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カテゴリ:アメリカ映画
≪愛があれば人種なんて関係ない~昔はそうはいかなかったのです≫
これってリメイク版が出たんですね。DVDのアフィリエイト貼ろうと思ったら全然他のが出てきました。 これは1967年シドニー・ポワチエが出ている作品です。 世界的に著名な黒人医師ポワチエは、白人の若い娘とハワイで出会い2週間後には結婚を決め、その許しを得る為に彼女と共に彼女の実家へ立ち寄る。新聞社王でリベラルな父スペンサー・トレイシーと母キャサリーン・ヘップバーンは今日中に許しを得てジュネーブに行くという娘の言葉に驚き、戸惑う。そしてそれはポワチエの両親にも同じ事だった。 トレイシーの驚きと言うのは、まず娘が結婚相手に黒人の男性を連れてきたと言う事、そして数時間で決断して結婚を承諾して欲しいという娘の願い。人種問題は今とは比べものにならない位切実であったろう時代に、これを決断しなければならなかった親の心情はわからないでもありません。 この映画をはじめてみた時はまだ若かったせいもあり、リベラルであるはずのトレイシーの身勝手さや、恋人同士への不理解に納得がいかず不快感を持ったものですが、今は父親の気持ちはよく分かります。 母親たちは愛するもの同士へ理解があり、父親達は現実の厳しさを、未来を心配して前へ進むことは出来ない。これも男女の差なのでしょうか。 ここでのキャサリーン・ヘップバーンはすごくステキな母親を演じていて、憧れてしまいます。 リベラルな人間ほどもしかして、それが自分の事になると意外にこういう場面がありそうな気もします。友人の司祭から「エセリベラル」と辛らつな言葉を投げかけられても、一人娘の事を思うが故かもしれません。 父親がこう心配する理由の一つに娘の態度があげられるかもしれません。あまりにはしゃぎ過ぎ、浮き足立っている。出合って2週間で結婚を決める、その今一番良い時の娘の様子はそりゃあ心配になりますとも。私だって相手が黒人でなくとも言いますよ。「もう少し時間を置いて、冷静になってからでもいいんじゃない」って。 でも、それに比べてポワチエが大人で、冷静な態度、判断をしている事が唯一トレイシーを「賛成してもいいのでは」、と悩ませる原因になったのかもしれませんね。 驚くのは、トレイシーの家の黒人メイドがこの結婚に大反対な事。ポワチエをメチャクチャけなします。その辺りが実はこの問題の一番深いとこなのかな、と思うのです。劇中に何度も出てくる「二グロ」と言う言葉も、今聞くとドキッとします。 ポワチエが前妻と死別した経歴はあるものの、それ以外は滅多にいないと言う程のキャリアを持った人物。それが少し引っかかるところでもあります。これがごく普通の黒人男性だったら、両親は許したか、それどころか娘は好きになっただろうか、なんて考えるのはあまりというものでしょうか。 ちょっときれい過ぎるのかな、と思うラストですが、当時としては人種問題に真正面から取り組んだ勇気ある作品だと思います。 GUESS WHO'S COMING TO DINNER 1967年 監督:スタンリー・クレイマー 脚本:ウィリアム・ローズ 出演:スペンサー・トレイシー、シドニー・ポワチエ、キャサリーン・ヘップバーン、キャサリン・ホートン、セシル・ケラウェイ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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