灘特進への道
カリテ後、再び最前列に返り咲いた長男の鼻息は荒い。「僕、灘特行くねん。」寝言は寝て言え!という言葉は胸にしまい、今日も母は笑顔で聞き流す。「お母さん、聞いてるのん?だから灘特行くねんってば。」「は?」「選抜試験受けるねん。試験の申し込みの紙、貰えてん。」「へ?」「だから、『灘』ってば!」一瞬ボーっとなる母。まさか、おまえさん?…しかしすぐ正気に。「どうせ全員もらってるんでしょ?」「3組はそうやけど…他のクラスは知らん。貰ってないはずや。」「僕受けたいねん。行きたいねん。」変に現実味が帯びて見え、私はますます冷静になってしまう。「やっていけると思うん?大変やねんよ。」(←あまり知らないけど)「できるかどうかじゃなくて、やるねん!」しかし、今とは全く違うはずだ。授業時間は今より50分増える。隔週ながら授業日数も増える。必然的に宿題も増えれば、家でそれだけ費やす時間も増えるはずだ。「今の勉強がギリギリのカツカツやん。厳しいんじゃないのん?」「やってみないとわからんもん。」灘特進開設校に各々30名いたとして150人。カリテ応用の関西順位に彼らは含まれているのだろうか?含まれているとして、今回の長男の順位を当てはめれば後ろのほう。含まれていなければ、全く読めない。どうなんだろう。選抜ってことは、ダメな可能性のほうが高いんだよ。悔しかったり恥ずかしかったりしないの?「またチャレンジするし、受けたい。アカンかっても、僕気にせえへんもん。」母は大いに気になるよ…ほら男だろ?苦労しろ!!と思うときもあるけど、みすみす怪我をさせるようなことは出来ない。それとも駄目で元々、と切り替えたほうがいいのか?「そっか。そしたらお父さんにも相談してみるわ。」お茶を濁して一旦話を終えたものの、明日になればまた訊ねられるだろう。親としての回答を準備しておかなくては…