和希ちゃん8383のブログ

今回の一言
なかなか手の込んだサスペンスコメディでおもしろ～い！！

2012 日本
サスペンス、コメディ、ラブストーリー

監督
内田けんじ
Cast
堺雅人
香川照之
広末涼子
荒川良々
森口瑤子

ストーリー
35歳、独身、無職の桜井武史。
家賃も滞納し所持金はわずか1000円と少し。
部屋で首つり自殺を図ろうとしたが失敗。
武史はしかたなく自殺を諦め、銭湯に行く事にした。
一方その頃。
とある高級住宅地の一角で男性が刺殺された。
刺殺された男はそのまま車のトランクに乗せられ、殺した男は運転席に座り車を走らせた。
殺した男はその後、汚れた体を洗おうと銭湯に立ち寄った。
脱衣所で隣になった桜井とその男。
桜井はその男の身なりと財布の幅を見てかなりの金持ちと感じていた。
そんな時、その男が石鹸を踏んづけて足を滑らせ頭を打ち付けて転倒し気絶してしまう。
救急車を呼ぶ中、桜井はその男が落とした鍵と自分の鍵を軽い気持ちですり替えた。
その男の財布には大量の金と身分証。
男の名は山崎信一郎、都内の高級マンションに住んでいた...。





感想
すっごいおもしろ～いです！！
予告編の頃は、転んだ拍子に2人の人格が入れ替わる「フォーチュン・クッキー」とか少女漫画とかによくあるストーリーだと思っていて、「あぁありがちなやつね」的な気持ちで全く興味がなかったのですが、その想像は見当違いでした。

確かに入れ替わりは入れ替わりなんですが、それは人格の話ではありません。

桜井武史はダメ人間ですが、私からすると彼みたいな人はよく居る人で、むしろ山崎や香苗の様な人の方が見ることは稀です。
そんな桜井は私にとってとても身近で、気持ちも共感出来る部分が多いです。
もちろん彼のやってる事は許されるものではありませんが、いわゆる「魔が差した」レベルの気持ちでしょう。
ところが蓋を開けてみたらとんでもない事になっていて、後戻りできなくなってしまう愛すべきおバカさんなわけです。笑

一方山崎が桜井の部屋で暮らす事になると、それまでの桜井の部屋が見事に綺麗になっていきます。
人はどんな場所に居ても、どんな社会的レベルに居ても、ある意味変わらないという意味も感じて面白いです。
もちろん桜井も山崎の部屋で暮らし始めたらすぐに汚くなりますし、金使いの粗さやだらしなさが変わるわけではないので、そこも同じ意味が含まれてますね。
良い服を着ても良い車に乗っても、ダメ人間はダメ人間なんですね。笑

なわけで、2人がもしもあのままだとしても、桜井として生きる山崎は役者でかは分かりませんがいつか成功し、香苗と結婚し良い暮らしをするでしょう。
逆に山崎として生きる桜井は山崎の財産を食い潰し、やがて全て無くして桜井の部屋と同レベルの部屋に舞い戻ってくる事になるでしょう。
そーゆーところが気に入っています。

今作はとんでも話ではありますが、社会的レベルの違いから、勉強しているかどうかや自分に甘いかどうかといった「努力でどうにかなる部分」の違いを描いていて、ダメ人間に対する叱咤激励的な応援メッセージが含まれているなぁと感じます。

ストーリーは二転三転して面白いですし、スピード感も心地よいです。
ラブシーンはゆったりめに、サスペンスシーンやコメディシーンはテンポ良いですし、何せ堺雅人、香川照之、広末涼子と役者陣も実力派で良いですね。

特に今作、広末涼子の立ち位置はなかなか難しく、脚本や演技がダメだった場合、ストーリーの邪魔にしかならない可能性もあります。
ダメだった時私の場合、ラブストーリー要素必要？とか言いそう。笑
ラブストーリーかサスペンスかどっちかにしろ！とか言いそう。笑
しかし脚本も演技も素晴らしかったので、良い塩梅でストーリーに影響を与え、良い塩梅で脇役でした。
香苗は山崎にヒントを与え、桜井は香苗にヒントを与え、山崎は桜井にヒントを与える三位一体の成長物語でもあります。
素晴らしいですね。

見所は山崎の転倒シーンでしょうか。笑
もちろんスタントでしょうがね。
色んな意味で凄いです。笑
見事な転倒っぷりというか、そもそもあんなに高く上がるもんなのか？とか、見事に大事な部分が見えてないのもスタッフの努力あってこそと笑えますし。笑

しかしいくらダメ人間でも人の物を取っちゃダメですね！
自分を変える事は簡単ではありませんし、誰かにヒントをもらわないとダメな時もあります。
だから1人でくすぶってないで、誰かと接して一生懸命努力して、みんなが幸せが1番ですね。

my評価9点(10点満点中)





概要
「WEEKEND BLUES」「運命じゃない人」などを手掛けた若手注目監督、内田けんじ監督、脚本の作品でコメディ、サスペンス、ラブストーリーの3つの要素を含んだ予測不能の娯楽作。
W主演に堺雅人、香川照之、ヒロインに広末涼子と現在第一線で活躍する人々を迎えた意欲作でもある。
第36回日本アカデミー賞、最優秀脚本賞、優秀主演男優賞、優秀助演男優賞、優秀助演女優賞、第55回ブルーリボン賞、監督賞、助演女優賞など数々の賞を受賞。
第32回ハワイ国際映画祭でも作品賞を受賞しており国外でも評価されている。






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