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テーマ:猫が教えてくれたこと(53)
カテゴリ:里親
今日は「猫の部屋」の仲間たちのお話ではありません ただ、猫を家族に持つ人であれば いろんな思いを感じてしまうお話だと思います 実は、昨年末から ずっとお伝えしたかったのですが… なかなか気持ちと考えが整理できず 時間がかかってしまいました このお話の始まりは、三年前 少し長いお話になります もし良かったら、しばらくお付き合いください 2011年8月 ブログのコメント欄に こんな内容が書き込まれました --- 家族の問題で、実家に帰ることになったのですが 事情があり、愛猫を連れていくことができず どうすることもできません --- --- 戻ってくるまでの間、預かってくださる方を探しています どうか助けてください --- かなり切羽詰まった文面に 携帯の連絡先まで添えられていたコメント 単なる、いたずらではないことはわかりました それを書き込んだのはKさん 大阪市内在住の男性でした 和歌山県の実家を離れ 大阪で暮らしていたKさんには小さな家族がいました 当時3才のオス猫、くぅちゃん たまたま見かけた里親募集のポスターで 保護された経緯を知って里親になったそうです なぜ、自らが希望して里親になり 大切に育ててきた愛猫を連れていけないのか? その後、メールをくださったKさんから 詳しい話を聞きました お父さまが急病に倒れ、入院されたこと 退院後も、しばらくは介護が必要になること その介護は、長男である自分がしなければならないということ ただ、実家にはアレルギーのあるご家族がおられて 何度も話し合ったけれど どうしても、くぅちゃんを連れていくことが できなくなってしまったこと 保護主のボランティアさんは 連絡先がわからなくなってしまったこと 知り合いからも、いい返事は貰えず 動物病院やペットホテルにも問い合わせたけれど 長期の預かりは断られてしまったこと そうしているうちに マンションを引き払う日が近づき 残された時間は、あと数日 もう、どうすればいいのかわからず コメントを書き込んでしまったこと… ただ、一年以内には 大阪へ戻る目処はついているから それまでの間だけ、預かってくれる人を見つけたい それがKさんの抱える事情でした 確かめたところ Kさんの言葉に嘘はなさそうでした 思い余って、コメントを書き込む直前まで くぅちゃんを預かってくれる人を 必死に探しておられたこともわかりました ただ、どうしても見つけることができず このままでは、もう外に放すしかない… けれど、大切な猫を そんな目に遭わせたくはない 必ず、自分は戻ってくるから どうか力を貸してほしい Kさんは、何度もそう言われました その話を聞いて… 正直、とても複雑な気持ちになりました もちろん、Kさんの事情はわかります ある程度の年齢になれば 自分を取り巻く環境の中で いろんな問題が起こってくるでしょう それは、私のまわりにいる人たちにしても同じだから… ただ、Kさんには申し訳ないけれど それは、すべて人間側の事情だと思いました 置いていかれる猫には落ち度はありません 冷たいようですが Kさんに憤りを感じました いかなる事情があろうとも 私のまわりにいる人たちだったら 決して、そんなことはしない 一時的であったとしても 飼い猫を手放すという結論にはならないと思うからです Kさんは、とても真面目で素直な人でした くぅちゃんへの愛情に、嘘偽りはなく 気持ちの優しい人なのもわかりました ただ、だからこそ すべての話を聞いてから 秘書たちは、厳しい言葉を突きつけました もしかしたら、いつかは こんな日が来るかもしれない その時には、どうすればいいのか? どうすれば、大切な子を守れるのか? くぅちゃんの里親になった時点で 事前に予測して考えることはできたはず 自分自身のことなのだから… Kさんは、たった一年だと思うかもしれない けれど、くぅちゃんには そんなことはわからないのです くぅちゃんにわかるのは 大好きなKさんがいなくなったという事実だけ 真面目で優しい人だったからこそ それが、どれだけ残酷なことか 理解してほしいという気持ちがあったと思います Kさんの選択によって 確実に、くぅちゃんは深く傷つくのだから… このブログで 飼い猫の一時預かりを呼びかけることは 正直、とても不本意でした 普段から、仲間たちを通じて 伝えてきた考えに反するからです 今まで「猫の部屋」では 多くの仲間たちが家族と出会い 幸せに卒業しました もちろん、その過程で秘書たちは 仲間たちを希望されるすべての人たちの話を 聞いてきています 実は、何度もやりとりを重ねた後に お断りしたケースもあり その数は、卒業した仲間たちの 何十倍もになっていると思います なぜ、里親に出にくい大人猫ばかりなのに そんな、もったいないことを…と 言われる方もおられるでしょう 今もまだ、仲間たちの中には 人に上手く甘えたりできない子がいます 私や仲間たちは、長い間 野良猫として暮らしてきました 仲間たちの中には、人に対して 警戒心を持っていた子も多かったから それも仕方ないことなのです ただ、そんな不器用な大人猫だからこそ どうしても譲れないことがあります 他の条件がすべて揃っていても たったひとつ、それが感じられなかったら 仲間たちの一生を託せないこと それが「覚悟」です どんなに時間がかかっても すべてを受けとめてくれる人なのか? 最後の最後まで守ってくれる人なのか? その覚悟がある人なのかどうか… 命を預かり、信頼できる人に引き継いでいくことにも 家族として、その命を最後まで守ることにも 必要なものだと思うから… 秘書たちは、何度も 何度も確かめているのです 呼びかけを掲載するにあたって Kさんには、ひとつだけ条件を出しました このブログを訪れる人たちは 「猫の部屋」の活動と考え方を応援してくださる かけがえのない大切な存在 もし、この呼びかけに 誰かが名乗りでてくださったら 絶対に裏切ったりしないでください、と… Kさんは、必ず約束は守りますと 何度も言われました 絶対に、くぅちゃんとの暮らしを取り戻してみせる 必ず迎えに行きますから、と… ブログで呼びかけをした日… きっと、皆さんには これが不本意だったことが 伝わってしまうだろうと考えていました だから、もしそれでも 誰かが名乗りでてくださるなら きっと、約束が守られなかった時のことまで考えて 連絡して来られる可能性が高いと思いました そう感じたからこそ どうしても、Kさんには 裏切らないでほしいと思ったのです 決して、簡単なことじゃないのだから… くぅちゃんだけでなく その人の覚悟まで裏切ってほしくなかったのです 掲載していたKさんの携帯電話に ある方から連絡が入ったのは 呼びかけを行った日の夜だったそうです それが、くぅちゃんとKさん 一時預かりを申し出てくださった、さっちゃんさんとの出会いでした 「中之島公園猫対策協議会HP」 web@nakanoshima-cats.com 「中之島公園の猫たち」 nakanoshima_cats@yahoo.co.jp お話は、後編に続きます もう少しお付き合いいただけたら嬉しいです 猫ボランティア・保護活動ランキングへ 人気ブログランキングへ ブログランキング参加中ぽちぽちっと応援よろしくお願いします お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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