島田荘司『島田荘司全集IX』
~南雲堂、2024年~
島田荘司さんの全集第9巻です。前回の第8巻が2021年刊行でしたから、3年ぶりの、待望の全集刊行です。
収録作品については既に別に記事を書きましたが、本書には次の3作が収録されています。
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『改訂完全版 御手洗潔のダンス』
『改訂完全版 踊る手なが猿』
『改訂完全版 暗闇坂の人喰いの木』
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全て、初出は1990年ということですが、御手洗シリーズが2作収録されていて、この頃から時代の流れがかわり、御手洗シリーズが次々と発表されていくのがうかがえます。(このあたりの事情は全集所収のあとがきを参照。)
全集に通じることですが、全ての作品について詳細なあとがきが書かれていて、執筆の背景などがうかがえるのが嬉しいです。
本作の月報は、島田荘司さんの作品を読んで作家を志望した伊坂幸太郎さんとの対談です。伊坂さんが、島田さんの「本格ミステリー論」を読んで「完全に理解した」とおっしゃっていて、その点をめぐる二人のやりとりが特に興味深かったです。
全集の帯には、今までは2作先までの収録予定作品が記載されていましたが(たとえば第8巻の帯には第9巻と第10巻の収録予定作品)、今回は第10巻までの予定だけ載っていて、第11巻以降の予定がますます気になります。
まずは第10巻の刊行を楽しみに待ちたいと思います。
(2024.07.02読了)
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