ。そう思わないか恵美子」「思えへん！」」（p.115～116）上沼恵美子はテレビ番組でよくご主人の悪口を言っています。たいへん軽快で面白いです。この本はご主人との共同執筆で、34個のけんかについて双方の言い分が書かれています。妻の怒りの方が半分以上を占めるのですが…『犬も食わない　上沼さんちの夫婦げんか事件簿』上沼恵美子、上沼真平、学研パブリッシング、2011年、933円（税抜）上沼恵美子、上沼真平、学研パブリッシング、2011年、933円（税抜）

  2014年09月06日

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  林真理子『野心のすすめ』

  「人生に手を抜いている人は、他人に嫉妬することさえできないんです。それほど惨めなことはありません。成功した人、幸せそうな人を見ても、自分が努力していたらまた違う感慨があったかもしれないのに、「ああ、私は嫉妬する資格すらない」と自覚しているから、いじましく、自らの不幸を呪うことしかできない。　どうしてこんなに嫉妬するんだろうと思って、自分の弱点が見えてくることだってある。頑張っている人だけが抱くことのできる「健全な嫉妬心」はまったく悪いことではないと私は思います。むしろそれは宝物、自分が努力してきたことへのご褒美なのです。」（p.182～183）謙虚さが美徳とされている日本でこのようなタイトルの新書を発売するのだなあと思い、図書館で借りてみました。著者の昔から今までの写真を見ることができますが、著者は年をとるごとにきれいになっているのがわかりました。『野心のすすめ』林真理子、講談社、2013、740円（税抜）

  2014年09月04日

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  『佐野洋子対談集人生のきほん』

  「西原　うちの母親があんなに怒ってたのは、怒ってたんじゃなくて、日常会話だったのかなと思いますね。韓国の東大門市場のおばちゃんなんか、怒ってないけど日本人から見ると、すごい怒ってるような印象があるでしょ。大阪の黒門市場のおばちゃんとか。みんな怒ってるように見えるけど、普通らしいんだよね。佐野　そうだよね。」（p.71）私は中国人同士の会話も怒っているように見えます。「佐野　そうすると、その人のことをだいたいチューチュー吸い終わったころに、次のが出てきたりするの？西原　そうですね。五、六年で次のが来ちゃいます。前の人にはすごく感謝してて好きなんだけど、なんかねー、ギャンブルといっしょで飽きちゃうんですよね。佐野　飽きるよね。西原　でも次の船が来ないと、私は移らないから、ときどき二人が重なって……。佐野　それを“のりしろ”っていうんだって。西原　のりしろ!?ってことは、計算に入れなくていい部分ってことですね。」（p.80)これは男女の恋愛の話です。2013年2月11日に取り上げた 西原理恵子著『スナックさいばらおんなのけものみち（七転び八転び篇）』の中で、佐野洋子が男性の交際が二人重なる場合を「のりしろ」と言ったことを西原が紹介していました。おそらく出典はこの本だろうと思っていましたが、まさしくこの本でした。「佐野　最初に『おじさんのかさ』を持っていった出版社では、「主人公をおじさんじゃなくて子どもにしろ」と言うのよ。子どもなんて、雨なんか降ってなくたって傘さして飛び回るじゃない？「主人公を変えたら、本を出してあげる」と言われたけれど、私は「出してくれなくていいもん」って帰ってきた(笑)。そういうとこ、ものすごい強情だったような気がするね。「生活のため」と言いつつ、自分を曲げたこと、ないの。」（p.126）『おじさんのかさ』は好きです。私も幼少時は好きなシールをずっととっておいて、自分の中のそのシールの旬がすっかり過ぎ去ってしまうような子供でしたから。この本は発売当初から読みたいと思っていましたが、読むまでに３年かかってしまいました。抜き書きたいと思ったところはすべて、西原理恵子との対談部分でした。ただし、リリー・フランキーとの対談途中で亡くなった（※いきなり佐野が事切れたわけでわなく、癌を患っていた佐野の体調を考慮して２回に分けて行う予定だったところ、２回目が実現しなかった）ので、この本の３分の２は西原との対談です。『佐野洋子対談集人生のきほん』佐野洋子、西原理恵子、リリー・フランキー、講談社、2011年、1,400円（税抜）

  2014年08月24日

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  西原理恵子『スナックさいばらおんなのけものみち（生きてりゃいいじゃん、笑っとけ）』

