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道立近代美術館の『セザンヌ主義』展へ行ってきました。 ポール・セザンヌ(1839~1906) 印象主義とともに出発しながらも、それを超え独自の新しい表現を創造した画家。 彼の絵画は、20世紀初頭のフランスにおける革命的な芸術運動、「象徴主義・ナビ派」「フォーヴィスム」「キュビスム」「エコール・ド・パリ」に影響を与えました。 ベルナール、ドニ、マティス、ピカソ、ブラック、モディリアーニらの作品とともに、セザンヌの影響力を感じる展覧会。 風景画・人物画とおなじくらい、静物画も多数展示されていました。 セザンヌにとっては‘身の回りの事物を自由に配置できる実験の場であった’そうです。 いままでは静物画を詰まらなく思っていたけれど、今回は見惚れるものが多くて驚きです。 ただ、好みの静物画に出会っていなかっただけなんですね。 セザンヌや岸田劉生の作品に、長く眺めていたい絵がいくつもありました。 色あいも、被写体の質感も、ほんわかしてどこかポップな存在が好きでした。写実とは違う、角度のおかしいテーブルもツボ。 傾いたり、デフォルメされたりするいびつさみたいのが、惹かれどころでした。 ポール・セザンヌ「りんごとナプキン」1879-80年 岸田劉生「静物」1920年 絵の背景は大事だと聞きますが、背景が曖昧な作品が多々。こちらもセザンヌの特徴でしょうか。 曖昧だからこそ被写体が惹き立っていた気もしますが。 一番上の絵、「青い衣装のセザンヌ夫人」(1880~90)も、後ろの家具の具合がすこしヘンに描かれています。 夫人の素朴さより、気になってそちらをじーっと眺めてしまいましたよ。 ポール・セザンヌ「水浴」1883-87年 ポール・セザンヌ「縞模様の服を着たセザンヌ夫人」1883 - 85年 風景画はどれもいいなぁ、と感じるものが多かったです。 もちろん他の画家の作品も多くて、好き嫌いは別れましたが、セザンヌのものに限ってはいいなと感じました。 水浴画は宗教画から端を発しているそうですが、こちらのよさはイマイチ、、 タッチや構図もそうですが、宗教観の違いも関係しているかもしれませんね。 マティスは200点以上あった水浴画の一枚を購入し、精神的な支えにしたとか――。 同じブースにあった、モーリス・ドニの「森の春」「赤い帽子の浜」は印象に残っています。 スザンヌの死後、敬意を表して描かれたものだそう。 数々の画家の作品が観れて、贅沢でした。 久しぶりに大好きなモディリアーニも観れたし(たった一枚だけれど)、20世紀フランス絵画の潮流を、ひとつの展覧会で一度で目にすることができたのは嬉しいです。 ナビ派とかフォーヴィスムとか、新しい言葉も覚えました。 先日、武者小路実篤を読んだ時出てきた白樺派。 この展覧会でも目にしてびっくりでした。日本ではじめて彼らの作品を紹介したのは文芸誌『白樺』だったのですね。 大正期に紹介されてから、日本の画家たちにもたくさん影響を与えたのだそうです。 ――久しぶりの美術館。絵を観るのは体力を使いますね(笑) さんざ歩き回り、なにか感じようといちいち心を傾けるから。 足を止めたい絵画にだけ立ち止まり、あとは素通りするような観方というのは、どうだろう。 それは間違っているのかな。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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