|
テーマ:おすすめ映画(4068)
カテゴリ:アメリカ映画
≪命の危険を知りながら、生活の為に悪事に手を染めてしまう実情≫
多くの賞を獲って話題にり、主演のカタリーナ・サンディノ・モレノは昨年のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされ、とても観たいと思っていた作品です。 コロンビアの片田舎に住む17歳のマリア。一家の生活を支える為にバラ農園で働いていたが、主任と上手くいかずクビになってしまう。おまけに既に愛のなくなったBFとの間の子を妊娠していた。そんなマリアのもとに麻薬の運び屋の話が舞い込む。麻薬を飲み込んでアメリカに密輸するという危険な仕事で戸惑うマリアだったが、巨額の報酬につられて引き受けてしまう。彼女は62粒の麻薬とお腹の子と共にアメリカ行きの飛行機に乗り込むが… こういう実話がたくさんあるのだそうです。 胃の中で麻薬が破裂すれば死んでしまう可能性もあるし、もし飲み込んだ粒を全て出し切らなかったり、おかしな行動をすれば故郷の家族に被害が及ぶ。考えるだけでも恐ろしい事ですが、そうまでしてもお金が欲しい実情がコロンビアや多くの南米の国にあるのです。 17歳の少女マリアは、貧しく花以外には何もない町での暮らし、一家を支えなければいけない、家族から文句を言われる毎日の生活、そしてお腹の子、と何かを、いいえきっと全てを打破したくて今いる世界から飛び出そうと必死にもがいたのでしょう。ただ、もがいてたどり着いた所はあまりに危険な場所だった。その危険さにも最初は簡単に構えていた愚かさありました。 家にいても職場にいても、BFと話していても行き場のなさに悶々とした様子。仕事が決まってからの不安、機内での緊張感、そしてアメリカの税関での緊迫したやりとり。まるでドキュメンタリーを観ているようで、こちらにも緊迫感が伝わってきます。 麻薬を飲み込むあたりからずうっと緊張は続き、思わず画面に食い入るようにみてしまいました。 主演のモレノは、やるせなさや緊張感のあるなんとも言えない重苦しい役を見事に演じていました。そしてひと粒のひかりを映像で、写真で見る姿は他のシーンとは全然違い、やさしく穏やかで活き活きとした表情を見せてくれて、若いのにいろんな賞をとったりノミネートされただけの事はあり、とても魅力のある女優さんです。 内容としては、あんな事したらあれくらいでは済まないのではないか、という点が引っかかってしまいますが。 ラストの決断はちょっと『やさしい嘘』を思い出してしまいました。 ああいう道を歩む人が実際に五万といるのだと思います。 感動というのではないけど、考えさせられる作品でした。 MARIA FULL OF GRACE 2004年 アメリカ/コロンビア 監督/脚本:ジョシュア・マーストン 出演:カタリーナ・サンディノ・モレノ、イェーニ・パオラ・ヴェガ、ギリード・ロペス、パトリシア・ラエ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
[アメリカ映画] カテゴリの最新記事
|
|