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テーマ:おすすめ映画(4071)
カテゴリ:ドイツ・ヨーロッパ映画
これは、最近観た作品の中では、一押ししたい作品。
またしても、映画館で見られなかったことを悔やんで 止まない作品となってしまいました。 善き人のためのソナタ 2006年 ドイツ 監督 フロリアン・ヘンケル・フォン・ドナースマルク 出演 ウルリッヒ・ミューエ 、マルティナ・ゲデック他 あらすじ ↓ 1984年、東ベルリンで国家保安省(シュタージ) の局員ヴィスラーは、反政府体制の疑いがある劇作家 の盗聴を命ぜられる・・・・ 感想 ややネタバレあり ↓ 1984年、東ベルリン、国民は国家保安省(シュタージ) により、監視下にあった。 10万人の協力者と20万人の密告者・・・・ 映画は、冒頭からなんともヘヴィーなテロップで始まる。 この先の展開がどっぷりと重くなりそうな予感。 しかし、物語は社会主義の独裁的な重圧下で苦しみながら も芸術性を探求する芸術家、それを取り巻く人たちの もがき、そしてそれを監視しなければならなくなった シュタージのヴィスラーを核に、淡々と進んでいく。 まず、驚いてしまうのは、それほど昔ではないのだが、 社会主義政権下での人々の生活の質素なこと。 ぱっと見ると、戦争直後のようなイメージを受ける。 贅沢に慣れてしまっている、のほほんとした日本人 には、それだけでも衝撃的なこと。 そういう抑圧された生活の中で、自由な発想を発表 出来ないという芸術家たちのジレンマは相当なもの だったのだろう。 そして、反政府的な思想を取り締まるシュタージは 恐ろしい団体だったに違いない。 明日は監獄にいる・・というのが日常茶飯事な 社会・・考えると恐ろしすぎる。 主役を演じたウルリッヒ・ミューエは、実際に自身も シュタージに監視されていた経験を持つ。 今回、映画の中では監視するほうを演じているが 表も裏も判っている人が演じているので、寡黙ながら その視線に宿る、真実を知っている故の演技力は 素晴らしい。 悲しいけれど、これが彼の遺作になってしまった。 彼は、7月に亡くなってしまった。 彼を動かしたものは・・なんだったのだろう? 観た人が、おのおの感じられれば良いと思う。 私的には、孤独な男が自分は出会えなかった理想の 伴侶を守るため、そして芸術という何にも屈して はいけないものへの尊敬の想いだったような 気がする。 最初から最後まで素晴らしい映画。 ウルリッヒ・ミューエの冥福を心から祈りたい。 唯一、希望を言うとするならば、権力で女性を 手篭めにする大臣・・・戦後なら銃殺に値するような 野蛮人、あいつにどうにかなって欲しかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2007.08.23 18:57:33
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