貿易英語一口メモ: 「見積」と「納期」の英語表現
末次通訳事務所 代表末次賢治
第1回 見積と納期の表現
円高が続き、震災の影響もあり、
原材料や商材の輸入を検討・開始する企業が多いですね。
初めて貿易取引を行う場合には、英語の類似表現に起因する失敗が多いようです。
(1)「価格見積」
[Price Estimate]や[Price Quotation]です。
Our price quotation is~と表現すると、提示した価格はもはや変更できません。
これで失敗することが多いです。
Our price estimate is~とすると、
これは「概算で大体の価格」ですから、最終価格を再度提示可能です。
Price Quotationは最終の決定価格です。
仕入先に価格を尋ねる場合、
Could you quote the price of 商品名 for 1000 units?
(当該商品1000個の決定価格をお見積り下さい)と打診しましょう!
この方が相手方とコントロールできます。
逆に皆様方が、価格を提示する場合は、estimateを使い、
[Our price estimate is @US$50.00.]とすると、
何らかの条件や事情による価格変更の含みを残せて、
条件の交渉を遂行できます。
もちろん、これはいろいろな状況次第ですが。
(2)「納期」表現
これも要注意。一部の辞書では「納期」を[lead-time]と記していますが
lead-timeは「納期」ではなく、「商品受注日から製造完了迄の期間」です。
[Please advise us the lead-time of our order?]と表現しても、
直ちに納期に言及していません。
貿易業務で「納期」を尋ねる際は、建値別に表現します。
a)Ex-Works /C&I/FOBの場合:Exactly when are you going to ship our order?
b)CIFの場合:Exactly when will our order arrive at Hakata Port?
と表現しましょう!
a)では、輸送の手配は輸入者側の担当ですから、
「いつ出荷するか?」を明確に尋ね、
b)では、輸送も輸出側の担当なので、
「いつ陸揚港に到着するか?」を尋ねると良いです。
a)、b)のいずれもexactlyを使います。
「正確な時期」を尋ねることで相手方を業務義務に縛っています。
英語をうまく使って、相手側を巧みにコントロールするのが貿易英語です。
貿易英語の目的は、「海外のお客様とより良いお取引を実施すること」です。
そのためには、相手側をうまくコントロールすることが大切です。
<総合英語/他言語サービス業>
末次通訳事務所・末次賢治拝
Jan.09/2019