  「近所に女子高生とか歩いてると、彼女たちの生命力に見惚れることがあるんです。もはや美醜じゃないの。ぱつぱつの子でも、ぽってりした太ももがかわいい。今しかない若さ、きれいさがあって、どの子もすごく素敵に見える。　高須先生が私に「いくらでも太っていいんだよ」って言うのも、そういうことなのかも。あれは69歳が49歳に生命力を見てるんだね。」(p.50～51)私も、今となっては容姿が整っていようがいまいが「若いって素晴らしいなあ」と思います。だって戻らないもの。「お墓のことでいうと、生前の鴨ちゃんの希望としては、喪主は私にやてほしい。彼は、お父さんのことを嫌っていたから「お墓は鴨志田の墓じゃなくて、君と一緒のお墓に入りたい」ということでした。ずっとそれは言っていたから、そうしてあげようと思っていたけれど、でも、お義母さんに「イヤじゃなかったら、自分の実家のお墓の方に入れさせてもらえないか」って言われたんです。「理恵子、大事なのは、死んだ鴨ちゃんより、今生きているお義母さんの気持ちだから」　お兄ちゃんにそう言われて、ああ、本当にそうだなって。　旦那に死なれた私より、子供に死なれたお義母さんのほうが、きっと何倍もつらいし、悲しい。」(p.277～278)合理的です。このような判断ができるお兄さんは素晴らしいし、それを受け入れることができた西原も素晴らしいです。「『あたしも我慢したんだから、あなたも我慢すべき』？　人生は我慢比べじゃないんだよ。」(p.325)その通りだと思います。「うちのばあちゃんも、あかちゃん連れたお客さんが来ると、ずっと抱いてるもんね。　たぶん、あれは１時間チャージすると３日寿命が延びると思う。　一晩一緒に寝たら、30日は延びる。アンテナ３本立って、ばあちゃん、バリ３になりますよ。」(p.349)世の「ばあちゃん」の赤ちゃんフィーバー、それに伴う妊娠・出産フィーバーのエネルギーは、その一家の電力がまかなえているんじゃないかと思えるほどです。妙に明るい。そして妙に熱を発している。「スナックさいばら」全５巻です。完結しました。結局今までの４冊と今回とで計５回、それ以外にもweb連載が更新されたときにも２回、計７回、このシリーズの抜き書きをしてしまいました。これで終わるとなると寂しいですが、きっぱり終わってくれたのですがすがしくもあります。2013年2月11日 『スナックさいばらおんなのけものみち（七転び八転び篇）』 2013年4月15日Web連載「スナックさいばら おんなのけものみち」2003年5月19日『スナックさいばら　おんなのけものみち（バックレ人生大炎上篇）』2013年10月04日 Web連載「スナックさいばら おんなのけものみち」2013年10月28日『スナックさいばら おんなのけものみち（ガチ激闘篇）』2014年04月30日『スナックさいばら おんなのけものみち（男とかいらなくね？篇）』 スナックさいばら おんなのけものみち 西原理恵子の人生相談http://www.kadokawa.co.jp/saibara/西原理恵子公式サイト「鳥頭の城」http://www.toriatama.net/home/西原理恵子『スナックさいばらおんなのけものみち（生きてりゃいいじゃん、笑っとけ）』KADOKAWA 、2,014年6月、840円（税抜）

  2014年07月13日

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  斎藤環『ヤンキー化する日本』

  「「撃ちてし止まむ」「一億一心」「進め一億火の玉だ」「一億玉砕」「ドンドン撃つにはグングン貯蓄」……戦時スローガンを並べてみると、もはや国家が一億総ヤンキー化を意図していたとしか思えない。東条英機がいみじくも言ったように「気合い」は日本が世界に誇る無限の資源、今風にいえば「エア資源」なのだ。」(p.22)（太字は原文ママ。以下同じ）「そう、ヤンキーはポエムが大好きだ。ポエムは情感を盛り上げ、気合いをもたらし、自らの正当性を信じさせてくれるなにものかだ。」(p.38)「そうなんですよ。ヤンキーに知性があってはいけない理由はないんですけど、ヤンキー的な人々というのは感性を肯定するために知性を批判するんですよね。「考えるな、感じろ」とばかりに。」(p.146)編著者の斎藤環のヤンキー論もおもしろいですが、6人の対談者のうち最後に掲載される建築家の隈研吾の発言も全編にわたって面白いです。「隈　出雲大社にしても伊勢神宮にしても、原始の形を伝えているというよりは、原型のままであることをいかに装うかを考えながら変形していたんですね。伊勢神宮の屋根の勾配なんかは途中で随分とがっています。」(p.226)斎藤環『ヤンキー化する日本』角川oneテーマ21、2014年04月、800円 　

  2014年06月09日

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  デアゴスティーニ「北斗の拳 DVDコレクション」

  デアゴスティーニから「北斗の拳 DVDコレクション」が発売されることを今日知りました。隔週刊です。昨日発売開始です。デアゴスティーニ　北斗の拳特設ページhttp://deagostini.jp/site/hkd/pretop/　

