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カテゴリ:山野草
☆自然観察ブログ「しろうと自然科学者の自然観察日記」を始めて6年7カ月、連載は連続2,400回を超えました。そこで、「自然観察の振返り」を随時掲載しています。【自然観察の振返り[7]】はキク科アザミ属の植物です。第5回は、トネアザミです。(2012年9月14日撮影)。
☆トネアザミは、ナンブアザミの変種で、本州の関東地方から近畿地方に分布し、関東地方の日当たりの良い草原や林縁で秋に最もよく見かけるキク科アザミ属の多年草です。草丈は1.5~2メートルで、茎は分枝して多くの花をつけます。(2012年9月14日撮影)。 ☆トネアザミの根生葉(ロゼット葉)は大きく羽状に切れ込み、長さ30センチ前後で放射状に地際に広がりますが、花時にはなくなります。トネアザミの葉は、長さ約20~30センチと細長く、先は鋭く尖り枝状につき出た部分があり、縁には触ると痛い太くて長いとげがあります。東北地方に多いナンブアザミの変種ですが、ナンブアザミに比べて葉の切れ込みが深く葉の棘が長くなっています。(2012年9月14日撮影)。 ☆トネアザミの花期は、8月~10月です。「トネアザミの特徴は花が横や下を向いており」と書いてあるものがありますが、横向きや下向きとともに上向きに咲いているのも見かけます。(2012年9月14日撮影)。 ☆トネアザミはナンブアザミの変種ですが、ナンブアザミに比べて総苞片が太くて長いのが特徴です。(2012年9月14日撮影)。 ☆開花し始めたばかりのトネアザミの花です。トネアザミの花は、全て筒状花(管状花)です。外側の筒状花をよく見ると、花冠が細長く5つに分かれて開いているのがわかります。花冠の中から5つの雄蕊の葯が集まり筒状になった赤紫色の集約雄蕊が伸びてきています。中央の筒状花は、花冠の先端が浅く5つに分かれていますが、集約雄蕊は伸びていません。(2017年9月26日撮影)。 ☆ほぼ全ての筒状花が開花した時期のトネアザミの花です。花冠は、細長く5つに分かれて開いています。花冠の中から伸びている集約雄蕊の先に、花粉が出ているのが見えます。(2017年9月26日撮影)。 ☆キク科のトネアザミの花は、雄蕊が先に成熟して花粉を出す雄性先熟の花です。中央の花は雄性期で、集約雄蕊の先に花粉が出ているのが見えます。外側の花は雌性期に移り、集約雄蕊の先の花粉はなくなり、集約雄蕊の中から雌蕊花柱が伸びてきています。このように、雄蕊が先に成熟して花粉を出し、雄蕊が花粉を出し終えた後に雌蕊が成熟して受粉・受精するのが、雄性先熟です。自家受粉(自分の花の花粉で受粉すること)を避け、他家受粉(他の花の花粉を受け取って受粉すること)します。同じ種の中でも、多様な遺伝情報を受け取ることによって、個体の生命力を高めるための巧妙な仕組みです。(2017年9月26日撮影)。 ☆トネアザミ(利根薊)の名は、関東地方に多く見られることからトネ(利根)のアザミ(薊)の名が付けられました。別名は、大きなアザミの意味からタイアザミ(大薊)です。(2012年9月14日撮影)。 ☆アザミは、トゲを意味する「アザ」に植物名に多い接尾語「ミ」が付いたという説、トゲが多いことから「驚き呆れる、傷む、傷ましい」の意味の「あざむ」に由来する説などがあるそうです。漢字の「薊」は、「草冠+魚+刀」からなる字で「魚」はトゲトゲした骨があることを表し、トゲがあって刀のように刺す草を表しているそうです。(2017年9月26日撮影)。 ☆トネアザミの花言葉は、「独立」「厳格」「人嫌い」「報復」だそうです。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2018.10.12 05:00:10
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