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カテゴリ:アメリカ映画
≪二つの夏と「アティカス」「ブー」との忘れられない思い出≫
夏、夏休みの出来事を描いた映画はたくさんあります。夏になると必然的にそんな映画を思い出すのですが、今日はそんな中の一作品。 1930年代初頭。不況のどん底のアメリカ、アラバマ州の小さな町。妻を早くに亡くし、小学生の息子と娘を育てる弁護士アティカス・フィンチ。彼は暴力事件で訴えられた黒人男性の弁護をすることになった。しかし、黒人への偏見が強い町の人々は、フィンチへ冷たく当たる。 オープニングのタイトルバックが印象的に始まり、冒頭はフィンチの子供、ジェムとスカウト、そしてその友達のディルとの様子、近所に住む、怪物と呼ばれている謎の男「ブー」の存在が秘密めいて、夏休みの子供達の小さな冒険が描かれます。 それと平行して黒人弁護の法廷の様子。子供達もこの裁判を見守り、そしてそれに関わるさまざまな事柄を学んでいく様子がいい。 正義感にあふれ、忍耐強く逞しい弁護士の父親。時には母親の役目も担うやさしい父親を見事に演じているのはグレゴリー・ペック。正に適役。彼はこれでオスカーを獲得しました。 そんな頼れる父親の事を”Dad”とは呼ばず名前で”アティカス”と呼ぶ子供達がそのアティカスを尊敬している様子が上手くさりげなく描かれています。 シリアスな法廷シーンも交えながら、子供達は白人達の横暴や人種差別に社会の矛盾を学び、でも決して観ている側に押し付けがましくないのも好感を持てます。 そして「ブー」の存在。彼がラストに自然に上手く関わってきます。 ラストのスカウトの言葉は、小学校低学年の子供が言うには少し無理があるような気もしますが、まあそこは大目に見ると言う事で。 「ブー」はほんのちょっとの出演なのですが、ロバート・デュヴァル演じる彼はとてもインパクトが強く、そして彼とフィンチ家の兄妹との関係は感動的です。 兄妹が歩く夜の森のシーンがモノクロにも関わらず、かすかな色が見えるように美しい。 「ブー」とのかかわりはどこか夢の中のようなファンタジックな感じもあり、親子の愛情や正義や差別についても考えさせられ、そして観終わって深い余韻を残す素晴らしい作品です。 これは是非原作を読んでみたい。 TO KILL A MOCKINGBIRD 1962年 監督:ロバート・マリガン 脚本:ホートン・フー 原作:ハーパー・リー 音楽:エルマー・バーンスタイン 出演:グレゴリー・ペック、メアリー・バダム、フィリップ・アルフォード、ジョン・メグナ、ブロック・ピータース、ロバート・デュヴァル お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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