  2014年05月28日

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  ヤマザキマリ『とらわれない生き方』

  「シングルマザーに限らず、子どもを産むには、２つの覚悟が必要になる。子どもを育てる覚悟と、それと同時に自分も幸せにする覚悟です。子どもの存在で自分の寂しさや孤独を埋めたり、子どもの幸せを自分の幸せに投影する母親が、今は山のようにいますが、それは間違い。子どもを潰してしまいます。産んだ子から見返りがなければ、「こんなはずではなかったのに」と苦痛にもなるでしょう。」p.166斎藤環『母は娘の人生を支配する』に同様のことを書いていたので印象に残りました。「人間がなぜ一介の葦ではなく、ものを考えるようになっているのか。そう考えると、口に出してコミュニケーションをとって進化していかなければ、人間はとんでもない失敗を起こし得るのではないかとも思うんですよ。「なんとなくわかる」で言葉にしないままでは、地球を潰しかねない事態にまでなってしまうのが、今の時代なのかと。」p.225ここだけ取り出してみると、至極当たり前のことを書いているようにしか思えません。この引用部分はこの本の最後の方にあります。ヤマザキマリという海外経験も人生経験も豊かな女性漫画家の言い分を読み続けてこの部分を読むと、部分的に読むのとは違った味わいがあります。ヤマザキマリ『とらわれない生き方 悩める日本女性のための人生指南書』KADOKAWA、2014年04、1,080円（税込）

  2014年05月23日

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  西原理恵子『スナックさいばらおんなのけものみち（男とかいらなくね？篇）』

  「オカマっていうのは、つまり大坂のオバちゃんにチンコがついてる状態です。　女の人も歳とって力がついてくると、おっさん化していきますんで、お互い、だんだん歩み寄っていくんですね。(略)　もともと女の人の中には、おっさん成分がデフォルトで内蔵されてるんだと思う。それを長いこと、猫かぶって、女の子のフリをしてきたんだから、オバちゃんとオカマは、実は最初っから同じ人種です。　30代、40代になると、女の人もおっさん成分が８割。残りの２割が女の子成分で、まだ人生ぐらぐらさせてる。」(p.112)自覚がありますが、年をとると確かに昔恥ずかしかったことがどうでもよくなり、強く、大胆になります。「20代30代はあれもこれも欲しかった。金の斧も、銀の斧も、なんだったらその沼の借地権も何もかも欲しい。けど、ここまで来たら本当に必要なもの以外は欲しくない。抱え込んでたら時間のムダ。」(p.225)沼の借地権まで欲しいところが、おっさん化した西原理恵子のおもしろいところです。「姜尚中さんがまたいい声でしゃべるでしょ。　東大名誉教授だから、きっとすんごい立派なこと言ってるんだと思うの。　でも声が良すぎて、内容がひとつも入ってこない。ボサノバ聴いてるみたいで、何しゃべってようと、どうでもよくなっちゃう声ですよね、アレ。　ダニエル・グレイグが溺れてるのを観て、私が「ああ、男前……」ってうっとりしてるのと一緒。そこに彼がいれば、それでいい。　日曜美術館で司会やってたけど、観てる人はたぶん内容は二の次。あの見た目と声にヤラれてる。名画の横にあの人がいるだけで、大間のマグロにいいツマがあるみたいなごちそう感を醸し出してたもんね。」(p.308)私も姜尚中の声を聴いたとたん、「ええ声！」と思いました。またあの、じゅびじゅびした喋り方が、ええ声を生かしていると思います。2013年2月11日 『スナックさいばらおんなのけものみち（七転び八転び篇）』2013年1月 2013年4月15日Web連載「スナックさいばら おんなのけものみち」2003年5月19日『スナックさいばら　おんなのけものみち　バックレ人生大炎上篇』2013年5月2013年10月04日 Web連載「スナックさいばら おんなのけものみち」スナックさいばら おんなのけものみち 西原理恵子の人生相談http://www.kadokawa.co.jp/saibara/西原理恵子『スナックさいばら おんなのけものみち』｜web KADOKAWAhttp://www.kadokawa.co.jp/sp/201301-08/西原理恵子公式サイト「鳥頭の城」http://www.toriatama.net/home/西原理恵子『スナックさいばらおんなのけものみち（男とかいらなくね？篇）』KADOKAWA、2014年3月、864円（税込）最近、字下げ機能を使うとエラーが出て投稿できなくなりました。だから引用は「」付にします。

