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カテゴリ:アメリカ映画
≪サムは幸せをはこんできた天使だった≫
またまた最近話題のジョニー・デップです。最近の彼ももちろん好きですが、特に『シザーハンズ』や『ギルバート・グレイプ』、そしてこの『妹の恋人』の頃は作品自体が素晴らしく、ジョニーの良さを引き出している感じがします。私は勝手にこれらの3本を「ジョニーの初期三大作品」と呼んでますが。 タイトルロールでの汽車の映像とあの音楽にまず心をつかまれます。 幼い頃両親を亡くしたベニーとジューンの兄妹。ベニーは神経過敏症で精神不安定な妹ジューンをいつも見守っていた。精神科医の、ジューンを施設へ預けた方がよい、という勧めにも決心がつかないでいる。 ある日ポーカーの賭けに負けた兄妹は、友人の家に居候しているその友人のいとこサムを引き取る事になった。今まで家政婦さんが気に入らず次々と追い出していたジューンが、バスター・キートンが大好きで風変わりなサムを気に入ってしまった。 ちょっとの事がジューンの神経を逆なでしたり、イラつかせたり、とても扱いにくい妹に手を焼きながらも彼女をよそにやる事は出来ない兄。多くのことを自分を妹の為に犠牲にし、でも一方でその事を逃げ道にしているようなところもあるベニーです。 そこへ読み書きはあまり出来ないけどキートンの真似が上手く、掃除も整理整頓も驚くほどきちんとこなすサムが来てジューンも落ち着き、ベニーにも恋をしてデートをする余裕も出てくるのですが、サムとジューンの仲が親密だと知るや否や激怒し罵声を浴びせサムを追い出し、ジューンを施設へ送ると言い出すベニー。このシーンはそれまでのベニーの優しさを一挙にくつがえしてしまうほどショックな一面でした。 親代わりに見守ってきた妹への女性の部分を見たくない、という思いの表れだったかもしれません。しかし、その一言はジューンもサムも、そしてベニー自身をも苦しませる事になるのです。 でも、彼の気持ちもわかりますね。 この兄妹の名前がそのまま原題になっていますが、邦題は兄の目から見た最愛の妹の大切な人、という意味でここでも妹に対する思いがあふれている感じがします。 そしてジョニー・デップのサムがいいです。何とも不思議な雰囲気で芸達者振りを見せてくれますし、彼が木に登って下を眺めている様子は変なんだけど引き込まれてしまいます。これが他の俳優でもそうなんでしょうか?いいえ、きっとこれはあのジョニーの独特の風貌、眼差し、たたずまいのなせる業だと思います。どこかひょうきんで、でも一途で、この作品でのジョニーもそのあたりははやり「彼だ」と思わされます。 ベニーが花束をそっと置き、ジューンがパンにアイロンをかけるのを見守るサムの後姿のラストシーンがすごく好き。 実にほのぼのとする作品です。 BENNY & JOON 1993年 監督:ジェレマイア・S・チェテック 脚本:バリー・バーマン 出演:ジョニー・デップ、メアリー・スチュアート・マスターソン、エイダン・クイン、ジュリアン・ムーア お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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