クジラ・ウォッチング・ウィーク初日レポート
クジラ・ウォッチング・ウィーク初日は雨との天気予報でしたが、見事に外れて晴れ間がのぞき、視界は良好となりました。しかし、風は強く、波は高く、クジラ・ウォッチングにはちょっと厳しい状態でウィークの幕開けとなりました。 太平洋オレゴン沿岸で今の時期に観察できるクジラのほとんどがコククジラ(Gray whale)です。今年(2005年)4月に東京湾に迷い込んでしまったクジラといえばおわかりになるでしょうか。日本の沿岸にいるのは、数が激減してしまった西部系群コククジラで、推定個体数が120頭ともいわれていてアジア沿岸を回遊しています。一方私が観察するアメリカ大陸太平洋岸沿いを回遊する東部系群コククジラは、西部系群同様に一時期個体数減少の道を辿ったものの、その後の保護保全によって今は2万頭前後生息していると推定されています。 今の時期(冬)、東部系群コククジラは北のアラスカ沿岸から南のバハ・カリフォルニア(メキシコ)沿岸へ“移動”中で、その沿路にあるオレゴン沖では移動中のクジラを観察することが出来るのです。この回遊をわが同僚のボランティアは「台所から寝室へ移動中」と表現していました。というのもアラスカはコククジラの重要な餌場であり、一方でバハは彼らの繁殖場だからです。ならばオレゴン沖は“廊下”になるのでしょうか?回遊距離は8,000から11,000キロですから、なんとも大きな“お家”に住んでいることでしょう! ボートでそんな回遊中のクジラを観察することも可能ですが、私達観察のボランティアは陸上から望遠鏡や双眼鏡を使って彼らを見守ります。アラスカやバハではかなり陸に近づいてくれるコククジラがいるのですが、ここオレゴンでは今の時期移動中ということもあって、観察できるのは8キロ位沖合いを南下するクジラたちです。ですから、観察できるのは主に「潮吹き」となります。春には今度は北上中のコククジラが観察出来るのですが、やはり移動中とあって観察できるのはやはり8キロ位沖合いになります。ただ、北上中に一部の家族はなぜかオレゴン沿岸にしばらく留まるので、夏の間はかなり海岸近くで泳ぐコククジラを観察することが出来ます。 (続く)