シンガポールでの出来事
突然シンガポールでのとある出来事を思い出しました。なので書いておきま~す当時私は26歳くらい。上海から知人に会いにシンガポールに来て間もないある夜。繁華街、オーチャードを一人で歩いていると…アジア系の一見若そうな男性が声をかけて来た。彼は上海から叔父を頼って来たが、お金が無くて困っている。お金を貸してくれないか?という。英語はできないが上海語を話す、生粋の上海人であった。シンガポールという、英語だらけの見知らぬ土地に来ていた私は、上海と聞いて涙が出るくらい懐かしくなった。私も上海にいたのだよ~と話した。結局私は持っていたお金、全財産に近い98%の500シンガポールドルを渡したのであった。500ドルは当時のレートでいくらだかもう忘れてしまったが…多分4万くらいかな?大体見ず知らずの相手に渡す以上、お金が返ってくるのはまずあり得ないのだが、叔父に会ったら必ず返すからと何回も言うので、そのとき宿泊していたホテルの電話番号を教えて別れた。後日。知人のAさんはからかうような笑みを浮かべながら私に言った。「君のように、純粋に人を信じる心は素晴らしいと思うよ」何て安っぽい言葉なんだろう…私は思った。要は、バーカアホか金を見事に騙し取られたんだよ~!と言いたかったのだろう。ならばそのまま言ってくれた方がよっぽどいいではないか私は言葉をごまかす人は好きじゃない。本音ではっきり言えこの文を読んだ大半の人は、ひゃ~騙されたんだよ~!バカじゃないの~って思うと思う。でも…悪いけどAさんの言葉よりお金を渡した青年の言葉の方がよっぽど真実味があったのであります。今はどうかわからないけど、私がいた当時上海には偽物本物問わず物乞いはたくさんいた。お金を恵んでくれと言われたのは一度や二度じゃなくて、声をかけられていくうち偽物と本物がある程度見分けがつくようになった。特に見分け方にポイントがあるわけじゃなくて、面と向かって話を聞けば何となくわかるのだ。国籍や言葉が違っても、あまりそれは関係ない。結果的に偽物だったとしても、自分が納得してお金を渡したのであればいいではないか。つべこべ言うなって感じ。思い出すだけで涙が出そうになるけれど…上海にいた頃…色んな人が私を助けてくれた。言うまでもなくお金に絡むことばかりが助けじゃない。私を助けてくれた恩を思えば、500ドルなど安いものなのだ話を戻し、Aさんに遠回しにバーカと言われた私は、何も言い返すことも無く、彼は無事に叔父さんに会えただろうか…と考えていた。騙されたとしてもお金を渡したのは私が判断してやったことなのだから、後悔は無い。するだけ無駄なのです。ホテルに戻ると、無言の留守番電話が5回ほど入っていた。多分あの彼だろう。メッセージを吹き込むにも、英語がわからないから吹き込まなかったのか何なのか、今となってはわからない。今冷静に考えてみれば、所持金のほとんどを見ず知らずの人に渡すなんて、バカだね~私!って思う。でも不思議とあのときは躊躇しなかったのだ~その直後旦那と知り合ったのだが、旦那には私が非常にみすぼらしく見えたらしい。何食べてるんだ?とかお金はあるのか?とか色々聞いてくる。特に私はやせ細ってたわけでもないし、洋服も大半を上海で処分したこともあり、無いながらもおしゃれしていたつもりであったが…。ごまかしは通用しないのだね結果的に、旦那はあれこれ私に世話を焼くことで私は助けられ、私の恩人となった。イヤミな言い方だけど、金銭的に細かいことを言えば、500ドルをはるかに超えて助けられたのであった…。返って来ちゃったよ~因果応報