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テーマ:おすすめ映画(4068)
カテゴリ:アメリカ映画
≪話し相手になってあげる事の大切さが伝わってきた≫
長ったらしいタイトルですが、何となくそのタイトルに惹かれました。それにキャストがデュヴァルにリチャード・ハリス、シャーリー・マクレーンとくればやっぱり観てみたくなります。 フロリダの海辺の町の公園で毎日パズルを解くのが日課の、キューバからの移民で元理容師のウォルター。彼は馴染みのレストランで日に2度メニューにはないベーコンサンドをお気に入りのウェートレスに注文する。いつものように公園のベンチでパズルを解いていると、やたらと話しかけてくる同年代の男が。彼は元海の男のフランクだった。初めは自分とは正反対のタイプのフランクに迷惑するウォルターだったが… フロリダはよくお年寄りが多い所、なんて聞きましたが、この映画でも主な出演者は先出の3人にパイパー・ローリーを加えた老年男女。そこにウェートレス役で『スピード』でブレイクする前のサンドラ・ブロックが出ています。 仕事を引退して悠々自適の生活を送っているウォルターとフランク。方やキューバからアメリカに渡り情勢不安な祖国に帰ることなく、必死に働いていたらずうっと一人だったと言う真面目な男性。方や息子からのプレゼントの帽子を大切に自慢げにいつも被っている、4度の結婚に失敗した粗野な海の男。全く正反対の老年男性ですが、共通しているのは孤独だと言う事。 ウォルターは孤独に慣れきっているものの、若いウェートレスと毎日話が出来るわずかな事に喜びを感じ、同じ事を繰り返す日々を送っています。そこへ大雑把で、未だに女性をおおっぴらに口説いたり、下品な言葉遣いをするフランクが現れ、戸惑いながらも接しているうちに親しくなっていくのです。 彼らに共通している「孤独」とか「寂しい」という言葉をお互いに決して口には出しません。しかし、お互いの孤独を感じているからこそケンカをしても、又仲直り出来るのです。 サンドラ・ブロックがさらりと嫌味なく、ウォルターが想いを寄せるウェートレスを演じています。そしてもう1人。フランクの家の大家役のシャーリー・マクレーン。フランクを疎ましく思いながらも、彼女もまた孤独な人。2人のラスト近くでのシーンは涙が出そうになりました。 デュヴァルが堅物なウォルターを、一瞬デュヴァルではないかのように好演しています。若い娘にほのかな想いを抱き、そして彼女の家に行って疲れてしまう様子にもジワーっときてしまいました。 そして、リチャード・ハリス。最近では『ハリー・ポッターと賢者の石』でホグワーツ魔法学校の校長先生として若い人にもその名を知らしめましたが、『ハリー・ポッターと秘密の部屋』の出演後亡くなってしまったのですよね。そのハリスがこの作品では、粗野だけどいい加減だけど、チャーミングな老人を演じています。先ほども書いたようにシャーリー・マクレーンとの最後の方のシーンもそうですが、ウォルターが1人でダンスをしているのを見るシーンでは、フランクの心情を表情で観る側にぶつけてきて、その姿に圧倒される思いでした。 日本では劇場未公開だったそうですが、とっても心に残る作品でした。 2月6日深夜(1:05~3:09)にNHK-BSで又放映されるそうです。 悲しいのですが何故か微笑む事が出来たのは、ウォルターのラストシーン。彼はこれからきっと1人でも孤独ではない生き方を見つけたと思えたから。 長ったらしい邦題ですが、原題よりもこちらの方がしっくりくるかもしれません。確かにヘミングウェイとレスリングする話は出てきますが、それはフランクの事。ウォルターの事を触れるならやはりベーコンサンドも必要不可欠ですから。 WRESTLING ERNEST HEMINGWAY 1993年 監督:ランダ:へインズ 脚本:スティーヴ・コンラッド 出演:ロバート・デュヴァル、リチャード・ハリス、シャーリー・マクレーン、サンドラ・ブロック・パイパー・ローリー お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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