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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
1996年 アメリカ
原題:THE CRUCIBLE 出演:ダニエル・デイ・ルイス、ウィノナ・ライダー 17世紀にアメリカで実際に起こった魔女狩りを題材にした作品。 マサチューセッツのセイラムという村。若い娘達が内緒で森に集まり、好きな男性との恋が叶うようにと火をたき、踊っていた。その場面を牧師が見つけ、見つかった事にショックを受けた2人の少女が意識を失い目を覚まさなかった。その事件で村中が大騒ぎとなり、恐れをなした娘達は自分たちの言動を魔術のせいにした。そしてどんどんエスカレートし、罪なき村人を悪魔だと告発し始める。 魔女狩り、魔女裁判の話しだがまったく後味の悪い映画だった。 ウィノナ演じるアビゲイルは、働き者でみんなの信頼も厚いジョン・プロクターの家のメイドだったが、彼女の魅力に惑わされたジョンが彼女と一夜を共にした事から、それを知ったジョンの妻エリザベスに解雇されてしまう。ジョンへの思いを募らせた彼女はエリザベスに復讐する事で魔術を利用したのだった。 元はと言えば、全く個人的な欲望を悪魔のせいにして、他の少女達にも強要するアビゲイル。嘘なんだけどとりつかれた振りをする、嫉妬と復讐にかけるウィノナの演技、本当に怖い。 集団催眠とかマインドコントロールとかそういった印象を受ける少女達の言動。それに動かされる村人や、聖職者、裁判官達。「まったくもう、誰も気づかないの?疑わないの?」の観ていてイライラして、アビゲイルに憎しみさえ覚えた。本当はウィノナ好きな女優だけど、これを観ているときは嫌いになった。それだけ迫真の巧い演技だったって事だが。 ウィノナだけでなくどの俳優達をとっても演技が素晴らしく、2時間強の映画なのだが長さを感じさせない。 特にプロクター役のルイスの演技が光った。最後の"Leave my name!"と絶叫するシーンは切なくてたまらない。 それにしても主犯格のアビゲイルはその後どうなったのだろう?他の少女たちは?あんなに罪なき人達をおとしめておいて、のほほんと生きていく訳にはいかないだろうが。 悪魔なんて人の心が作り出すもの。当時の人達は宗教にがんじがらめにされて、嘘で嘘を塗り固めなくてはどうしようもなくなってしまったのだろうか。アビゲイルはまさしく魔女に見えた。 後味悪いのでおすすめ映画にはしなかったけど、集団心理の恐ろしさや、ああいった状況での人間の脆さや愚かさを知り身につまされる作品。そういう意味では観た方が良いのかもしれない。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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