  2014年04月30日

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  『ONE PIECE』を一通り読んだ

  『週刊少年ジャンプ』に連載中の、尾田栄一郎『ONE PIECE(ワン ピース)』を一通り読みました。明石家さんまが読んでいて、トーク中でたまに言及するので、読みたいと思っていたのです。72巻もありました。全部借りました。わりとすぐに気楽に借りられる状況にあったのですが、今まで我慢していました。大ヒットしているので、うかうか読み始めてしまって夢中になった場合、日常生活に支障を来すほど睡眠時間を削って読み続けたり、関連サイトを見つめ続けたりしてしそうなので、避けていたのです。でも、最近は寝始めることに以前より自制心がついてきましたので、読み始めてみました。毎夜毎夜、ちびちび読みました。はじめの数巻は「大ヒットしているわりに私には響かないな…」と思いました。しかし、巻数を進めるごとに、「よくもまあ、こんなありもしない話を次々と思い浮かべられるなあ」と感心しだして、32巻～46巻のウォーターセブン編でわりと好きになりました。ウォーターセブンの市長で、何か言い始める時に「ンマー」と言うのが口癖のアイスバーグは、私が最も気に入っている登場人物です。読み始めたきっかけが、明石家さんまの言葉の出典を探るためでしたので、ぱーっと一通り読んでしまいました。今は作品自体に魅力を感じているので、もう一度全巻借りて、隅から隅までコツコツと読んでいこうと思います。　　

  2014年02月24日

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  酒井順子『自意識過剰！』

  　ある年の箱根駅伝のテレビ中継では、まだテレビが自黒時代の箱根駅伝の映像が映されていました。選手は皆、坊主刈り。そして彼等はたすきリレーの時、 ニコニコと笑いながら、とても楽しそうに次の選手にたすきを渡しているではありませんか。倒れこんで息絶えそうになっている人など、いない。受け取る選手の方も、微笑んで受け取っている。悲壮感、全くなし。　ということは、現在の箱根駅伝のお約束事のようになっている「たすきリレー時の倒れ込み」、これは後年になって作られた習慣なのです。(p.45)あれは文化じゃなかろうかと、まったく思わないではなかったです。昔の映像で裏がとれました。嘘というわけではなく、事前に完走者は倒れ込んでもいいという意識がなかったとしたなら、あれほど何人もの人が倒れ込むことはしないだろうという意味です。　歌舞伎や茶道も、考えてみれば本当に変な行為なのです。男が女の役を演じたり、人とは思えぬメイクをほどこして踊りを踊ったり。また慣れぬ限りはとても「おいしい」などとは言えぬ緑色の飲み物を、正座した人が陰鬱な表情で飲み干すなどということが、どうして「普通」の範疇に入りましょう。あれらのことは、「日本的」もしくは「伝統的」というお墨付き的な言葉を得たからこそ、素敵なものとして成り立っているのです。そうでなかったら、単なる珍奇な見世物、そして単なる我慢大会でしかない。(p.169～170普通は格好つけたり下品に思われるのを恐れたりして明言しないことを、包み隠さず書けるなあと思いました。『自意識過剰！』酒井順子、集英社文庫、2008年、480円（税込）

  2013年12月19日

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  内田樹『街場の文体論』

  　電子書籍で困るのは、「もう読み終えた私」の居場所がないということです。どこで待っていていいのかわからない。だって残り頁数がわからないんですから。(略)　僕たちは本を読むときにただ情報を取り入れるためだけに読んでいるわけじゃありません。わくわくしたくて読んでいるんです。そのわくわく感というのは、ラーメンを食べるときに、つるつる食べ進むにつれて、食欲がしだいしに満たされ、最後の一口をごくりと嘸下するときに空腹感がぴたりと収まるように計画しながら食べるときと同じで、自分で無意識のうちに「快楽の下絵」を描いているから得られるものなんです。(p.58～60)電子書籍を読んでみたことがありますが、どうも性に合いません。本の大きさや、紙の質感そのものも楽しんでいるからです。内田の指摘する、残り頁数というのは気がついていませんでしたが、確かにそうかもしれません。　この「本と目が合う」というのは、いったいどういう出来事なんでしょう。　一つは本が発する物質性ですね。よい本にはよい本にしかない力がある。作家が気合いを入れて書いて、編集者が気合いを入れて編集して、装丁家が気合いを入れて装丁ををして、営業マンが気合いを入れて営業して、書店員が気合いを入れて配架した本は、その本が書棚に並ぶまで経由してきたすべての人たちの「思い」がこもっている。そういう「愛されている本」というか、人々の輿望を担って、満を持して書店に並んでいる本には、何かにじみ出るような力がある。オーラが出ているんです。(p.63)編集者や営業マンにまで思いを巡らすことはありませんでした。「本と目が合う」、つまり、「著者の名前も知らない、中身も知らない、書評も読んでいないけれども、ふと手にとってパラリとめくると、そこには自分が読みたいと思っていた当のことが書いてある」という経験は、今まで何度もしたことがあります。本との幸せな出会いでした。「内田樹の研究室」　http://blog.tatsuru.com/『街場の文体論』内田樹、ミシマ社、2012年、1,680円（税込）

