無いことばかり

2018.11.08

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カテゴリ：夢ばなし

　　　　　　　　彼がうつぶせに寝ていたので、

　　　　　　　　久しぶりに彼の腰を夢の中で揉んでいた。

　　　　　　　　「痛くない？」

　　　　　　　　「ちょっと痛い」

　　　　　　　　「あっ、ごめん…」

　　　　　　　　はじかれたように手を放す。

　　　　　　　　「その右のほう、少し前に転移が見つかったんだ」

　　　　　　　　「え、なんで言ってくれなかったの…」

　　　　　　　　現実ではその場所への転移はなく、

　　　　　　　　何も隠さず話してくれていた。

　　　　　　　　もう健康なままでいいと思うのに、

　　　　　　　　夢の中で彼はまだ闘病中。

　　　　　　　　夢では「有ること無いこと」が起こるけど、

　　　　　　　　この頃は「無いことばかり」の夢が多くなった。

　　　　　　　　「彼がまだ生きているという無いこと」ならかまわない。　　　

　　　　　　　　さらに「彼が健康なままという無いこと」だったらもっといい…。　

Photo by PAKUTASO

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最終更新日 2018.11.10 07:58:00
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