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やさしい法律・行政手続入門

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2005.10.07
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カテゴリ:遺言
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Q8.遺贈は何の制限もなく自由に出来ますか?

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

A.

 遺贈については、以前、相続のところで簡単にお話して来ました。ここでは、もう少し詳しく問題点を検討してみたいと思います。

一.遺贈とは

1.遺贈とは、遺言によって自分の財産を無償で他人に与えることを言います。

2.遺言者は、包括または特定の名義で、財産の全部又は一部を処分できます。

3.遺贈によって利益を受ける者を受遺者といいます。

二.遺贈の自由

1.遺贈は生前自由に処分できた自分の財産を、遺言という最終の意思表示によって処分することであるので、どのように処分しようと原則として自由な筈です。

2.しかしながら、契約ではなくて単独の意思表示による財産処分であり、且つ自分の死後に効力を生ずるものですので、それがどのように、遺族に影響を及ぼそうと責任を取るわけにはいきません。

3.こういう点からみて、遺贈が自由であるといっても、全く無制限であるという訳にはいきません。

三.遺留分による制限

1.遺族間の公平に対する配慮として民法は以前お話した法定相続という制度を用意しています。

2.いかに遺贈が自由とはいえ、法定相続からの逸脱が許容限度を超えると、公平を欠くという評価を受けます。

3.そこで遺留分制度(後述します)という被相続人の意思では奪えない相続分を定め、残された範囲内でのみ遺贈の自由が認められることになっています。

四.公序良俗との関係

1.遺贈も法律行為である以上、たとえ遺留分を侵害していなくても、90条の公序良俗による制限に服します。

2.裁判上、公序良俗に反するとして問題になるケースは、その多くは婚姻外の愛人に対する遺贈です。

3.判例は、贈与契約の場合と同じような論理で、不倫な関係の維持継続を目的とする遺贈は公序良俗に反して無効である、としてきています。

4.ところが、婚姻外の愛人に対する遺贈には、本妻の住む住居とは別に愛人の為に住居やお店を持たせ、それを与えるというものが多く見受けられます。

5.これを無効としてしまいますと、愛人の生活が脅かされます。

6.そこで、判例はこれらの遺贈は、必ずしも不倫な関係の維持を目的とするものではなく、愛人の生活を保持する目的のものである、という理由でこれを、有効である、というルールを定立しました。

次回は遺留分減殺請求権について


     ・・・つづく

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最終更新日  2005.10.07 10:06:21



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