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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
≪CGでなくてもこんなにも迫力があって、目を離せないでいた≫
今年最初のシネマ・レビューは、あのジョン・スタージェス監督の私の幼い頃にとても印象に残った、作品です。 メキシコ湾で小舟を浮かべて漁をする老人サンチャゴ。しかしもう84日間も一匹も釣れていない。少年が一緒に漁について行ってたが、あまりの不漁に親の言いつけで、少年は今は他の舟に乗っている。 ある日年老いた身体に鞭打って、サンチャゴは又海に出た。今度こそ、今日こそは…と言う思いで。そして飲まず食わずで随分遠くに出た彼はとうとう巨大なカジキに出会う。何時間もの格闘の末そのカジキをものにしたサンチャゴは照りつける太陽の下舟に獲物をくくりつけて帰路へ。しかし、その獲物はサメの獲物でもあった。 私はこの作品を、小学校の低学年の頃に一度観た事がありました。いとこ達がいて一緒に遊びながらちょこちょこと観た記憶があるので、多分夏休みだったと思います。 親が観ていたのを遊びながら、と言う感じだったので内容はあまりはっきりとしなかったのですが、老人が大きな魚を獲るのに大格闘をしたシーン、そのカジキをサメから狙われて、老人がサメを必死で突くシーン、そしてもう身がほとんどついていないそのカジキをボートと共に港へ寄せて家路へ着くシーンが忘れられませんでした。それらのシーンは幼い私の中にも何か強烈な印象を残したのだと思います。 あれはヘミングウェイの『老人と海』だと知ったのは高校生位になってからではなかったでしょうか。 もう一度あの映画を観たい、と長年思っていましたが、昨年ようやく観ることができました。 今回改めてきちんと観て、老人と少年の微笑ましい関係、老人の漁師としてのプライド、老いていく自分との格闘、そういったものも感じる事が出来ました。 カジキと格闘するシーンも、サメとの死闘もやはりほとんど私が覚えていたとおりのものでした。でもそれは、魚との格闘だけでなく、老人の自分自身との格闘でもあったのですね。 骨だらけになったカジキとの帰還。 切なくもあり、誇らしげでもあり。 でもラストシーンで何かしらとてもさわやかな、清々しい気持ちになったのです。 釣りの事はよく分からないけど、魚を釣るときの格闘があるからこそ釣り上げたときの喜びは格別なものがあるのでしょう。 登場人物はとても少なく、ほとんどが老人の海上での釣りのシーン、そしてその老人のナレーションで進む地味な作品ですが、このサンチャゴ老人の海での孤独感、疲労感、プライドなどを表情で使い分けたスペンサー・トレイシーの名演に酔いしれました。 THE OLD MAN AND THE SEA 1958年 監督:ジョン・スタージェス 原作:アーネスト・ヘミングウェイ 脚本:ピーター・ヴィアテル 出演:スペンサー・トレイシー、フェリペ・パゾス お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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