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カテゴリ:ドイツ映画
1923年のベルリン。突然、同居していた兄が自殺し、動揺を隠せない主人公アベルは、別居中の義姉の元に身を寄せるが、別の殺人事件の容疑者にされてしまう。 間もなく、無事に釈放されるアベルだったが、怯えからすっかり人が変わってしまうのだった―――。 スウェーデン出身のベルイマン監督、初鑑賞です。60年間、映画を撮り続けてきて、その丁度中間にあたるころの作品。劇場未公開。 ベルイマン作品のなかでは異色で、アメリカ人からの強力な資金援助を受けているそう。セットが豪華なのはそのせい。 まずは、映像に引き込まれました。1920年代の不穏なドイツ、陰鬱で、重苦しい。 華やかで、猥雑で、グロテスクで、どこをとっても何気に痛いシーンが続きます。 義姉との関係がメインストーリーですが、彼女がまた普通ではありません。定まらない情緒が、不安を煽る。 街も、ドイツの国全体も、主人公さえ、みんなが不確かで、なにかに怯えているようです。 それは当時の時代を見事に再現した、監督の手腕。見事に、えもいわれぬ恐怖感が漂っていました。 殺人事件の真相は、ラストで明らかになります。けれど、伏線とかそういったものとは、無縁のサスペンスといえそう。 見所は、ユダヤ系アメリカ人である主人公が、狂いつつある異国ドイツで感じる恐怖なのではないでしょうか。 ナチスドイツがこの数年後行った人体実験が、そのままに物語の犯人の行為と結びついていて、怖い。 当時のドイツ映画を再現して見せた作品だそうですが、まったくイメージどおりのドイツがここにあります。 アベルが逃げたのは当然だと思う。ただひたすら、この場から逃げ出したくなる。 これが、当時のドイツ人、みんなの思いだったのかもしれません。 監督・脚本 イングマール・ベルイマン 製作 ディノ・デ・ラウレンティス 製作総指揮 ホルスト・ヴェントラント 撮影 スヴェン・ニクヴィスト 音楽 ロルフ・ヴィルヘルム 出演 リヴ・ウルマン 、デヴィッド・キャラダイン 、ゲルト・フレーベ ハインツ・ベネント 、ジェームズ・ホイットモア (カラー/119分/ドイツ・アメリカ合作) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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