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2008.02.29
テーマ：おすすめ映画(4068)
カテゴリ：アメリカ映画
 ナチス占領下のポーランド。クラクフのユダヤ人家庭のロメックは、強制連行を逃れるために両親と別れ、一人小さな村のある家族に預けられる事になった。そこには夫婦とロメックと年の近い男の子が二人。彼がユダヤ人だと知っているのはこの夫婦と村の教会の神父だけ。彼はユダヤ人であることを隠しカトリック信者として生活しなければならなかった。 初めはロメックを歓迎しないこの家の長男ヴラデック。しかし次男のトロは優しく迎え入れてくれます。自出を必死に隠し、イジメにあいながらも、本当はユダヤ人じゃないかと疑われながらも、一人我慢して耐えなければなりません。彼がユダヤ人だとわかったら強制連行されるから。しかし、時は少しずつ解決してくれて、やがて彼は村の子供達と楽しく過ごせるようになっていたのに… ショッキングで、ひたすら悲しい映画です。 ポーランドの田舎の美しい風景、光、色合い、そんな中にも戦争の醜さ、痛々しさは忍び寄ります。 人は生き抜くために、裏切ったり嘘をついたりします。大人が生み出した戦争なのに、生きるためには子供も大人と同じ事をするのです。同じユダヤ人を…ものすごく辛い。 ポーランドのユダヤ人と言えば、第二次世界大戦中ナチスドイツからも、そしてポーランド人の中からも辛酸をなめたわけですが、生き抜くためにユダヤ人が同胞を裏切る事もしたわけです。こう言った事は戦時下ではユダヤ人に限った事ではありませんが、この映画の中のそういう部分は特に胸が痛みます。子供でさえそうなのですから。 イエスごっこをしている時トロは自分がイエスになると言い張り、そして異常なほどにその遊びにのめりこんでいきます。多くの人の死を見てきたトロが考え、最後に取った驚くべき行動は、私には「何で！？」なのです。クリスチャンなら理解できるのかもしれません。自分が犠牲を払うことで人々を救ったイエス。トロは次第に自分をイエスと同化させていったのでしょう。子供ゆえの純粋さが引き起こしてしまった悲劇。それとも彼こそが本当に強い人間なのでしょうか？わかりません…宗教的な事が絡むとどうもその辺が理解できないでいます。ただ、わからないけど理解しようとする努力も必要だと思うのです。何においても。 同胞同士でも裏切る場合もあるかと思えば、異教徒でも救ってくれた人もいます。神父が教会でロメックにキリストの肉を意味するパンを与えるのですが、ロメックはそれをためらうシーンがあります。その時神父は、「これは儀式用のパンをくり抜いた端っこだから大丈夫だ。」と言います。原題が意味するところですが、神父は子供達に「キリストもユダヤ人だった」とも言いますので、結局は、異教徒であろうと、受け入れてくれると言う事を言いたいのか。儀式には使わない部分だから本当の意味のカトリック信者にならなくていいんだよ、と言うことなのか。ん～、ちょっと難しいですね。 人間って弱い生き物です。自分が助かる為に人を売ることもします。イエスを裏切ったユダって卑怯な奴だと思いますが、ユダもごく普通の弱い人間だったからかも。 ハーレイくんは例のごとくかわいそうな役を上手くこなしています。ウィレム・デフォーの神父はちょっとワルっぽくて怖いですが。そして、他の子役達がみんないいのですが、中でもトロ役の少年が素晴らしくて、ハーレイくんよりも印象が強く残りました。彼が汽車に乗り込むときの目は、幼いながらも絶対に変わることない信念をこちらに強く投げかけていました。 私達日本人やノンクリスチャンには簡単には理解は出来ない部分も多いのかもしれませんが、人種、宗教的な事を考えてみると、大きな意味がある映画だと思います。 EDGES OF THE LOAD 2001年 監督／脚本：ユレク・ボガエヴィッチ 出演：ハーレイ・ジョエル・オスメント、ウィレム・デフォー、リアス・ヘス、リチャード・バーネル、オラフ・ルバスゼンコ 他 本  ぼくの神さま お気に入りの記事を「いいね！」で応援しよう
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