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テーマ:たわごと(26896)
カテゴリ:C級小説
いよいよ、驚愕のラストです。
第1,2,3章前半は↓ 下にあります。そちらから読んでね。 銀座の中心で嘆き叫ぶ! 第3章 後半 ボブ、あなたはどうしてボブなの?(サウンド ロミオ&ジュリエットのテーマ) 女心と春の空、実際には秋の空なのだろうが、 その違いなど、Nobubuにはどうでもよかった。 10秒前まで、描いていた剣道部の先輩の顔は すでに忘却の彼方へと追いやられてしまった。 目の前の美しく輝く黒い瞳をみつめながら、 しばし、言葉を失うNobubuに、スマイル王子こと ボブ君は告げた。 元気だった? もうすぐ誕生日だよね? 映画のチケットを手に入れたんだけど、 一緒に行かない? Nobubuは、少しもったいぶった態度を みせるつもりが、生まれつき単純な性格が 災いして、魂胆とは裏腹に即答で答えてしまった。 うん!いいね~ と。 肩を並べて歩く2人を優しい風が包み込む。 遠回りして家まで送ってくれたボブ君の後ろ姿の なんとりりしいことか・・ しばし、この世で最高の幸せな時間を味わっていた Nobubuに、飼い犬のポチがまとわりつく。 そして、日曜日はやってきた。 その頃流行していたアイドルの髪形を真似、 サイドの髪の毛を充分すぎるくらいに流し、 後で怒りの雨が降るのを覚悟で、3歳年上の 姉の箪笥から無断で借用したスカートを履き、 心も足取りも軽やかに、Nobubuは待ち合わせで は有名すぎる場所、銀座のスクランブル交差点前 の有名デパート前に向かった。 浮き足立ち、はやる心の中には、なぜ最寄駅で 待ち合わせをしなかったのか?などというシンプルな 疑問も浮かばなかったNobubu。 銀座に降り立ち、少し歩いて、 スクランブル交差点を渡り始めたNobubuの足取りが 止まった・・・・・・・・・・・・・・ そう、丁度、横断歩道がクロスするあの魔の十字の 場所で完璧に止まってしまったのだ。 前方、某デパート前にたたずむボブ君を見た瞬間に。 あの遊園地の日からパワーアップしたと思われる 所々に穴のあいたジーンズ、しかも裾広がり。 通称 ラッパ!ラッパズボン・・・ラリパッパ~♪ Nobubuの時代より遥か以前に流行っただろうと推測 されるスタイル。頭には黄色いバンダナ・・・・ Nobubuの脳裏には、昔見た 中村雅俊主演のドラマが 浮かばなくてもよいのに浮かび、ぐるぐると回る。 そして、ボブ君の足元の大きな黒のギターケースを 確認したとき、Nobubuは仮死状態に陥った。 めまい・・魔の十字で足が完璧に止まってしまった。 しかし、現実は過酷だった。 Nobubuの耳に飛び込んでくる 信号が変わりますよの サウンド。 早くどうにかしなければ~ 引き返せ!くるりと踵を返し、とにかく引き返すのだ! 心の中でビリージョエルが叫ぶ。 人を見かけで判断したらダメさ、Nobubuちゃん、 君だって、ローラーズの衣装に身を包み、平気で 銀ブラしてたじゃないか、とディランの声。 引き返すなら、今しかないと引き返そうと思った その時、ボブ君に気付かれてしまった。 ありったけの微笑みと共に、 手を振られてしまった哀れなNobubu。 重い足を引きずり、ボブ君の前までなんとか 歩み寄ったNobubuに、ボブ君が告げる。 日比谷公園で、平和のために歌を歌ってきたんだ! じゃ、映画行こうか! Nobubuの頭の中で、ボブ・ディランと彼のもつ 強いメッセージ性がつながった瞬間。 言葉を失ったNobubuは、心の中で叫んでいた。 助けてぇ~ ヘルプ! S.O.S! メーデー と知っている全ての 緊急時の言葉を・・・ Fin エンドクレジット・・サウンドオブサイレンス。 この後のNobubuの記憶は、本当にブラックアウト している、20数年たった今でも、この後に 見た映画がなんだったのか、覚えていない。 思い出せないのだ。 覚えているのは、映画館に持ち込んだ黒いギターケース を見つめる迷惑そうな人々の視線、映画終了後に 食べたまずかったハンバーガーの味。 一瞬笑ったかと思われるお客さんたちの顔。 そして、怒り狂った姉の顔だけ覚えている。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.05.25 16:40:50
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