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カテゴリ:保健室の一日
やった!5日連続更新(笑)! そろそろ限界か? でもまだ書きたいノロウィルス…。 さて昨日にひきつづき、ゴン太のエピソード。 ゴン太はノロウィルス騒動(?)の際、「もう『ノロ』いない?」と言った子です。やんちゃ(という言葉をいくつまで使ってよいものやら)で時に怖がられている子ですが、そんなかわいい一面もある。人間て立体的で多面的な存在だと私は思うのですが、ゴン太のこんな一面を見られるのはうれしいものです。 さて、12月に入った頃、2時間目が始まってしばらくしてから、ゴン太が一人で保健室に来ました。勿論授業中です。ちょうど、担任の先生の数学。ゴン太は数学はキライだけど、担任の先生は好きなので、数学の授業はそんなにイヤじゃないはずなんだけどな。 もしかして『数学病』か!? と一瞬思ったりもしたけれど、すぐに考えを改めました。だってもー真っ青なんだもーん。 処置台の上に丸まって、「気持ち悪い」とつぶやくゴン太。今どき珍し、く多少の傷では保健室にもやってこない、いつも元気なゴン太にしては大変珍しいことです。具合が悪いと、やはり心細くなるのか、たいていのやんちゃ坊主はいつもの虚勢をはる力もなく、二言目くらいまでは素直です。もっともその当たりの言葉かけ次第では、スネて出ていってしまうのですが(^^;)…。 ゴン太は素直に、昨夜は寝付けず、今朝方ようやくちょっとだけ眠ったと話しました。夜遊びしちゃったかぁ? と思わないでもないけど、それをただすのものかわいそうなほどぐったりしているので、ゴン太をベッドに入れました。「お布団入って寝な?」と言うと素直についてきます。 学ランを脱がせると、何故かYシャツは半袖。毛布をかけてやってしばらくすると、ゴン太がベッドカーテンから出てきて、「寒いからコレ着て寝てもいい?」と学ランをとろうとします。そんな固いエリのもの着てたらよく寝られないよ、ともう一枚毛布をかけてあげると、おとなしく丸まります。寒い、というので、足下に湯たんぽを入れてあげました。 保健室では一人の生徒を長時間休ませることはできないため、原則として一時間というきまりがあります。それ以上の休息が必要なら帰宅する、というスタンスです。このときは他の来室もなかったこともあり、何より、ぐったりとよく眠っていたので、担任の先生にお願いして、給食まで寝かせておきました。私がしたのは、たったこれだけ。 給食の時間に起こすと、顔色もよくなっていたので、「ご飯食べないともっと具合悪くなるよ。食べたら元気になっちゃうよ」と給食に行かせました。 変化があったのは、次の日からです。 翌日、他の生徒の来室にくっついて保健室にきた時には特に何もなし。職員室前ですれ違ったときです。 「ねこのあ先生、キノウハドウモアリガトウゴザイマシタ」 ちょっと照れくさそうに、一言。 あぁこの子、ありがとうが言える子なんだな、と思いました。でもそれって、すごく大切なことじゃないかな。担任の先生がそうご指導下さったのかな、と思ったりもするのですが、そうだとしても、ちゃんとそれを伝えてくれたんだもんね。 変化その二。いつもはだらしなくYシャツの裾をずるっと出し、学ランのボタンを3つも4つも開けていて、そのたびそれをとめてやったり、注意をするのです。玄関掃除は何故かいつも、二年生の雰囲気の悪い男子のたまり場。毎日何人もボタンをとめたり小言いったり大忙し。その時も、他の生徒のボタンをとめていたのですが、視界の端に、珍しくボタンをきちんととめたゴン太の姿。すかさず(?)、「ゴン太はエライねー。○○君達にも、ちゃんとやりなって教えてあげなねー」と何気なく一言。うんうん、と素直にゴン太はうなずきました。いつもなら、注意される一人なのにね! 放課後、職員室前ですれ違ったときもゴン太の服装はちゃんとしていました。そして、ボタンをきちんととめた胸元を、「ん、ん!」と私に突き出して見せたのです。勿論、「ゴン太ちゃんとしててエライね!」と声をかけました。 このあたりで、何か違うなーとは感じていたのです。もしかして、とは思っていたのですが、更に翌日、決定的なことが。 1年生と2年生は同じ玄関なので、下校時は両学年のだらしない男子がたまってしまうことがしばしば。その時もやはり、1年生2名と2年生2名が雰囲気悪くたまっています。その側に行って、とっととお帰りと指導したときのことでした。 1年生の男子が、何か失礼なことを私に言ったのです。(何言われたかは日常茶飯事なので忘れちゃった。)すると… 「ねこのあ先生ヲ イジメルナー」 とゴン太が、1年の男子をこづいたのです。 あれ?? 「ねこのあ先生は、オレを看病してくれたんだぞ!」 だって。 うわぁ、やっぱりそうだったんだ!? その場は、ゴン太がもう帰る、と言ったのであっさり終わったのですが、びっくりしてしまいました。 (実はそのときゴン太たちは他の1年生にちょっかいをだしているところだったが、それも「自分が悪い」とあっさり認めて去って行った…まぁもともと嘘つく子じゃないんだけど。) あの子、嬉しかったんだなー…。そう、どうも、嬉しかったみたいなんです。 私がしたのは、お布団に入れて、毛布かけて、湯たんぽいれて、寝かしておいた。ただそれだけ。それだけのことを、ゴン太は『看病』と言うのです。たったそれだけのことが、そんなに嬉しいなんて…。私にとっては、静かな衝撃でした。 たったそれだけで、「ちゃんとやっている自分」を見せて、認めてほしい、褒めてほしいという姿勢を見せたゴン太を、素直に私はかわいいと感じました。そして、大袈裟に言うなら、ここに彼の望みがある、と感じました。ここを、伸ばしたい。 それにしても、毛布かけて湯たんぽいれて寝かしておく…それで看病と言われてしまうと、何やらいたたまれません。電子レンジでチン!しただけの料理を、手の込んだ料理と褒められたようないたたまれなさ…? 三学期には、もうこのときの魔法はとけちゃって、いつものゴン太になっていることでしょう。でも、彼がほめてほしいと思う相手になって、素直な気持ちを伸ばしてあげられたらいいなと思っています。
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