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カテゴリ:アメリカ映画
≪強面の海軍将校達と若いかもめ(水兵)のほのぼのロードムービー≫
アメリカン・ニューシネマの代表的な俳優の一人がジャック・ニコルソンだと思うのですが、これは意外と地味な作品なのかもしれません。でも、私は大好きです。 バダスキーとマルホールはアメリカ海軍の将校。彼らは、基地の慈善用募金箱からお金を盗もうとした罪で8年の刑を宣告された若い水兵メドウズを海軍刑務所へ護送するという任務を命令された。バスや列車で護送する途中3人の間には奇妙な連帯感が生まれ、バダスキーとマルホールは、服役前のひと時メドウズにいろんな経験をさせてやろうと考える。 募金箱からお金を盗んではいない、盗もうとして見つかったにしては重すぎる刑。バダスキーとマルホールはそれを聞いて、まだ若い何も知らないメドウズに情が移ります。でもメドウズって手癖が悪い。これは病気なんだろうけど。彼はちょっとトロイところもあるし、家庭環境も複雑そう。彼のいろんな話を聞いていくうちに、特にバダスキーの兄貴肌の性分が顔を出していきます。 途中「南無妙法蓮華経」を唱える集会に出くわし、それ以後メドウズもよく「南無妙法蓮華経」を唱えるのですが、この集団が何か怪しいんだな。当時はそういう時代だったのかもしれないけど、仏教も新興宗教みたいな扱いっぽい。まあキリスト教国にしてみれば新興宗教なんだろうけど。 この3人の関係が、護送する側、される側から次第に友人とか兄弟のような関係になっていき、頼りない弟を世話する兄貴達、と言う雰囲気が流れ始めるのが観ていて心地良いです。 人生の楽しみを知らないまま8年間、良くて6年間の刑務所暮らしの前に楽しみを教えてあげたい、という必死の思いで僅かな時間を割きメドウズにいろんな経験をさせる。その気持ちもよく分かるんですが、楽しみを知ってしまう恐ろしさも又わかる。案の定最後の夜の出来事で、人並みの煩悩を持ったメドウズが取った行動は、哀しくてやりきれません。 しかし、ラスト、哀しいのに「こんな任務は二度とイヤだ!」と怒ってマーチと共に去っていくバダスキーとマルホール。なんかニコルソンらしくって思わずニヤッとしてしまいます。 原題の中の"DETAIL"は、ここでは軍事用語の「特別任務」と言う意味になりそうです。邦題の付け方が実に上手いですね。 コメディの要素もありながら、冬のグレーの空の下、始終寒そうなニコルソンと頼りなさげなクエイドがとても印象的な佳作でした。 THE LAST DETAIL 1973年 監督:ハル・アシュビー 脚本:ロバート・タウン 原作:ダリル・ボニクサン 出演:ジャック・ニコルソン、オーティス・ヤング、ランディ・クエイド お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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