  2013年12月16日

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  西原理恵子『いいとこ取り！熟年交際のススメ』

  　女の入ってポイントカード制なんだよ。イヤだなと思うたびにハンコをひとつずつ押していく。相手が気づかないうちにポイントいっぱいになっちゃって、ある日突然キャッシュバックキャンペーン開催。熟年離婚ってほとんどがそうなんじゃないかな。(p.57)だから、女の人が別れようと思った時には修復不可能なのです。　あとは、考えない訓練ってのをしてる。これは医者にも勧められた。ウツになる前に、イライラしない訓練をって。考えてばっかりいるクセがついてるから、気がついたら答えがないのに考えてる。夢の中でも考えてる。空いた時間で憎いことや怖いことまで考えてる。もうヤメヤメ。ぼーっとする訓練、これ始めて寝つきがよくなった。　熟年になるというのは、単純に経験値が増えているだけじやないと思う。こうやって、イヤなことや無駄なことを自分でうまくかわしたり、逃がしたりできるようになる。それを相手にぶつけたり、ケンカしたり、衝突したりを避けることができる。(p.131)著者は職業が漫画家、子供が２人、実母と同居、かつて夫がアルコール中毒と癌でした。考えることがたくさんあっただろうと思います。『いいとこ取り！熟年交際のススメ』西原理恵子、新潮社、1,050円(税込)

  2013年12月12日

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  業界初“ぽちゃ子”向けファッション誌、大反響で創刊決定

  業界初“ぽちゃ子”向けファッション誌、大反響で創刊決定2013-12-10 11:48:15ぶんか社は9日、ファッション誌「la farfa（ラ・ファーファ）」の創刊を発表した。業界初となる“ぽっちゃり女子”のためのおしゃれ応援マガジンとして2013年3月からムック刊行されていたが、刊行当初から各方面での反響が大きく、1周年を迎える2014年3月20日発売号から奇数月20日発売での創刊が決定。発行部数は8万部を予定。◆順調に売上増　“モテぽちゃ子”になれる雑誌名の「la farfa」はイタリア語で「蝶」を意味する「farfalla （ファルファッラ）」の一部を抜粋したもので、「サナギが華やかな蝶になって羽ばたくように、読者もきれいに変身してほしい」という願いを込めた。プロのスタイリスト目線で着痩せラインの作り方やレイヤードスタイルを指南するほか、靴・バッグ・アクセサリーといった小物使いやヘアメイクまでバランスよく情報を提供。アパレル市場での“ぽっちゃり”需要増加に着目した実用的な内容で順調に売り上げを伸ばしている。カバーモデルにはファッションアイコンとしても注目を集めるお笑いタレントの渡辺直美を起用。最新号のVol.4は「とろける冬のモテぽちゃ子になる」をテーマに、体型別「アウターBESTバランス着こなし」や「街のオシャぽちゃ子SNAP」などを特集している。（モデルプレス）http://mdpr.jp/news/detail/13068502013年12月3日に既に書いてしまいましたが、「la farfa（ラ・ファーファ）」が隔月刊化します。書店で見かけたら創刊号は買うと思います。ぶんか社「la farfa」http://www.bunkasha.co.jp/book/b146314.html「la farfa」のモデル、渡辺直美のblog「渡辺直美の潮水」http://watanabenaomi.laff.jp/最近私は、渡辺直美のファッションに注目しています。体型を生かした大胆な色使いです。化粧もくっきりはっきりして、魅力が大盛りになっています。渡辺直美を絵に描いてもかわいいと思います。　　

  2013年12月10日

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  酒井順子『トイレは小説より奇なり』

  「しかし、女の子でこんなにトイレから早く戻ってくる人も珍しいよねー。ほら、普通は化粧とかするから、女性がトイレに行ったらしばらく待たされるって相場は決まってるからねぇ」　と、しみじみ言うではありませんか。　私はその言葉を聞き、少なからずショックと羞恥心を感じました。化粧しないことが恥ずかしかったのではありません。短い時間でトイレを終えてしまうことによって、「あっ、この入って、おしっこしかしていないのだな」　と、反対に確信させてしまうことに気づいたのです。そう、私の。“長く待たせるのは迷惑だろうという”思いやりからきた行為は、反対におしっこに対するリアリティーを増す結果を招いていたのです。(p.36)トイレに行って戻ってこない人を「うんこか？」と揶揄するのは子供がよくやることですが、大人の女性のトイレ滞在時間の短さは「おしっこに対するリアリティー」を感じさせることなのですか。こういう、日常生活にまぎれて誰もが殊更とりあげることをしないようなことを、わざわざとりあげて、的確に形容してくれるので、相変わらず私は酒井順子氏のエッセイが好きです。この本はタイトルに引かれて大分前に買いましたが、近年この人の本をよく読んでいるのでもう一度読み返しました。『トイレは小説より奇なり』酒井順子、集英社文庫、1997年、500円（税込）

