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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
≪ちょっとした事で幸福は見つかり、又ちょっとした事で不幸にも遭遇してしまう≫
この映画の事、主人公が娘の同級生に恋する、って事位しか実は知らなかったんですが、ケヴィン・スペイシーがアカデミー主演男優賞を取った作品でもあるので興味はありました。観てみてちょっと予想と違った映画だったのでビックリ。 リストラ宣告を受けたレスターは、見栄っ張りの不動産ブローカーの妻と、コンプレックスの塊のような高校生の娘の3人暮らし。妻との夫婦関係は長いことなく、娘は反抗期でろくに口もきかない。何の楽しみもないような生活を送るレスターだったが、娘の同級生の美少女に恋をして、彼女がマッチョな男性が好きだと知ると肉体改造に取り組むようになる。 そんなある日、隣に元軍人の一家が越してきた… 単なるコメディだと思っていたんです。それでアカデミー作品賞も取ったんで、どんなコメディなんだろうとすごく期待してみたら、いや、コメディというよりもブラックコメディヒューマンドラマ、という感じでした。 一般的なアメリカの中流家庭。家族間の少しずつ歯車が噛み合わなくなってきていたところに現れた娘の同級生。その娘に恋をしてしまった父親はちょっと気持ち悪いのですが、彼は張り切ってしまうわけです。そこへ又隣にちょっと変わった家族が越してきて、そこから歯車はどんどん狂ってしまうのですが、こんな話は近い将来日本でも起こりうることだと思いながら観ていました。いや、もう起こっているかも。だいたいアメリカで普通に起きている現象は、10年位経つと日本でもそれが日常化されていたものですが、最近はそれがちょっと速くなってきていますから。 ドラッグのせいもありテンションが高くなったり、娘の友達に恋して一生懸命に肉体改造に取り組む父親役のスペイシーは正に怪演。ハンバーガーショップで妻と鉢合わせするシーンは笑ってしまいますが、考えようでは怖いです。 それから、隣家の元軍人役のクリス・クーパー、この人もこういう厳格な役が似合いますね、というか恐怖の表情ですから。その人が実は…っていうシチュエーションも、軍人、そしてネオナチ風な感じからすると「あれ~ッ」っと言う展開でした。 真っ赤なバラ、アメリカンビューティ、そして風に舞うビニール袋がやけに印象的。そしてラストの曲も見事にこの映画にマッチしてました。 登場人物がそれぞれ秘密を持っていて、どこか滑稽なんだけど、心から笑えない、美しくて醜くて切ない、そんないろんな感情を持った作品でした。 AMERICAN BEAUTY 1999年 監督:サム・メンデス 脚本:アラン・ボール 出演:ケヴィン・スペイシー、アネット・ベニング、ゾーラ・バーチ、ウェス・ベントリー、クリス・パーカー、ミーナ・スヴァーリ お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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