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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
≪家なんて砂の上に立ち霧に隠れてしまう存在なのでしょうか≫
珍しく日に2本の映画紹介ですが、これもまた重いテーマです。 亡父が兄と自分の為に遺してくれた海辺の家。夫が去り、悲しみに打ちひしがれるキャシーはひとりそこに住んでいた。ある日、税金未納ということで家を差し押さえられてしまう。しかし、それは郡の手違いだと判るが、家はすでに競売にかけられ新しい主の物となっていた。その主とは、政変でイランから亡命してきたべラーニ大佐一家だった。 理不尽なんです。郡のミスなのに郡にもっと詰め寄ったらいいんじゃないでしょうか。お互いが自分のことばっかり主張するからこうなるんだ、執着しすぎだ、と思いながら見ていたのですが、それぞれに家に対する思いがあったのですね。 家を取り戻そうとするキャシーは家族との思い出、家を守ろうとする大佐は祖国の家の思い出。この人たちの一見利主義だと思えるような振る舞いや考えも、実は家そのものよりも、温かな家族を求めていたからではないかと思えます。 お互いの欠点に気付き、事態は収拾するのかと思っていた矢先に、当事者ではない保安官のせいでとんでもない悲劇をうむことに。 マイノリティーに対する偏見、誤解、弱い者への高圧的な態度など、アメリカの抱える問題点を訴えた作品だと思います。 祖国では高い地位にあったけど、アメリカに来て日雇いの仕事をし、それを家族には隠しているというべラーニのプライド、家族を守る為に必死に生き抜こうとしている彼に起こる悲劇はどうしようもなく哀れでなりません。ベン・キングスレーの迫真の演技に胸が痛くなります。 シナリオも俳優も素晴らしい作品だと思います。でも救いようがなくて辛すぎます。 HOUSE OF SAND AND FOG 2003年 監督:ヴァディム・バールマン 原作:アンドレ・デビュース3世 脚本:ヴァディム・バールマン、ショーン・ローレンス・オットー 出演:ジェニファー・コネリー、ベン・キングスレー、ロン・エルダード、ショーレ・アグダシュール お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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