  2013年12月05日

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  「la farfa」隔月刊化

  ぶんか社から出版されているぽっちゃり女子向けのファッション雑誌「la farfa（ラ・ファーファ）」が隔月刊化されるそうです。以前から私はこの雑誌を買っていています。この業界が活気づくのはわりと嬉しいです。でも、隔月刊化されたら気が向いた時にしか買わないと思います。自分のサイズのファッション雑誌でも季節に１回しか買わないからです。http://blogri.jp/farfaofficial/　　

  2013年12月03日

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  斎藤学『家族依存症 仕事中毒から過食まで』

  　私は彼らに次のように助言したいのです。注意深く自分の感覚に問いかけて、心地良いと思うことをして、イヤと思うことはしないことです。「～しなければならない」とか「～するべきだ」と自分を叱ってムチで打ちすえてはいけません。あなたはあなたの奴隷ではないのですから。とりあえず、自分のしていること、せざるを得ないことをすべて肯定してみるとよいのです。泣きながら過食しているあなたは、あなたの中の他人がそれを望んでいるのだと悟って、しっかり、楽しく食べ続けて欲しい。お腹が一杯になったら、「もう食べるのはイヤ」と言っている自分に気づいて、食べるのを止めてあげて欲しい。肥ってしまうと思ったら吐けばよい。しかし吐くのが苦しいと言っていたら、無理に吐かないであげて欲しいのです。痩せたいと言っていたら、痩せるようにしましょう。でも空腹の苦痛には気づいてあげてもらいたい。寝ていたいあなただったら、寝させておきなさい。学校がイヤなあなただったら家にいなさい。夫との生活が苦痛だったら、そこから離れて生活する手段を工夫してみましょう。とにかく親友にしてあげるように自分にしてごらんなさい。できないと言わずにそうしつづけてごらんなさい。いつの間にか、あなたはあなたに感謝し、あなたを責めなくなります。その時、あなたはあなたに抱擁され、その温もりの中で寂しさと渇望を忘れます。このこと、つまり「自分との和解」が共依存症における究極の回復なのです。(p.195～196)罪悪感を持たずに自分の欲求を肯定するのはなかなか難しいです。斎藤学『家族依存症 仕事中毒から過食まで』誠信書房、1989年、1,575円（税込）　

  2013年12月01日

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  石川結貴『誰か助けて 止まらない児童虐待』

  　口に粘着テープを貼られ、手足を縛られたまま洗濯機に入れられた五歳の女の子。母親は娘を入れたまま洗濯機のフタを閉じてまわしつづけた。　真冬に冷たい浴槽やベランダで寝かされ、何時間もトイレにと閉じ込められる。深夜の車中に置き去りにされ、腫れあがるまで顔を殴られ、跡が残るほど強烈な力で首を絞められた。　ついには、両手を金属棚に縛りつけられた上、荷物を詰め込んだ七キロものリュックを背負わされた。女の子は激しい苦痛から、「自分で自分の体を棚に打ちつけて」、心臓挫傷で亡くなった。（p.2～3）図書館の新着図書コーナーにこの本がありました。「誰か助けて」のインパクトが強く、思わず手にとってしまいました。引用文は「はじめに」からです。児童虐待と、児童相談所の実態を報告した本です。虐待のありさまは私にとってはほとんどホラー映画のようでした。石川結貴『誰か助けて 止まらない児童虐待』リーダーズノート新書、鍬谷書店、2011年、830円（税込）

  2013年11月23日

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  酒井順子『食のほそみち』

  　だからこそ私は、「すでに皮が剥いてある天津甘栗」の登場に、ちょっとしたショックを受けたのです。皮が剥いてある天津甘栗なんて、犯人が最初からわかっている推理小説のようなものなのではないか？　と。(p.126)「甘栗むいちゃいました」などの商品の違和感ってそういうことなのでしょうか。推理小説に例えたのが独特だなあと思いました。『食のほそみち』酒井順子、幻冬舎文庫、2005年、520円（税込）

  2013年11月20日

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  安彦麻理絵『オンナノコウフクロン』

  　問題は「女」だ。いや、別に問題でもなんでもないんだけど、女はどういうわげか、トシくっても、なんていうかこう「発酵するのをやめない生き物だなあ～」なんて思うのである。「臭み」とか「エグみ」が、そのまま棺桶に入っても温存されてそうというか。すべては女の「図太さ」「図々しさ」「たくましさ」、か、渾然一体となってなせるワザ、ではないかと思っている。(p.108)安彦麻理絵は女のエグみ臭みを書かせたら日本一だと思っています。これは漫画ではなく、エッセイ集です。口絵に一口漫画があります。　それと「赤ちゃんだから何でも許されるわけではない」というくだり。実際、子どもを育ててみてつくづく思うのが、「赤ん坊」という存在は、「ボヶ老人」と同じだということである。なんていうか、頭の中が「あっち側にいってる人」。「赤ん坊」というだけで、世間ではなんだか「素晴らしく尊い存在」みたいに祀り上げられているような気がするが、でも、融通の利かなさは、ボヶ老人と大差ない。１歳未満の赤子なら、完全に「ボヶ状態」、１歳半くらいで「まだらボヶ」といった感じだろうか。そんな相手だから「許す」とか「許さない」という以前に、話が通用しないから、こっちが「諦める」、もしくは「腹をくくる」しかないのである。(p.174)安彦さんは４人の子供を産みました。そういうものなのですね。『オンナノコウフクロン』安彦麻理絵、イースト・プレス、2013年、1,365円（税込）

