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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
≪アイルランドの麻薬犯罪を追及し、凶弾に倒れたジャーナリスト、ヴェロニカ・ゲリンの実話に基づいたストーリー≫
冒頭でゲリンは殺害され、そこから遡って話は始まります。 1996年のダブリン。裏社会では麻薬の売人達は巨額の富を得、のさばっている。その麻薬はもはや子供達にも蔓延し、中毒、売人になっているものもいるが、誰もその現状から子供達を救おうとしない。ヴェロニカは麻薬の実態を摘発しようと強行取材を行い、その事で彼女は脚を撃たれ、息子の命も危ぶまれる事態に陥るが、それでも彼女は負けなかった。そして麻薬犯罪のボス、ギリガンにたどり着くのだが… このジャーナリストの話は以前少し聞いたことがありました。 世界には真実を追究するが故に命を落とすジャーナリストは数多くいます。そういう人たちというのは、勇気や負けん気、正義感というものが凡人の何倍も強い人たちなのだろうと想像できますが、ここで描かれているヴェロニカも正にそんな人物でした。 警察も政治家も他のジャーナリストたちも深くは立ち入りたがらないところまで取材をし、自分のそして愛する家族の命が狙われようとしているのにもかかわらず、脅しに屈することなく取材を続けていく。人前では決して弱音を吐かない気丈なヴェロニカも、夫や母親の前では脆さを見せ泣き崩れる様子を見て、何故この人はここまでして悪に立ち向かおうとしたのか、と思いました。「自らの義務」と言い放った彼女ですが、彼女の真の思いをきちんと感じ取る事が出来ませんでした。この映画で描ききれていなかったのか、私の理解が足りないのか。それともそれが真のジャーナリストだからか。 彼女の死後、アイルランドの法律は変わり、国民の意識も変わり、社会に大きな変化をもたらす事になりました。それだけでも彼女の死は無駄ではなかったということですが、命を犠牲にしなければそれらが変わらなかったのかと問われれば、とても無念です。 仕事中の男勝りなヴェロニカと家族の前で女とどこか弱い部分も持ったヴェロニカを使い分け、凛としたジャーナリストを演じきったケイト・ブランシェットはさすがだと思います。 それからギリガンを演じたジェラルド・マクソーレイは実に恐ろしく、ヴェロニカを殴るシーンなんて後ずさりしそうでした。 アメリカ映画ですが、イギリスやアイルランドの俳優を使いロケ地もアイルランドで、娯楽大作の多い製作者の作品と思えないほどシックな作品になっています。私の見間違いでなければ、コリン・ファレルが出てこなかったでしょうか?ほんのチョイですけど。 捏造記事を書いてるような日本の新聞記者はこの映画観て考えて欲しいです。 VERONICA GUERIN 2003年 監督:ジョエル・シュマッカー 制作:ジュリー・ブラッカイマー 出演:ケイト・ブランシェット、ジェラルド・マクソーレイ、シアラン・ハインズ、ブレンダ・フリッカー、バリー・バーンズ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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