夏のレプリカ *森 博嗣*
S&Mシリーズの7作目になります。(実は割と最近までS&Mの語源がわかりませんでした。SM!?(照)なんて・・・。アハハ)先日感想を書いた「幻惑の死と使途」と対になっており、本書は偶数章のみで構成されているというもの。S&Mである犀川助教授とお嬢様な女子大生「萌絵」は前半ほとんど登場せず、本書のほぼ主人公といえるのは萌絵の親友である「簑沢杜萌(みのさわともえ)」です。前半はほぼ杜萌の視点で語られるからか、事件に密室が絡まないからか(笑)、なんだかいつものシリーズとは違った印象を受けます。いつものメインキャラクターである犀川と萌絵は、同時期に起こった事件「幻惑の死と使途」の方で大忙しだから、ということになっています。この2冊が「奇数章のみ」と「偶数章のみ」で構成されていることについては賛否両論あるようですが、交互に読むよりも一冊ずつ読んだほうがいいのは間違いないようです。同時期に起こった事件として書かれた物語、という点が強調されていて面白いと思いました。いつもの二人が出てこないから物足りない・・・と思ったのも最初のうちだけで、簑沢杜萌が誘拐事件に巻き込まれるあたりから(ってほんの序盤ですが)ぐいぐい物語に引き込まれていきます。そして殺された二人の誘拐犯、消えた目が不自由な杜萌の兄。犯人は一体・・・?密室はありませんが、それでもミステリアスな事件です。最後にはやっぱりメインの二人が事件を解決するのですが、全く予想もしませんでした。はっきりいって、森氏のミステリーで犯人がわかって「やっぱりね!」なんて思ったこと、一回もありません・・・(悲)それでも「幻惑の死と使途」よりも意外でした!!いや~~面白かったです。うん。8作目も楽しみです!