  2013年11月10日

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  金子稚子『死後のプロデュース』

  　たとえば、金子のリクエストに応じて、料理をつくったとします。「忙しいのに、わざわざ○○スーパーまで材料を買いに行ってくれてありがとう。これこれ、これが食べたかったんだよ！　いつもながら……、いや、いつも以上においしいよ！　これで、行き詰まっていた原稿が最後まで書けると思う。いつもありがとうね！　わかちゃんかいてくれないと、僕は満足に辻事かできないどころか、生きてすらいけないよ！」　大げさで、書いていて自分でも笑ってしまいます。でも、この過剰ともいえる表現は、いかにも金子らしいもので、私だけに行われていたわけではありません。友人や仕事関係者、そして医療関係者に対しても同じでした。　「先生、いつも点滴をありがとうございます。今日は特に痛くなく針が入って、すごくホッとしました。実はちょっと調子が悪かったのですが、先生に点滴してもらっただけで、なんだか元気になりましたよ！　これで１週間、乗り切れます！」　表現方法はともかくも、他人にしてもらったことに対して、評価と承認と感謝をし続けること。これか大切なのです。（p.82～83）2012年10月2日に肺カルチノイドによって41歳で亡くなった流通ジャーナリストの金子哲雄の妻の金子稚子（かねこ　わかこ）の著書です。金子哲雄は、TV番組「ホンマでっか！？TV」でハイテンションで饒舌な印象でしたが、私生活でも饒舌に人への感謝の言葉を述べていたのですね。『死後のプロデュース』ＰＨＰ新書、金子稚子、2013年798円（税込）

  2013年10月31日

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  西原理恵子『スナックさいばら　おんなのけものみち ガチ激闘篇』

  　私、最近思うんだけど、男の人って日本語の上手なガイジンなんじゃないかって。アラブ人で回教徒で日本語上手いくらいのキョリがある気がする。（p.34)男脳･女脳など、男女の違いはよく言われます。外国人だと思ってしまえば、見る目がやさしくなりそうです。別のページでも、著者は同じ形容でこのように述べています。　たむさんの離婚の原因は、だから「子どもが出来なかった」とか「自分か浮気した」とかそういうことじゃないと思いますよ。この旦那さんの言葉の暴力が原因です。間違いない。モラルハラスメントと言って、立派な離婚の理由になります。　こういう頭のおかしいダメな夫は、日本語が通じるガイジンみたいなもんだ。　言えばわかる、話せば通じると思うのが大間違い。　ハナシ、ツウジマセン。ナゼナラ、　カミサマ、チガイマス。(p.119)日本人はだいたい同じ言葉、同じ常識だという思い込みがありますが、育った土地や家庭によって少しずつ確実に違います。信条や思考回路が違うのは、文化が違うということで、すなわち「ガイジン」と同じということです。　鴨ちゃんのお師匠さんで戦場カメラマンの橋田信介さんが、銃撃されて亡くなる直前に書いた遺書にこんな言葉があるんです。「月は満月になり、私の人生も円になった」　奥さんと初めてキスをしたこと、子供が産まれたこと。その子が初めて微笑んだ時のこと。人生で楽しかったことを10挙げて、最期がこの言葉で結ばれていた。　私はこの言葉が大好き。（p.332～333)私も好きです。これで発売が予定されていたWeb連載３部作が全部発売されました。現在も連載中です。楽しみです。「スナックさいばら おんなのけものみち 西原理恵子の人生相談」http://www.kadokawa.co.jp/saibara/2013年2月11日 『スナックさいばらおんなのけものみち（七転び八転び篇）』 2013年4月15日Web連載「スナックさいばら おんなのけものみち」2003年5月19日『スナックさいばら　おんなのけものみち　バックレ人生大炎上篇』2013年10月04日 Web連載「スナックさいばら おんなのけものみち」『スナックさいばら　おんなのけものみち ガチ激闘篇』西原理恵子、角川書店、2013年840円（税込）【送料無料】スナックさいばらおんなのけものみち（ガチ激闘篇） [ 西原理恵子 ]価格：840円（税込、送料込）

