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2018.08.28
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カテゴリ:ふる里忘れがたく


       先日、さださんの「帰去来」収録の曲を探した流れで、「償い」を久しぶりに聴いた。この曲を

       聴く人の誰もが、その脳裏に映し出された「ゆうちゃん」が郵便局へ飛び込む姿や、被害者の奥

       さんの足元で涙を流しながら謝る姿を見ていることだろう。何度聴いても、泣かずに聴けない、

       素晴らしい名曲だと思う。

       それでまた久しぶりに、かつて私にも償ってくれた人がいたことを思い出した。この曲と、私の

       過去の体験とを重ねたのは、今回が初めてだなぁ。その体験自体は以前一度書いた気がするけど、

       キーワードでググってもヒットしないので、たぶん以前のブログかな。まあ、楽天の検索はあま

       りあてにならないけど。

       私には、上の左右の犬歯の間に、通常は4本ある前歯が3本しかない。小学校1年の2学期が始まっ

       たその日、もうすぐ学校へ着く手前で、不意に道路を横切ってしまい、走ってきたバイクに衝突

       したのだ。

       ぶつかった瞬間はよく覚えていないけど、気がつくと私は道路に横たわっていた。近くで踏切当

       番をしていたおじさんが慌てて走り寄ってきて、私を抱き上げそのまま走って近くの病院へ連れ

       て行ってくれた。幸い大きな外傷はなく、永久歯に生え変わっていた門歯が一本折れたのと、

       上唇を切ったくらいで、あとは擦り傷程度だったろう。頭もぶつけていたかもしれないけど、

       頭が痛かった記憶はない。

       今でも上唇にはっきりと傷跡が残っているほどなので、たぶん口元はかなり出血していた思われ、

       小さい女の子を撥ねてしまったライダーは、相当ショックだったろうと思う。子ども心に考えて

       も、あれは左右を確かめずにいきなり道路を渡った私が悪い。視界の右隅に走ってくるバイクが

       入っていたような気もするんだけど、それが当時の記憶なのかどうかはわからない。けれど、

       責任は必ずバイクの側になるのよね、前方不注意とかって。私は免許を持っていないので、よく

       知らないけど。

       運転していたのは、若いお兄さんだった。思えばその人は、なんて誠実な人だったんだろう。

       その年からクリスマスになると、私と弟の分のお菓子の入ったクリスマスブーツを持って毎年訪

       問してくれ、それは私が小学6年生になるまで続いた。(たぶん保険金等も支払われていたんだ

       ろうと思う。子どもだったのでその辺のことは何も知らない)

       それが当たり前の世の中だったかどうかはわからないけど、自身の良心に基づいて誠実に行動し

       ていたんであろうあのお兄さんは立派だ。さださんの「償い」を聴きながら、ちょっとゆうちゃ

       ん風なお兄さんのことを思ったら、ああ…あの事故で私が死ななくて、本当によかったんだなぁ

       と思ったのだった。


       そういえばあの時お兄さんは、転倒したりしてケガしなかったかな。ああ、そのことも今まで全

       く考えたことがなかった。衝突してバイクとライダーがどうなったのかについては、当日の記憶

       の中に何もない。自分が泣いていたかどうかも覚えていない。覚えているのはおじさんの行動だ

       けで、病院での記憶も全くなく、次に覚えているのはその日の夕飯だったか、唇が腫れて痛くて

       痛くて食べられなかったこと。

       踏切り当番は、小学生の子どもがいる家が持ち回りでやっていた。その日踏切り当番だったおじ

       さんは、本当ならうちの父がやるべき仕事を、よく手伝ってくれていたおじさんで、どういう関

       係の人なんだろうとずっと思っていた。時期的なことは不明だけど父方の叔母によると、その人

       は祖母があれこれ世話をやいていた家のおじさんとのことで、子だくさんなのに母親が働かない

       ので、祖母が食事を作って食べさせたりしていたということを、数年前初めて知った。「自分の

       家も貧乏なのにさ」と叔母。

​       祖母がとても面倒見の良い人だったことは、子ども心にも理解していた。手伝いを終えたおじさ

       んと、お勝手(台所)の板の間の”あがりはな(土間から上がってすぐの場所)”でお茶を飲み

       ながら、世間話をしている祖母の姿をよく覚えている。

       ”あがりはな”といえば、ゆうちゃん風お兄さんは訪れるといつも、座敷には上がらずに、寒いだ

       ろうに”あがりはな”に座っていた。私はひどく人見知りする子で、父親の背中に隠れるようにし

       て、はにかみながらお兄さんと話していたのだった。

       これは以前書いているが、現在私の歯に隙間はなく、そのための治療もしていない。歯科医によ

       ると大抵は隙間が空いてしまうもので、隙間が全くないのは珍しいとのこと。当時折れた葉の隣

       がたまたま抜けて間もなくて、その歯が生える時にうまい具合に歯が移動し、隙間が埋まったん

       だと思う。



​ ★ さだまさし/償い ★






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最終更新日  2023.12.19 07:05:08
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