土手の猫たち ~ソックス~
先日、以前私が一緒に保護活動をしていたボランティアさんより「久しぶりにHPを更新しました」というメールを頂きました。体調が優れなかったのとなんとなく内容が判っていたので見るのを控えていたのですが、本日そのHPを見てその酷さに言葉を失いました。発症するまでの3年半程、私もこの地域で保護活動をしていました。最初は週末だけのごはんやりが、毎日のこととなりました。何十匹という猫に自費で避妊手術もしました。眼も開いていない仔猫を家に連れて帰ってからは、病気の猫を、そして懐かせて里子に出すためにもっと沢山の猫を連れて帰り常に6匹~11匹の猫を家に保護するようになりました。幸い良い里親さんに恵まれ幸せになった猫もいます。でも、そのような猫は全体から見ればほんの一部でした。沢山の保護しきれない猫達、特に仔猫達が交通事故で命を失っていきました。大人猫も厳しい環境で内臓をやられ、飼い猫に比べて皆とても短い寿命でした。虐待という残酷な形で命を失った猫達もいます。でも、どんなに避妊手術しても、里親さんに引き取って頂いても、保護しても、このような不幸な猫達はなかなか減ることがありませんでした。それは、新たに捨てられる猫が後を絶たなかったからです。また、付近の住民には昔からの農家やお年寄りが多いせいか動物に対する意識が低く、私達に対する抗議やいやがらせも度々でした。当時、私は普通に勤務していました。出勤前に、家で保護している猫達、そして保護しきれない30匹~40匹の外猫達の世話。朝のごはんあげは、また事故で倒れている猫がいるのではと毎日びくびくしながら行っていました。帰宅してからもまず家の猫の世話をし、平均睡眠時間も4~5時間で体力的にも参っていました。そしてどんなに頑張っても努力しても減らない不幸な猫達。私は次第に自分勝手な人間が嫌いになり、生きているのが辛くなり嫌になっていました。精神的にも体力的にも限界を感じていた私は、体のだるさを感じて病院に行き、数日後には検査入院し、そしてその日の午後には骨髄性とリンパ性の混合型の急性白血病と診断されそのまま入院することとなりました。原因を医師に尋ねたところ、科学的には解明されていないもののストレス説が強いと聞き、私は即座に納得がいきました。家で保護していた猫の数匹は、別のボランティアさんの尽力の結果里親さんにもらわれ、残りの数匹は引越しのどさくさで行方不明になってしまったと聞きました。最初は抗がん剤が効かず、熱で心地よいくらいにぼーっとしながら「やりたいことはしてきたし、救えた命もあったから悔いはないかな」と思っていました。けれど、治療が長引き、痛みや苦しみが強くなるにつれて死への恐怖も増し、やっぱり生きたいと思うようになりました。治療について書くととても長くなってしまうので省きますが、医者も呆れる程何度も合併症を発症し、その都度危機を乗り越え、やっと今の状態まで来ました。急な入院とはいえ他のボランティアさんや家族、猫達に多大な迷惑をかけ、また退院後も自分自身の世話ですらいっぱいいっぱいな上に、再発の可能性もあることから猫からは距離を置いていました。しかし、必死に生きようとしているここのノラーズに出会い、また係るようになってしまいました。見てみぬふりをしている方がストレスになりそうだったので・・・。今は無理をしすぎず、出来る範囲でノラーズ達のお世話をして行こうと思っています。話がずれてしまいましたが・・・。HPの亡くなった猫達の中に「ソックス」という猫の姿をみつけました。私もお世話していた猫です。ソックスはとにかく体が大きく、どの猫とも仲良くなれないどころか攻撃的で、本当に困りものでした。でも、遺影の横の「ソックスなりに生きるのに必死だったのだろう」という文を読み、後悔と悲しみでいっぱいになりました。もっとソックスを理解してあげてれば、優しくしていれば良かった・・・。他の猫とは仲良くなれなかったものの、人間には擦り寄って来て、それが仇となりたばこの火を押し付けられるという虐待に遭っていたそうです。虐待した人はその人なりに理由があるのかもしれません。でも、どんな理由にせよ、動物に限らず、明らかに自分より弱い者への虐待を私は絶対に許す事が出来ません。今、ここの残った猫達がまた危機にあるそうです。残った数人のボランティアさんは皆、自身が高齢である上に病気の家族の介護をしながらこれまで必死に保護を続けていました。その中の一人が先日病気で倒れ、これ以上保護を続けるのが困難になったそうです。なんとか現在残っている猫を一匹でも多く保護するため、一時的にでも預かって下さる方等を探しています。私も申し出たのですが、以前のこともあるせいか、まだ頼りないのか断られてしまいました。私が今出来るせめてもの事は、出来るだけ多くの方にこの現実を知って頂くことだと思いここに書かせて頂きました。里親・一時預かりは無理でも、必死で生きている猫達と頑張っているボランティアさんの姿を是非見て下さい。そして、これ以上不幸な動物が増えないよう改めて何かを感じて下さったならば嬉しく思います。長文、最後まで読んで下さりありがとうございました。在りし日のソックス(写真手前)被害に遭った猫達が助けを求めています。 ↓今回連絡を頂いたボランティアさんが管理するHP。ソックスが載っています。 ↓陽だまりの猫たち出来るだけ多くの人にこの窮状を知って頂くために ポチお願い致します。