  2013年10月28日

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  西原理恵子『毎日かあさん』10巻　

  前に、日本に住むことになったタイの母さんが「ここ私のお寺にする　この神様が今日から私の神様」近所の天満宮をあっさり自分の神様にしてその日から熱心にお祈りしてるのを見てこりゃええなと思ったそれ以来私も世界中どこの神様でもテキトーにおがむ。高い山も深い谷も青い海もテキトーにおがみたおす。(p.7)なるほどなあと思いました。私はそのように思ったことはないですが、神様仏様その他の神様はとりあえず拝みたくなります。『毎日かあさん　わんこギャル編』10巻　西原理恵子、毎日新聞社、2013年、880円（税込）

  2013年10月24日

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  西原理恵子「スナックさいばら」　連載第21回

  「私が痩せたいのは、洋服がきれいに着たいからで高須のためじゃないっ！（略）あれだけたくさんの女の人をきれいにしてきた高須先生でさえわかってないんですよ。違うよね。女の人は、自分のためにきれいになりたいんです。」http://www.kadokawa.co.jp/saibara/cat83/post-27.phpWeb連載、西原理恵子『スナックさいばら』「第二十一回　男だらけの男祭り、開催！女たちにダメ出ししてください。」です。この連載を更新されるのを心待ちにしています。Webで読み、そして本が発売されると買っています。時には予約することもあります。この文章が収録される本もきっと買うでしょう。文中の高須とは、西原理恵子の彼氏である整形外科医院「高須クリニック」院長の高須克弥先生のことです。西原理恵子ブログ「銭の花はどこに咲く。さいばらりえこの太腕繁盛記 生（なま）」http://ameblo.jp/saibararieko/高須克弥ブログ「YES高須クリニック！ 」http://ameblo.jp/drtakasu/　　

  2013年10月04日

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  『日本史小百科　神道』

  記紀神話には「命（みこと）」の名を有する神々が少なくないが、「命」とは、「御言（みこと）」の意である。「言」に敬語の「御」が冠されるのは、神の言葉があるからである。「スメラミコト」とは天皇を意味する語であるが、このことばには言葉を操り統御する、といった意がこめられているわけである。(p.37)「みこと」は、そういう意味なんだなあと学習しました。これは神道についての辞典です。専門的なことを詳しくわかりやすく書いてあります。伊藤聡、松尾恒一、遠藤潤、森瑞枝『日本史小百科　神道』東京堂出版、2002年2月、2,625円（税込）

  2013年07月20日

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  水木しげる『水木さんの「毎日を生きる」』

  　そうね、敏感だったから。締め切りを落とす漫画化は、鈍感なんじゃないかなあ。雑誌で漫画を描くってことは、時間の中におさめる作業でもあり、それは重要なことだから、落としたら大変なことになる。(p.135)長く続けている漫画家、魔夜峰央もこういうことを言います。http://plaza.rakuten.co.jp/nama5mi/diary/200807200000/限られた時間を有効に使うということを習慣にできているということだと思います。「時間があったらできた」などということは、この人達にとってはあり得ないのです。『水木さんの「毎日を生きる」』水木しげる、角川SSC新書、2011年9月、819円（税込）

  2013年06月08日

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  Cancam「ぷに子の大逆襲」

  女性服飾雑誌『Cancam』7月号に「ぷに子の大逆襲」という特集が組まれていました。小太りの女性のインタビューを載せたり、男性から見て155cmの女性は何kgからがぽっちゃりかという意見も載っていました。興味深かったです。CanCam.TVhttp://cancam.tv/

  2013年06月07日

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  秋月こお『ビオラを買いに』

  　音大生との、日々に見せつけられる力の差にもめげず練習に通ってくる、フジミの諸君のほがらかな敢闘精神に、いまの僕は心の底から脱帽する。下手は下手なりにさ、と笑いながら演奏を楽しもうと懸命に努力する、このオトナな人たちの遊び心の強靭さを、僕はまったく理解できていなかった。　宿題の上に宿題が積まれる自分の体たらくに、歯噛みしながら日夜に練習を重ね、だが成果は遅々として上がらない。なぜ僕はこんなに不器用なのかと情けなさに苛立ち、いっそ投げたくなることもたびたびだが、悠季へのプライドが邪魔をしてリタイアもできない。(p.111)1994年に第一作『寒冷前線コンダクター』が発売された、「富士見二丁目交響楽団」シリーズの番外編です。指揮者・桐院圭と、バイオリニスト・守村悠季の音楽家カップルの話です。引用部分は、守村が所属するカルテットに桐院が入るためにビオラの稽古をしている部分です。自分は他より能力が劣ることを自覚したにもかかわらず、状況とプライドが逃げることを許さないというストレスに共感しました。『ビオラを買いに』秋月こお(著)、後藤星(挿絵)、角川ルビー文庫、2013年

  2013年05月24日

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