待った?
明るい日差しの 店の席に一人座って今さっき 選んできたばかりの本を読む目は 本の文字に落としながら視界の端の 人の気配に時折顔を上げながら別に誰を待つわけでもないよ自分の心に言い訳「遅くなるかもしれないからあまり待つようだったら帰ってていいから」さっき来たメールもう2回見たあなたなんか待ってないもの私は本が読みたいだけで時間をつぶしてぼんやりしたいだけ時が過ぎて本は もう半分読んだ時計は見ないからどのくらい経ったかはわかんない私が時計をしないのは時間に縛られるのがいやだから「待つ」ことが好きなわけでも嫌いなわけでもないしいて言えば私がしたいようにしてるだけ時間を気にして 待つんじゃなくて私が好きなように時間を過ごしてるだけもう少ししたらどこかに行こうかなまた本屋でもいいかもしれないそんなことを思ってふと 外に目を移すと横断歩道の向こう風のように走る光る眼鏡と 見覚えのあるシャツ帰ってていいよっていいながらもう誰も いないはずの店に駆けてくる人そんなとこが 好きなんだよ今さっき 買ったばかりの飲み物まだ 手を付けてないからあなたが 入ってきたら譲ることにしよう「待った?」なんて聞かないでね私はただ 本を読んで時間を過ごしていただけ「ううん 別に」って笑うしかないから