ロバのパン屋、の想い出。
子供の頃、ごくたま~に、「ロバのパン屋」が近所に来たんですよ。 「ロバのパン屋はピンカラリン♪ピンカラリンとやって来る~♪」(かなりうる覚え) みたいな歌を流しながら、クルマでパンを売りに来てたんですよね。 うる覚えなのは、なにせ幼稚園に行ってた頃くらいのことなので。ロバのパン屋が売ってたのは、いわゆる蒸しパン。バン自動車の側面がショーケースみたいになってて、そこに色とりどりの蒸しパンが並べられていた気がするんですけどね。あんパンとか食パンみたいな、いわゆるパンは売ってなかったと思います。ボクの母親が子供の頃は、本当にロバが荷馬車を引いて売りに来ていたらしいんですけど。ロバのパン屋が・・・♪の曲が聞こえてくると、妙にワクワクしたのを覚えています。最近、クルマで焼きたてのメロンパンを売っている姿を街中で見かけますよね。あれ、結構美味しくてボクは好きなんですけど、買ったときに何か嬉しいのが、メロンパンをむき出しでコンビニの袋みたいなのに無造作に突っ込んでくれるところ。いえ、決してお客と食べ物をお粗末に扱っているわけではないと思うんですよ。もらったときに、お粗末さよりも庶民的というか、下町的というか、なんだか生活臭がするんですよね。駄菓子屋で買い物をした感覚に似ているというか。子供がその袋を嬉しそうに持っている姿が、妙に似合う。焼きたてメロンパン屋は、今一種の流行りモノになっているんだと思います。でも、買っている人達からは流行りモノだからという空気があまりしないんですよ。なにせ、おばあさんが2つ買って帰る姿が普通にあるんですから。若い人には、新鮮な風景。年輩の方には、ノスタルジー。ロバのパン屋はいつの間にか消えてしまったけど、このメロンパン屋は少しでも長く生き残って欲しい。子供達にとって、想い出の味、想い出の風景になれる可能性があるから。