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2009.02.18
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カテゴリ:ドイツ映画

 1989年、ベルリンの壁崩壊直前の東ベルリン。アレックス(ブリュール)は建国40周年を祝う式典の夜、改革を求めるデモ行進に参加。その姿を目撃した愛国主義者の母クリスティアーネ(ザース)はショックで心臓発作を起こし、昏睡状態に陥ってしまう。
彼女が奇跡的に意識を取り戻したのは8カ月後。医者の忠告どおり、再度ショックを与えないため、アレックスは母を自宅に引き取って、東ドイツの体制がずっと続いているふりを装うのだった…。



 ドイツが西と東に分かれた理由さえよく知らないわたしでも、観終えた後は当時のことが少しはわかるようになっていた。知りたくもなっていた。
とても良質な評判のよい作品。

主人公アレックスの父親は、10年前、仕事で訪れた西側で愛人をつくりそのまま亡命してしまう。
以来、母親のクリスティアーネは女手一つで長男長女を育て上げ、時代に翻弄されるかたちで愛国主義者となっていく。
そんな母の、突然の心臓発作から8ヶ月――。ベルリンの壁は崩壊していた!
奇跡的に意識を取り戻した母親にショックを与えないため、家族ぐるみの偽生活が始まるのだった。
8mmカメラでウソのニュース番組を作ったり(これが面白い!)、瓶詰めの食料を東ドイツ御馴染みのパッケージに移し変えたり・・・・なにかと苦労は多い。
東ドイツがまだ元のままに存在していると信じ込ませるため、アレックスのちょっと変わった日々がはじまる。

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コミカルに勢いよく、統一前後の激動のドイツを舞台に、ひとつの家族の悲喜交々を描く。
新しいドイツの幕開けなのに、母の為に過ぎ去った東ドイツを再現し続けるアレックスの姿は滑稽。でも、なにか大きな愛を感じていとおしくなる。

ドイツの新鋭で、これが長編2作目というヴォルフガング・ベッカー監督の脚本がとてもいい。
当時の映像を交えた背景の確かさと、肩の凝らないコメディによって、ラストまで一気に展開していった。

人として魅力的な母も、なにかと行き過ぎのアレックスも、彼が恋する看護士ララも、十数年ぶりに再会する父親も、姉の再婚相手も、友達も、みんないい人たちばかりだから、微笑みながらとことんウソの生活を見守りたくなってしまう。
なだれ込んで来た西ドイツを享受しつつ、母の為に創り上げたアレックスの理想の架空国家は、果たして母を幸せにするのか―――。
母親がついていた大きなウソが一番のサプライズだ。




監督 /ヴォルフガング・ベッカー
製作 /シュテファン・アルント
脚本 /ヴォルフガング・ベッカー  ベルント・リヒテンベルグ
音楽 /ヤン・ティルセン
出演 /ダニエル・ブリュール  カトリーン・ザース  マリア・シモン  チュルパン・ハマートヴァ

(カラー/121分)






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Last updated  2009.02.21 22:10:07
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