「優れたリーダーとは、優秀な才能によって人々を率いていくだけの人間ではない。
率いられていく人々に、自分たちがいなくては、と思わせることに成功した人でもある。
持続する人間関係は、必ず相互関係である。
一方的関係では、持続は望めない。」
(塩野七生 ローマ人の物語 ハンニバル戦記(下)新潮文庫より)
およそ2200年前のカルタゴ(現北アフリカ)の勇将ハンニバルを評しての塩野女史の言葉です。
ハンニバルのローマ進行で始まったポエニ戦役も後半になって、前半の勢いもなく、祖国からの支援も望めず、状況は悪化するばかりだった頃。言葉も通じない別々の地域からの傭兵で成り立っていたハンニバルの軍からは、それでもハンニバルを見捨てた兵士が一人もいなかった不思議について。
マキアヴェッリは「その原因は彼の厳しい態度の畏怖の念」から来ていたと述べていたそうですが、女史はそれに加えて兵士たちの「天才的な才能を持ちながら困難を乗り切れないでいる男に対しての、優しい感情」を挙げて、上記のように書いています。
リーダーというのは、集団に対して、その力量と人となりでもってダイナミズムを起こす人のことだと思います。しかしそれを逆風でも持続していくことがどんなに難しいことか。
祖国から見捨てられ、敗将となったハンニバルに最後まで従っていった兵士たちは、一体何を彼の中に見ていたのだろう。
今現在、異国にて思いっきり逆風に吹かれている某リーダーを思いつつ。。
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