アロエ?
Aloe Blacc『Shine Through』 (’06) まず、アーティスト名なんですけど、アロエ?アロー?どっちだ?日本のオフィシャル・サイトなどを見ると、“アロー”って書いてあるけど、来日時のインタビューでは、「コンニチハ、“アロエ・ブラック”デス。」って自己紹介してたんだよな(字幕も)・・・。他の映像見てたら、“アロゥェ・ブラック”って紹介されてて“アロエ”に近い感じだ・・・。 ここは、アロー・ブラックに統一していきます。ちなみに本名は“Egbert Nathaniel Dawkins III”、1979年生まれ。パナマ出身の両親を持ち、カリフォルニア州オレンジ郡で育ったとの事。 アロー・ブラックは、当初ラッパーとして、DJ・EXILE(日本の大盛りグループじゃないよ)と共に“Emanon”なるグループを’95年に結成。 LAアンダーグラウンドヒップホップシーンでの活動と並行して、歌でのレコーディングもしていた’02年頃、マッドリブ&Oh No兄弟と交流を持つようになりました。 その繋がりで音源を聴いたピーナッツ・バター・ウルフが感激し、2003年にストーンズ・スロウとソロ・シンガーとしての契約に至ったとの事。 このソロとしてのデビュー・アルバムではマッドリブ&Oh No兄弟が一曲づつプロデュースしていますが、それ以外は全編セルフプロデュース。 アルバム一曲目、“Whole World”を聞きはじめた瞬間、「これはッ!!」と思わせるモノがあり、2曲目“Long Time Coming”が始まった瞬間、「コリャ、スゲエぞッ!!」と確信に変わります。アロー氏、彼もまた“先人達の意志(意思)を受け継ぐ覚悟”を持ったアーティストである、と。 Aloe Blacc“ Long Time Coming ” ↑Oh Noによる、兄・マッドリブに負けない、何とも奇妙で、まるで覚めない不条理な夢を見続けているような幻想的なユラユラズレズレビートに乗せ、偉人サム・クック“A Change Is Gonna Come”をアロー氏が咀嚼し、再構築した強烈な一発!コレ一曲の為にアルバム買ってもOKってくらい大好きな曲です! 声はアンソニー・ハミルトンの“しゃがれ”と“灰汁”を抜いたような感じといいましょうか、何とも暖かい、どこか懐かしい印象を受ける歌声。それでも一聴してアロー氏の歌だとわかるような個性的な声をしています。 両親の出身地がパナマという事で、スペイン語で歌われる“Partia Mia”という“パナマ賛歌”があったり、ラテンミュージックの影響も感じられますが(ボーナストラックでは、ジョン・レジェンドの“Ordinaly People”を、スペイン語カバーしている)、全体のトーンはやはりヒップホップ。ボーカルにしても、“歌7割/ラップ3割”といった感じでしょうか。11曲目“Arrive”は完全にJ Dilla流のビート。13曲目“One Inna”はマッドリブからのビート提供にほぼフリースタイルで歌を乗せたそうです。 しかし、このように完全にヒップホップの素養のあるアロー氏、次回作『GOOD THINGS』ではヒップホップの手法から距離を置く事になります・・・。それはナゼか・・・?・・・次回、アロー氏の2ndアルバム『GOOD THINGS』の紹介に続く! ☆ここでもう一曲!☆ Aloe Blacc“ I'm Beautiful ” ↑アルバムのラストを飾る一曲。“I'm Beautiful , You Are Beautiful Too” ・・・。感動的な“人間賛歌”。以前紹介したコンピレーション『LOST & FOUND』にも収録されてましたね。