今回の医龍
更新が遅れてしまいまして、申し訳ございません。次の放送が明後日に控えているので早速生きましょう、「用語解説コーナー」今回もかなり難しい表現が多々出てきますので、一般の方は流す程度でお願いします。今回の用語は、AS,AVR,PCPS,(カルディオ)プレジアなど。まずは「AS」について…AS(aortic stenosis)大動脈弁狭窄は、大動脈弁の開口部が狭くなり、左心室から大動脈への血流に対する抵抗が増している状態です。 大動脈弁狭窄では、狭くなった大動脈弁の開口部から血液を送り出すために左心室にかかる負荷が増大し、左心室の壁が肥厚します。肥厚した壁が心室内を占領し、心室の内部をより狭くします。肥厚した心筋は、冠動脈からより多くの血液供給を必要とします。最終的には、心筋に十分な量の血液が供給されなくなります。このため、心筋は損傷します。損傷した心臓は全身に必要な量の血液を送り出すことができず、心不全を起こします。弁の働きが悪くなっている場合や、弁の入口と出口での圧格差が50mmHg以上ある場合は手術が勧められます。弁置換術は、すべての成人に対して最善の治療法で、術後の経過の見通しはきわめて良好です。弁置換術に対する安全で有効な代替手段は、外科的に弁を修復する弁形成術とバルーン弁形成術です。バルーン弁形成術では、先端にバルーンのついたカテーテルを静脈から心臓内にまで挿入します。ちょうど弁の内側で、バルーンをふくらませて弁の開口部を伸ばして開きます。次は「AVR」について…AVR(Aortic Valve Replacement)大動脈弁弁置換術弁置換術とは働きの悪くなった弁(僧帽弁、大動脈弁)を切除して代わりに、人工弁を置換する手術です(僧帽弁置換術、大動脈弁置換術)人工弁には、機械弁と生体弁との2種類があり、それぞれ長所と短所を持ち合わせています。{機械弁}素材 パイロライトカーボン長所 耐久性が強く、若いうちに置換しても、内服治療が出来ていれば再手術のリスクが少ない弁です。短所 血液が弁に固まってしまうことを防ぐ為、血液が固まりにくい薬を毎日、飲み続けなければいけません。 {生体弁}素材 牛心膜・豚弁等長所 最初の数ヶ月を除けば、血液が固まりにくい薬を飲み続ける必要はありません。短所 耐久系に限界があり、10~20年で正常に機能しなくなるリスクがあります *生体弁の適応・・高齢者(70歳以上:施設によっては65歳以上)、妊娠を希望する若年者、血液を固まりにくくする薬を飲むことに不具合のある方。つぎは「(カルディオ)プレジア」について…臨床現場では、「心筋保護液」のことをこのように呼んでいます。心臓を切り開いて手術を行う開心術には、主として2つの障壁を乗り越える必要があります。ひとつは、心臓はその中に大量の血液が循環している臓器であるということ。もうひとつは心臓は絶え間なく動いている臓器であるということです。前者を解決するために体外循環法が発達しました。これは、何らかの形で心臓を迂回する血液の通り道を体の外側に作ってあげる方法で、その回路に心臓の役割をするポンプと、血液を人工的に酸素化させる人工肺を組み込んだものが「人工心肺」というわけです。この回路を使用すれば、心臓の出入り口で血液を止めることが一応可能となります。(操作は医師や我々臨床工学技士です)さて、この状態では心臓の中はかなり血液が少なくなり、ある種の手術は可能かもしれません。しかし心臓は動いたままです。そこで外科医は、止まっている心臓で手術をしたいと思うようになります。これがふたつ目の障壁です。いかに心臓を止めて、尚かつすんなりと復活させることができるか、という問題に直面しました。そこで発達したのが「心筋保護法」です。まず最初に考えられたのは、心臓を冷やすという方法です。話は前後しますが、心臓に限らず人間の内臓は、ある程度冷やせば「冬眠」させることができます。よく「生体間移植」で登場するクーラーボックスがその代表例です。このように心臓を冷やせば、ある程度の時間は止まった状態でも復活させることができます。しかしこれも長時間は無理で、個人差もあり、それだけでは不安定な方法です。そこで開発が進んだのが「心筋保護液」です。これは、心臓の筋肉を停止させ、その間に腐らないように代謝を調整させる液体です。これを冠動脈に注入すれば、心臓がすんなり止まって、尚かつ長い時間止まっていても元に戻るのです。現在でもさまざまな「心筋保護液」がありますが、基本的な組成は、カリウム、マグネシウムなどの電解質、糖分、緩衝液などです。冷えているものと常温のもの、血液が入っているものといないものに分けられます。最後は「PCPS」について…PCPS(percutaneous cardio pulmonary support)とは、経皮的心肺補助装置の略語です。PCPSは主に急性期の心不全時に心肺補助に使用される人工心肺装置です。重症冠動脈疾患症例のPTCA施行時の循環補助や、呼吸不全における呼吸補助、重症心不全症例に対して適応されます。医師や臨床工学技士が操作します。以上です。今回は「チーム医療の大切さ」がわかる内容でしたね。技術は確かなドクターだけに、「チーム・ドラゴン」に入ったのは大きいと思います。次の放送も見逃せませんねー。