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やさしい法律・行政手続入門

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2005.12.17
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カテゴリ:親子
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Q5.推定されない嫡出子とは何ですか?

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A5.

一.772条の推定が及ばない場合

1.772条2項

婚姻の成立の日から200日を経過した後又は婚姻の解消若しくは取消しの日から300日以内に生まれた子は、婚姻中に懐胎したものと推定する。

2.事例

A女は、Bと婚姻届を出してから100日目に子Cを出産した。

しかし、ABが結婚式を挙げて同居を始めたのは婚姻届を出す半年(180日)前のことであった。

CはABの嫡出子となるであろうか。

3.大連判昭和15年1月23日(民集19-54)

内縁が先行している場合には婚姻成立後200日以内に生まれた子も嫡出子として扱うのが「民法中親子法に関する規定全般の精神より推して当を得た」ものである、としました。

嫡出子とは「婚姻関係にある夫婦から生まれた子」であるならば、Aは嫡出子です。

しかし、形式的にはAは772条の推定を受けません。

では、この嫡出子は法的にはどのような地位を有するのでしょうか。

二.戸籍実務

1.戸籍の実務では婚姻成立後200日以内に生まれた子も一律に嫡出子として扱っています。

2.その理由は、戸籍吏には、実質的審査権がないため、内縁が先行しているかどうかは調べようがないからです。

3.しかし、民法の原則からいえば、父子関係が発生するには認知が必要なはずです。

4.でも、婚姻後に子が生まれた場合、改めて子を認知するなどということは、現実の夫婦の意識からすると期待できません。

5.できちゃった結婚でも当事者の意識としては、結婚した事で問題は解決したと考えるもので、たとえ、結婚後まもなく子どもが生まれても、改めて夫が子どもを認知するなどとは普通は考えません。

6.しかしながら、戸籍上はそれでいいとしても772条の推定を受けていない以上、父子関係は嫡出否認の訴えではなく、親子関係不存在確認の訴えで争う事ができます。

7.つまり、後で、この子は自分の子ではないということを、争う事ができるわけです。

8.そこには、提訴権者や提訴期間の制限がありません。つまり、推定される嫡出子のように父子関係が強固に保護されてはいません。

9.このような嫡出子を推定されない嫡出子とよんでいます。

三.内縁が先行する場合

1.婚姻成立後に生まれさえすれば、婚姻成立後200日以内でも「推定されない嫡出子」になります。

2.それでは、さっきの事例のように、内縁が先行し、内縁成立後200日以上経過していた場合。それでも単に「推定されない嫡出子」なのでしょうか。

3.それとも、772条の「推定される嫡出子」なのでしょうか。

4.最判昭和41年2月15日(民集20-2-202)

要旨
  「婚姻成立の日から二〇〇日以内に生まれた子は、婚姻に先行する内縁関係の成立の日から二〇〇日後に生まれたものであつても、民法第七七二条所定の嫡出の推定は受けない。」

その結果、戸籍上は嫡出子として扱われますが、たとえ内縁が先行していても、あくまで推定されない嫡出子であり、誰からでも父子関係不存在確認の訴えで争うことができることになります。

次回は準正について
・・・つづく
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最終更新日  2005.12.17 12:33:55



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