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テーマ:映画レビュー(894)
カテゴリ:アメリカ映画
ほとんど前情報無く偶然に観た作品だったのですが、後で監督を見て何となく納得出来る部分がありました。 クオイルは妻と一人娘と暮らしているが、妻は娘をほったらかし別の男と遊んでばかりいた。ある日妻は突然娘を連れ去り、男と家を出て行ってしまう。しかし彼女は交通事故でしんでしまい、同じ頃クオイルの両親も自殺。そして、実は妻が娘を売り払おうとしていた事を知る。生き残った娘と失意の彼の元へ叔母がやって来る。クオイルは叔母と娘を連れて、父親の故郷ニューファンドランド島へ行く事に・・・。 クオイルにはトラウマがあり、生きる喜びを持たない冴えないダメ男。そこへ次々と不幸が舞い込んで、おまけにニューファンドランドへ渡ってもなかなか環境に馴染めず・・・おまけに自分の一族の因縁が・・・ と、何ともついてないというか。 ニューファンドランド島は、北の島らしく寒い、冷たい、厳しい。おまけにクオイルの先祖は○○で、叔母の過去は悲惨で辛く、こんなにひどい事もよくあるもんだ、と思える設定。 そんな中でホッとするのが、クオイルの様子を伺って、皮肉を言ったり励ましたりする小さな新聞社の社員。他のいろんな映画でもその個性で輝いていた役者たちが、ここでもその力を発揮しています。そんな中でも編集長のスコット・グレンがカッコイイですね。 クオイルはとても純情なんだと思います。ただ純情な中年男性って、それだけだとダメ男になってしまう危険性が大。クオイルは純情なんだけどダメダメです。だけどこういう役がケヴィン・スペーシーは上手くて。 柔和で静かな雰囲気を携えたジュリアン・ムーアがとても印象的。パンクっぽい強烈な妻を演じたケイト・ブランシェットと好対照。 そしてやはりジュディ・デンチ。いくつか印象に残るシーンがありましたが、キッチンで嗚咽するシーンがインパクト大。 こう見てみると、有名俳優ばかり名を連ねているのですね。 家にまつわるエピソードはちょっと怖くて、不思議で結構好きです。 島の温かい人たちと触れ合っていくうちに、少しずつ変わっていくクオイルの様子にほっとします。それと共に島の景色にも癒される。ただしこれは晴れた日の島ですが。あのどんよりとした島の様子は見ているだけで具合が悪くなりそうです。 ハルストレム監督はいつも優しい作品を世に出して、好きな作品が多い監督です。ただ本作は、『ショコラ』と同じように完璧に寓話のような世界を描いたわけではないし、『ギルバート・グレイプ』や『サイダーハウス・ルール』ともちょっと違う。何だかその両方が一緒になって中途半端になってしまったような感じがするのです。原作はどうなのかは知りませんが。だから、何となくいいけど、ちょっと何かが足りないという感じ。ハルストレム監督というと、どうしても期待してしまうからでしょうか。でも本作も決して嫌いではないのですけど。 THE SHIPPING NEWS 2001年 監督:ラッセ・ハルストレム 脚本:ロバート・ネルソン・ジェイコブズ 原作:E.アニー・プルー 出演:ケヴィン・スペイシー、ジュディ・デンチ、ジュリアン・ムーア、スコット・グレン、ピート・ポスルスウェイト、リス・アイファンズ、ゴードン・ヴィンセント、ケイト・ブランシェット、ジェイソン・ベア 他 シッピング・ニュース (DVD)シッピング・ニュース 特別版 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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