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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
≪強烈な反戦へのメッセージ≫
昔、中学生くらいの時テレビでやってたのを観た事がある。 その時の印象は強烈で、何とも言えない絶望感を覚えたのを記憶している。 一昨年だったか叉観る機会があったのだが、おりしもイラク戦争で自衛隊の問題もあった頃。生まれてはじめて一番戦争を身近に感じた時期だったかもしれない。その時観たこの映画は叉新に重いメッセージを残した。 第1次世界大戦でヨーロッパの戦場へ出征した一人のアメリカ青年ジョー。彼は爆撃を受け両手、両足、耳、眼、口を失ってしまう。心臓は動いているけど医師は死んだも同然の人間だと言って、病院の人目のつかない倉庫のような部屋に彼を運ぶ。窓は決して開けられることはなく入り口もカギをかけられて、言わば彼は秘密の存在。 でも、ジョニーにはちゃんと意識があるんですね。自分の身体の大部分が損失している事がわかって、彼は幼い頃の事や、家族、恋人のことを思い出す。 顔はマスクで覆われていて、言いたいこともあるけど伝えられない、「痒いところがあるよ」「明りが欲しいよ」と思っても伝わらない。もどかしい…もしこれが自分だったらどうだろう。何かの病気でこういう状態になってしまったら、きっと死んだ方がましだと思うだろう。ジョニーも死にたいと思ってはみても自分で死を選ぶ事すら出来ない。 途中替わった看護士さんが良い人で一生懸命ジョニーに尽くし、彼の仕草までも理解しようとしてくれるんだけど、いかんせん軍の上部は彼を隠しておきたい。 モールス信号を頭で使って打ち、「ぼくをサーカスの見世物にして欲しい。さもなくば殺してくれ」って言うシーンはたまらない。 従軍牧師は軍人に対して言う「君達の職業が彼を生んだ!」と。 病院でのシーンは白黒、過去や夢のシーンはカラー。この対比をなんとする。 ラストシーンはあまりに切なくて、ひたすら絶望感が漂う。 ただの反戦映画というだけでなく、命、死について考えさせられる作品だった。 1971年 JOHNNY GOT HIS GUN 監督・原作・脚本:ダルトン・トランボ 出演:ティモシー・ボトムズ、キャシー・フィールズ、ドナルド・サザーランド お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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